
マークがキツくならないWBから無限チャンス供給
E-1でメンバーは様変わりした日本代表。しかしながら、メンバーは入れ替わってもフォーメーションはキープ。アジア最終予選で慣れ親しんだ3-4-3でこの試合も臨む。
ホンコン・チャイナの振る舞いは非常にはっきりしていた。日本のバックラインにはボールを持たせてOK。自陣でまずは引いて受ける。その代わり、SHは下がってきっちりスペースを埋める。特に右のSHの茹子楠は対面の相馬に合わせて下がるため、時には5バックで受けているように見えた。
サイドの位置を下げているのであればまずはWBの進撃を止めたいホンコン・チャイナ。しかしながら、日本はまずはWBからクロスを上げまくる形からチャンスメイク。もちろん、相馬にパスを入れる古賀がうまかったり、降りる宮代が撹乱していたのはあるだろうが、茹子楠とゲルビヒのホンコン・チャイナの右サイドの連携が怪しいのは否めず、守備側の不手際と位置付けることもできるだろう。
この左サイドからのクロスで日本は先制。ジャーメインのシュートは見事とはいえ、ボックス内でこれだけ気持ちよく足を振らせるマークであれば、こういう形でないにせよゴールは決まってしまったのではないかと思う。
先制点を奪ってなお、修正が効かないホンコン・チャイナの守備陣。相馬、久保との間合いは相変わらず遠いまま。距離を詰めることが一切できない。流れが変わらない試合は先制点と同じく相馬→ジャーメインのルートで追加点を奪う。
ここまでは悪くなかったが、これ以降はやや反省が先立つ内容だった日本。具体的には高い位置から止めにいくアクションでの無駄なファウルが多い。オアなど相手のフィジカルが強いポジションもあったが、いちいちファウルで止めてしまっていたら、攻撃の流れが途切れてしまう。正直、ホンコン・チャイナ相手にはそんなことをしなくても得点は取れると思うが、今後を見据えるとこのセンターラインのクリーンな守備は求めていきたい。中盤中央でのボール奪取から稲垣のゴールを生み出した日本だったが、ここはもっと今後に期待したい部分でもある。
ホンコン・チャイナは30分に選手交代を敢行。前線のターゲットを2枚にして長いボールの的を増やしていく。このターゲット増加は局所的に前線の局面打開につながったかのように思えた。押し込むとピサノがバタバタするなど、日本も粗が見えるように。
押し込む機会が見えたホンコン・チャイナだが、非保持におけるボールの取り所が見つからず。日本に押し込まれる構図が抜本的に変わることはなかったが、部分的には抵抗ができるようになったというのがフォーメーション変更の成果と言えるだろう。
5-0で迎えた後半、日本はフォーメーション変更。選手が多少入れ替わっても前半と展開は同じ。左右にボールをつけてWBからシンプルにクロスを入れていくという形でひたすらホンコン・チャイナを苦しめていく。
サイドだけでなく中央のスペースでもギャップを作られてしまった日本。特に奥行きのあるフリーランを繰り返していた中村は後半の頭から入った選手の中で目立っていた。
しかしながら、ホンコン・チャイナのロングボールは後半も健在。古賀、荒木がやや跳ね返しで綺麗にクリアができない場面があった。失点シーンでも荒木がマーカーを逃してしまうなど、国内組の中でも実績上位という前提入りで見てしまうと、もう少しクオリティを誇示して欲しかったように思う。
前線を入れ替えた日本は前からのプレスでリズムを変えていく。保持において終盤に存在感を見せたのは大関。中盤から前線に動き出す味方を見逃さずにガンガンボックス内に効果的なパスを入れていく。
交代組の中では際立っていた中村と大関。最後の最後に中村にゴールというご褒美が飛び込み、大量6得点でホンコン・チャイナを下した。
ひとこと
1失点目の守備をするチームにはなかなか実力は測りにくい。そうした中で守備陣で少し課題が見受けられたのは気になる部分だったりする。
試合結果
2025.7.8
東アジアE-1サッカー選手権
第1戦
日本 6-1 ホンコン・チャイナ
龍仁ミルスタジアム
【得点者】
JPN:4′ 10′ 22′ 26′ ジャーメイン良, 20′ 稲垣祥, 90+4′ 中村草太
HKG:59′ オア
主審:トリク・ムニル・アルカティリ