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Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第8節
川崎フロンターレ(8位/勝ち点10/2勝4分1敗/得点7 失点5)
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湘南ベルマーレ(9位/勝ち点10/3勝1分3敗/得点10 失点9)
@等々力陸上競技場
戦績
近年の対戦成績
直近5年間の7回の対戦で川崎が3勝、湘南が1勝、引き分けが3つ。
等々力陸上競技場での戦績
直近10試合の対戦で川崎の6勝、湘南の2勝、引きわけが2つ。
Head-to-Head
Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去29戦で川崎が14勝、湘南が7勝。ドローは8つ。
・直近5回の公式戦での川崎戦で湘南は勝ちがない。
通称SKYシリーズのこの一戦。通算成績は川崎が有利。直近試合でも湘南は勝利を挙げておらず、ここ5試合の公式戦は川崎の勝利と引き分けを繰り返している。この順番に従えば川崎の勝利の番だが・・・。
Head-to-Head②
【直近の対戦】
・直近の対戦はShonan BMWスタジアムでのスコアレスドロー
スコアレスドローはこの対戦において実に16年ぶり2回目。そもそもそのスコアレスドロー以前の9試合は、両チームとも相手を無失点に抑えたことがない。あまり印象はないかもしれないが、得点の取りあいになるケースが多いようだ。
Head-to-Head③
【等々力での対戦成績】
・等々力でのリーグでの湘南戦で川崎が過去に負けたのは2回だけ13試合で8勝3分2敗。
・昨年の等々力のこの試合も金曜開催。1-1のドロー。
川崎優勢な対戦成績はすでにご紹介したが、等々力での対戦成績に限るとさらに優勢に。ただし、今回と同じ金曜開催だった前回対戦では引き分けで終わっている。
Head-to-Head④
【個人の対戦成績】
・J1での過去10回の対戦で1試合複数得点を挙げたことがあるのは小林悠とジュニーニョだけ。
・曺貴裁監督は湘南を率いた川崎戦で2勝5分3敗。
1試合で複数得点を挙げているのはフロンターレの新旧エースの2人。曺監督になってからドローが多いのは、いつも粘られているという川崎サポーターのイメージと一致するのではないだろうか。
【川崎フロンターレ】
選手情報
・車屋紳太郎、守田英正、中村憲剛、ジェジエウは欠場の見込み。
・谷口彰悟の出場は不透明。
Match Facts
川崎のMatch Facts①
【このゲームのシチュエーション】
・これまでの金曜開催のJリーグ22試合で敗戦は2つのみ。最後の負けは11年の名古屋戦で、直近12試合は負けなし。
・ホームで同一シーズン4試合勝ちなしは11年9月以来。
今季何回かすでにご紹介した金Jでの負けが少ない記録は継続中。しかしながら今季の金曜開催は2戦してドローが2つ。その2つを含むホーム4戦は今季未勝利であり、実に8年ぶりの未勝利の期間の長さになってしまった。
川崎のMatch Facts②
【伸びない得点数】
・第7節終了時での5得点は直近10年間で最小。
・今季のホームでの1試合平均得点は0.5。これより少ないのは浦和と鳥栖だけ。
勝利が遠ざかっている原因の1つは得点数。第7節を終えた時点では直近10年で6回の2桁得点を記録している川崎。特にホームのリーグ戦では得点の少なさが際立つ。ホーム4試合で2点しか取れていない現状を下回るのは、ともに3試合で1点しか取れていない浦和と鳥栖だけだ。
川崎のMatch Facts③
【知念慶】
・知念慶は3試合連続リーグ戦ゴール中。チームとして3試合連続ゴールは昨年11月の家長以来。4試合連続は17年10月の小林悠以来。
そんなチームを得点面で引っ張るのは知念慶。目下キャリア初の3試合連続ゴール中。狙うはキャプテンが2年前に達成した4試合連続ゴール。今季の公式戦においては川崎の1試合の平均得点が0.82なのだが、知念出場時は1.3まで上昇。出場時のチーム平均得点においてはチームトップを記録。驚くべきは実はこの数値は昨年も知念がチームでトップだったということ。チーム平均1.61に対して、2.07である。彼が出場することで得点が生まれるというのは昨年から。どうやらこの活躍はフロックではなさそうだ。
川崎のMatch Facts④
【対湘南の個人成績】
・家長昭博はキャリア通算11試合で所属チームが湘南に敗れたことはない。(W9D2)
・阿部浩之は湘南戦で自身が出場している時間帯において、失点した経験はなし(181分)
対湘南戦の成績で頼りになるのは優勝請負人の両者。家長は昨年のリーグ戦の2試合がドローに終わるまでは、対湘南戦は全勝という驚異的な相性の良さだった。阿部が出てる時間は無得点!って記録も、まぁそんなに長い時間ではないけど、並べておいた方が景気がいいじゃん?
