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「崖っぷちに天敵」~2019.9.1 J1 第25節 セレッソ大阪×川崎フロンターレ プレビュー

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目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第25節
セレッソ大阪(6位/勝ち点37/11勝4分9敗/得点25 失点18)
×
川崎フロンターレ(4位/勝ち点41/10勝11分3敗/得点37 失点22)
@ヤンマースタジアム長居

戦績

近年の対戦

直近5年間の11戦でC大阪の5勝、川崎の4勝、引き分けが2回。

大阪での直近10試合の対戦成績

C大阪の3勝、川崎Fの3勝、引き分けが4回。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦の対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去31戦でC大阪が12勝、川崎が11勝、引き分けが8つ。
・直近5試合の公式戦のC大阪戦において川崎は未勝利(D1L4)

 通算の対戦成績でいえば互角だが、直近公式戦においては川崎がC大阪に煮え湯を飲まされ続けている。特にカップ戦での一発勝負は苦手で、互いに初優勝をかけたルヴァンカップで開始早々のゴールを守り抜かれたのは非常に苦い思い出である。

Head-to-Head②
【撃ち合いは継続するのか】
・直近8試合の公式戦の対戦はC大阪の6勝。この8試合で19得点を奪っている。
・直近4回の対戦は両チームいずれも得点を記録している。

 川崎はC大阪の得点力を食い止めるのに苦労している。直近8試合で19失点と、ここ数年の川崎にしては多い失点数だ。しかし、ここ4試合は川崎も得点を決めており、互いに点を取る試合が続いてる。後述するが守備的なアプローチを仕掛けてくるC大阪との対戦でこの互いが点を取るジンクスは継続するのだろうか。

Head-to-Head③
【昨季はいい思い出?】
・C大阪ホームでの試合は過去14戦でC大阪の4勝、川崎の4勝、引き分けが6つ。
・直近の2試合のヤンマースタジアムでの対戦はC大阪が連勝中。

 C大阪ホームでの対戦も互角。昨季も負けている。優勝が同時に決まったためそんなに悪い思い出の人はいないかもしれないけど。そんなに悪い思い出じゃない人は試合終了後に微妙な雰囲気になっているチームに対して長谷川竜也さんが言い放ったこの言葉をしっかりと胸に刻んでいるのでしょう。

Head-to-Head④
【複数得点は必須か】
・直近8試合のC大阪ホームでの試合において川崎が無失点を記録したのは一度だけ。
・川崎がC大阪ホームで勝利した試合はすべてC大阪が1得点決めている。

 C大阪のホームでは川崎の失点は非常に多く、クリーンシートでの勝利は記録したことがない。C大阪ホームで勝利した試合はすべてC大阪が1点だけ取った試合。となると、2点以上は取らなきゃいけなくなってしまうが・・・?

【セレッソ大阪】

選手情報

・丸岡満、都倉賢、高木俊幸は欠場。

Match Facts

C大阪のMatch Facts①
【リーグ戦】
・今季4度目のリーグ戦2連勝中。
・FC東京、広島と並んで失点数はリーグ最少

 リーグ戦は直近のランで連勝。連勝は今季4回目だが、3連勝は今季まだ未経験。4回目の3連勝チャレンジとなる。それを下支えしているのが少ない失点数なのはいうまでもない。4-4-2ブロックの粘り強さで失点の少なさはリーグ随一だ。

C大阪のMatch Facts②
【強固な守備陣】
・キム・ジンヒョンはクリーンシート12でリーグトップ
・前半は今季まだ1失点のみ。

 もう少し数値を掘り下げてみる。キム・ジンヒョンはCS数でリーグトップ。自身の記録を振り返ってみても昨季が5、一昨季が7なのですでに過去2年分の合計と並んだことになる。なんだそれ。

 特に試合の入りは慎重に入っているようで、前半の失点はわずかに1つだけ。しかも後半追加タイムに3失点しているので、前半に点とる方が後半追加タイムに点とるよりも難しいチームってことになっている。なんだそれ。

C大阪のMatch Facts③
【極端な試合運びの傾向】
・リーグにおいて一度ビハインドになった試合は9戦全敗。
・直近11試合のリーグでの神奈川県勢との対戦で無敗(W8D3)

 じゃあ盤石じゃん!と言いたいところだけど、C大阪にも難はある。ビハインドの時である。ビハインドを経験した9試合は全敗。川崎も今季逆転勝利は確かにない(名古屋と磐田もない)のだけど、追いついたことはある。C大阪はリーグで唯一ビハインドから今季勝ち点を取れていないチーム。ビハインドになったらジエンド。逆転がないチーム同士のこのカードは「先制点ダービー」といったところだろうか。

