■10人でなお高い壁
絶対王者ブラジルに挑戦するのはA組4位のチリ。グループステージではそこまで仕上がってる感じではなかったが、ノックアウトラウンドではさすがに上積みがあったように思えた。5-3-2のコンパクトなブロックを敷くことでブラジルを迎え撃つチリ。ローラインで待ち受けることでブラジルを跳ね返す場面もあれば、高い位置からプレスに出ていくことも。どちらにしても陣形の間延びは防がれており、コンパクトな状況でブラジルのポゼッションを苦しめていた。
ブラジルはネイマールがラインを落ちながら運ぶことで攻撃を前に進めてチャンスメイクをここまでしてきた。しかしながらこの試合ではチリのコンパクトな守備に対して、ネイマールが降りて受けるスペースがない。したがって、ブラジルの前進は超絶スーパーなつなぎが通らないと難しかった。例えばゲームメイカー型FWのフィルミーノの縦パスとか、サイドでの崩しとか。いずれもハードなパスを通すことでチリのプレスのつなぎ目を何とか破っていった形でゴールに迫るのである。
チリの攻撃は速攻では2トップが主体。ライン間で前を向くサンチェスからラインの後ろ側を取るラストパスが出てくるか、より体を張ることができるバルガスが入れ替わるようにして裏を狙うかである。
ゆっくりと迫る場合はWBを使ったサイドチェンジが主体。特に狙っていたのは相手のSBが裏を開けて飛び出してくること。特にブラジルの左のSBであるロディのところを狙い撃ち。食いつかせて裏を取ることで前進はできていた。だが、決定機にかけるブラジル。最後の防波堤である強力なCBコンビを越える術がない。
ジリジリした展開を解決して見せたのは後半早々の出来事。交代選手の貢献により均衡が破れた。勝利の立役者はルーカス・パケタ。チリのDFにヒビを入れることはできていた前半だったが、後半はパケタとネイマールのコンビでチリを中央からこじ開ける。
後半早々に得点をえたブラジルに予期しないトラブルがあったのはこの直後。ジェズスの一発退場で10人に。チリに押し込まれる展開になりながら、何とかしのぎ切る。チリは高さのあるプレアトンを入れたことで多少引いているブラジルを脅かすことはできてはいたが、好機は数えるほどだった。より目立ったのはブラジルの堅牢さ。そして数的不利な状況によるネイマールのボールをキープする力である。多分、チリからしたらめっちゃめんどくさいだろう。キープからのファウルを量産し、チリが一方的に攻撃する状況を作らせない。
4-4ブロックの堅さとネイマールが作り出した時間のおかげで10人のまま逃げ切ったブラジル。チリはグループステージとか異なる完成度まで仕上げてきたように思えたが、相手の壁は高かった。
試合結果
ブラジル 1-0 チリ
エスタディオ・ニウトン・サントス
【得点者】
BRA:46′ パケタ
主審:パトリシオ・ロースタウ