チェルシー、25-26シーズンの歩み。
第1節 クリスタル・パレス戦(H)

交代選手で活性化もゴールには届かず
CWCでは優勝を果たしたチェルシー。新フォーマット初の大陸王者として臨む新シーズンの開幕戦はコミュニティシールドを幸先抑制することに成功したパレスを迎えての一戦だ。
序盤からボールを持つのはチェルシー。ククレジャがインサイドに絞る形で3-2-5に変形。パレスはバックラインにはプレスをかけず、中盤を消すことにフォーカスし、ミドルゾーンにブロックを組んでいく。
インサイドがなかなか空かないチェルシーはペドロへのロングボールやWGにボールをつけるところから揺さぶっていく。ジリジリと押し下げてからニアを狙ったCKでセットプレーからゴールを窺う姿が目立ったチェルシーだった。
一方のパレスはGKを絡めながらのポゼッションを敢行。チェルシーをハイプレスに誘い出す格好からロングボールを入れることで擬似カウンターのようなシーンを創出。収まるマテタをヘンダーソンが徹底的に狙っていく。
収まる前線を生かしたロングボールから押し返したパレスはエゼのFKでネットを揺らす。だが、これは壁のコースをこじ開けたグエイがファウルを取られてしまいノーゴールに。チェルシーは肝を冷やした格好だ。
それでも手応え良好なパレスは徐々に圧力を高めていく。時にはマテタからバックラインにプレスをかけるスイッチを入れてチェルシーのバックスにプレッシャー。裏に引っ張るランを挟み込むなどの工夫をしていたとはいえ、ロングボールの的としてはペドロはマテタほど存在感はなかったので、セカンド回収に持っていければパレスとしては十分に美味しい形となる。
カイセドのパートナーをククレジャから降りるシャドー、WGに変更したりなどインサイドのマークをずらすトライもしたチェルシーだが、インサイドにパスコースが開通した頻度は数える程。WGの突破力を活かすこともできず、ジリジリとした展開に巻き込まれながら前半はスコアレスで過ごすこととなった。
後半、再びチェルシーがボールを持つ展開でスタート。ロングボールのセカンド回収に出て行ったようにククレジャが前線に寄与する時間は前半以上に増えた。
押し込みながら時間を作るチェルシーに対して、トランジッションを軸にパレスは反撃。全体的に前半と同じ様相を呈する後半となった。
変化をつけたいチェルシーはエステバンを投入し、左右のWGからの攻撃を強化。左右のサイドからゴールに迫るクロスを入れていく。
だが、パレスはこの流れを鎮静化するとマテタのロングボールから陣地回復。オープンな成分が増えて互角な撃ち合いに。チェルシーもこの状況に乗じて流れにフィットしそうなデラップを投入することで対抗する。サイドに揺さぶりながら機動力のあるパレスDFと渡り合うなど、存在感は十分見せたと言えるだろう。
だが、終盤にチャンスを迎えたサントスが枠にシュートを飛ばせないなどチェルシーはゴールをこじ開けることはできず。試合はスコアレスで幕を閉じた。
ひとこと
パレスはちょっとチェルシーとの相性は悪かったかもしれないし、対戦するタイミングも悪かったかもしれない。
試合結果
2025.8.17
プレミアリーグ 第1節
チェルシー 0-0 クリスタル・パレス
スタンフォード・ブリッジ
主審:ダレン・イングランド
第2節 ウェストハム戦(A)