【湘南ベルマーレ】
選手情報
・坂、大野は欠場の予定。
・齊藤未月にスタメン復帰の可能性。
Match Facts
湘南のMatch Facts①
【アウェイゲーム成績】
・アウェイゲームは直近8試合で1勝のみ(D2L5)
アウェイではなかなか結果が出ずに苦しんでいる今シーズン。唯一勝利したのは当時絶不調だった清水戦。昨季を見てもトップハーフ相手のアウェイゲームで勝利を挙げたのは神戸戦の1回だけだ。
湘南のMatch Facts②
【得失点】
・開幕戦以来、リーグ戦のクリーンシートはなし。
・今季7節のうち4試合で複数得点を記録。
今季の湘南の特徴は出入りの多さ。得点も失点も川崎より多い。打ち合いに持ち込むと川崎相手には分が悪い気もするが・・・。
湘南のMatch Facts③
【神奈川ダービー】
・直近9試合のリーグにおける神奈川ダービーにおいて、1勝しか挙げていない(D5L3)
神奈川ダービーにおいての成績も芳しくない。SKYシリーズではここ9試合で1勝とかなり勝利から遠ざかっている。初タイトルのルヴァンカップで下した横浜FMはともかく、川崎相手には久しぶりになってしまっている勝利を手繰り寄せられるか。
湘南のMatch Facts④
【スタッツの小話】
・今季挙げた12得点のうち4得点はDFの選手が記録したもの。
・1試合平均走行距離は116kmでリーグ5位。
異なる4人が得点を挙げているDF陣。積極的な攻め上がりはもちろんだが、セットプレーから得点が大いに数字の上積みに貢献。ここまでセットプレーからの4得点はリーグ最多である。逆にセットプレーでの失点はここまで0。今季は直接FK以外のセットプレーからの得点はない川崎相手にシャットアウトを狙いたい。
走行距離に関しては順位的には昨季の1位から落ちているものの数値的にはほぼ同じ。スプリント数も数多く、走れるというベースに変化はないようだ。
湘南のMatch Facts⑤
【個人成績】
・武富孝介は出場した川崎戦6試合で3ゴール1アシスト、4回の勝利を経験している。
・今季出場時の1試合平均勝ち点が多いのは松田天馬。チーム平均1.30に対して1.86を記録している。
湘南の川崎キラーは武富孝介。6試合で4勝と対川崎戦で好調。特に等々力で出場した3試合は2得点1アシストで、出場すれば必ず得点に絡んでいることになる。川崎キラーなだけでなく、等々力キラーなのだ。
そして進境著しいのは松田天馬。川崎にとっても縁深い土地である熊本出身の小兵ボランチが、チームの勝利に貢献していることがよくわかる数字だ。
予想スタメン
展望
正直あまり予習する時間がなかったんだ!湘南といえば曺監督!曺監督といえばハードワーク!ハードワークといえば曺監督!マジライザップ!的なやつですね。まぁそれはさておき、ざーっと清水戦を予習した感じでいえば大まかなプレースタイルはそこまで変わっていない印象を受けた。もはやトレードマークといっていい3-4-3は健在で、成長著しい若手の要望株を前面に押し出したサッカーはまさに曺監督が作り上げたクラブカラーそのものだろう。運動量が湘南に苦しめられるのはいつものこと。ホーム開催に関しても上でも触れた通り、等々力では今季未勝利。現状のホーム成績を見ると川崎ファンが等々力開催で喜ばしいことは「キングベルじいちゃんに等々力で会える!」くらいかもしれない。
