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「基本形を咎められるか?」~2025.4.16 J1 第12節 ヴィッセル神戸×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第12節
2025.4.16
ヴィッセル神戸(14位/3勝3分3敗/勝ち点12/得点7/失点7)
×
川崎フロンターレ(3位/4勝5分1敗/勝ち点17/得点18/失点9)
@ノエビアスタジアム神戸

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で神戸の2勝、川崎の7勝、引き分けが3つ。

神戸ホームでの戦績

直近10戦で神戸の2勝、川崎の4勝、引き分けが4つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近4試合はこのカードの勝者はクリーンシートを達成している。
  • 直近4試合のリーグ戦では川崎は1勝のみ。
    • 神戸が退場者を2人出した昨年の等々力。
  • しかし、水曜開催の神戸戦では川崎は3連勝中。
  • 神戸が勝てば2016年以来のホームゲームの川崎戦連勝となる。

スカッド情報

ヴィッセル神戸
  • 井出遥也、ジェアン・パトリッキはメンバー外が続く。
  • 武藤嘉紀は前節欠場。
川崎フロンターレ
  • イ・クンヒョンは左膝離断性骨軟骨炎及び左膝内側半月板損傷で長期離脱中。
  • 大島僚太、ジェジエウは肉離れ、橘田健人は捻挫で離脱中。
  • 宮城天は横浜FM戦のアップで負傷しメンバー外に。

予想スタメン

Match facts

ヴィッセル神戸
  • 今季ここまでホームで未勝利。リーグ最下位。
  • ホームゲームはここまで4試合で1得点のみ。
  • リーグ戦においてここまで勝利を挙げた3勝はいずれも関東のチーム相手。
  • 直近4試合のリーグ戦は神戸の勝敗にかかわらず1-0のスコア。
  • エリキはここまでリーグ戦で4つのシュートを打っており、うち3つが得点になっている。
川崎フロンターレ
  • 公式戦直近7試合無敗。
  • しかしながら、直近3試合はいずれもドロー決着。
  • 関東以外のアウェイでのリーグ戦は直近14試合で1勝だけ(D7,L6)
  • 今季ここまで7勝のうち、6勝はクリーンシートによるもの。
  • 小林悠は神戸戦で11得点。このカードにおける最多得点者。
  • 60分以降の得点が18得点。全体得点のうちの64%。

予習

第8節 横浜FC戦

第9節 新潟戦

第10節 東京V戦

準備中

展望

前提不成立で噛み合わない歯車

 連戦が続く川崎。清水→神戸というアウェイ行脚が続くこのインターバルは移動面においてはもっとも過酷だということが出来るだろう。

 神戸はここまでは14位。序盤戦は大きく出遅れてしまう上にACLでは敗退。山東泰山の棄権のあおりをもろに受けて2nd legでのホーム開催権を失っての逆転負けという何とも後味の悪い結末を迎えてしまっている。

 リーグ戦においては初勝利を挙げて以降は勝ったり負けたりの繰り返し。もっとも、混戦模様で引き分けが多いJリーグにおいては勝ったり負けたりでも順位は上がる。1勝1敗の方が2引き分けよりも勝ち点は稼げる。

 低迷気味という状況ではあるが、システム的な枠組みにはほとんど変化はない。ベースとなるポジションは4-3-3、IHの片側は2ndストライカーの振る舞いが基本となっており、宮代が定位置をがっちりつかんでいる。もう1人のIHはMF寄り。井手口のようなファイター型が基本線となる。非保持においては宮代が前に出る4-4-2。扇原、もしくは鍬先のアンカーを井手口がサポートする形になっている。

 前線は大迫、武藤、佐々木といったターゲットマンとワイドに張れる汰木のミックス。幅取り役の汰木を優先するか、ストライカータイプを使うかでサイド攻撃の方向性はだいぶ変わってくる。前線に長いボールを収めつつ、サイドに展開してクロスという攻撃の流れも変わっていない。

 では、変わったのは何か?おそらくはそれぞれの局面の精度と強度だと思う。個人的に一番意外だったのは新潟戦。前進がアバウトでオープンさを許容する土俵で新潟に負けてしまうというのはおそらく去年の神戸だったらあり得なかったはず。どの局面も強度があって負けないチームだったはずが、がっちり組み合うもののどこが強みかわからなくなってしまっている。

