■不可欠なモラタが土壇場で奪った逆転突破
立ち上がりから両チームのスタンスははっきりしていた。スペインは初めのポルトガルのポゼッションからハイプレスを敢行。即座にボールを奪って見せた。
その一方でポルトガルはスペインのポゼッションを静観。CBにはプレッシャーをかけずにアンカーを監視する形で相手のボール保持を許容していた。プレス隊の先頭にいるのがロナウドであるのである意味当然と言えるだろう。
というわけで試合はスペインのボール保持が主体で進むこととなった。ボールを持つことができたスペインだが、スムーズに打開ができたわけではない。サイドに自由にボールをつけることができてもWGが独力で突破できるタイプではないので、ここからPA内に迫ることができない。
スペインはワイドにボールを持った時のIHのサポート込みで突破を狙うのだが、この試合ではその部分の連携が希薄。単純にサポートがなかったパターンもあったし、ハーフスペースに立っているスペインの選手にポルトガルの中盤が厳しいプレッシャーをかけていた影響もあるだろう。
外循環できるけど、インサイドにボールを刺す工程で詰まってしまうスペイン。唯一の打開の策は内から外に開きながら裏を狙っていくモラタのプレーだった。ワイドで打開できない状況において、中央から動線を示せるモラタは割と代えが効かない存在かもしれない。
ポルトガルは徐々にウィリアム・カルバーリョが中盤より前に出てきてプレスの重心を上げていけるように。スペインは徐々に前進が厳しくなっていく。
序盤はプレッシングにワタワタしていたポルトガルの保持。前線にもなかなかボールが入らない状況が続いていたが、ビルドアップで光が見えた。起点となったのはベルナルド。シティでお馴染みの低い位置まで出ていて数人を引きつけてからリリースという得意技でスペインのクロスを無効化する。ダニーロやカンセロが時間をもらえたことで徐々にポルトガルはスムーズに前進ができるように。
しかし、アタッキングサードでの武器が枯渇しているのはポルトガルも同じ。大外からのクロスをジョタがSBとのミスマッチを活用して競り勝つくらいしかゴールへの道筋は見えなかった。
スコアレスのまま均衡が続く後半。先に手を打ったのはスペイン。ブスケッツをアンカーに投入し、ロドリを1列後ろに起用。ボール保持力を高める方策で中盤での潰し合いで優位に立つように。ポルトガルはクリーンにボールを奪うことができず、ファウルを重ねるようになってしまう。
カウンターやセットプレーなど部分的に好機はありそうなポルトガルではあるが、勢いとしてはスペイン。引き分けでも予選突破になるポルトガルにとってはこの辺りから試合のハンドリングを考え出したかもしれない。
押し込むスペインはペドロとガビを投入してさらに攻勢をかける。ハーフスペースに立っていた前半に比べると、彼らは裏抜けまできっちりこなすので、ポルトガルに対して奥行きを作ることができていた。
スペインが決勝点を手にしたのは88分のこと。クロスに対して折り返したのはウィリアムス。これをモラタが押し込んで待望の先制点を奪うことに成功する。
土壇場で順位が入れ替わる得点を決めたスペイン。ポルトガルはロナウド目掛けてボールを放り込むが、立場を再度入れ替える得点は生まれず試合はそのまま終了。敵地でスペインが逆転突破につながる勝利を決めて見せた。
試合結果
2022.9.27
UEFAネーションズリーグ
グループA2 第6節
ポルトガル 0-1 スペイン
エスタディオ・ムニシパル・デ・ブラガ
【得点者】
ESP:88′ モラタ
主審:ダニエレ・オルサト