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Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第23節
ベガルタ仙台(14位/勝ち点27/8勝2分12敗/得点24 失点32)
×
川崎フロンターレ(2位/勝ち点39/10勝9分3敗/得点33 失点18)
@ユアテックスタジアム仙台
戦績
近年の対戦
直近5年間の14戦で仙台の1勝、川崎の9勝、引き分けが4回。
仙台での直近10試合の対戦成績
仙台の3勝、川崎Fの4勝、引き分けが3回。
Head-to-Head
Head-to-Head①
【公式戦の対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去39戦で仙台が7勝、川崎が23勝、引き分けが3つ。
・直近15試合の川崎戦において、仙台が勝利したのは1回だけ(D5L9)
最近の対戦成績でいえば川崎が有利。といっても「最近の対戦成績でいえば川崎が有利」という相手に負け続けているので、何とも言えないんだけど。でも川崎が有利。
Head-to-Head②
【川崎が苦手】
・リーグ戦の対戦において最後に仙台が勝利したのは13年8月
・仙台が最も多く公式戦で敗れている相手が川崎。
川崎が最近勝てなかった広島、松本、名古屋はいずれも直近では川崎に対して悪い成績だったが、仙台もかなりよろしくない。リーグ戦に限れば川崎は11試合もの間、仙台には負けていない。仙台にとっては最も敗れている相手が川崎で、78失点という数字も単一チームに喫した失点数としては最多だ。
Head-to-Head③
【ホームならいけるかも?】
・仙台ホームでの対戦成績は18戦で仙台の6勝、川崎の7勝、引き分けが5つ。
・仙台ホームにおける19時KOでのこのカードは直近5試合で仙台が3勝。
仙台のホームに限れば成績の傾向は大幅に変わる。仙台からするとなかなか手も足も出ない結果が続いている等々力とは異なりほとんど互角。ことナイトゲームに限れば仙台が優勢である。
Head-to-Head④
【やっぱ無理かも・・・】
・ホームの川崎戦において仙台は直近5試合未勝利。
・仙台は川崎相手に無失点での勝利を挙げたことがない。
しかし、直近のホームゲーム対川崎戦の仙台の成績は振るわない。5試合連続未勝利だけでなく、ここ3試合は無得点が続いている。
面白かったのはクリーンシートについて。仙台は川崎相手に完封勝利を挙げたことがない。スコアレスドローは3回あるけど。仙台が勝利するときは必ず川崎も得点を決めているという謎現象。というわけで勝利+クリーンシートになれば、仙台にとって対川崎戦初の快挙となる。
【ベガルタ仙台】
選手情報
・吉尾海夏は負傷離脱中。
・大岩一貴と石原崇兆は出場が不透明。
・ジャーメイン良と阿部拓馬は天皇杯で復帰。
Match Facts
仙台のMatch Facts①
【直近のリーグ戦】
・直近5試合のリーグ戦で1勝。
・湘南と並んで今季、引き分けが最も少ないチーム。
直近のリーグ戦の成績はやや沈みがち。勝利はわずか1つで、それ以外の4試合は無得点と振るわない。勝てる時期と勝てない時期の浮き沈みが激しいシーズンである。さらに、勝ち負けがはっきりしているのも今季の成績の特徴で、引き分けは2つとリーグ最少。この試合はリーグ最多の9引き分けの川崎相手の「引き分けほこたて」対決になる。
仙台のMatch Facts②
【牙城ユアスタ】
・今季リーグで挙げた8勝のうち、7勝はホームゲーム。
・ホームでの成績に限ればリーグで4位。
もう1つはっきりしているのはホームとアウェイでの勝ち点の差。勝ち星のほとんどはホームで挙げており、ホームでの成績はリーグ4位である。直近8試合のホームゲームは7勝1敗。今季のリーグ戦24得点のうち、17得点はホームゲームで決めたものになっている。
仙台のMatch Facts③
【得失点の傾向】
・公式戦38得点のうち24得点は後半に決めたもの。
・クロスからの失点が13でリーグ最多。
時間帯別の得点を見てみると、後半が多くなっている。特に75分以降に12得点と試合終盤に得点を決める頻度が高い。追いかけて必死になんとかもぎ取っているのかもしれないけども。逆に失点は前半の方が多かった。仙台サポは後半勝負にはいいイメージがあるかも?
