
南米の高い壁に阻まれた浦和
ついに浦和のCWCが開幕。世界の高い壁に以前よりもガッツリとしたフォーマットで挑むこととなる。
序盤はハイテンポでのプレスの応酬。バックラインに互いに襲い掛かるプレスを行い、自分たちがどこまで迫れるのかを探るかのような立ち上がりだった。
試合が落ち着くとポゼッションを握ったのはリーベル。2-3ベースのポゼッションを基調に浦和の前線の守備を翻弄。特にSHのポジションを惑わせることで大外に逃げ場を作りながら降りていくフリーマンからボールを運んでいく。降りる選手を生かした分岐の使い方はリーベルの特に上手いところ。背負った選手へのサポートも多過ぎず少なすぎずで浦和のブロックの中に侵入していく。
外を使った展開はより強力。大外に逃した後に横ドリブルを使って逆サイドまで横断することで浦和の2列目のフォローを間に合わせないパスワークは効果が高い。先制点のシーンもこの形で右サイドのマスタントゥオーノからの展開に浦和が振り回された。ボザはややかぶってしまったが、その手前のところでこういった不安定な対応を引き起こすための動かし方をされたという方に反省をフォーカスしたほうがいいかもしれない。
先制してもこうしたポゼッションでの分岐を基調にリーベルがペースを握る展開。浦和は前線のボールの掴みどころがわからず、前からのプレスで相手を咎めることができない。
押し下げられる展開において後方からのキャリーが浦和の生命線になっていた。相手のハイプレスを交わし、ボザやグスタフソンがドリブルで運べる展開を作る。アジリティの部分で渡り合えることを少ない機会で証明していた松尾、金子にどのような形でボールを届けるか?を探っていた。
目指す方向性としては悪くはないが、やはり浦和の問題は後手に回る守備。高い位置からの攻撃を行う試行回数を稼ぐことができない。
苦しいながらも終盤は押し込む機会を作り出すが、動き出しのタイミングが合わないオフサイドでチャンスを逃すなど、浦和は同点のチャンスをものにできなかった。
後半、浦和はボール保持から巻き返しを図る。松尾の槍のような速攻以外に通用する武器探しを行なっている印象だ。そういう中でサヴィオと金子の右サイドのコンビネーションが刺さりきらなかったのは浦和にとっては難しいところだろう。
そして、浦和は自陣で痛恨のミス。ホイブラーテンのバックパスミスを掻っ攫われて、後半早々に手痛い失点を喫してしまう。
それでも自陣に惹きつけてのショートパスからのプレス回避はなんとか実を結ぶことに。中央でフリーになったグスタフソンの運びから、金子はPKを獲得。これを松尾が決めて1点差に追いつく。
この時間帯が浦和の最も勢いがあった時間帯。ワイドアタッカーのスピードでファウルを奪い、敵陣では高い位置から相手のパスワークを仕留める場面が増えていた。
しかし、リーベルはサイドでジリジリとファウル奪取することで前進するとセットプレーで浦和の息の根を止める追加点。試合巧者ぶりを見せつけるゴールだった。
そのままリーベルは逃げ切りに成功。先手、中押し、ダメ押しの三段構えで南米勢の強さを見せつけた。
ひとこと
浦和は松尾のPKの時の勢いの時間帯を1-0か0-0で迎えたかった。
試合結果
2025.6.17
FIFA Club World Cup
グループE 第1節
リーベル・プレート 3-1 浦和レッズ
ルーメン・フィールド
【得点者】
RIV:12′ コリーディオ, 48′ ドリウッシ, 73′ メサ
浦和:58′(PK) 松尾佑介
主審:フェリックス・ツバイヤー