Fixture
UEFAチャンピオンズリーグ
リーグフェーズ 第8節
2025.1.29
ジローナ(31位/1勝0分6敗/勝ち点3/得点4 失点11)
×
アーセナル(3位/5勝1分1敗/勝ち点16/得点14 失点2)
@エスタディ・モンティリビ
Match facts from BBC sport
- ジローナはアーセナルとの対戦は初めて。直近のCLでのイングランド勢とのホームゲームはMD6のリバプール戦で0-1で負けている。
- アーセナルは直近のアウェイのスペイン勢との対戦は2-1で勝利した2023年11月のセビージャ戦。スペイン勢とのアウェイゲームで連勝は2004年のセルタ戦と2006年のレアル・マドリー戦以来。
- ジローナは直近4試合のCLで敗戦でいずれの試合も得点はなし。5大リーグのチームがCLで無得点の5連敗を喫した例は過去にない。
- 4試合連続のCLでのアウェイゲームでの無得点の後、アーセナルはMD5のスポルティング戦で5-1の勝利。アウェイでの連勝となれば2016年の11-12月以来。
- アーセナルは今季CLで2失点。インテル戦のPKとスポルティング戦のCK由来の失点であり、インテルと共にまだオープンプレーからの失点を喫していないチーム。
- ジローナはxG=8.9に対して、実ゴール数が4であり、マイナス方向への差異が最も大きいチーム。
- 今季のCLにおいてアーセナル(16)より被枠内シュートが少ないのはアタランタ(13)だけ。1試合平均2.3本という数値はクラブとしては03-04以来の低い数値。
- ミケル・アルテタ指揮におけるアーセナルのCLのアウェイでのゴールのうち64%は「ガブリエル」と名が付く選手によって決められている。ジェズス、マルティネッリが3得点、マガリャンイスが1得点。
- CLで270分以上プレーしている選手の中で、ジローナのアレハンドロ・フランセス(3.1)とヤンゲル・エレーラ(3.2)よりも多くのファウルを犯しているのはクリストフ・バウムガルトナー(3.5)だけ。
- 4得点、1アシストとカイ・ハヴァーツはCLで最も多くのゴール数とゴール関与を記録。直近3試合で得点を連続で決めており、4試合連続となればドイツ人では2014-15年のマルコ・ロイス以来。
予習
ラ・リーガ 第20節 セビージャ戦
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CL 第7節 ミラン戦
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ラ・リーガ 第21節 ラージョ戦
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予想スタメン
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展望
二足の草鞋に跳ね返されたジローナ
ジローナは敗退決定、アーセナルにはプレーオフ行きの条件はまだ厳密には残されているがOptaの予測によれば100%でRound16のストレートイン。実質、コンペティション的には消化試合の扱いに近い一戦ということになる。
そして、このリーグフェーズ第8節は2週連続開催。連戦続きで疲労困憊のアーセナルとそもそもそこまでスカッドが大きくないであろうジローナにとってはそれぞれの理由で辛いものがある。どこまでこの試合にメンバーをそろえるかはポイントになる。
ジローナはなかなかに厳しい戦いが続いている。現在公式戦は3連敗中、そしてCLは4連敗。リバプールやミランに勝てないのは仕方ないが、シュトゥルム・グラーツに勝てなかったのは辛いところ。勝利したスロヴァン・ブラチスラヴァもなかなかCLレベルのチームと言いがたく、今季のCLでは結果を出すことができていない。
基本的には保持型のチームなのだろう。3-2への変形からCHが縦関係になり、3-1にシフトする形でポゼッションをする。CBは広がりながら相手のプレスを引き寄せつつ、縦にパスを入れるコースを探っていくというのがこのチームのベースだ。