ただ若干嫌なのはクロスからの失点がリーグで最も多いこと。クロスは川崎にとって今季最も多い得点パターンである。展望の項で後述するがSHに自陣深い位置まで戻ることを厳命しているのは、クロス対策もあるのかもしれない。
仙台のMatch Facts④
【あいつが決めれば勝てるし、あいつがいれば守れる】
・直近3試合の仙台のリーグ戦での勝利試合はすべて関口訓充が得点している。
・シマオ・マテが今季CBとして出場した8試合は5勝1分2敗。それ以外の14試合は3勝1分10敗。
シーズンが進むごとに徐々にプレータイムを増やしている関口。彼が得点をとった試合直近3試合はすべて勝利を挙げている。道渕とコンビを組む両SH貢献度の高さは守備においても現れている。関口と道渕が出場時の平均失点はそれぞれ1.06,1.00。吉尾(1.68)や石原崇(1.49)に比べるとかなり低い。もちろんほかの要素も組み合わさっているので、一概には言えないが、献身的なプレスバックがチームの失点数を減らしている可能性はある。
より、感覚的にも守備の向上を感じられるのはシマオ・マテだろう。今季途中からCBとして起用されると、出場した試合では8戦5勝と好調。ジェジエウと並ぶ、独力で何とかしちゃう系CBとして仙台の最終ラインを支えている。
【川崎フロンターレ】
選手情報
・谷口彰悟、ジェジエウが出場停止。
・奈良竜樹、藤嶋栄介、安藤駿介は長期離脱中。
・大島僚太は左ヒラメ筋の肉離れで6週間の離脱。
Match Facts
川崎のMatch Facts①
【停滞の夏】
・勝てなければ今季2度目のリーグ戦4試合未勝利。
・直近3試合で2度の3失点。
夏が得意な川崎はどこかに行ってしまったのだろうか。天皇杯こそ巻き返しの逆転勝利を挙げたものの、絶不調だった開幕に続いてのリーグ戦4試合連続未勝利はもうすぐ目の前に来ている。頼みの綱だった守備もここ3試合で2度の3失点。昨年はわずか1回、一昨年も2回だけだった3失点をわずか10日余りで繰り返してしまったことになる。
川崎のMatch Facts②
【得意のアウェイも正念場】
・今季初のアウェイ連敗。
・しかし、アウェイでの得点数20はリーグ最多。
アウェイが得意というのも徐々にはばかられる戦績になってきている。16年9月以来約3年ぶりのアウェイでのリーグ戦連敗を記録。仮に3連敗になれば、14年11月以来ということで5年弱ぶりということになる。
それでも今季全体を見渡せばアウェイでの戦績は立派。勝ち点と得点は首位のままである。失点数はさすがにかさんできたけど。あとアウェイの失点数はFC東京が超少ない。試合数がまだ少ないから。
川崎のMatch Facts③
【無理やり引っ張り出したポジティブ要素】
・リーグ戦で今季未だ逆転での勝利はない。
・リーグ戦でFPに退場者が出た次の試合は4連勝中。
逆転勝利にも縁がない。天皇杯ではひっくり返したが、120分の話。昨季は先制された試合で6回の勝利。2点リードも2回ひっくり返しているが、今季は逆転勝ちがない。そろそろ90分で試合をひっくり返すところを見てみたい。
でも谷口とジェジエウいないんじゃもう・・・ってなりそうなので、無理やりポジティブ要素を探してきました。フィールドプレイヤー退場後のリーグ戦は4連勝!ほら!どう!弱いかな。だめかな。笑
勘のいいひとは気づいてるかもしれないけど、ポジティブになることを優先したためソンリョンから目を背けたデータになってます。
川崎のMatch Facts④
【久しぶりのCB?】
・車屋紳太郎がCBとして出場すればリーグ戦では1年ぶり。
・小林悠は仙台戦で10ゴール。このカードで最も多く点を決めている選手。
CB2人が出場停止ということで久しぶりに車屋にCBとして白羽の矢が立つ可能性が高い。仮に実現すれば昨年9月のG大阪戦以来1年ぶり。ちなみに仙台相手には2回CBとしての先発経験あり、そして2回ともクリーンシートということで縁起のいい相手でございます。
仙台戦にいい印象があるのは小林悠も同じ。このカードの最多得点者である。しかし、10得点のうち川崎ホームで決めたのが8得点というエクスキューズも。ちなみにこの試合とは関係ないけど、仙台ホームの川崎戦で最も多く得点を決めている選手は佐藤寿人。どんだけ川崎から点とってるんだよ。
予想スタメン
展望
■名古屋戦の追試の予感
「あ、名古屋と似てる」というのが、FC東京との試合を見て真っ先に仙台に抱いた感想である。もちろん異なる部分もある。例えばFWへの縦パスがはっきりと攻撃のスイッチになっている名古屋に比べれば、仙台はFWが背負うタスクは少なく依存度も少なめだったり。後方の縦パス供給役にしても、名古屋よりは属人性が低いように感じた。
