■裏取り勝負で痛み分け
1週間前の開幕節はザグレブに逃げ切りを許してしまったチェルシー。連敗は許されないチェルシーだが、急転直下のトゥヘルの解任劇で就任したポッターの初陣というなんとも不確定要素が多い試合となってしまった。
立ち上がりからボールを持つのはチェルシー。ザルツブルクの守備ブロックは4-2-3-1っぽく見えるときもあるが、基本的には中盤ひし形の4-4-2なのだろう。ザルツブルクのプレッシングはかつて南野、ヒチャン、ハーランドの凶悪トリオがリバプール相手に猛威を振るったときのような狂ったプレスを見せることはなかった。
むしろ、おちついて距離を詰めながらプレスのタイミングをうかがっていく印象。プレスに行くときは後方を間延びさせないことを徹底して行っている。プレスは単発ではなく連動して。頻度より練度を意識している感じだった。ジョルジーニョに関してはスチッチが監視していたけども。
序盤にケパが完全に捕まっているジョルジーニョに乱暴なパスを付けた時はブレントフォード戦のユナイテッドを思い出したが、基本的にはチェルシーは比較的落ち着いて対応できたように思う。ボールを敵陣まで運ぶところに関しては幅をきっちり使っていたのでザルツブルクのプレス隊が狭く追い込むのに苦労するような振る舞いが出来ていた。
アタッキングサードにおけるブライトン時代のポッターのイメージは中と外をつかいわけること。そして、中と外をつなぐような動きがうまいこと。その象徴が斜め方向のランの多さとして現れる形だ。序盤のスターリングがインサイドに入っていく動きなどは外と内をつなぐイメージを具現化したものといっていいだろう。
ただ、頻度的にはそうした効果的な崩しは数えるほど。オーバメヤンのポストや相手のプレスの強い矢印を利用しての反転など、トライは見えたがまだチームとしてゴールに向かう形に昇華できていないという感じ。ポッターのチームのもう1つの特徴でもある大きなサイドチェンジに対してもザルツブルクは問題なく対応ができていた。
ザルツブルクもボールをある程度もたせてもらっていたのだが、比較的シンプルな前線の勝負を挑むことが多かった。彼らの課題はラインブレイクの精度。アタッカー陣がオフサイドにかかることがやたら多く反撃の機会をフイにしてしまっている感が否めなかったのはもったいなかった。
後半、プレスを強化したザルツブルクはラインを上げてチェルシーを迎撃する。ハイプレスに晒される機会が増えたチェルシーだったが見事にこの状況を解決した。右サイドからマウントが裏抜けしつつハイプレスの逆を取ると、ファーサイドのスターリングまでボールは転々と転がりこれを仕留める。仕掛けられた勝負に乗っかり見事先制点までこぎつけて見せた。
ザルツブルクは追いかける展開が得意という感じもなく、保持で相手に仕掛けを施す感じでもなかった。それゆえ、得点を挙げるには個人の打開力が必要とされていた。
それを見事に成し遂げたのが同点ゴールの場面だ。右サイドからチェルシーのDF陣を破りながらラインの裏に侵入すると、最後に仕留めたのはオカフォー。開幕戦のミラン戦に続く2試合連続のゴールを決めて試合を振り出しに戻す。
ポッターの本拠地での初陣はオカフォーに勝利を阻まれる形に。就任初戦といえば仕方ない部分はあるが、ミランとの2試合を残しての1ポイントはだいぶ怪しい雲行きになってきたといえるだろう。
試合結果
2022.9.14
UEFAチャンピオンズリーグ
Group E 第2節
チェルシー 1-1 ザルツブルク
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:48‘ スターリング
SAL:75’ オカフォー
主審: イヴァン・クルチヤフ