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Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第31節
鹿島アントラーズ(1位/勝ち点59/17勝8分5敗/得点52 失点25)
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川崎フロンターレ(4位/勝ち点54/14勝12分5敗/得点52 失点29)
@県立カシマサッカースタジアム
戦績
近年の対戦
直近5年間の17戦で鹿島の5勝、川崎の7勝、引き分けが5回。
鹿島での直近10試合の対戦成績
鹿島の2勝、川崎の4勝、引き分けが4回。
Head-to-Head
Head-to-Head①
【リーグ戦では天敵】
・公式戦における両チームの対戦は過去49戦で鹿島が20勝、川崎が20勝、引き分けが9つ。
・直近7試合のリーグ戦で鹿島は川崎に勝利を挙げていない。
過去の対戦成績は全くの互角。鹿島も川崎もがっぷり四つである。川崎はカップ戦において天敵だった鹿島を退けてルヴァンカップの初制覇を達成したが、リーグ戦の今節は立場が逆転。鹿島がリーグ戦では天敵の川崎を退けて、優勝争いのポールポジションをキープできるかの戦いになる。
Head-to-Head②
【相性の悪さを前面に押し出していくスタイル】
・直近9試合の公式戦での対戦において川崎が鹿島に負けたのは一度だけ(W4D4)
・鹿島が川崎相手に90分で複数得点を挙げたのは直近13試合で一度だけ。
鹿島が川崎戦で特に苦しんでいるのは得点の部分。直近で90分間に複数得点を挙げたのは2018年のルヴァンカップでの対戦だけである。リーグ戦でいえば2015年の8月が最後。上位相手にはひたすらウチに有利なデータを紹介する。それが当プレビューのスタイルである。
Head-to-Head③
【鹿島のホームでは】
・鹿島ホームでの対戦成績は過去22戦で鹿島の11勝、川崎の6勝、ドローが5つ。
・直近3試合の鹿島ホームでの試合はすべてドロー。
鹿島のホームになるとさすがに川崎はやや分が悪くなる。負けてはいないとはいえ、直近3試合はすべてドロー。2017年以来、勝敗がついていないことになる。
Head-to-Head④
【終盤の鹿島】
・鹿島が最後にホームで川崎に勝利したのは2014年の対戦。赤﨑秀平がゴールを決めた試合。
・30節以降での対戦は鹿島が川崎相手に3連勝中。
鹿島が最後にホームで勝利したのは2014年。両チームにとって懐かしい赤﨑秀平が鹿島の選手としてゴールを決めた試合だ。
最後の最後に鹿島有利なデータを。終盤にリーグで最も当たりたくないチームとして鹿島の名前を挙げるチームは多いだろう。川崎もそれは例外ではない。近年は川崎有利のこのカードだが、30節以降の対戦に限れば鹿島の3連勝。終盤に最も当たりたくない鹿島はこの試合でもその力を発揮するのか。
【鹿島アントラーズ】
選手情報
・犬飼智也は右大腿二頭筋損傷により欠場の見込み。
・三竿健斗に欠場の可能性(11/8 8:00 追記)
Match Facts
鹿島のMatch Facts①
【堅い守備をベースに好調を維持】
・直近18試合の公式戦で敗戦は1試合のみ(W10D7)
・直近6試合の公式戦でクリーンシートは4つ。直近10試合で複数失点は一度だけ。
シーズン序盤から監督の周囲は騒がしかった印象だったし、夏の主力の移籍もあれば、怪我人続出野戦病院の時期もあった。それでもなんだかんだ首位だし、なんだかんだ負けていないというのは非常に鹿島っぽい。後半戦はかなり失点が少なく、直近10試合で複数失点は一度だけ。堅守が後半巻き返しのベースになっている。
鹿島のMatch Facts②
【盤石のホームゲーム】
・ホームゲームでの公式戦は20戦無敗(W14D6)。4月24日のACL慶南戦が最後の敗戦。
・リーグでのホームゲームは開幕戦の大分戦が唯一の敗戦。以降の14戦負けなし。
巻き返しが目立つ後半の中でも特にカシマスタジアムでの勝率は非常に高い。ACLのグループステージ以降、およそ半年以上負けていない。リーグでは開幕戦が唯一の敗戦。カシマスタジアムは要塞になっている。
鹿島のMatch Facts③
【終盤の鹿島、首位力の鹿島】
・11月のリーグ戦は6試合連続無敗。直近3試合は連勝。
・首位で迎えたホームゲームは直近8試合負けなし(W7D1)。
