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プレミア再開間近!気になるアーセナルの10のこと

 プレミアが戻ってくる。「日常が戻ってくる!」という高揚した思いで順位表を見たら、アーセナルは9位でむしろ日常に引き戻された気持ちになりました。6位くらいだと思っていたぜ。

 気を取り直して、ここからは再開後のアーセナルについての個人的な見どころを10個述べていこうと思う。血をたぎらせて再開を待っていたアーセナルファンも、Jリーグ再開までの間にDAZNでちょっとだけプレミアを覗いてみようかな?という初見さんも、これを読んでプレミア再開後のアーセナルを楽しめればと思う。

目次

点の取り方は?

ペペのスコアラー化に踏み切れるか

 「代表ウィーク中の移籍話は気にしすぎない」というのが海外サッカーファンとして精神衛生を保つコツだと思っている。試合がなければネタがない!となるとマスコミが確度の低いうわさ話に目を向けるのは当然だからだ。

 というわけで自分もこの時期はそこまで移籍の噂に耳を傾けずにいた。そんな暮らし方をしていても、オーバメヤンの去就に関する騒がしさは伝わってくる。加入当初から押しも押されぬアーセナルのエース。アルテタ就任後、主戦場を左WGに移してなお得点を取り続けるオーバメヤンは文字通り代えの利かない存在だ。

 そのオーバメヤンがいてなお得点力が高いといえる状態ではない今のアーセナル。仮に彼が退団するとなれば、異なる点の取り方の模索が必要だ。現状の戦力で言えば覚醒の期待ができるのはペペ。現状では大外に張って違いを作るチャンスメーカーの色合いが強いが、リール時代は得点力に定評があった選手。オーバメヤンの去就に関わらず、ペペがフィニッシャーとして機能する得点パターンの構築ができるかには注目したい。

「ナンバー9」のレギュラー争いは?

黒子が光るラカゼットorフレッシュなエンケティア

 中央でポストをこなし、潰れつつPA内に顔を出す。もちろんプレスの先導役としての役割もある。アルテタが求めるCF像は攻守にハードワークが必須である。アルテタ着任当初はラカゼットが不動のレギュラーCFだった。しかし、チャンスメイクとプレスに消耗し、肝心のスコアリングの部分で力を残せていなく映る場面もあった。

 途中からレギュラーを奪い取ったのは年明けにリーズからレンタルバックしたエンケティア。彼もまた献身的なCFだが、黒子役としての働きはまだラカゼットには及ばない印象はある。一方でフレッシュなエンケティアがアーセナルのオフェンス陣を活性化したのも事実である。

 ただ、中断前最後の試合となったウェストハム戦で決勝ゴールを決めたのは途中交代で入ったラカゼット。まだまだどうなるかわからない「ナンバー9」のスタメン争いからは目が離せなさそうだ。

マルティネッリの起用法は?

本命:LWG、対抗:CF、大穴:RWG

 ブラジル4部からやってきた18歳のFWは、明るいことがまるでなかった今季前半のアーセナルの希望の星だった。決定力に長けていて、カウンターでは果敢に攻めあがる。その上守備もサボらないとなればアーセナルファンが彼に夢中になるのも無理はないだろう。

 監督が代わり、終盤に差し掛かった中断前でも時折輝きを見せていたものの、エジル、オーバメヤン、ペペ、ラカゼットorエンケティアという4人をアルテタはユニットとして起用する機会が多く、マルティネッリはやや出番を減らした印象だ。しかし、ここからは過密日程。その上、オーバメヤンとラカゼットの両FWの今後の去就が怪しいとなれば、マルティネッリにかかる期待は依然大きい。

 マルティネッリ起用時に気になるのは託される役割である。攻守に体を張る必要があるCF?オーバメヤンが点を取れるように内に絞る役割が多くなってきた左WG?それとも大穴で幅取り役?アーセナルに彗星のごとく現れた若武者はどのような道筋でFWとしての成長を見せるだろうか。

左サイドの運用の仕方は?

二者択一?共存?

 強いチームを見ると「自分たちにはないものばかりだな」と思うときがある。例えばリバプールを見た時にうらやましいと思うのは、長いキックを操れるSBの存在。昨夏セルティックからやってきたティアニーは、そんな憧憬をもたらすポテンシャルがある選手である。精度の高いキックからアシストを量産する姿を夢見たアーセナルファンは多いに違いない。

 ただし、現実になったのは獲得時によぎった懸念の方。セルティック時代から多かった負傷の影響でティアニーは、まだアーセナルではインパクトを残すことができていない。

 同様に負傷癖が抜けないコラシナツも離脱する中で左SBを務めたのは本職WGのサカ。当初は対人守備もクロスの精度も目も当てられない状態で、コンバートは正直失敗のように自分には思えた。しかし、驚きはここから。試合をこなすごとにSBが板についてくる上に、短期間で驚異的なクロスの上達をみせる。サイドから涼しい顔でゴールを演出する姿は、SB初戦からは信じられない進歩といっていいだろう。

 現在、ティアニーはケガから復帰。SBの人選は悩ましくなる。もちろんアルテタには両者を縦に並べる「共存」という選択肢もあるが・・・・?

「問題児たち」の処遇は?

