■勝ち点3奪取も10人相手のパフォーマンスには課題
1週間前の第3節はスコアレスドロー。突破のために勝ち点3が欲しい両チームのリマッチは舞台をロンドンに移して行われる。
第3節と同じようにフォーメーションは互いに3-4-3というミラーの形。この形を生かして積極的にプレスをハメに行ったのはトッテナム。ただ、ハイプレスがハマらないというのは今季の彼らの悪癖である。プレスがかからないことをこの試合でも早々に悟ったトッテナムはプレスのラインを下げて対応する。
しかし、サイドも中央もパスに対して後手に回るという中途半端な対応に終始するトッテナム。ややトッテナムは重心を後ろ向きにしてもフランクフルトは敵陣深い位置までビルドアップで進むことができるようになっていく。
この日の序盤のトッテナムは何もかもうまくいかなかった。ハイプレスで捕まえられないどころか、逆に機を見たフランクフルトのハイプレスがダイアーのミスを呼びゴールに直結。鎌田はノースロンドンのチーム相手にまたしても得点をとって見せた。
先制点こそハイプレスから獲得したフランクフルト。基本的に非保持に回った際のプレスは控えめ。バックラインにはボールを持たせつつ、トップのコロ・ミュアニは中盤をケアして大きな展開を阻害する。
それでもボールを回しながら懸命にチャンスを伺うトッテナム。同点ゴールに繋がったケインへの斜め方向のパスはフランクフルトの中盤をかわすアイデアとして面白かった。長谷部はケインにターンを許すと裏抜けでばっちり抜け出したソンが独走から同点。トッテナムらしい形で追いつくこと成功する。
ケインはこの日はゴリゴリ。直後には自ら前を向くと、ドリブルを仕掛けてPKをゲット。ソンとともにフランクフルトのバックラインの天敵になっていた。ライン間の管理はフランクフルトの方がうまくできていたように思うが、相手がライン間の管理ができていない時により大きなダメージを与えることができるのはトッテナムの方だった。
波に乗るトッテナムはソンが追加点をゲット。ホイビュアのクロスに対して、逆足のボレーで合わせてさらにフランクフルトをさらに突き放す。
後半も勢いに乗るトッテナム。リトリートを早めにして割り切ることでフランクフルトの攻め手をなくし、カウンターからさらなる好機を伺う。特にソンとトゥータのマッチアップは明らかに前者が優勢。あっという間に2つのプレーで警告を受けたトゥータは退場に追い込まれてしまった。
相手が10人になったことで色気が出てきたトッテナム。ハイプレスでの前からのチェイシングを再開する。が、これは相手が10人になってもハマらない。裏を取られる形からフランクフルトに決定機を作らせることはなかったが、単純にこれはチームとしての今後の課題と言えるだろう。ここまでのプレミアを見ても高い位置からのプレスから流れを引き寄せられるゲームは結構少ない。
同時にビルドアップも。バックラインからのビルドアップは逆にハメられる場面も多く、保持でも試合を支配できない。後ろのメンバーを多少入れ替えたとはいえ、この辺りの課題も看過できないだろう。流れを手放してフランクフルトの追撃弾を許したのは大きな反省点だ。
交代選手の中でポジティブだったのはブライアン・ヒル。機動力を生かしたプレスでPKを奪取。ケインが珍しく外してしまったため、決定的な追加点をお膳立てとはならなかったが、爪痕を残したパフォーマンスだったと言えるだろう。
試合結果
2022.10.12
UEFAチャンピオンズリーグ
Group D 第4節
トッテナム 3-2 フランクフルト
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:20′ 36′ ソン, 28′(PK) ケイン
FRA:14′ 鎌田, 87′ アリドゥ
主審:ダニエレ・オルサト