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「3バックをやるかをマジで今日全員で考えたくて」〜川崎フロンターレ 2025 編成展望

 さて、昨シーズンやってみて割と評判が良かったので今年もやってみよう!脳内編成会議。流れとしては今季のスカッドを診断して、来季のスカッドの補強候補を探すという感じである。

目次

プレータイムから考えるスカッドバランス

 らいかーると師匠はとにかくプレータイムは大事!という人なので、まずはプレータイムを見てみる。横軸の年齢は2024年4月1日が基準。縦軸のプレータイムは全コンペティションの合計の分数である。

 川崎は今季53試合をこなした。ざっくりと欧州のトップクラブと同じ数字である。ちなみにアーセナルの23-24シーズンは52試合だ。

 53試合のプレータイムをベースに戦力を区分するとざっくり以下の通りかなと思う。

4000分以上(軸)・・・佐々木、橘田
3000分以上(超主力)・・・ソンリョン、脇坂、家長、マルシーニョ
2500分周辺(レギュラークラス)・・・山田、三浦、VWS、遠野、高井
2000分周辺(レギュラー争い)・・・大南、山本、瀬川、エリソン
1500分以下(ロールプレイヤー)・・・瀬古、丸山、ジェジエウ、河原、小林、上福元、大島、山内、ゼ・ヒカルド、ゴミスアイダル、車屋、山口、田邉、早坂、宮城、ヴェロン、神田

 赤字で示したように今季はシーズン途中の入れ替わりが多いので、なかなか評価はしにくいところだが、プレータイムを配分するという観点で言えばそこそこバランスはいいのかなと思った。上4段がコアメンバーだと仮定するとここに入るフィールドプレイヤーは14人。前半戦は瀬古、後半戦は河原がそれぞれ15人目のコアメンバーとして稼働したというイメージが正しいだろう。

 特異点で言うと、やはり38歳の家長が目に付く。38歳のフィールドプレイヤーでこれだけの時間に出場している(それも複数年にわたって)となると、やはりコンディション管理が際立って優れているということだろう。

 19歳の高井も特異点。20歳以下の選手は500~1000分程度のプレータイムを経験できればそれなりに順調といえるだろうが、高井は五輪活動と並行して2000分をプレーしているのだから、これは驚異的。しかも、一般的にミスを許容しにくいCBというポジションで。プレイヤーのキャリアとしてもとても理想的な数字だと思う。

 川崎が欧州のトップクラブであれば、高井のような逸材は囲うことが出来るので彼が長い時間プレーすることはスカッド構成上歓迎以外の何物でもない。しかし、川崎は残念ながら世界的に見れば買われる立場のクラブ。高井のような選手は競争力が上のチームに買われて行ってしまう。明らかにサイズというハンデがある橘田は微妙なところだが、山田、三浦、佐々木にも同様の心配は付きまとうといえるだろう。

 その観点で言えば、Jではもう少し上の年齢層の奮起が重要になると考えられる。川崎はアラサー周辺のメンバーのプレータイムが足りない。この年齢層の選手は大橋や山根のような例外はあれど、基本的には25歳以下の有力選手に比べれば海外のステップアップによる流出リスクは低い。この年齢域でレギュラーとして年間稼働するプレータイムを十分に確保できていると考えられるのは脇坂、マルシーニョのみだ。

 ちなみに優勝した神戸(試合数は川崎と同じ53試合)はこの年齢域にプレータイムが多い選手が集中している。山川、前川、扇原、武藤、初瀬が3000分越え。井手口が2800分である。その上の年齢域の大迫、酒井も3000分クラスのプレータイム。ベテラン選手は8人がコアメンバーとして通年稼働したことになる。川崎は脇坂、マルシーニョ、家長、ソンリョンの4人までだ。