Head-to-Headでも触れたが、鹿島はとにかく終盤戦がめんどくさい。11月のリーグ戦は直近6試合負けなしで3連勝中。2017年以降、首位に立って迎えるホームゲームは負けなし。8試合で7勝というのも驚異的だが、驚くべきはこの8試合で喫した失点がわずか1であること。7試合はクリーンシートを達成しているということだ。
鹿島のMatch Facts④
【ルンバの中のルンバ】
・直近2試合の対川崎戦の勝利は共にブラジル人が得点を決めている。
・三竿健斗が先発した公式戦は直近6試合でクリーンシート5つ。
それでも相性が悪い川崎戦、ゲンを担ぐならばブラジル人のゴールは欲しいところ。ファブリシオやセルジーニョなど川崎をカップ戦敗退に追い込んだ試合では鹿島はブラジル人がゴールを決めることが多い。
今年は敗退してしまったルヴァンカップで出場できなかった選手が帰ってくるのも大きい。中でも三竿健斗が復帰後のスタッツは目立つ。中盤には相手をお掃除できるルンバスタイルの選手が多い鹿島だが、彼はその中でも危機察知能力が抜群。復帰後のクリーンシート数を見れば効果は一目瞭然。三竿健斗はルンバの王様、ルンバの中のルンバなのである。
【川崎フロンターレ】
選手情報
・馬渡和彰、藤嶋栄介、中村憲剛は負傷欠場。
Match Facts
川崎のMatch Facts①
【上位キラーもどき】
・勝てば今季二度目のリーグ戦3連勝。
・リーグ上位3チームに敗れていない唯一のチーム(W1D3)
勝てば今季二度目の3連勝。ちなみに一回目では5連勝までいっており、今の川崎はちょうど最終節まで連勝を続ければその5連勝にぴったり並ぶことになる。
その最終節までの対戦相手の3チームのうち、2チームはトップ3という険しい最終盤。しかしながら、川崎はトップ3に負けていないリーグでただ一つのチームである。ただし、前半戦は全チームに引きわけ。後半戦に入り、味スタでFC東京を下したのが唯一の勝利。後半戦はトップ3相手に全勝し、優勝争いの台風の目となることができるだろうか?
川崎のMatch Facts②
【外弁慶復活?】
・直近のアウェイでのリーグ戦3試合中2試合でクリーンシート。
・アウェイでの勝ち点はリーグトップ
引き分けが多いBMWスタジアム攻略に加え、苦手なイメージも強い埼スタでも浦和を完封。「湘南も浦和もカオス気味だったじゃないか!」とかいうそこの君は少し静かにしてほしい。こっちだって、過密日程の中でデータをかき集めるのに必死なのである。ちなみに「大阪ではまた勝てなかったの?」っていう声は率直に傷つくからやめてほしい。
とはいえ、事実としてアウェイでの成績は堂々のリーグトップなのだからそこは誇っていいはず。アウェイでの得点数もトップ。直近5試合でのリーグでのアウェイは連続得点中で、そのうち4試合は複数得点を挙げている。
川崎のMatch Facts③
【勝てば唯一の無二の存在に!】
・関東勢との対戦で敗れたのは2018年9月が最後。
・勝てば鹿島相手に通算成績で勝ち越し。
大阪は大嫌いだが、関東勢にはやたら強い川崎。何しろ1年以上負けていない。明治大学を入れるというちょっとしたこざかしいマネをすれば公式戦16試合連続で関東勢との試合には負けていないことになる。最後に負けたのは2018年のルヴァンカップの鹿島戦ということはちょっと気がかりだけど・・・。
ちなみに勝てば鹿島相手に通算成績で勝ち越し。なぜこれを改めて言うのか?というと、30試合以上対戦しているチームの中で鹿島に通算成績で上回っているチームはこの世に存在しないからである。勝てば鹿島に勝ち越している唯一無二のチームになるチャンスである。
川崎のMatch Facts④
【好調のMVP様たち】
・小林悠は直近2回の途中出場で3ゴールを決めている。
・家長昭博が先発した川崎×鹿島において川崎は無敗(W4D1)。
終盤戦にエンジンがかかってきた小林。今年は得意の夏にやや精彩を欠いたが、ここに来て調子を上げてきた。特に目を見張るのがここ2試合。途中出場で前線に入るとあっという間に結果を出した。しかしながら、直近10試合の鹿島戦の出場では1ゴールのみ。やや苦手な鹿島相手に好調を維持できるかが注目。
終盤に調子を上げてきた家長は小林とは異なり「鹿島キラー」である。川崎所属で先発した5試合は4勝1分。2010年のC大阪時代以来、彼が所属したチームは鹿島相手に13試合連続無敗である。リーグ戦での敗戦は2009年が最後ということで10年リーグ戦において鹿島に負けていないのである。鹿島戦では毎回この話を引っ張り出している気がするが、ジンクスは継続しているので仕方ない。次回もこの話題を引っ張り出したいので、今節も不敗神話の継続を祈りたいところである。
予想スタメン
展望
■ルンバを飛び越せ