 ちなみに神奈川県勢は大の得意。直近11試合のリーグ戦で無敗。最後に負けたのは川崎相手の5-1。ああ…あれか…なんかすごく遠い日の思い出に感じるよ・・・。

C大阪のMatch Facts④
【起点と終点】
・清武弘嗣はキャリアにおいて先発したリーグでの川崎戦10戦無敗(W7D3)
・ブルーノ・メンデスがゴールかアシストを決めたリーグ戦はここまで全勝

 前回対戦時のプレビューでも紹介した通り、清武弘嗣は最強クラスの川崎キラー。今季の1回目の対戦で対川崎戦の無敗記録は10に伸びた。川崎相手に4ゴール3アシスト。攻撃の起点として週末も猛威を振るうことになるだろうか。

 起点が清武なら、終点はどこか。ある日突如Jリーグで最もメジャーなチャント持つ外国人選手になったブルーノ・メンデスである。初見の人の歌いやすさ、頭にこびりつくメロディー、一度聴いたらその虜になることうけあいである。そういうチャントを持つブラジル人となるとネタ枠っぽさ満載であるが、メンデスはそういうわけではない。序盤こそ出番はなかったものの、徐々に出場機会を増やしつつ5得点。しかも4得点は決勝ゴールという勝負強さ。しかし、直近5試合のリーグ戦はゴールもアシストもない。5試合ってあれですね。川崎の未勝利記録と同じですね。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・直近の清水戦で齋藤学が負傷で途中交代。
・奈良竜樹が練習に合流。
・大島僚太、藤嶋栄介、安藤駿介は長期離脱中。

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【崖っぷち?】
・リーグ戦5試合連続未勝利。
・8月のリーグ戦は未勝利。

 勝てない。勝てないんだよ。本当に。リーグ戦5試合の未勝利は13年の開幕以来。夏は調子いいって聞いてたのにね。8月も未勝利で終了。土曜開催にしてくれればなんとかこうリカバリーのチャンスがあったんだけど、9/1開催なんだなぁ。

川崎のMatch Facts②
【増加する失点】
・直近のリーグ戦5試合で4度の複数失点。
・直近5試合の失点数は9。それ以前の19試合は13。

 勝てない理由は止まらない失点数にある。仙台戦は両CBの出場停止という言い訳があったが、前節は彼らが復帰しても同じ。谷口は致命的なミスパスを出し、どこか重さが見えるソンリョンのセービングにも首をかしげたくなってしまう。直近リーグ戦5試合で4回の複数失点だが、それ以前の19試合では複数失点は一度だけ。かさんでいる失点に歯止めをかけないと復調は厳しいだろう。

川崎のMatch Facts③
【今季苦手になったこと、昨季まで苦手であること】
・今季のリーグ戦で逆転勝ちはなし。
・大阪での公式戦は直近6試合未勝利(D1L5)

 リーグ戦で逆転勝ちがないというのは再三ここで述べているのだけど、昨季はリーグ戦でビハインドのシチュエーションは12回あったが5回は逆転勝利で引き分けがなかった。つまり、一度追いつけば勝つまで離さないぜ!状態だった。なかなか今季はそうはいかないけども。なんかそういう気持ちいい勝利、そろそろ見たいよね。そういう勢いというかね。しかし、舞台は苦手な大阪。勝てないどころか近年は負けっぱなしである。ジンクスだけでも不安要素が止まらない川崎だがぜひとも覆してほしい。

川崎のMatch Facts④
【機能していなくとも?】
・レアンドロ・ダミアンは今季リーグ戦7ゴール。112分毎にゴールを決めている。
・齋藤学先発時の平均勝ち点は2.2でチームトップ。

 出場時間をコンスタントに確保できているとはいいがたいレアンドロ・ダミアンだがゴールはコンスタントに決めている。112分に1ゴールという数字はエジガル・ジュニオ(107分)についで5得点以上している選手の中ではリーグで2番目。ちょっとエジガル・ジュニオはおかしい。それでも異分子として限られた時間で得点という結果を残している。

 コンスタントに勝ち点という結果を出しているのは齋藤学。1/3以上スタメンを張った選手の中で今季無敗なのは彼だけ。平均勝ち点はチーム内トップで、スタメンじゃないとき(1.43)とくらべると約0.8もいい。負傷の詳細は出てきていないが、1日も早い復帰が待たれるところである。