 もちろん、高齢化すること自体はリスクもあるが、Jリーグは先に挙げたように若い選手を育てても海外に羽ばたかれる可能性もあり、一概に若いスカッドに未来があるとはいえない。そのシーズンの競争力をつけるのだとしたら、川崎は30歳周辺の選手を強化したいはず。マテウス・サヴィオ(現在27歳)、谷口栄斗(現在25歳)、古賀太陽(現在26歳)などこの冬にすでに候補として名前が出ている選手はこの年齢域である。

 もう1つの懸念はやはり外国籍選手の稼働率だろう。コアメンバー入りができた外国籍のFPはマルシーニョとエリソンのみ。7人いてこれはさすがに打率が低すぎる。外国籍枠の活用と30歳周辺の選手の奮起の不足が今の川崎のスカッド上の泣き所といえるだろう。

 ここからはポジション別に補強を展望していこう。まずはこの記事を書いている時点でのスカッドを置いておく。

GK

ソンリョンと将来的に競える存在を

 上福元がレギュラーに君臨する時期もあったが、再びソンリョンに戻すという経緯やその後のソンリョンのパフォーマンスを踏まえると、やはりソンリョンの偉大さが身に沁みたシーズンといえるだろう。

 おそらくはこのパフォーマンスであればソンリョンは来季も川崎のゴールマウスを守る可能性が高いと見る。

 浮動枠となるのはおそらく第2GKの方。正直、わずかではあるが山口のパフォーマンスは堅さが感じられるものがあり不安が先行する。どういう条項でレンタルをしているかは不明だが、純粋なパフォーマンスでの判断となれば、個人的にはレンタルバックが濃厚ではないだろうか。

 このポジションにソンリョンと1~2年の単位で正守護神を争える実力者が来るのが理想。第4GKはおそらく韓国からやってきたクンヒョンと2種登録の松澤のどちらかで賄うと予想する。

補強候補①:ソンリョンと争うことが出来る正GK候補(優先度:中)
→山口瑠伊

DF

谷口と古賀を狙う意義から逆算する

 フィールドは長谷部監督就任によるフォーメーション変更の有無で大きく方向性が変わる。これ以降のセクションは3バックと4バックのパターンを考えながら、展望していきたい。

 DF部門において今季のスカッドを振り返る時にポイントになるのは大南の移籍と佐々木のCBのコンバート。プレータイムが一番計算できるCBであった大南の退団は痛手だし、シーズン開幕時はおそらく左右のマルチで計算していたはずの佐々木が負傷者続出のCBで独り立ちしたことはうれしい反面で想定外だったはずだ。

 この2つが重なった結果、スカッドは左のCBに偏る形になっておりバランスが悪い。にも関わらず、川崎がこの冬に狙っている名前として聞くのは谷口や古賀といった左を主戦場とする年間フル稼働も視野に入れることが出来るレギュラークラスだ。

 この動きから推察するに考えられるケースは2つ。1つは3バックをやるので単純に信頼できるCBの頭数が足りないという可能性。もう1つは佐々木や高井のような左のCBで計算できるタレントの退団を見越した補強である。

 個人的にはこうした動きと無関係に車屋、丸山、アイダルのうち少なくとも1人、もしくは2人は退団するものと予想する。

 右を補強しなくて問題ないケースは4バック採用かつ高井が右でカウントしやすいスカッドのみと考えられる。細かい怪我が増えてきたジェジエウは3000分クラスの稼働は考えにくいので、彼が残留したとしてもはコアとして信頼できるメンバーが1人、レギュラー争いが計算できる選手が1人。現スカッド内外問わず手にしておきたいというイメージだ。

補強候補②→3000分クラスのプレータイムが計算できるCB(重要度:高)
補強候補③→1500~2000分のプレータイムが計算できるCB(重要度:低~中)

 SBは先に述べた今季の頭に佐々木に託されるはずだった役割を全うできる選手が欲しいところ。SBは本職だな!というのは今季を通して痛感したところである。

 3バック採用でWB化するのであればなおの事、専門性は高くなる。4バックなら昨季のようにMFのコンバートでお茶を濁すことはできるかもしれないが、3バックをやるならばレギュラーの三浦、ファン・ウェルメスケルケンの2人以外にもう1人は計算できるマルチが欲しいところだ。