守備の不具合を矮小化できるか?
ともに第1節は未勝利。フライデーナイトの一戦は今季の初勝利を狙うロンドン・ダービーとなる。
チェルシーは3-1型のビルドアップ。グスト以外の3人のDFが一番後ろに入り、アンカーのカイセドの相棒は流動的な形だ。ウェストハムは前線の3枚が1トップ+2シャドーのような形で守備に入る。ただし、CFのフュルクルクは守備の基準がカイセド。チェルシーのCBにプレスをかけるのはシャドーの役割だ。
カイセドの相棒を探りながら組み立てるチェルシーに対して、ウェストハムはおりていく選手を潰すことで攻撃に転じる。左サイドのパスカットからのファストブレイクでウェストハムは6分にパケタのゴールから先制する。
チェルシーは失点以降、低い位置でのプレーを志向するウェストハム相手に押し込んでいく。WG起点の大外からの攻撃でファーサイドへのクロスを狙う。
押し込む機会が増えたチェルシーはセットプレーから同点。ニアに入ったククレジャのフリックをジョアン・ペドロが押し込む。シンプルにニアとファーの2カ所で競り負けたウェストハムはボックス内のシンプルな対空性能の弱さという開幕戦の課題が再び露呈することとなった。
保持に回ればウェストハムも中盤に縦パスを通すことはできそうではあった。チェルシーの守備陣形は縦に間延びしたり、位置を下げてIH的に守ろうとするジョアン・ペドロが迷子になってしまったりなどやや混迷気味。ウェストハムの2列目への縦パスは開幕節よりも明らかに通しやすそうだった。
いい形で受けることができない陣形をフォローしたのはチャロバー。高い位置まで出ていって縦パスの受け手を潰す。この意識が奏功したのが逆転ゴールの場面。パケタを潰すトランジッションからカウンターに出ると、押し込んだ時の狙いとなっていたファーサイドのクロスをネトが沈めてゴールを決める。
勢いに乗るチェルシーは3点目。落ち着いた自陣でのポゼッションから降りるエステバンがアゲルドを外すことに成功。1点目のリベンジのような動きが起点となり、一気に攻撃を加速させるとそのままの勢いでエンソがゴールを仕留める。
こうなるとウェストハムは苦しい。中盤が守備の基準だったフュルクルクは前にスライドをしようとするが、背後との連動が甘くカイセドが浮いてしまったり、あるいはサンチェスのロングボールが刺さりやすくなったりなど、あまりメリットがない状態。
チェルシーの中盤の守備の甘さが残されている分、ウェストハムも長いレンジの縦パスから前進の余地はある。だが、チェルシーは前線のタメを享受する役割のワン=ビサカをネトが咎めることができていたので、対症療法的に解消はできていた。
後半、ウェストハムは選手交代に合わせてフォーメーション変更を実施。4-2-3-1にシフトすることで前からのプレスに行く準備をする。しかしながら、チェルシーはショートパスでこれを回避。インサイドに入り込む右のSBのグストという不確定要素への対応に迷いがあった分、マークが合わなくなってしまった。
進撃できたチェルシーはセットプレーからさらに2点追加。ハーマンセンの飛び出しのところの不安定さと競り合いの甘さを見逃さず、チェルシーはリードを広げる。ウェストハムはGKを妨害する相手の選手への妨害をかけなかったりなど、設計面での怪しさと個人の対応の怪しさの両面があった。
チェルシーは非保持でも4-5-1から4-4-2にマイナーチェンジすることでジョアン・ペドロの役割を明確化する。この後、サントスが入ってくると再び4-5-1に戻す。この辺りの柔軟さは個人的には好感触。引いて受けるシーンが終盤は続いたが、最終ラインとサイドのフォローをしつつ、隙があればラインアップも忘れないカイセドの器用さが光る展開だった。
後半も差を見せつけたロンドン・ダービー。ミスからの失点を昔話にしたチェルシーが逆転で今季初勝利を飾った。
ひとこと
不具合を相対的に矮小化できていたチェルシーに対して、芋蔓式にダメージを大きくしてしまったウェストハム。両チームのスコアはうまくいかなかった守備の状況への対応の差を反映しているように思える。
試合結果
2025.8.22
プレミアリーグ 第2節
ウェストハム 1-5 チェルシー
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:6′ パケタ
CHE:15′ ペドロ, 23′ ネト, 34′ エンソ, 54′ カイセド, 58′ チャロバー
主審:マイケル・オリバー
第3節 フラム戦(H)

2点目がテンションを鎮火する
代表ウィーク前のプレミアはウェスト・ロンドン・ダービーで開幕。ここまで両者は引き分けを多めにしつつの無敗をキープしての対戦となる。
ユナイテッド戦と同じく5バックか?と思われる布陣だったが、フラムは4バックと5バックのハーフのような非保持でスタート。チェルシーの左サイドのチェックに対してが特徴的で、テテ→ネト、カスターニュ→流れてくるエンソのマッチアップ。この2つをマークできていることをルキッチが首を振って確認したところでククレジャにプレスをかけていく。つまり、ククレジャの優先度を下げる形である。
降りる選手に対しては厳しく。アンデルセンはデラップ、ベルゲはペドロを逃がさないようにガッチリマークする。
チェルシーはより前からマンツーで相手を捕まえていくスタート。プレスの強度も含めてややチェルシーが相手を押し込む立ち上がりとなった。
だが、デラップの負傷によりチェルシーのハイプレスに翳りが。前には出ていく意識は継続しつつもホルダー周辺に甘さが出るように。中盤の間延びが出てきてしまい、降りるイウォビが躍動する。
すると、フラムは素早いトランジッションから抜け出したキングが冷静にネットを揺らす。だが、これはファウルで取り消しに。
このファウルのチェックの時間でチェルシーはプレスの整理ができたように思う。一方のフラムもイウォビがカイセドにチェックをかけることでハイプレスの強度をさらに高める。
こうなると前線のポイントを作れるかが勝負のポイント。チェルシーはエステヴァン、フラムはキングが年齢が上の選手たちにガンガン挑んでいく。かなりいい形まで持ち込めてはいたが、どちらのチームもバックラインの対応のレベルが高かった。
そうした中で試合を動かしたのはセットプレー。GKの妨害役として動いていたジョアン・ペドロをターゲットにするという変化球で先制。前半終了間際にスコアを動かしてハーフタイムを迎える。
後半はややまったりとしたスタート。前半よりはハイプレスは控えめで、ミドルゾーンから構えていく形。チェルシーはやや間延び癖が残っており、その点でフラムの侵入を許してしまっていた。
しかし、またしてもスコアはチェルシー。多重のチェックが重なった長いOFRのチェックの末に咎められたのはセセニョンのハンド。直前のペドロのハンドもOFRの対象ではあったが、主審のロベルト・ジョーンズにはこの2つのハンドには何かしらの差があったと判断したということだろう。
このPKをエンソが決めてゴール。チェルシーはさらにリードを広げる。
長いOFRの末の微妙な判定はフラムの闘争心を完全にへし折ってしまったかのように見えた。だらっとした展開のなかでなかなかギアを上げることができず。多くの前線の選手のテコ入れもあまり効果がなかった。ゆるっとした展開の中で機微な判断が必要なセーブを成功させるレノの健闘が光る形だった。
ボックス内でフリーのシュートチャンスを許すなどチェルシーの守備も試合のまったり感の影響を受けていたように思うが、フラムはこの隙に付け入ることができるテンションではなかった。試合はそのまま終了。チェルシーがリードを保ち、ウェスト・ロンドン・ダービーを制した。
ひとこと
事実上、2点目のジャッジで試合は終わってしまった感。シビアなのはわかるけども、残り時間があっただけに巻き返しのきっかけが欲しかった。
試合結果
2025.8.30
プレミアリーグ 第3節
チェルシー 2-0 フラム
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:45+10′ ペドロ, 56′(PK) エンソ
主審:ロベルト・ジョーンズ
第4節 ブレントフォード戦(A)

