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Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第6節
川崎フロンターレ(10位/勝ち点6/1勝3分1敗/得点5 失点4)
×
セレッソ大阪(12位/勝ち点6/2勝0分3敗/得点4 失点5)
@等々力陸上競技場
近年の対戦
直近5年間の10戦で川崎Fの4勝、C大阪の6勝
等々力陸上競技場での直近10試合の対戦成績
川崎Fの4勝、C大阪の5勝、引き分けが1回。
Head-to-Head
Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦30回の対戦で川崎の11勝、C大阪の12勝、引き分けが7回。
・しかし直近4回の対戦はいずれもC大阪の勝利。
過去の対戦成績でいえば互角。といってそれを鵜呑みにする川崎サポーターはいないだろう。川崎にとってC大阪は近年で最も分が悪いといっていい。4連敗という結果もさることながら、ルヴァンカップでの初タイトルをかけた試合で敗れた印象も強いだろう。そろそろ連敗は止めたいところだ。
Head-to-Head②
【C大阪の得点】
・直近7試合の公式戦の対戦でC大阪は6勝。この7試合で18得点を奪っている。
・川崎は直近10試合のC大阪戦でいずれも失点。最後のクリーンシートはキンチョウスタジアムでのスコアレスドロー。
ここから先もガンガン川崎にとってしんどいデータばかり出てくるので、川崎サポの諸兄は今一度腹に力を入れることをお勧めする。直近7試合で6勝もすごいが、7試合の平均得点が18点というのもなかなか。手前味噌になるが、近年の川崎は失点数の少なさも際立つ。昨季は最少失点、ソンリョンは2年連続でリーグの最多クリーンシート記録者だ。昨季1試合平均失点が0.8の川崎がこの7試合のC大阪戦に関してはこの数字が2.6まで跳ね上がる。クリーンシートも直近10試合はご無沙汰だ。
Head-to-Head③
【等々力での対戦成績】
・等々力での15回の対戦は共に7勝ずつ。引き分けが1回。
同じく「天敵である」といってプレビューで取り上げたG大阪戦は等々力での対戦成績は悪くなかった川崎(負けたけどね)。しかし、舞台を等々力に移しても特にポジティブなデータが出てこないのがC大阪戦である。通算成績は全くのタイ。しかしながら直近10戦の成績でいえば、上のテーブルで取り上げたように負け越している。
Head-to-Head④
【乱打戦】
・川崎の等々力での最後のクリーンシートは07年天皇杯。リーグ戦では11回の対戦でC大阪を無失点で抑えることができたのは06年の一度だけ。
・しかし等々力でのリーグ戦でC大阪が無失点に終わったのも12年の一度だけ。
等々力でのC大阪戦での私の一番の思い出は14年のリーグ戦だ。「どうしてもフォルランが見たい!」と思ったのだが、ホームのチケットは調達できず。仕方なくアウェイでエセセレッソサポとして忍び込んだ。試合は5-4で川崎の勝利。途中から得点のたびに「このゴールは喜んでいいんだっけ?」と考えるようになってしまい、心と体の折り合いをつけるのに苦労した。帰り道に「1ゴールあたり200円くらいだからお得」という謎の会話をしたのも覚えている。
この14年のリーグ戦に象徴されるように等々力のC大阪戦は乱打戦。共にクリーンシートとは無縁で、直近5試合の等々力での公式戦では両チーム合計で27得点。1試合のチケットでたくさんゴールが見れるお得な試合なのだ。
【川崎フロンターレ】
選手情報
・大島僚太と馬渡和彰は欠場の見込み。
Match Facts
川崎のMatch Facts①
【等々力での成績】
・ホームでの連敗になれば、昨年5月以来のこと。
・ホームで同一シーズン3試合勝ちなしは12年4月以来。4試合になれば11年9月以来。
12試合続いていたホームでの無敗は前回の等々力のゲームで打ち止め。今季等々力で見せた唯一のゴールは中村憲剛のFKの1点のみ。つまり流れの中で270分ゴールがない状態なのだ。等々力のファンが待ち望んでいるのは得点だけではない。ホームでリーグ戦4試合連続勝ちなしは、古くからのファンの多くの苦い思い出に刻み込まれている、あの8連敗以来のことなのだ。欲しいのは本拠地での初勝利だ
川崎のMatch Facts②
【金J】
