Fixture
明治安田 J1リーグ 第27節
2025.8.23
名古屋グランパス(16位/7勝7分12敗/勝ち点28/得点30/失点37)
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川崎フロンターレ(8位/10勝9分7敗/勝ち点39/得点41/失点32)
@豊田スタジアム
戦績
近年の対戦成績

直近5年間の対戦で名古屋の4勝、川崎の6勝、引き分けが2つ。
名古屋ホームでの戦績

直近10戦で名古屋の4勝、川崎の4勝、引き分けが2つ。
Head-to-head
- ホームチームが4連勝中のカード。
- 直近22回の対戦で先制したチームが負けたことがない。
- 直近12回のリーグ戦でドローは1回だけ。
- 川崎は直近3年名古屋とのアウェイゲームで勝ちなし。直近2年は得点がなく、最後の得点は2022年の橘田健人のゴール。
スカッド情報
- シュミット・ダニエルは天皇杯の東京V戦で肉離れ。
- 菊地泰智は右膝内側側副靭帯損傷、マテウス・カストロは右足関節捻挫で離脱中。
- フィリップ・ウレモヴィッチ、マルシーニョは出場停止。
- ファン・ウェルメスケルケン・際は出場停止から復帰。
- 家長昭博、山本悠樹、小林悠は別メニューでの調整。ラザル・ロマニッチも前節はベンチ外。
- 大島僚太、車屋紳太郎はヒラメ筋の肉離れによる長期離脱中。
予想スタメン

Match facts
- リーグ戦は3連敗中で今季最長の連敗。
- 公式戦において立ち上がり30分の失点は4のみ。以降の時間帯で36失点を喫している。
- ホームでのリーグ戦では3試合勝ちがない。
- 敗れれば今季初めてのシーズンダブルを喰らうこととなる。
- 森島司が出場している時の1試合平均得点は1.65でチーム平均(1.29)に対して最も高い数字となっている。ただし、出場時の1試合平均失点も1.73でチーム平均(1.26)に対して最も高い。
- 稲垣祥はここまでリーグ戦7得点。あと1得点でキャリアハイの8得点に並ぶ。
- 公式戦直近4試合勝ちがない。
- アウェイでは直近3試合勝ちがない。
- リーグ戦は直近7試合クリーンシートがない。
- ビハインドから得た勝ち点は15でこれより多いのは京都(17)だけ。
- 三浦颯太は開幕から出場した8試合のリーグ戦で5アシストを記録したが、以降の8試合の出場ではアシストがない。
- エリソンが今季リーグ戦で記録した6得点のうち、4得点は途中出場で記録したもの。
予習
第24節 横浜FM戦

第25節 京都戦

第26節 浦和戦

展望
マンツー主体の守備と前線のカラーを生かした前進
福岡戦での悪い流れを最下位の新潟相手にも止められなかった川崎。トンネルから抜け出したい今節は同じくこちらも勝利から遠ざかっている名古屋の本拠地に乗り込んでの勝負となる。
名古屋は現在3連敗中。順位的にも16位と苦しいところ。降格圏まで4ポイント差であることと得失点差の優位があることを踏まえれば、まだ若干の余裕はある。だが、これ以上順位を下げると残留が危ぶまれるゾーンに足を突っ込んでいる感がある。
序盤戦と同じくフォーメーションは3バックがベース。その前に4枚が並び、前線は日によって微妙に配置が変わるなど流動的。3-4-1-2か3-4-2-1のどちらかが前提となる。
保持は3バックをベースに後方でゆったりとボールを動かすところから。3CBからWBにボールをつけるなど幅を使う意識もある。広くピッチを使う際にはCFへのロングボールのセカンド回収、もしくはサイドからCFにボールを差し込んでのポストから逆サイドへの展開がメインに。左サイドからCFのユンカーのポストで逆サイドに展開。WBもしくはワイドのCBである原のクロスからボックス内に迫っていく形が多い。
この形はCFにポストプレーできるタイプが欲しいため、ユンカーの起用とセット感がある。永井、和泉、森島といったより軽量級の選手たちの場合はより攻撃は直線的。裏抜けで永井がスピードを生かしたり、あるいは和泉と森島がレーンを重ねながら相手のマークを乱すことで抜け出したりなど、前線の個性を前進のスキームに反映していく。特にユンカー以外の面々に関しては前線の移動には非常に寛容だ。
守備は基本的にはマンツーマンがベース。前線は相手のビルドアップの形に合わせて変化する。予習で見た試合で対戦した3チームは全て4バックベースだったので、CB2人をシャドーが監視し、アンカーをトップの選手がマークする。ただし、先に述べたように3トップは配置移動が多いので必ずしもこのマークの原則とは異なる場合もある。
後方までオールコートというよりは自陣側に1-2枚ほど余らせるケースが多い。なので、微妙に後方のマーカーが浮くこともある。そうなった場合に負荷がかかるのは中盤。バックラインがリリースした降りる選手を引き取ったりしながらボールサイドに圧縮をかけなければいけないなど、前方はマンツーで後方はそうではないというルールのギャップの皺寄せが全てここに来ている形となる。椎橋、稲垣といったハードに動ける選手がここに置かれているのは頷けるところである。
前に攻撃に出ていく形に関してはトランジッション局面は有利だが、速い攻撃の守備対応はあまり得意ではないため、オープンが状況が得意かはアンバランス。後方でマークがはっきりしていない分、真っ先に潰しに行く人が誰なのかの腹が決まるまでにやや時間がかかることがある。
ブロックを組んでしまえば基本的には高さがあるボックス内で強度が高い。速い攻撃においてはそうした状況に軟着陸させるまでに到達できるかどうかが重要なポイントになるだろう。
出張が正義になる可能性
名古屋の攻略法としてはサイドをうまく使えるかが非常に重要となる。低い位置のビルドアップがまずは第一関門。特に3-4-1-2気味に中央をかっちりハメてきた場合は明白にSBが浮きやすくなる。