ボール保持においてはまず気にかけるべきは山崎凌吾。今季はまだゴールこそないものの、サイズとスピードを兼備するこのFWは縦横無尽に動きまわり、ボールの受け手となる。抜群のキープ力で無双!とまではいかないものの、ボールを収めて起点となったり、ロングボールを競り合ったり。収まったら最高だが、最悪でも相手との競り合いでフィフティーまで持ち込めば、彼が競り合いのために押し下げたスペースに、運動量豊富なシャドーやCHが入ってくる状況ができる。セカンドボールをより多く発生させる状況を作り、本来の強みである運動量を生かしながらセカンドボールの回収で優位に立てる湘南。相手陣に押し込んでからはWBやシャドーだけでなく、CH、ワイドCBも攻撃に参加してくる。特にドリブルで機を見た攻撃参加ができる山根視来、そしてエリア内に侵入するダイナミズムがある松田天馬はすでに川崎に一撃を食らわせた経験がある選手。中盤や後方に彼らのような運動量豊富な選手がいれば、たとえ自陣深い位置でのボール奪取でも、走力で勝る湘南がロングカウンターで相手エリアに人数を多く送り込める可能性がある。
川崎としてはなるべく湘南のカウンター発動位置を下げながら、山崎相手に挟み込みつつ対応し、自陣方向への侵入を防ぐことが求められる。
独力で得点までやってのけるようなスーパータレントが不在なのが湘南の懸念。特にゆったりとボールを持った状況では、人数をかけた攻撃が相手攻略の前提になる。相手の使ったスペースを生かす能力に長けている阿部や登里には期待が置けるし、終盤をリードして迎えれば、広いスペースと相性がいい長谷川竜也もジョーカーとしての働きが期待できるだろう。
非保持の湘南で気になるのは相手選手についていく意識が強く、横のラインをそろえる意識がややおろそかになること。川崎が狙いたいのは特に縦方向への動き。大外をえぐるような動きを見せるとMFライン全体が下がって、バイタルエリアが自由に使えるし、敵チームのFWが引いて受けると、果敢につぶしに出てくる。そうなれば今度は裏が狙い目になる。特に外から内に入ってくるような思わずマークを受け渡したくなるようなボールは聞きそう。ボールホルダーに集まってきやすい湘南だが、縦方向への揺さぶりを仕掛けてDF-MF間を空けさせ、食いつきの良さを利用して相手を攻略したい。特にこの試合でも採用濃厚な2トップの連携がスムーズならばだいぶ楽になる。裏狙いや引いて受ける動きの分担はもちろん、知念→小林のパスの精度改善も求めていきたいところ。湘南戦で通算5ゴールを挙げている小林にはそろそろ今季初ゴールが欲しいところだ。
あとがき
最後にMatch Factsのデータの補足を1つ。先にも述べたようにこの10年のうち第7節の時点で2桁得点を逃しているのは、今年を含めて4回。この4回には2017年と2018年もともに含まれている。そう、優勝したシーズンは2回とも得点の数が少ないスタートだった。「じゃぁ得点は少ない方がいいのか!」となりそうなものだけど、当然そんなことはない。取ったほうがいい。笑
では過去3シーズンの違いは何か。失点数である。直近10シーズンのうち失点が少ないのは直近3シーズン。とりわけ今年は優秀でここ2季の7失点より少ない5失点で初めの7節を乗り切っている。
しかし、今の川崎界隈で失点の少なさを称賛する声はほとんど聞かれない。機能しない攻撃を嘆くばかりである。それが悪いというのではなくて、川崎にとって失点が少ないことが、日常化しているということだ。攻撃において連携はスムーズではなく、流れるようなパスの連続での得点はここまでは見られていない。伸びしろは確かにあるだろうが、直近の試合を見る限りは誰がどう伸びてくるかは未知数だ。しかし、失点が少なければチーム状態が上向いた時に逆転のチャンスはより大きくなるというもの。川崎はここ数年積み重ねてきた「当たり前」のおかげで、上昇するチャンスは残されている。
負傷者は多い。すぐに内容も上向きはしないだろう。それでも「当たり前」が続くうちは、ファンはまだまだタイトルの夢を楽しめる。サポーターにとってこれ以上幸せはないことはないはずだ。
参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)