・これまでの金曜開催のJリーグ21試合で敗戦は2つのみ。最後の負けは11年の名古屋戦で、直近11試合は負けなし。
今季多く組まれている金曜開催には強さを見せている川崎。直近8年は金曜負けなしだ。絶好調やん!まぁC大阪はJ1での金曜開催9回で1回も負けたことないけどね(W5D4)
川崎のMatch Facts③
【VS大阪勢】
・大阪勢との試合は直近3連敗中。
ファンの口から嫌いな街を聞いたらそろそろ大阪が1位になるのではないかというくらい大阪相手には弱い川崎。大阪、僕は好きですよ。西野七瀬を生んだ町ですから。
川崎のMatch Facts④
【鬼木監督の対欧州指揮官成績】
・鬼木監督はリーグにおける欧州出身監督相手との対戦で13戦10勝(D2L1)。
鬼木監督がJリーグで対戦経験のある欧州出身の指揮官は5名(リージョ、ヨンソン、ペトロビッチ、モンバエルツ、フィッカデンティ)。この中でも特に得意としているのが3戦全勝のペトロビッチとヨンソンだ。逆に唯一の負けを付けたのはモンバエルツ。欧州指揮官相手に強さを見せている鬼木監督。スペイン人で唯一対戦経験があるのがリージョ。同じく初対戦のスペイン人指揮官であるロティーナ相手には勝ち星を挙げられるだろうか。
川崎のMatch Facts⑤
【個人成績】
・阿部浩之が得点を決めた試合は直近29試合無敗(W26D3)
・知念慶は昨季2試合のC大阪とのリーグ戦で1ゴール1アシスト。
最後にいい個人成績を紹介して勢いに乗って終わりたい!阿部の不敗神話はすでにスポーツ紙で取り上げられたもの。26勝ってすごいね。G大阪時代もC大阪戦は先発2試合で3ゴール決めている相手。悪くない!さらに知念もダブルを食らった昨季のC大阪戦でいずれも得点かアシストに絡んでいる。たまたま負けてしまっただけで、活躍はしているんだ!たまたまね・・・・。
川崎のMatch Facts~おまけ~
・知念慶が出場したC大阪戦は4戦全敗。
【セレッソ大阪】
選手情報
・欠場者はなし。
Match Facts
C大阪のMatch Facts①
【直近のリーグ戦】
・勝利すれば昨年8月以来のリーグ戦連勝。
・直近8試合のリーグ戦においてクリーンシートは1つのみ。
ユンジョンファンの去就が怪しくなってからは調子が落ち気味だった昨季後半を象徴するようなデータ。今季もまだ試行錯誤の途上というところか。王者相手に今季初の連勝を飾れば、またとない景気づけになるはずだ。
C大阪のMatch Facts②
【VSボトムハーフ】
・ボトムハーフとの試合は9戦で2勝のみ(D2L5)
ちなみにトップハーフとの試合は直近9戦で4勝というあべこべなスタッツ。強いチームの方が燃える?川崎も今はボトムハーフだからデータ的には恩恵を受けられる立ち位置。
C大阪のMatch Facts③
【データから探るチームスタイル】
・今季の得失点の78%は後半に発生している。
・J1の中で攻撃回数(=ボールを保持してからロスト、アウトするまでの一連を1回とする)が最小。
新監督ということで指標からプレースタイルを類推する試み。C大阪のレビューを読む限りはリスク管理をしながら理想のサッカーを追求するタイプに思えた。後半の得失点が多いというデータがあるということは、前半を我慢しながら後半によりリスクをかけたチャレンジに挑むということだろうか。
スタッツも見てみたが、数字から何かを読み取るのが難しいチームだという印象。得点パターンも失点パターンも今季はバラバラ。ポゼッションもシュート数も得点率も走行距離も平均に近い。そんな中で特異だったのは攻撃回数とスプリント回数が極端に少ないこと。攻撃回数の定義を考えると「そもそもボールを持たないケース」と「ボールを持ったら長くプレーするケース」の2つがあるが、ポゼッションが平均であることを考えれば後者の色が強いだろうか。ちなみに攻撃回数はいわゆる攻撃的なチーム(名古屋、横浜FM、川崎)が上位にいる中で、神戸が下位にいる理由も気になった。
C大阪の話に戻すと、走行距離は平均だがスプリントが少ないという要素(川崎と走行距離とスプリント回数の関係は真逆)を考えると、絶えずオフザボールでほかの選手に合わせてポジションを移動しながら、ボールを受けることを模索しているということだろうか。
C大阪のMatch Facts④
【川崎キラー】
・清武弘嗣はキャリアにおいて先発したリーグでの川崎戦は9試合すべて負けていない(W7D2)。