逆に似ているのは4-4-2からの可変の形である。仙台は前回対戦時にはSBが片側最終ラインに残ったりだとか、あるいは最終ラインのサイドにCHが落ちたりだとか、誰がどこに落ちるかを絞りにくく後方で3-2を作ることを工夫していた印象だった。その部分はあっさりわかりやすくなったと思う。FC東京戦ではCHが1枚落ちるのが基本で両SBはワイドに高い位置を取っていた。中盤中央に人をあまり配置しないという意味で配置は名古屋と似ている。降りて受ける人が足りない場合はサイドハーフが降りるパターンが多かった。サイドの横の立ち位置に関しては意識されていて、SHとSBは異なるレーンどりをする場合が多い。
サイドからの突破に軸を置いているのも両チームの相似点だが、仙台の最後の仕上げの部分は名古屋とは微妙に異なる。名古屋はサイドアタッカー(和泉、前田)に外から仕掛けさせる場面が多い。SBのオーバーラップにしても、特に吉田は大外を回りながら深い位置から相手をえぐるような形で侵入する。
仙台はサイドの仕上げにSBによりカットインしながらの仕事を求めている感じがする。サイドからパンチ力のあるシュートを打てる永戸と、カットインしながらゴール方向に向かうクロスを得意とする蜂須賀を置いていることも大いに影響しているだろう。このSBのインサイドにおける仕事の比重は名古屋よりもはるかに大きい。いずれの局面でも強力な個に頼る部分は比較的少なく、どこから仕上げが飛んでくるかは読みづらい。守備において相手との対人に基準を置きながら、配置で後手を踏んできたここ数試合の川崎とはあまり相性がいいとは言えないというのが率直な感想だ。
守備においても名古屋と似ている部分は見つかる。最も顕著なのはSHにプレスバックを強く求めること。関口と道渕は相手のSBに相対して自陣の深い位置までプレスバックを行う。直近の対戦相手のFC東京のボール保持がSBのオーバーラップに大きく依存することも関与しているだろうが、川崎も押し込んでいるときにSBを相手陣方向にオーバーラップさせるのは同じ。
おそらく川崎戦でもこの策は取られるはず。サイドの人を増やして相手をノッキングさせる算段だろう。名古屋は前田を前に残して、和泉を自陣深くまで戻らせている場面が多かったけど、仙台はフラット。関口も道渕も同じタスクが求められていた。全体としても深い位置まで撤退する頻度は多い。その分SHへの負荷は大きいことが推察できる。関口は今季のリーグ戦で11試合先発しているが、フル出場は開幕戦の1回だけだ。
■車屋の強みを生かせ
というわけで場合によっては6-2-2みたいな配置になる非保持の仙台。サイド攻撃に活路を見いだせないここ数試合の川崎としては頭が痛い相手だ。解決するにはどうするか。この試合におけるもう1つの川崎の懸念点を逆手に取るのはどうだろうか
もちろんCBのことである。谷口の退場とジェジエウの累積警告、さらには舞行龍の移籍の3点セットで、CBが1週間で3人もいなくなる事態に。なんでやねん。というわけでCBに起用される公算が強いのは車屋紳太郎である。今季は右サイドバックを主戦場にしている車屋。悪くはないけど・・・という状況のまま右サイドバックとしてできることは頭打ちになってきた感じがするここ数試合である。昨季までは左サイドを本職としていたが、右サイドにCBとたらいまわし感はある。
しかし、RSBとは違いCBは車屋がすでに過去に存在感を見せたことのあるポジションである。さらに付け加えれば、深い位置を取る仙台の中盤に対してCBの積極的な持ち運びは重要なアクセントになる可能性になる。後方が重くなることが想定される相手に対しては、まずは相手の中盤を引き出すことが求められるからだ。
川崎はおそらく2トップ相手にCH1枚+CB2枚で数的優位を確保しながらビルドアップを進めるはず。2トップの脇や間から相手陣に侵入していくが、ボールを持ち上れる車屋が上がってきて、相手に選択を迫りたい。放置したらどんどん前に出ていいし。ここ数試合でたまに谷口がやっていた攻め上がりである。あれをより突破力を備えた車屋で再現性をもって行えれば面白いと思う。その分中盤やSBはバランスをとる必要はあるだろうが、相手の基準点を乱すという観点から考えても、車屋の特性は生かすべきだろう。
ボールをもって運べるCBという観点で見れば谷口よりジェジエウより奈良よりも断然車屋。チームの立て直しがかかる一戦で急遽CBでスタートするならば、プレッシャーはかかるはず。しかし、車屋ならばここまでチームを引っ張ってきた谷口やジェジエウとは異なる形でチームを助けられる可能性があるはず。川崎のCBは属人性が非常に高い。ならば、それを逆手にとって車屋が得意なことで勝負すればいいのではないだろうか。押し込まれたときは仙台の前線に手を焼くことは必至だろうが、逆に押し込んだ時は持ち味を出せるはず。今季我慢を強いられるような起用が増えていた車屋が本来の持ち味を発揮すれば、チームにとっても彼個人にとっても大きなブレイクスルーになる可能性を秘めている一戦である。
参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)