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「我らルヴァンの王様なり」〜川崎フロンターレ 個人レビュー2019-MF②&FW編-

ラスト!今までのはこちら!

目次

MF

28 脇坂泰斗

 ジェジエウとともに仙台戦でスタメンに抜擢。ほぼ出番のなかった1年目とは異なり、そこからコンスタントに出場機会を得ることに成功した。出し手と受け手両方で活躍が可能なオールラウンダー。前線まで顔を出すのがしんどくなってしまった中村憲剛を補う得点力も兼備。エリア内に入っていく動きやミドルシュートを兼ね備えており、フリーキックも上手。点の取れるトップ下として開花した。うまくはいえないけど、脇坂が出ている時がいわゆる「フロンターレっぽい」サッカーができていたと思う。

 課題はゲーム体力か。去年の知念も陥っていたんだけど、試合終盤にかけて徐々に存在感が希薄になっていくのは課題。中村憲剛の負傷もあり、来季はフル出場の試合数を増やすことが目標になるだろう。もう少しやせた方がよかったりするのだろうか。

 人に強く当たってくるチームを苦手にしているのも特徴。鹿島や広島など人を捕まえるチーム相手だと呼吸ができずに苦しんだ印象である。そういうチームは川崎全体としては得意なんだけど、脇坂は苦しんでいるみたいなパターンもあった。

 とはいえ、フル稼働1年目が与えたインパクトとしては十分。川崎次世代の旗手としてオールマイティな攻撃センスを存分に発揮してほしいところである。

31 原田虹輝

 高卒1年目として新加入。残念ながら公式戦においては影も形も見えなかったので、手元には情報が全くない。というわけでまずは出身である昌平高校のことを調べてみた。昌平高校はIB国際バカロレアDP候補校らしい。IB国際バカロレアというのは、端的に言えば国際色豊かな感じで行きましょうということらしい。DPはディプロマ・プログラムというらしく、これが取れると国際的な大学入学資格が認められるようになるらしい。すごいじゃん!ただ候補校ってなんだろうね。

 一応学校案内も見てみると、どうやら全校生徒に「パワー・イングリッシュ・プロジェクト」という英語力超強化プロジェクトを推進しているよう。ということでおそらく将来リバプールに移籍することになったとしても全部日本語でゴリ押すということはなさそうである。昌平高校のスローガンでもある「手をかけ 鍛えて 送り出す」にのっとり、彼をリバプールに送り出すその日まで川崎サポの1人として見守りたい所存である。

32 三笘薫

 今季、2回くらい見に行った大学サッカーでお目にかかる機会があったぜ!爆速というよりはぬるっとしたボールタッチが印象的であったぜ。ドリブルだけでなくラストパスにも定評がある。

 インタビューを見る限り向上心が強い野心家。川崎は1年、あわよくば半年で海外に行きたいという希望を隠さなかった。筑波大学なのできっと英語も平気だろう。リバプールさんこちらもお待ちしております。

 アンケートを見てみると好きなテレビ番組に「水曜日のダウンタウン」があったので、鋭さあふれるプレーはモンスター・アイドルによって生み出された活力が基になっていると思えば、クロちゃんにもありがたみが出てくるような気がしないでもない。三笘本人も「大卒で川崎に入っても1年で海外行けちゃう説」をぜひとも立証してほしいところである。

34 山村和也

 「ここで終われるか」というよくわからない心配をした人がどこまでいるかはわからないが、確かに序盤戦は苦労した。アジリティや足元の技術の部分で物足りないところは多く、前から後ろまで様々なポジションをこなしてもピンとこない。鬼木監督も頭を悩ませたことだろう。

 風向きが変わったのは起用法が定まったタイミングである。奈良、ジェジエウの離脱が決まったCBに役割を固定された終盤戦は前半戦をリカバリーする活躍。スピード面では怪しい部分はあるものの、危機察知能力でそれをカバー。前線も務められる選手なだけに、セットプレーにおけるボールの入り方はシュート技術も非常に高かった。10月以降は月に10回くらい「山村とってよかった」と思ったものである。

 個人的に一番驚いたのは空間把握能力の高さ。後方のポジションに移ったことにより、余裕をもってボールを持てるようになったことでピッチを斜めに横切るパスなどリズムを変えて局面を前に進めるパスの技術の高さは素晴らしく、ショートパスに傾倒しがちな川崎のバックラインに新しい風を吹かせている。川崎の選手でこれが得意な選手あまりいないので、空間把握能力は憲剛や大島に次ぐレベルかもしれないなと個人的に。

 ヤンマースタジアム長居で優勝に水を差したゴールを決めて申し訳なさそうにしていたのが1年前。今も控えめに笑う姿は変わらないが、試合になれば間違いなく頼りになる主軸の1人。川崎における山村の物語は「ここで終わる」どころか、「ここから始まる」と胸を張って言える1年になったといえるだろう。