継がれるストライカーの系譜
試合をポゼッションで動かしていくのはチェルシー。後方は3-1ブロックを組み、ハトがやや前よりの形で左サイドが前重心となっていた。中央のカイセドは封鎖されていたが、ブレントフォードの5-3-2の2トップの脇に人を置くことを意識しており、ここを起点とするイメージは持っていた。
よって、まずは攻撃の起点となるのはサイド。ギッテンスとネトに打開を託していく。ただ、2列目やSBのフォローは遠くSHは個人戦の様相。かつ、後ろ重心のブレントフォードはサイドを2人がかりで封鎖する。そうした状況には慣れているネトはともかくとして、ギッテンスにはこの状況は少し重荷のように見えた。
それでもブレントフォードに比べればチェルシーはきっちりとペースを作ったといっていいだろう。全体の重心が低い影響で陣地回復ができず、カウンターではシャープさが出てこない。チェルシーを前がかりにしたところでひっくり返す手段を持っていない印象だった。
着々とチェルシーは後方のポゼッションから打開策を探っていく。CHが手前側で深さを作り、ラインの間のスペースを開けにいく。対角パスと織り交ぜることで外と中をバランスよく使っていく。そうした中にSBの2人はうまく絡めていない印象。ハトとフォファナがもう少し攻撃での存在感を増せれば前半のうちにリードを奪えたかもしれない。
しかし、試合はワンチャンスを活かしたブレントフォードが先をいく格好に。この試合で一番シャープさが出たカウンターをシャーデが決めて先制。ワンチャンスしかない糸口を切り開くブレントフォードのストライカーの系譜を継いでいるかのような素晴らしいゴールを決める。
後半、チェルシーは奥行きを意識した攻撃でスタート。背後を取るアクションを見せるジョージやネトのバックドアからブレントフォードの守備陣を背走させることでチャンスを作っていく。
そのサイド攻撃が成就したのは65分。右サイドからのクロスを落とす形でパーマーが同点に。交代で入った10番が試合を振り出しに戻す。
終盤はさらにガルナチョを投入することでサイドへのエネルギーを注入。押し下げを強化すると、カイセドが素晴らしいミドルを仕留めることでリードを広げる。
逆転を許したブレントフォードだったが、ロングスローからギリギリで同点に。ファーサイドに流れたボールをカルバーリョが仕留めて土壇場で追いつく。すんでのところで勝利を逃したチェルシー。リーグ3連勝達成はならなかった。
ひとこと
チェルシー、まだリーグ戦はロンドン勢としかやっていない。
試合結果
2025.9.13
プレミアリーグ 第4節
ブレントフォード 2-2 チェルシー
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:35′ シャーデ, 90+3′ カルバーリョ
CHE:61′ パーマー, 85′ カイセド
主審:スチュアート・アットウェル
第5節 マンチェスター・ユナイテッド戦(A)

カオスがカオスを呼ぶ乱戦
ユナイテッドは前節ダービーで敗れ、チェルシーは代表ウィーク明けの公式戦で勝利がない状態。どちらにとっても負けられないオールド・トラフォードでの一戦だ。
降りしきる雨の中で先にチャンスを掴んだのはユナイテッド。サイドからのクロスから早々にチャンスメイク。チェルシーはボックス内の守備の目測が怪しく、クロスの受け手を割と簡単にフリーにしていた。
すると4分にシェシュコの競り合いから抜け出したムベウモがサンチェスに倒されたことで一発退場。チェルシーはほぼ1試合丸々を10人で過ごすことに。マレスカはこの状況でヨルゲンセンの投入に加えて、アダラバイオも交代選手として追加。バックラインを5枚にすることで全力撤退を選択する。
しかし、11人のチェルシーの非保持の怪しさは別に人が足りていなかったからではないので、ローラインで人を増やしたとて危険な流れは変わらず。ボックスの跳ね返しを延々とできるわけではなく、チェルシーは10分足らずであっさりと失点してしまう。
2失点目が顕著なのだが、チェルシーはラインの上げ下げへのリアクションが遅い。特に下げるアクションにおいてその傾向が強く、その点で後手に回ることによってユナイテッドの選手にボックス内に自由に触ることを許していた。
ユナイテッドの守備は無鉄砲なプレスをしていたので、チェルシーは落ち着いてパス回しをしていれば外せるシーンも少なくはない。しかしながら、ネトとエステバンという推進力のある選手たちは不在。かつ、パーマーも負傷でさらに交代カードを使うなど踏んだり蹴ったりな状況だった。
だが、そのユナイテッド有利な状況を台無しにしたのがカゼミーロ。全くいらない状況で2枚目を献上してしまい、互いに人数は10人となってハーフタイムを迎える。
後半、さらに雨は強まり、ボールは止まりまくるように。10人同士という中でさらに要素が追加されたことでカオスな状態はさらに極まっていく。ファウルのたびにボールの奪い合いが発生したり、豪快に警告を受けるタックルをかましたりなど、やたらと試合が止まるように。
追いかけるチェルシーはCL終わりで中2日というハンデがある分、徐々にガス欠。このまま終わりまで運ばれてしまうのか?というくらいのタイミングでチャロバーが追撃弾を決めることで再びエネルギーを充填する。
だが、もう1点のギャップを埋めるところまでは至らず。前半開始直後から始まったカオス劇場はユナイテッドに軍配。乱戦を制して今季2勝目を手にした。
ひとこと
カゼミーロの2枚目、ドン引きだよあれ。
試合結果
2025.9.20
プレミアリーグ 第5節
マンチェスター・ユナイテッド 2-1 チェルシー
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:14′ ブルーノ・フェルナンデス, 37′ カゼミーロ
CHE:80′ チャロバー
主審:ピーター・バンクス
第6節 ブライトン戦(H)