端的に言ってしまえば鹿島アントラーズとの対戦はいつだってしばきあいである。配置の工夫といった要素は非常に少なく、基本的には4-2-3-1ないしは4-4-2の形でがっぷり組み合うのが通例である。むろんこの試合もそうなるだろう。試合の優劣を決めるのは局面でのデュエルの勝利であり、そこに小細工は効かない。
ルヴァンカップでは川崎が勝利をあげたものの、この試合以降鹿島は多くの負傷者が復帰している。中でも、三竿健斗とレオ・シルバの両CHの復帰は鹿島にとって非常に大きい。特に三竿健斗は予測能力に長けており、彼が出場した浦和戦では危険の芽を未然に摘むシーンが数多く見られた。組み立てにおいても派手さは見られないものの、相手のズレをついた確実な縦パスを入れる場面が多い。川崎が中盤で不用意にギャップを作るならば、三竿の楔が鹿島の攻撃を前に進めることになるだろう。
三竿の相棒となるレオ・シルバの復帰も鹿島にとっては大きい。広い守備範囲は健在で、サイドにも素早く寄せることができる。出場するならば左のCHが濃厚。対面する可能性が高い田中碧とのデュエルはもちろん、浦和戦でも得点につながった家長-脇坂-守田の川崎の右のトライアングルにどう対峙するかも楽しみな部分である。
川崎が勝負に徹するならば、なるべくこの両CHとのデュエルは避けていきたいところ。より勝算があるのは鹿島の最終ラインと川崎のFWのマッチアップ。ここにきてコンディション上昇を感じる小林悠には期待がかかる。鹿島の最終ラインとの動き出しの駆け引きでは絶対負けたくないところ。大島や山村が彼の動き出しに合わせた長いパスをぴたりと合わせることができれば、懸案の鹿島の2人のルンバをすっ飛ばしたチャンスメイクも可能である。
浦和戦では不調に終わったダミアンだが、ルヴァンカップの鹿島戦においては彼の存在は非常に大きかった。クロスに対する動き出しがうまく、いつもなら鹿島にただ跳ね返され続けて終わるクロス攻勢が逆転の足掛かりになったのは彼によるところが大きい。アジリティこそないものの裏への動き出しも上手で、強烈なフィジカルとかけ合わせれば鹿島のラインを下げることにも一役買うことができる。逆に足元にこだわりすぎて、狭いスペースでのポストだけを求め続ければ浦和戦の二の轍を踏むことになる。
昨季のルヴァンカップ鹿島戦で得点を挙げている知念慶も含めて、3人のFWは今の川崎の明確な強み。どう使い分けながら鹿島にぶつけていくのかは注目である。
■デュエル、デュエル、デュエル
鹿島のメンバー構成で目につくのはSH。負傷などという事情もあるだろうが、レアンドロ、中村や相馬などのドリブルを仕掛けられるタイプよりも、白崎や遠藤などインサイドでも活躍できる選手の起用が優先されている印象。その分SBには大外のレーンのオーバーラップが求められている。内に絞ったSHに川崎のCHが気を取られれば、攻めあがるレオ・シルバには誰も監視役がいない・・・!なんてこともあり得るだろう。
FWにはセルジーニョ、伊藤、上田、土居とスペース感覚に優れたストライカーがずらり。ロングカウンターはもちろん、サイドの突破を許すとスペースに向かうクロスが飛んでくる。ターゲットタイプとはことなる対応を強いられるだけに、川崎のCBは難しい駆け引きに頭を悩まされる90分になりそうだ。
川崎としてもサイドアタックはもちろん使っていきたい。特にここ数試合で向上している右サイドの攻撃が通用するかは見ものである。下の図はルヴァンカップ決勝で使用した図。すでに紹介した家長-脇坂-守田のトライアングルもそうだし、家長のクロスをFWが逆サイドのSBと競る形で中に落とす形も有効そう。いずれにせよ左のSHには中に入ってくる動きを求めたい。自分がこの試合の先発を選んでいいのならば、左SHは阿部浩之である。
ただし、簡単に右のサイドアタックを使えるほど鹿島の中盤は甘くない。おそらく素早い圧縮が飛んでくるだろうし、そのスピード感は今季対戦した相手の中でも最も手ごわい部類に入るはず。逆に相手を引き寄せたうえでうまくサイド圧縮から抜け出すことができれば、ここ2試合ミドルが決まっているバイタルエリアからのチャンスがあるかもしれない。
PA内、サイド、中盤。いずれの局面においてもデュエル、デュエル、デュエルである。首位でリーグタイトルを目指す鹿島に川崎が立ちはだかるという構図で、川崎は得意なチャレンジャーの立ち位置。『要塞』カシマスタジアムで圧倒的『首位力』を持つ鹿島相手に、存分にチャレンジャーとしての持ち味を発揮したいところだ。
参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)