35 イサカゼイン

 ガーナ人の父を持つハーフ。桐蔭横浜大から来季加入内定が決まった選手。桐光学園高校出身ってことはタビナスの先輩ってことか。タビナス元気かな。

   川崎は右サイドのアタッカーが不足しているので、ここに割って入れれば1年目からいきなり出場機会を!なんてこともあるかもしれない。
というところで持っている知識は打ち止めなので、アンケート見渡しタイムに移ります。

 視力が1.5あるのはさすがにガーナ感がある。「食事のこだわり」に体重に気をつけて食べる!と書いているのに、「コンビニでついつい買ってしまうもの」にジュースを挙げているのは平気なのだろうか。「過去の自分に一言」では「もっと追い込め!」といっているのに、「この世で一番怖いもの」に対して「死ぬこと」と答えているのはなんかかわいい。どうやら英語はしゃべれないウエンツ系のハーフのよう。子供のころに英語を勉強しておけばと悔いているようなので、リバプールさん獲得はもうしばらくお待ちください。

41 家長昭博

 個人的な2019年の川崎に関する発見は、うまくいかないときにサポーターによって不満に思う部分が大きく異なるということである。昨年、一昨年はうまくいっていたし、それより前は「どう考えても守備に決まってんだろ」で議論の余地がなかったかもしれない。うまくいかない1年に川崎が直面する中で、最もサポーター内の選手が割れたのが家長である。

 前年度MVPがノーゴールというのは寂しいものではあるが、終盤戦は巻き返したというのが個人的な感想である。前半は特にカウンター発動時に展開を前に進めるタイミングが遅いのが気になったが、後半戦では気にならなくなったし、相手を引き寄せて味方に時間とスペースを与える存在として前線で異能な役割を果たした。脇坂、守田と右サイドのトライアングルでの連携は終盤戦の大きな武器になった。

 守備は気まぐれな部分はあるが、神戸戦のように気合の乗った守備を見せてくれる時はいつもの倍くらい働いている。あと、関係ないけどルヴァン決勝のPKを決めた後はかっこよすぎたぜ。普段からPKキッカーやったらいいと思うんだ。

   体調管理が非常に難しかった1年であったようだが、来季はぜひコンディションを整えて開幕から全開の家長を見たいところである。

44 カイオ・セザール

 昨季、途中入団後冷凍保存が続いていた謎多きブラジル人がベールを脱いだのは松本戦。正直何がなんだがわからなかったし、本人も何がなんだかわからないままプレーしていたんじゃないだろうか。

 その後、ACLでは出場の機会をゲッツ。スケールの大きさを見せてはいたものの、CHには手堅い人選をすることが多い鬼木監督にはそこまでハマらず。夏に長崎にレンタルになった。

 ネットの魂を引き継いでSNSでは昨冬に退団選手お別れパーティの様子を公開。これで退団しなかったら逆に不自然という田坂と森谷の姿をばっちり見ることができた。おかげさまで今季は全然情報が出てきません。カイオには長崎から帰還して早々にクラブハウスに潜入して契約関係の情報をすべてインスタグラムにアップしてほしいところである。

FW

9 レアンドロ・ダミアン

 レアンドロ・ダミアン!俺たちのダミアン!得点王間違いなし!優勝しちゃうじゃん!と思ったゼロックスのゴール、マリノスとの死闘を演出したダービーでのゴールなどサポーターの心を序盤からつかむ得点を連発。「こりゃ得点王間違いなしだぜ!」という俺たちのサポーターの思いは、シーズン中盤に差し掛かるにつれて減ってきた出場機会とともに徐々にしぼんでいく。あと、優勝の可能性もどんどんしぼんでいった。悲しい。

 前プレは割と独断で突っ走っていってしまっているケースもあること、ポストが得意なのではなく、ポストもできるラインブレイカーであることが観察の結果徐々にわかってきた。したがって、夏の4-2-3-1へのシフトはありがたくなかっただろう。プレスには手綱を握る相棒が必要そうだし、サポートストライカーとコンビを組みたいタイプだろうなと思った。多くの人に「フィットしない」とやたら言われた1年だったが、おそらく中身を紐解くとこんな感じだろうか。まぁ彼に限らずみんなそんなにフィットしてなかったけどね。今季は。

 スペースがあるときのアクロバティックなムーブや、クロスに対する位置取りは抜群でほかのストライカーも学ぶことは非常に多かったに違いない。エゴが目立つことはまれで、非常に利他的な選手。普段の振る舞いも落ち着いていることが多い。審判へのファウルアピールと、味方へのプレスの要求はめっちゃするけど。