摩訶不思議ブライトンが10人のチェルシーを仕留める
今季はなかなか内容が良化しない一方で強豪相手にはきっちりと結果を出しているブライトン。今節もこの条件に該当するチームが相手。スタンフォード・ブリッジでのチェルシーとの一戦に挑む。
ブライトンは非常に強気のライン設定。マンツー気味に敵陣から捕まえにいく。だが、この姿勢をチェルシーはひっくり返して前進。エンソがいきなりゴールを強襲するFKを打つなど序盤からチャンスメイク。サイドではスピードの優位で対面を引きちぎり、中央では相手を捕まえきれずにファウルを犯してしまうということでガッツリハイプレスの副作用を食らうこととなる。
保持でもブライトンは苦戦。アバウトなロングボールはブライトンと同じく前がかりにプレスに来たチェルシーには通用せず。自陣での強引なバレバやアヤリのドリブルも引っ掛けてしまいロスト。空転するプレス、後手に回ってのファウル、収まらないロングボールなど苦しい要素が揃い続けたブライトンだった。
順当に先制したのはチェルシー。大外のグストのバックドアからエンソがミドルシュートを仕留めて先行する。
ポゼッションでゆったりとしたいチェルシーだが、ブライトンは依然としてハイプレスで息をつかせることを許さない。保持面でも両翼のファストブレイクで徐々にチャンスを作っていく。サイドでFKを得るとオフサイドトラップ狙いのチェルシーのDFラインを破ったりなど得点の匂いがするプレーも出てくるように。
リードをキープして迎えた後半、チェルシーはサントスのパスミスからチャロバーが退場。後半をまるっと数的不利で過ごすこととなる。
チェルシーは特別後ろを重くする訳ではなく普通のテンションで守るように。数的優位のブライトンは前半以上にサイドからスムーズに裏を取ることができる。すると77分にウェルベックが勝ち越しゴール。左サイドで後半は勝負したミンテのサイドからの打開で試合を振り出しに戻す。
同点になってから押し込まれることを許容したチェルシー。ブライトンはボックス内での時間を増やしていく。終盤はグストのハイキックが起因で大乱闘に。この大乱闘が開けたところからのデ・クーパーのゴールを見る限り、よほどブライトンの面々は鬱憤を溜めていたのだろう。
後半追加タイムにさらにもう1点を加えたブライトン。またしても大物食いを達成し、勝ち点3を敵地で掴み取った。
ひとこと
チェルシー、またしても10人。。
試合結果
2025.9.27
プレミアリーグ 第6節
チェルシー 1-3 ブライトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:24′ エンソ
BHA:,77′ 90+10′ ウェルベック, 90+2′ デ・クーパー
主審:サイモン・フーパー
第7節 リバプール戦(H)