2人の若手に逆転の芽はあるか

 選手にはチームにコミットすることを強く求めるアルテタ。練習態度に問題がある選手は強い姿勢で改善を求めてきている印象だ。最初に報道に名前が出たのはゲンドゥージ。ファンの中でもどことなく「パリピでお調子者」の印象が強い彼だったが、アルテタ就任後はだいぶ出番を減らすことになった。

 同様に春先からアルテタが練習態度を問題視しているとの報道が出始めたのはメイトランド=ナイルズ。偽SBで新境地を予感させたマルチロールだったが、最近ではベンチですら見かけなくなってしまった。ただ、直近の練習試合では中盤で試したとの話も。

 2人の問題児はチームにコミットし、再び出場時間を得ることができるだろうか。

CHに求められる資質は?

一長一短で定まらない最適解

 エメリ時代には最後まで定まらなかったCHのベストユニット。このポジションではアルテタも模索が続いている。就任当初に試した左に流れるジャカと、アンカー気味にふるまい鋭い嗅覚で危険を察知できるトレイラのコンビは優秀に思えた。

 しかし、展開力に難があると判断したか、はたまたトレイラのコンディションがととのわなかったのか、徐々にジャカの相方はセバージョスが務めることが多くなる。供給役として優秀なセバージョスがボール保持時に躍動する反面、このコンビは被カウンター時の機動力に欠けており、中盤がフィルターとして機能しない部分もある。あちらが立てばこちらが立たないといった個性を持つアーセナルの中盤。アルテタはどのような役割を求めて、誰を重用するだろうか?

来季を見据えたCBのレギュラー争いは?

まさにカオス、来季の陣容を決めるラスト10試合

 来季の残留が確定しているのは今ロンドンにはいないサリバ(サンテティエンヌにローン中)ただ一人。残りの戦力の去就は不透明という事実がアーセナルのCBの混迷を感じさせる。

 昨年末はすでに多くのファンが戦力外扱いしていたムスタフィはここにきてやや評価を盛り返した様子。アルテタの求めるプレースタイルとはやや遠い感じがするソクラティスはなぜかSB起用をされるようになった。レンタルで冬にやってきたマリはすでにプレミアデビューを決めている。

 準レギュラークラスが来季残留に向けたマッチレースを繰り広げる終盤戦になるかと思えば、今季CBの柱だったルイスに来季の契約を更新しないとの報道も。数は明らかに過多なアーセナルのCB。誰を残し、誰が去るのか。去就を見極める終盤戦となりそうだ。

長期離脱組のフィットネスは?

一難去ってまた一難

 順調だった選手に長期離脱がふりかかる。アーセナルファンにとってこれ以上に心の傷に沁みるあるあるはないだろう。昨季で言えばベジェリンとホールディングがこのあるあるにあてはまる。

 18-19の前半戦最大の発見となったホールディングは、秋ごろの負傷でシーズンを棒に振る。順調に成長していたのであればコシエルニーの退団をここまで痛く感じることはなかったかもしれない。

 今のアーセナルを精神的に引っ張れる存在であるベジェリンの長期離脱もアーセナルファンを大いに悲しませた。元来丈夫な選手だっただけに、大きな負傷は個人的には非常にショックだったのをよく覚えている。

 昨夏戦線に帰ってきた両者。アーセナルのチーム事情も芳しくないこともあり、彼らにかかる期待は復帰当初から大きかった。しかし、当然すぐにはフォームを取り戻すことはできず。なかなかパフォーマンスが上がらないまま今季も後半戦を迎えてしまった。

 コロナによるブランクが彼らを助けることにはならないだろう。プレミアでの実戦感覚と試合体力を取り戻すのはよりハードになった。しかし、ベジェリンにはチームのリーダーとして、ホールディングには最終ラインの柱として未来を託したい存在であることは間違いない。心身ともに強くなった完全復活の日を待つばかりだ。

超過密日程との向き合い方は?

怪我人とFAカップのプライオリティ

 8月上旬までにシーズンを終わらせなければ、プレミアはお金を全部払ってもらえない!という噂が本当かはわからないが、想定される日程を見ればそれも何となくうなづける。国内のコンペティションがどーっと続くため、泣く泣く敗退したELも過密日程解消の助けにはならない。

 注目したいポイントの1つは当然怪我人。ブンデスリーガを見れば、怪我人多くなるのは避けられないだろう。野戦病院が恒例のアーセナルにとっては嫌な予感かもしれないが、直近に視線を向ければ意外と怪我人は多くなかったりする。エメリ時代晩年の良かったことといえば、ほぼフルスカッドで戦えるという謎のケガへの強さ。それでも勝てないのは絶望だったんだけどね。

 もう1つ、気になるポイントは勝ち残っているFA杯のプライオリティ。お金を考えれば当然優先はCL出場権だが、今季唯一残っているタイトルがFA杯。タイトルの可能性か、CL出場権か、二兎を追うのか。アルテタの選択が気になるところである。

無観客の影響は?

変わりにくい展開、観客不在がもたらすものは?

 無観客のブンデスリーガを見て感じたのは「試合を一変させるささいなきっかけ」が少なくなったということ。攻め込んでいるチームが一回カウンターを食らってシュートをされることで、スタジアムの空気が一気に変わるという場面はほぼ見られない。主観だけど。リーダーシップの不在がことあることに嘆かれるアーセナルにとって、この傾向はどう作用するだろうか。

 エミレーツの観客不在はどう響くか。もちろん、好機でチームを後押しするファンの不在は痛い。ただ、ジャカのキャプテンマーク事件のように、今季のアーセナルのスタンドは常にチームにとってプラスを与え続けていたわけではない。プレッシャーがないことで落ち着いてプレーをできる可能性も全くないとは言い切れない。どう転ぶかはまったくもって未知数。もっとも、どのチームにとってもそうかもしれないけど。

 以上!プレミア楽しみだね!

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