WGにマークを集中させることができるタイプを置くことができればよりSBにかかるプレッシャーは弱まる。SBを開放することでメリットがあるのはファン・ウェルメスケルケンもしくは佐々木がいる右サイド側だが、名古屋目線で言えば一番浮きやすいのはユンカーがいる彼らの右サイド、つまり川崎の左サイド側。ビルドアップへの貢献度が高い佐々木-ファン・ウェルメスケルケンのセットで揃えるのも一つの手である。
もう1つ、サイド攻撃で狙いたいのは枚数をかけて名古屋のCHを引き出すこと。マンツーベースが基本なので、バイタルから名古屋のCHをサイドに引き出すことができれば、中央にはぽっかりとスペースが空く。枚数をかけた状態で中央に斜めのパスを差し込みたい。サイドに相手を引き寄せて中央を使うパターンが確立できればバイタルからミドルやラストパスを放てる場面は出てくるはずだ。

稲垣、椎橋の2人に負荷をかけていくためには前線が降りてDFのマーカーを離れても面白い。あるいはSHが不意にインサイドに絞って立つパターンも悪くはない。家長、伊藤といった出張が多い面々の不確定なポジションももしかするとこの名古屋相手にはいい方向に転がる可能性はあると思う。
もう1つ、得点を取る上で狙いたいのは即時奪回。特に川崎がカウンターを完結させきれなかった後は狙い目。名古屋は相手のカウンターを止めた後、ショートパスを何本か繋いでフリーの選手を作ろうとするが、このパスワークが雑。出す方も受ける方も少ないタッチでのパスを制御しきれず、乱れることが多い。直近3試合はいずれも自陣でのパスワークに乱れが出ての失点が発生している名古屋。カウンターがうまくいかなかったところにもうひと追いをかけられるか?は得点シーンを作ることにおいて重要となる。
守備においては相手の前線に仕事をさせにくくすることが重要。ユンカーが先発するのであれば、ここに背負わせることが厄介。対峙するCBが誰かはわからないが、ボールが彼に入る前にとがめられれば理想だ。
ユンカーがいない場合も切り口が変わって攻めることができるのが名古屋。特に、和泉と森島のファジーなライン間に立つ形と前線に飛び出す形を織り交ぜてくるのは川崎の守備陣は苦手だろう。縦方向の奥行きに対してのマークの受け渡しのイメージを持っておきたい。
もっとも、新潟戦のように相手に好き放題を許してしまうパスミスを連打してしまうのは論外。新潟よりもさらに加速させたときの破壊力があるチームなので、簡単に致死性のチャンスを与えてしまうことになってしまう。サッカーは相手がある話なので、自分たちだけの話をしてはいけないが、まずは自分たちがJ1の舞台で勝ち点を取ることにふさわしい準備をしてきたことを証明したい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)