予想スタメン

展望

圧縮と拡散

 プレビューを書くときに特殊なスタイルを持つチームはMatch Factsを追いかけるだけで楽しくなる。C大阪はまさに特殊なスタイルのチームである。前半の失点の少なさからもうかがえるように、慎重な立ち上がりをするチーム。非保持は4-4-2のブロックを組むが、2トップはいずれも守備は免除されておらず、ラインを下げながらサイドのプレスの参加や中央でのプレスバックを献身的に実施。奥埜をここに置いたのはそういった意味合いもあるだろうが、ブルーノ・メンデスも奥埜ほどではないにせよプレスバックは要求されているとみるべきである。

 非保持時のロティーナ・セレッソの特徴は、リトリートを全く厭わないこと。相手がPAまでボールを運ぶと中盤のラインを下げてPA内に人を並べる。中央での跳ね返しの強さとサイドの囲い込みの早さは前政権からの遺産をロティーナがうまく引き継いだ形である。

 ボール保持においては逆にロティーナの色が強く出ている。CBは大きく開きながらキム・ジンヒョンも含めてピッチをワイドに使った組み立てを志向。前線へのチャンスメイクはワイドな陣形を利用して絞った位置でフリーになった清武に拠るところが大きい。総得点数やビハインドの場面での得点にやや物足りなさがあるのは、最終局面での人数をかけた崩しでのメカニズムがまだ十分に成熟していないからだろうか。高さでアクセントをつけられる都倉の不在も大きいだろう。

■収縮を許さない

 あらゆる相手のブロックに対して、手をこまねいている直近の川崎。ローラインでブロックを組んでくる相手には特に相性が悪い印象で、C大阪と全くいい思い出のないこのタイミングで当たるのはまさしく最悪な事態といえよう。良くならない細かいパスワークを用いた崩しを嘆いていても仕方ないので、C大阪に勝つにはどうしたらいいかを考えたい。

 C大阪の特徴は特に前半においてゆったりボールを持ち、ゆったりとブロックを組み、なるべくトランジッションの局面を減らす戦い方である。非保持でもむやみなプレスはかけず、相手がミスするのを待つ。ならば、相手が嫌がる戦い方はトランジッション局面を増やすことだろう。C大阪はボール保持においてはピッチを広く使うのに対して、非保持ではスペースを埋めるような位置取りを取ることが多い。この配置の転換に時間がかかるから、そもそも高い位置に多くの選手を送り込まず、後方待機の選手たちで素早くブロックを組みながらリトリートをする。

 というわけで川崎としては即時奪回をテーマに掲げていきたい。特に川崎の攻撃が終了した後はねらい目。C大阪の陣形が広がる前に囲い込んで、即時にボールを取り戻したい。田中碧やマギーニョなど、ロスト後の奪回に持ち味がある選手は見てみたいところだ。C大阪の攻撃終了時も同様で、間のスペースで素早くつなぎながら一気にゴールを陥れたい。先日マルコス・ジュニオールがC大阪相手に決めたゴールが典型例だろう。おそらくC大阪戦での出場は難しいだろうが、齋藤学のようなカウンターにおける推進力はのどから手が出るほど欲しい。

 ただし、C大阪を押し込んだとしてもカウンターには要注意。今回プレビュー用にみたマリノスのように、ボール絞って受ける清武を潰せなければ一気にピンチに陥ることになる。川崎の守備の泣き所である右にいる清武。高い位置を取るSBとCHの間でボールを受けて一気に展開を進める。ここをどのように対応するかを決めておかなければ、C大阪のカウンターを真っ向から受ける必要が出てくる。押し込んだ際も油断は大敵だ。

 アウェイ、天敵のC大阪、そして雨予報まで踏まえると流麗なパスワークでの圧勝を望むのは酷だ。ならば、相手にリズムをつかませないことにより軸足を置いてもいいはず。今季のベストゲームである味スタでのクラシコは、自分たちがうまくボールをつないだ以上に相手のペースをひたすら乱したことが勝因だろう。確かにチェルシー戦以降、チームはボール保持における崩しに比重をおいた人選や戦い方を見せてきた。しかし、あらゆるスタイルのチームを相手に通用しなかったその課題が、ここ1週間で驚くような改善を見せるとは考えにくい。ならば、相手が嫌がることにもっと取り組んでもいいように思う。C大阪の陣形の収縮を許さずに狭い範囲で圧力をかけていく形を積極的に狙っていきたい。

 去年は負けても優勝を決めることができた地に、今年はもう1つも落とすことのできない状態で立つというのはなかなかなコントラストである。もがいて食らいついてペースを乱す。王者や川崎のイメージとは程遠いかもしれないが、実は今季の川崎には泥くさいこちらのスタイルの方があっているのかもしれない。

 全然関係ないけど、名前的に瀬古くんは頑張ってほしい。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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