CB負傷でも勇敢だったチェルシーが首位狩り
連戦連勝からここに来て連敗。トルコとロンドンという異なる2つのアウェイゲームで勝ち点を落としたリバプールの中断期間直前の一戦はチェルシーとの対戦となる。
チェルシーはかなりメリハリのあるプレスを敢行。ガルナチョがバックラインに入り、ククレジャも縦にスライド。サラーはバディアシルが監視する形でマンツー色の強い陣形で守っていく。
デビュー戦とママルタシュヴィリにとってはなかなか出す場所がない状況。こうなった場合は前線に起点を作りたいところだが、サラーやガクポと言った両翼は対面に苦戦する。ハイプレスを解除した際のチェルシーはオーソドックスな4-2-3-1にSHが下がって守備をしていたが、ガルナチョの助けを得たククレジャは難なくサラーを抑えていた。サラーが時間を作ればブラットリーが攻め上がれそうな感じはあったが、なかなかそうした場面は作れなかった。
チェルシーの保持に対して、リバプールは外切りでハイプレスにいこうとするが、逆にサラーの背後のククレジャからのキャリーで問題なく前進。カバーに来るグラフェンベルフやコナテもフィルターになりきれなかった感があった。
ショボスライは前、そしてグラフェンベルフがサイドのフォローとなると、中盤はやや人手不足。チェルシーはカイセド、エンソ、グストの3人で数的優位を使いながら中央で浮くと、最後はカイセドが思い切り振ったミドルでスーパーゴールをゲット。ホームチームが先制点を手にする。
先制点は流れを特に変えず。リバプールはトランジッションでの鋭さを出すことができず、前がかりの際は人を捕まえて、自陣に運ばれた時はきっちりスペースを埋めるというギアチェンジの間をつくことができず。43分のサラー→イサクの攻撃は受け渡しのギャップをついた攻撃ではあったが、イサクはワンチャンスを仕留められなかった。
一方のチェルシーはサイド攻撃に活路。相変わらず浮いているククレジャに加えて、ロングカウンターではネトとガルナチョが躍動。ショボスライがガルナチョを潰したシーンはファウルの有無は別としてリバプールにとって危険な侵入のされ方であったことは確かだろう。
後半、チェルシーはバックパスミスからリバプールにシュートチャンスを許す。アチェンボン、ジェームズの雑なパスワークは前節チャロバーが退場したシーンを彷彿をさせるものだった。
後半も互いにプレスをどう掻い潜ろうかを保持から解決していくスタート。リバプールはケルケスをインサイドに置くなどチェルシーのハイプレスの基準点に迷いを与えにいく。
チェルシーにとってはバディアシルの負傷が分水嶺。緊急事態への対応もそろそろ慣れてきたマレスカは本日はラヴィアをCHに入れて、ジェームズとアチェンボンをCBで組ませる形を作る。非保持においてはカイセドが最終ラインに吸収される形でフォローをしていたが、保持面でも時間を作りつつチェルシーらしいWG→WGの攻撃を見せることができていた。
しかし、リバプールはボックス内からミクロなスペースを作って同点。イサクの柔らかいエスコートにより、ガクポが同点ゴールを決める。このゴールで勢いに乗ったリバプールはトランジッションから縦に鋭い攻撃もようやく出てくるように。ただし、フィニッシャーのサラーが湿っていたのは相変わらずである。
チェルシーはさらにアチェンポンも負傷で失い、緊急事態感はさらに増していく。それでもギッテンス、エステバンなどサイドにアタッカーを投入することで勢いをさらに活性化していく。
オープンになった終盤戦を制したのはチェルシー。左サイドから抜け出したククレジャがファーのエステバンのゴールをアシスト。最終ラインに残ったグラフェンベルフとロバートソンはそれぞれ出し手と受け手にアプローチをすることができなかった。
前節に続き、劇的な決着での敗北となったリバプール。アウェイでの公式戦3連敗で中断期間を迎えることとなった。
ひとこと
そもそも人がいないCBに負傷者が出ても普通にリバプールと組み合った勇気に最後はご褒美が来たかなという感じ。
試合結果
2025.10.4
プレミアリーグ 第7節
チェルシー – リバプール
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:14′ カイセド, 90+5′ エステバン
LIV:63′ ガクポ
主審:アンソニー・テイラー
第8節 ノッティンガム・フォレスト戦(A)

失点が悪い流れを思い出させる
代表ウィーク後の再開はシティ・グラウンドから。未だ、ポステコグルーの初勝利がないフォレストに対して、メンバーのやりくりがハードなチェルシーが乗り込んでくる構図。
チェルシーは負傷者だらけのCBに加えて、南米組の2人がスターターから外れた構成となっている。まずは保持のフェーズが長いチェルシー。5-3-2ながらWBの前ズレ、IHのスライドが積極的なフォレストのプレスを交わすところから。CHが縦に大きく動きに周りが合わせる形が有力。SBのジェームズが絞ってグストのポジションを押し上げたり、ラヴィアが開いたところにペドロが降りたりなど。
確かにこの形はフォレストの中盤を広げるのには有効。しかしながら、過程でミスが出ることもしばしば。フォレストはショートカウンターからチャンスメイク。抜け出しかける形もあったが、チェルシーの緊急事態への対応はギリギリ間に合っていた感がある。
時間の経過とともにフォレストは保持の時間を増やす。3CHにトップ下のギブス=ホワイトもしくはSBのジンチェンコが中盤の4枚目に加わる形から相手のズレを作っていく。だが、定点攻撃はもう一味。長いレンジのボールの精度が刺さればチャンスになりそうな予感はあった。
長いレンジのボールの精度が合わないのはチェルシーも同じ。30分付近にはどちらのものでもない時間が続いていくことに。
前半の終盤は上下に動くペドロがチャンスメーカーとして躍動。20分までシュートチャンスがなかったチェルシーがシュートの機会を得るが、ゴールを得られないままハーフタイムを迎えることとなった。
3枚交代を敢行した後半のチェルシー。押し込むフェーズを続けると、セットプレーからの流れから先制。前に残ったアチェンポンが先制ゴールを仕留める。
立て続けにセットプレーから追加点を奪うチェルシー。イゴール・ジェズスが動いたことで割れた壁をネトは直接FKで撃ち抜いてみせた。
追いかけるフォレストは2点を取られたところでハドソン=オドイを投入してのシフトチェンジ。しかし、構造的に何かのズレを生み出すことはできず。それでも交代したハドソン=オドイのところからなんとかチャンスメイク。ニコ・ウィリアムスには左サイドから生み出された決定機をいかすチャンスが与えられたが、モノにできなかった。
同じ交代枠でもやや物足りなかったのがイゴール・ジェズス。なかなか長いボールの収めどころになれず、ハドソン=オドイが作り出したチャンスも仕留めることができなかった。
ハドソン=オドイ起点のチャンスを延々とフォレストが捨ててしまう中でチェルシーは試合を完全に決める3点目。ジェームズが自らの200試合出場を祝うミドルをCKから沈めてリードを広げる。
グストの2回目の警告でまたしても退場者を出してしまったが、それ以外は問題なかったチェルシー。苦しいやりくりとなった中断明け初戦のアウェイをクリーンシートで飾った。
ひとこと
まぁ、これまでの試合よりは良かったような気もするけども、やはり点を取られた後の流れは悪い時期を過ごしているチームであることを実感せざるを得ないフォレストだった。
試合結果
2025.10.18
プレミアリーグ 第8節
ノッティンガム・フォレスト 0-3 チェルシー
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
CHE:49′ アチェンポン, 52′ ネト, 84′ ジェームズ
主審:クリス・カヴァナー
第9節 サンダーランド戦(H)