 というわけでまとめると残留してくださいと。要はそういうことである。

11 小林悠

 キャプテン!この人も家長と同じでやたらやり玉にあがりやすかった人である。もともとめっちゃ背負える!めっちゃスピードある!みたいな人ではないので、1トップ起用していろいろお願いするとなんとかこなしてくれるものの、無理は利きにくい!みたいな状態になりがちで、今年は特に攻撃がうまく回らずにそういう部分が目立ちやすかったのかなと思う。チームがうまくいかないときに「ポンコツ」って代名詞があるのが率直に言えば邪魔だなと個人的には思ったりもした。愛されるゆえんなのかもしれないけど、ポンコツバイアスがかかっている気がする。決定機を逸したときに「ポンコツ」っていうお決まりのフレーズがあるのは印象が悪いかなと。何回かポンコツって言ったなって思い返すしね。

 後半戦は徐々にチーム状態とともに向上。例年絶好調の夏よりやや遅めのピーク到来となったが、特に終盤戦のスーパーサブ起用では驚異の決定率を見せたりもした。あと、浦和戦で珍しくやさぐれていたダミアンをしっかりケアしているのを見ると、この人がキャプテンでよかったなと思いました。

 キャプテンも来年で4季目。背中で引っ張るキャプテンは再建の風が吹く川崎で何を見せてくれるだろうか。

20 知念慶

 とにかく点が取れない序盤戦でチームを強引に上昇気流に見せる活躍を見せた若武者。3人のFWがしのぎを削った今季だったが、一番初めにリズムをつかんだのは間違いなく知念であった。今季初めの川崎の試練は彼の力なしでは超えられなかっただろう。

   対人相手を押し込めるフィジカルで相手のDFラインを押し下げる動きは一級。今季は守備においてもやや改善が見られた。しかしながら、昨季までの課題であるPA内での勝負では、小林やダミアンと比べるとやや物足りなさが見える。ボックス内での立ち回りでFW競争の後手を踏んでしまい、徐々にベンチ外の試合も増加。チームのアルゴリズムと裏腹に、序盤良好のしりすぼみのシーズンになってしまった。さすが逆境の知念である。

    というわけで来季は片野坂大分の下で修業である。何よりもゴールが求められる大分のCFは、川崎で抱えていた課題を克服する絶好のポジションといえるだろう。鬼木監督以外の指導を受けることもプラス。やっぱりいろんな要求に対応できるのは悪くないのかなと。出場機会が増えることを生かしながら、1年間じっくり腰を据えて課題の改善に取り組んでほしい。そして、2021年に川崎に還元してくれることをただただ待ち望むばかりである。

33 旗手怜央

 順天堂大学から加入内定。今季は特別指定選手登録である。旗手いえばトゥーロン!惜しかったね!とはいえチリ相手のハットトリックは立派。川崎で結果を残す前に国際舞台で結果を残しているのは頼もしい限りである。

 好きな食べ物はカレーとチョコ、嫌いな食べ物はグリーンピース、好きな漫画はクレヨンしんちゃん、怖いものはお化けとゴキブリとどう見ても小学生男子のようなプロフィールになってしまっているが、大学ナンバーワンストライカーという肩書である。まずは東京五輪ですな。怪我だけは!絶対!だめだからね!

監督

鬼木達

 クラブ史上初のリーグ優勝監督は、クラブ史上初のリーグ連覇監督となり、今年はクラブ史上初のカップ優勝監督になった。ルヴァンカップとゼロックスの2冠おめでとうございます。2冠だね(すっとぼけ)

 今季はスカッドを拡大。4冠や!という複数タイトルを取ったことがないチームとは思えない目標は今季も継続ということで、大変なシーズンであった。新加入選手を素早くフィットさせるのが苦手なのは相変わらず。例年なら比較的気長に待てるところであったが、今季は大島の離脱とエウシーニョの退団で早急な対応が迫られてしまったのが、いつもより難しかった部分である。

 並行して進めていた4-4-2は夏のチェルシー戦を境に放棄。4-2-3-1に変更した後半戦は神戸、C大阪、横浜FMという欧州メソッドのボール保持に寄ったチームに苦しめられる。一方で鹿島、浦和、FC東京のような真っ向からぶつかってくる相手には安定した成績を収めた。そういう意味ではできることを生かして、相手に立ち向かう部分ではあまり外さなかった印象もある。忘れがちだけど、ダブつきがちな多人数のスカッドで分かりやすく起用法に不満が出なかったことは鬼木監督の優れたマネージメントの賜物だと思う。

 この記事を書いている時点で去就に関するリリースは出ていない。川崎のやり方も対策も割とわかってきた中で、発明家ではない鬼木監督を続投するかはサイクルで見れば微妙なところ。一方でタイトルをとった監督を解任する行為がクラブカラーに沿うのか?といわれれば、それもまた一理ある気もする。

 まぁそういった難しいことはチームにお任せします。今年もタイトルの喜びを感じさせてくれてありがとうございました。

 これでおわり!今年1年の川崎の記事も完全終了!おつかれした!

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