すべてってなんだよ。ちなみにC大阪時代に出場した公式戦8試合で4ゴール3アシストです。本当に川崎キラーです。Jで最もゴールとアシストを決めている相手。唯一清武が川崎よりアシストを決めている相手がボルシア・メンヘングラートバッハです。
C大阪のMatch Facts⑤
【桜の季節】
・4月上旬のリーグ戦は直近7連勝中。
オカルトの極みのデータ。そうか!桜の時期か!と思って4月上旬(15日まで)の成績を遊びで遡ってみたら、すげー勝ってて笑った。J2時代の2016年までの3年分集めてみたんだけど、どの年も軒並み4月下旬はガクッと成績が落ちてるというおまけつき。直近3年間の4月下旬の9戦は2勝3分4敗である。桜の時期のC大阪は強い!はガチ!今の時期に当たる川崎と札幌は飛んだとばっちりである。
予想スタメン
展望
まず、同じ並びといってもあまり松本戦は参考にならないというのが正直な感想。今季は一貫して3-4-2-1でスタートしているC大阪。ただこのシステムに固執しているわけではなく、試合中には配置は結構いじっている。そもそも同じ3-4-2-1でも各選手の個性が強烈でそれぞれ異なるC大阪では、人が入れ替わると結構仕組みやそれぞれのポジションの役割が変わっていたりする。ボールの保持時のコンセプトとして、相手の陣形を縦と横に引き伸ばしたいという狙いはどのスタメンでも同じなのかなと。そのための手段を試合ごとに変えているというイメージ。
予想スタメンは仙台戦と同じにしてみた。都倉は降りてくることはあまりなく、前線に張ったり裏に抜けたりして相手のDFラインを下げる。より点が欲しい場面ではWBも高い位置を取り、相手のサイドの守備者のラインも下げてしまう。シャドーの柿谷や清武がプレーする間のスペースを広げるのが狙いだ。横幅は最終ラインからかなり幅をとったボール回しを行う。CB3枚で人が足りないときは奥埜や丸橋が手伝いに来ることが多い。最終ラインからのパスコースは内と外を両方用意する。
ボールを持ちながら相手には判断を強いてくる。例えば間で受けることが多い清武への対応を例にとって考える。
パターン① 鈴木が出る→丸橋が裏抜けできるスペースができる
パターン② 守田がスライド→ソウザが上がるスペースができる
パターン③ 奈良が出る→都倉が裏抜けできるスペースができる
これは一例でこういう判断がいくつもあらゆるところで仕掛けられているイメージ。パターンというよりは動いたところを使いましょうというやつなので守備者は対応しづらい。しかも交代すると結構役割代わるし。というわけで川崎の非保持は判断を強いられ続けることになる。幅を取ってボールを持つ相手を追いかけまわすのはしんどい。救いなのは個々のパス精度がまだそこまで高くないこと。特にバックスの足元は怪しい部分もある。中距離以上のパスは引っかかったり位置がずれたりする。川崎としてはパスの出た先に早めにアプローチをかけて攻撃を食い止めたい。
一番楽なのは川崎のボールロスト後の即時奪回を実現すること。C大阪がピッチを広く使う陣形を取るには時間がかかる。そうなる前にとっととボールホルダーにプレスをかけてしまい「ずっと俺のターン」にするのが一番楽そう。とはいえずっとそれは無理な話なので、なるべくC大阪がピッチを幅広く使う時間を減らしたい。先に触れたようにC大阪はボールを大事にプレーする。C大阪としてはこの時間を少しでも増やしたいはず。
非保持のC大阪は常に相手に襲い掛かるようなプレスはしてこない。陣形ごと相手陣に押し込んだときは話は違って、前線のプレスに呼応するように全体で強く当たってくる。まさに「ずっとC大阪のターン」を作るように。ただ、たまに前線と中盤のギャップのズレか、前線が押し上げたプレスを狙ったものの中盤が連動しないときがある。このタイミングはねらい目。川崎は低い位置でボールを持ちながら相手の前線をおびき出し、奥埜やソウザがカバーする範囲をなるべく広げたい。そうなれば田中や守田はプレーしやすいはず。
川崎からすればまずは相手のターンを減らすこと。難敵相手の試合になるが、等々力に桜を見に来た人に楽しい思いをさせて帰らせるわけにはいかないだろう。こういうシートを売ってるのめっちゃ不吉だけど、ピッチで桜が満開という事態だけは勘弁だぜ!
参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)