淡白なカウンター対応と悪い時間の粘り腰
CLでは会心の勝利で退場者もなし。メンバーも大幅に入れ替えてのターンオーバーにも成功し、プレー管理も万全のチェルシー。出力を抑えながら高い成果を得た格好となる。サンダーランドは非常に実直なチームではあるが、ホームである以上負けるわけにはいかないところだろう。
立ち上がりの落ち着かない時間にチェルシーは首尾よく先制。縦に速く様子を見ている流れでロングボールの処理をミスしたサンダーランドの隙を見逃さず。対角のパスを受けたガルナチョが先制ゴールを叩き込む。
先制点で勢いに乗ったチェルシーは幅を取りながら押し下げ。ネトだけでなく、ガルナチョも大外からチャンスメイクを行っていく。5-4-1気味に守るサンダーランドは中央に絞るカイセドをどう捕まえるかが悩ましく、なかなかうまく対策を打てなかった印象だ。
いい入りの出来なかったサンダーランドだが、守備でもバックパスに呼応してラインを上げたりなど地道にリカバリー。非保持では5バック気味になっていたヒュームは保持時には4バックにシフトするように立ち位置を取る。ハイプレスに出て行く意欲の高かったチェルシーだが、サンダーランドもバラードの列上げから中央にギャップを作るなど、あくまでショートパスで対応していく。
徐々に列を上げた位置で奪う意識が高まったことが奏功したサンダーランド。高い位置に出て行ったバラードのカットから流れるようなカウンターで同点。イシドールのゴールで試合は振り出しに戻る。
以降は保持のチェルシー、カウンターのサンダーランドという構図。カイセドをタクト役として左右に動かしていきつつ、ジョアン・ペドロの裏抜けを織り交ぜて深さを作っていく。サンダーランドは大外レーンを走りながら前がかりな相手をひっくり返せるかというトライをしていく。
後半も構図は同じ。保持ベースのチェルシーがポゼッションでテンポをコントロール。前半に比べて右のSBの位置にエンソが降りるケースが出てくるなど変化をつける方向性が一味を加えてきた感がある。
サンダーランドは58分にイシドールが抜け出すアクションを見せるが、前半のように前に出て行くケースを多く作ることができずに苦戦。押し込まれながらチェルシーの攻撃を耐える時間帯が続いていく。
押し込まれる苦しい時間でも跳ね返しは安定していたサンダーランド。跳ね返し、奪ったところからの押し返しなど少しずつチェルシーの主導権に抵抗を見せ始める。
すると、その抵抗が実ったのは後半追加タイム。ブロビーの押し上げで攻めあがる時間を持ったタルビが決勝ゴールをゲット。苦しい時間帯にサンダーランドが見せた粘りを考えると、この場面のアダラバイオとチャロバーの淡白さはなかなか頭をかかえたくなるものだった。
劇的な逆転劇を果たしたサンダーランド。スタンフォード・ブリッジを制圧し、見事に4位に浮上することと相成った。
ひとこと
悪い時間帯の過ごし方がいいなと思えるサンダーランドであった。
試合結果
2025.10.25
プレミアリーグ 第9節
チェルシー 1-2 サンダーランド
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:4′ ガルナチョ
SUN:22′ イシドール, 90+3′ タルビ
主審:アンディ・マドレー
第10節 トッテナム戦(A)

相性に則った完勝
両チームの勝ち点差は3。チェルシーは上をいくトッテナムを追い落とすための絶好のチャンスと言える一戦。アゼルバイジャン遠征前の試合でなんとか勝利を収めたいところだろう。
目新しいベリヴァルのSH起用はいきなりの負傷で狙いが見えないまま終了。交代したシャビ・シモンズもベリヴァルと同じくインサイドに絞りながらのポゼッション。CHに引っ張られるように出ていくジェームズの背後をポイントとする形で縦パスを引き出すように降りていく。
大雑把に言えば、この形がハマるかどうかがチェルシーペースかトッテナムペースかに流れる分かれ目だったと言えるだろう。奪えればチェルシーペースだし、ここから加速できればトッテナムペースという感じであった。ややファウルが多く、展開としてはどちらのものでもないという感じであった。
チェルシーの保持においてはサイドにボールをつける外循環。トッテナムからボールを奪うトランジッション要素を絡めればチャンスになりそうな場面もあったが、シンプルにプレッシャーのない状況でサイドにつけるパスがズレてしまい、攻めきれなかった。
ファウルで試合がぶつ切りになるところも含めて試合はなかなかどちらかのものにならなかった展開。そうした試合を動かすのはミスかスーパープレー。この試合は前者だった。自陣での不用意としか言いようのないパスワークを掻っ攫われてしまい、カイセド→ペドロのラインで先制ゴールを決める。
このゴールで勢いに乗ったチェルシーはハイプレスでリズムを掴み、トッテナムを自陣から出させない。チェルシーがペースを握った状態でハーフタイムを迎える。
後半もテーマとしては同じで保持をベースにトッテナムが前に進めるかどうかがポイントになっていく展開。チェルシーのプレスは後半も機能性十分。トッテナムの左サイドに追い込むようなプレッシングからボールを奪いショートカウンターに。
敵陣でのプレーはファーサイドのクロスが有効。逆サイド狙いでトッテナムのマークの薄いところを狙っていく。
トッテナムはなかなか自陣から脱出することができない苦しい展開。ボールを奪い返すフェーズでは立ち上がりとは異なりむやみやたらに追いかけるケースが見られてしまい、チェルシーに受け流される場面もあった。
なかなかおい上げムードにならないトッテナムを尻目にチャンスを積み上げていくチェルシー。ヴィカーリオのセーブに阻まれて1点差は広がらないがそのまま試合を終えることには成功。チェルシーが相性のいいトッテナム相手に勝利をあげて先週の雪辱を果たした。
ひとこと
トッテナムはなかなかホームで勝てていないということで少し終盤にチームの追い上げを願うムードにスタジアムが染まりきらなかったなというのが気になった。
試合結果
2025.11.1
プレミアリーグ 第10節
トッテナム 0-1 チェルシー
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
CHE:34′ ジョアン・ペドロ
主審:ジャレット・ジレット
第11節 ウォルバーハンプトン戦(H)