理想的なのはインサイドに差し込むことでスペースを作ってパス交換を行い、背後への抜け出しからチャンスを作っていく。ただ、多くのチームはインサイドはクローズするのでここにバシバシ縦パスを刺していくというのは難しい。このスペースを管理しているチームか、あるいはジローナの出し手にプレッシャーをかけていくチームかのどちらかにぶつかることが多いからだ。
そのため、サイドに迂回することで勝負をかける。しかしながら、ここでもインパクトが不足しているのが今季のジローナの苦しいところかなと思う。インサイドは堅いから外に回した結果、サヴィーニョがいる!という昨季に比べると、その役割がブライアン・ヒル(彼自体のパフォーマンスが悪いわけではないが)というのは少し物足りなさがある。
むしろ、サイド攻撃はカウンターからの方が有力。プレミアでお馴染みのダンジュマがトップから左に流れて起点になる形で攻撃を牽引する。クロスに対する飛び込みは悪くない、ただし高さがない!という状況なので、サイドから上げることができるクロスの質は生命線ということになる。
非保持は4-4-2。プレスのスタート位置は中盤。バックラインに強引にプレスをかけることはあまり多くはない。ホルダーにプレスをかける意識はあるが、その選手に合わせて他の選手が細かく移動することがないので、プレスはそこまで連動していない印象を受ける。特に横方向への移動には無頓着でコンパクトさにかけるところがある。
ダンジュマも含めてロングカウンターで無理が効くタイプはいないので、なるべく高い位置に出ていきたいが、特に大外からハーフスペースをつくチームがいれば、CHがそのケアに追われるため重心は下がりがち。高い位置から前にエネルギーをもたらすことができる守備には苦心している。
総じて、苦戦には理由があるという感じのジローナ。ここまではCLとリーガの並行に苦心しているシーズンと言える。
上回れる要素はあるが・・・
まずはジローナを倒すという観点に絞って話をしたい。最も効果的なのはハイプレスだろう。特に多くのチームが狙っているのは左サイドの深い位置でのビルドアップ。自陣に引き寄せるポゼッションと上では書いたが、実際のところは引き寄せるところであっさりとパスカットに遭う場面も少なくはない。特にブリント(直近のリーグ戦で負傷したのでこの試合に出てくるかはわからないが)の長いパスは狙い撃ちに合っている。
ジローナにはパスカットしやすいグラウンダーではなくロブパスを入れたり、逆サイドに展開するなどの工夫で回避するスキルはある。実際にリバプール戦ではそういう抵抗も見られた。その一方でアーセナルを相手にした場合、逆サイドで作り直す動きや縦に急ぐ動きがどこまで脅威になるかは疑問符がつく。ということでアーセナル側の体力面以外はプレスはかけ得になるように思う。
非保持においてはミドルブロック型の4-4-2が主体の相手だが、先に述べたように1人を動かされたところに対するリアクションが鈍い。アーセナルはこういうプレスの仕方をしてくるチームはそこまで苦にしない印象。連動しないという意味では直近の相手ではトッテナムに近いのだけど、ジローナはトッテナムほどの強度がないので、こちらも相手を動かすリスクをかけるデメリットが少ない。
ということで総じてアーセナルは上回れる要素が十分に見つかる試合だ。その一方でアーセナルはスカッドが疲労困憊、かつ控えるのはシティ戦ということでこの試合に十分にリソースを注ぐ理由はない。なるべくならばスターターには疲労が溜まっていない選手から使っていきたいところ。キヴィオル、ジンチェンコ、ティアニー、スターリング、ジョルジーニョ、メリーノ、ネトはスターターに推したい。ニコルスやバトラー・オイデジも個人的にはみたい。あと、移籍してもいいからヘヴンもこの試合だけは出てほしい。無理ですよねすいません。
長かったCLのリーグフェーズは残り1試合。年明けの日程がそこまで強度の高い展開にならなかったのは大きいがそれでもタフはタフ。最後の一山を乗り越えて2月はゆったりと過ごすための締めの90分を飾りたい。