 左右出来れば理想だが、どちらかであるならばおそらく右がベター。右のファン・ウェルメスケルケンは左右をこなせるし、連戦起用時の負傷リスクもそれなりに高いタイプも見受けられる。彼を「佐々木ロール」として活用し、右にレギュラークラスを迎えるのも手だと思う。

補強候補④→ファン・ウェルメスケルケンとレギュラー争いができる、もしくは左右両方できるWB型SB(優先度:中~高)

MF

不足要素の補填と外国籍枠

 ここでいうMFは中盤セントラルの話と定義する。その方が後々楽なので。河原、橘田、山本と年間稼働が計算できる主力が3枚いるCHは大島をロールプレイヤーとして計算できるほどの厚みがあり、少なくともリーグで戦う上では大きな問題はなさそうだ。由井はレンタルに出て行くかもしれない。

 しいて言えばもう1枚いると安心感は高まる。ACL制覇を考えるのであれば、現有戦力にいないファイター寄りのCHが欲しいところ。前寛之は長谷部監督の申し子という観点でも面白いと思ったが、どうやら町田に行くようなので他を探すしかない。

 少し気になるのは外国籍枠の行方。個人的にはマルシーニョ、エリソン、ソンリョンは残留予想。ジェジエウの去就に関わらずCBに1枠は確実だと思っていて、5枠目が浮いているイメージを持っている。バックスで日本人の主力級を狙っていることを踏まえると、現段階では残りの1枠は中盤か前に持ってくる構想と予想する。

 ここでポイントになるのはゼ・ヒカルド。おそらく複数年で引っ張ってきたであろうゼ・ヒカルドは戦力外としてカウントすることもなかなか簡単ではない側面がある。これだけ明らかにスカッド外とされている選手は移籍交渉で足元を見られやすいからだ。というわけで、スカッドの制約的に彼が手元に残るパターン(もちろん、長谷部監督によって序列の見直しが起こるパターンもある)は想定しなければならない。現有戦力の充実と流動性の低いゼ・ヒカルドによって、ちょっと補強には足枷が多いポジションのように思う。

補強候補⑤→ファイタータイプのCH(優先度:低)

前線

数的には放出が先立つか

 4バックであればCF+トップ下(もしくは2トップ)+SHの4枚、3バックであれば1トップ+2シャドーの3枚で構成されるポジションである。

 このポジションは家長、脇坂、遠野、マルシーニョ、瀬川、エリソン、山田、神田、小林、山内、宮城、ヴェロン。20歳周辺の選手が2人含まれているとはいえ、12人で3~4ポジションと考えるとかなり過多。レンタルバックの選手たちも含めて、まずは放出が先立つポジションになるだろう。

 サヴィオは家長の後継枠として狙っていたという予想。タレントとして同格の選手はなかなかいないので、彼を逃したと仮定するとこのポジションを引き続き追い続けるかは微妙なところではある。

補強候補⑥→家長の後継枠となるタメが作れる異能者(優先度:中)

 基本的には2トップや中央寄りのワイドプレイヤーが多いイメージなので、補強があるとすれば中央にしてもワイドにしてもキャラがはっきりしているタイプと予想する。現有戦力に足りないのは突破力のあるWB起用も視野に入るワイドアタッカー、そしてポストプレーに長けたCFだろう。ただ、後者は山田が海外挑戦などで退団する前提な気もしないでもない。

補強候補⑦→突破力のあるWB起用も視野に入るワイドアタッカー(優先度:中)
→伊藤達哉✅(ややアタッカー寄りだけど)
補強候補⑧→ポストプレーに長けたCF(優先度:低~中)

 以上、こんな感じでやってみたぜ。今年の脳内編成会議。

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