好調のWGが攻撃を牽引
契約更新を発表していたヴィトール・ペレイラを我慢できず、未勝利のまま解任を言い渡したウルブス。この試合は暫定監督が指揮を執ることとなる。
しかし、序盤からチェルシーにペースを握られる苦しい展開に。5-4-1のような5-3-2のような形の守備はサイドか簡単に進まれてしまう。チェルシーはククレジャが最終ラインに入って3バック化、対する右サイドはグストが高い位置を取りながら進んでいく。
時折、ライン間のエンソが加速するとペースがかなり変わる。そうさせないようにウルブスはヒチャンが下がりながらカバーする形で対応していた。ボールを奪うと、ウルブスはすぐ右サイドのチョチュアにあずける。ウルブスはこのパスさえ通ればカウンターで前に進むことができる状態だった。
ただ、その手前で中盤がドリブルのし過ぎでロストする場面もしばしば自陣での簡易なロストからピンチに陥ってしまう場面も少なくなかった。ジョアン・ゴメスやアンドレのようなテクニカルなMFを使うことは功罪が両方あったように見えた。
主導権を握ったのはやはりチェルシー。3-2-5気味の布陣は後方の陣形を変えながら相手にプレスの基準点を与えることはなかったし、大外からの突破も有効。幅を使いながら高い支配力で前半の多くの時間を自分たちのペースで過ごす。
後半も大きく流れは変わらず。立ち上がりにネトのゴリ押しからチャンスメイクに成功すると、得点につながったのは逆サイドのガルナチョ。チャチュアを簡単に手玉に取りクロスを上げる間合いを作ると、グストに見事なラストパスを送った。
ウルブスはラーセン、ヒチャンの2トップが生み出す縦関係からチャンスメイク。彼らにサイドや中盤の選手が絡んでいく形でボールを動かし、チェルシーの4-2-3-1のプレスの間を取っていく。だが、チェルシーも高い位置からのビルドアップの阻害でウルブスを制圧。ミドルゾーンからのカウンターでスピードアップした形を作り、さらなるゴールを狙っていく。
チェルシーに追加点をもたらしたのは交代選手。右に入ったエステヴァンは早々に活躍。右サイドから鋭く1枚剥がすことに成功すると、ラストパスをペドロが仕留めてゴール。さらにリードを広げる。
さらにはカウンターからチェルシーは追加点。左サイドのガルナチョの一撃からダメ押しの3点目を決める。
チェルシーがトーンダウンした直後はボールを持つことができたウルブスだが、最後まで攻撃の形を明確に作ることはできず。試合はチェルシーの完勝で幕を閉じることとなった。
ひとこと
WGの好調さが際立つチェルシーだった。
試合結果
2025.11.8
プレミアリーグ 第11節
チェルシー 3-0 ウォルバーハンプトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:51‘ ガルナチョ, 65’ ペドロ, 73‘ ネト
主審:アンドリュー・キッチン
第12節 バーンリー戦(A)