 前線のターゲットマンである大迫はもちろん簡単に相手に競り負けることはないが、ボールを収めて絶妙なパスを展開し、攻撃を加速させることが出来る頻度が下がっているように思う。佐々木や武藤といった選手たちも相手を背負えるが、ポストからのゲームメイク力という点ではやはり大迫が1枚上なので、攻撃の柱の手段にするには難しい。

 よって、背負って左右に大きな展開を行うというよりはワンタッチでのレイオフのようなシンプルな関係性の構築の方が今の神戸には適している。その点で緊急補強したエリキの存在は大きい。ポストによって前を向いてフリーになった選手に対して、裏抜けで一気に縦に進む選択肢になることで局面を前に進めることが出来る。今のチームに推進力を与えるという点でエリキの補強は大きかったといえるだろう。

 基本的には大迫の復調を待つか、エリキがハマりそうなこのレイオフから奥を取っていく攻撃の精度を上げるかの二択。どちらかのルートでまずはフィニッシュのルートを確立させたいところだろう。

 非保持においても武器になり切れていないというのが正直なところだろう。献身的な前線ではあるが、前から咎めるアクションを常にするほどの走力はない。引いて受ければ堅さはあるが、前からの追い回しを攻撃に転じる武器にするには無理がある。

 もっともこちらは後方からの陣地回復の型が出来ればローブロックで受けて問題は軽減する可能性はある。いずれにしても大迫をベースとした攻撃を軸にうまく回っていたものが、前提が崩れたことで微妙に歯車がかみ合わなくなったことであまり成り立たなくなってしまったというのが神戸の現在地だと思う。

前線再編でドロー沼脱出を狙う

 負けないしぶとさは見せつつも、勝てない苦しみにも陥っている今の川崎。首位が10試合で勝ち点19ということを踏まえると、この苦しい連戦は7試合で1試合平均勝ち点2でる14を積めれば大合格となる。現状では5試合で9なのでこの目標を達成するには残り2試合で連勝が必要という形になる。少なくとももう1つ勝てばノルマは達成という位置づけで問題はないと思う。

 神戸に関してはやはり前進の基本形が成立するかが重要。大迫へのロングボールの対応が機能するかは大きなポイントになる。仮にここを咎められるのであれば試合運びは相当に楽になる。

 収められたとしたら次は大迫から先の展開を抑えに行かなくてはいけない。汰木との1on1とハーフスペース付近を縦に抜けていくエリキのところである。川崎から見て相性が悪そうなのは後者。丸山が大迫に釣りだされ、エリキが丸山のいたハーフスペースから抜けるのだとしたら三浦か山本がそのスペースをケアする必要が出てくる。おそらく山本だとスプリントで負けてしまうので、ここは絞った三浦が対応をきっちり行いたいところだ。

 逆に大迫へのロングボールを咎められるとすれば、神戸は自陣からのビルドアップが必要になる場合が出てくる。新潟戦で安易なパスミスから失点に繋がったように、自陣からの組み立てはFC東京のように危うさがある。大迫が前で起点を作れないとなれば結果的に後ろでそういった繋ぎの負荷は増える方向になるので、神戸の保持のリスクは増えることにになるだろう。

 保持においては4-4-2のFW-MF間がやや間延びしやすい側面がある。山口が退団した分、ダイナモ系のMFは減ってしまい、前から中盤が間延びした時のカバーを90分行うという強度の点では難があるイメージだ。山本、河原のCHがこの点で先手を取れればゲームメイクは楽になる。

 アタッキングサードにおいては両翼が気がかり。清水戦では家長が良くない意味で浮いていた右サイドの連携は改善が欲しいところ。よりインサイドレーン側でのプレーを好む伊藤を使うのであれば、大外レーンから優れた精度のクロスを上げることが出来るファン・ウェルメスケルケンとのコンビは面白いかもしれない。インサイドの高さがある相手なので、ただ上げるのではなくスペースにピンポイントにアプローチする必要があるので、ファン・ウェルメスケルケンのクロスはハマる可能性がある。

 左は5試合連続スターターとなっているマルシーニョのところをどう運用するかが気がかり。宮城が順当に行けば2番手なのだろうが負傷中。山内はあまりこのポジションで見ていなさそうだし、ヴェロンはパンチ力の点で評価は低そう。小林、神田等FWがやや溢れ気味なタイミングでサイドも含めた攻撃陣の再編はドロー沼脱出の決め手になるかもしれない。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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