寄り道しながらバーンリーを振り切る
今年最後の代表ウィーク明けの試合はターフ・ムーア。チェルシーは10月に続き、代表ウィーク明けにランチタイムのアウェイゲームをぶち込まれたこととなる。
総じて、バーンリーは2週間のインターバルを使ってチェルシーをよく研究してきたなという印象を受けた。4-3-3でトップのフレミングはアンカー役のサントスを監視。3バックに対しては特にCCBへは深追いをせず、アンカーと両サイドを牽制することを優先する。
チェルシーはアダラバイオかサンチェスがなんとかしなければ構造のズレを作れない状況。だが、この2人は周囲の連携から打開策を見つけることができず。バーンリーに対して苦戦する。
バーンリーでは保持でも準備の跡が伺える格好。インサイドに絞るウォーカー+デフォルトの3センターという数の論理でプレスを誘発したところから縦に差し込みつつ前進する。中盤の段差を作る動きの刺さり方はパーカーがこのチームにポゼッションを落とし込みたい本気度を感じるものだった。
右に流れるウゴチュクはアタッキングサードへの侵入の決め手。ククレジャはトランジッション時にはいないし、いたとしてもワイドのチャウナの監視が基本線なので、サイドに流れるウゴチュクを捕まえきれない。ここからマイナス方向の折り返しからのミドルはバーンリーの狙い目だった。
スペースを作って、そこから加速してという流れは作れていたバーンリーだが、シュートのところまでに徐々に選択肢が狭まっていく分、チェルシーは最後の体の投げ出しが間に合った感。オープンな形でサンチェスを脅かすシーンは意外と少なかった。
保持ではなかなか構造的なズレを生み出せなかったチェルシーだが、力技でリカバリーを図っていく。ネトのところは行けそうではあったが、ギッテンスとデラップがややブレーキ気味。プレー選択と精度がなかなか刺さり切らなかった感があった。
しかし、先制点の場面はようやく前線同士が繋がった感があった。ギッテンスからのクロスに飛び込んだのはネト。ボックス内にエンソが入り込めたことも含めてバーンリーに選択肢を突きつけられた形であった。
先制点の場面ではククレジャが抜け出したように徐々にバーンリーは不定形ポジショニング型の選手を捕まえきれないように。ククレジャ以外ではジョアン・ペドロの移動がチェルシーに刺さった感がある。先制点以降は明確にチェルシーペースで試合が流れた。
後半も流れは前半の終盤と同じ。チェルシーはウォーカーとトゥアンゼベの間とチャウナの背後のスペースを集中的に攻めることで攻略していく。
チェルシーが安全な選択肢を取る傾向ということもあり、バーンリーはなかなか非保持からリズムを掴めず。ならば、保持から縦パスを差し込んでいきたいところだが、チェルシーの中盤は対応に慣れてきた印象で前半のように上手く試合運ぶことができなかった。
チェルシーは左サイドにグストを投入。いつも右サイドでジェームズとやっていることを左サイドでククレジャとのデュオに移植する形で攻めていく。ただ、色々攻撃のバランスを変えたこともあり、少し守備のバランスは怖いところ。攻撃もやや淡白でぼんやりした時間帯となった。
ぼやけた終盤を迎えたチェルシーに勝利を確実にもたらす追加点をもたらしたのは右サイドからの攻撃。ネトとグイウで右サイドを押し切ると、マイナスの折り返しをエンソが仕留めてリードを奪う。
このゴールで試合は決着。寄り道をしながらも難しいアウェイゲームを制したチェルシーだった。
ひとこと
チェルシー、次に勝てば1試合平均勝ち点が2.0に乗ることになる。アーセナル戦はさらに上に行けるかの試金石になる試合となる。
試合結果
2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
バーンリー 0-2 チェルシー
ターフ・ムーア
【得点者】
CHE:37′ ネト, 88′ エンソ
主審:ピーター・バンクス
第13節 アーセナル戦(H)

自信をつける1ポイントに
レビューはこちら。

2位のチェルシーが1位のアーセナルを追い上げるためのビッグ・ロンドン・ダービー。挑戦者の立場のホームチームは決戦仕様でアーセナルを迎え撃つ。敵陣から積極的に追い立てるハイプレスからアーセナルを苦しめる。
特に中盤の移動に徹底的についていくスタイルはこの日のチェルシーの旗印。下がるエゼや列を挙げるスビメンディにカイセドやエンソがついていくことで徹底的にアーセナルにチャンスを許さない。
アーセナルはサカとククレジャのマッチアップからチャンスを作るが、サカの得意技である半身の横断からの中央を経由するパスはカイセドがカット。不慣れなCBコンビとなったアーセナルのバックラインがバタバタだったこともあり、チェルシーは非保持からペースをつかむ。
保持では同じくハイプレスに出てきたアーセナル相手にジェームズが見事な移動で受け手になることでプレス回避に成功。中央で加速する選手がアーセナルの中盤とバックラインから警告を引き出していく。
完全に試合の流れを握ったチェルシーだったが、カイセドの退場で試合は一変。中央に下がることで浮いたメリーノへのチャレンジが遅れてしまい、チェルシーは数的不利に追い込まれてしまう。
5-3-1でリトリート色を強めるチェルシー。サンチェスのファインセーブで失点ことしなかったものの、重たい負債を背負うこととなってしまった。
後半、チェルシーはセットプレーから早々に先制。CKからチャロバーがネットを揺らし先行。千載一遇の3ポイントのチャンスを得る。
ネトを右の前に残し、サンチェスのクロスカットからひたすらネトを狙うという形で速攻を確立したチェルシーに対してアーセナルは苦戦。10人のチェルシーに対してなかなか有効打を打つことができない。
それでも1つ目の有効打を得点につなげるのだからアーセナルもさすが。サカの突破からサンチェスを超えるクロスでメリーノの同点ゴールを生み出し、試合を振り出しに戻す。
失点してもチェルシーの光は消えず。CBのトランジッション時のキャリーやネトやデラップを軸としたファストブレイクにより、確実にアーセナルから時間を奪い取っていく。
ウーデゴール、ギョケレシュといった復帰明けの面々を投入し得点を狙うアーセナル相手に最後まで10人で食い下がったチェルシー。互角以上の内容で首位に対峙した90分は勝ち点3こそのがしたものの大きな自信となっただろう。
ひとこと
10人でのねらい目を整理したチェルシーと10人相手のねらい目を整理できなかったアーセナルのコントラストが際立った後半だった。
試合結果
2025.11.30
プレミアリーグ
第13節
チェルシー 1-1 アーセナル
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:48’ チャロバー
ARS:59‘ メリーノ
主審:アンソニー・テイラー
第14節 リーズ戦(A)

いい流れを継続することできないチェルシー
前節は首位のアーセナル相手に10人で奮闘を見せたチェルシー。大善戦の自信を継続させるにはカイセドなしで難所のエランド・ロードを攻略しなければいけない。勢いを持続させるための難しいミッションに取り組む一戦だ。
リーズは前節のハーフタイムに採用した3-5-2を継続採用。前からのプレスで積極的に出ていくことでチェルシーのバックスに圧力をかける。奪ったら素早く前線にロングボール。キャルバート=ルーウィンにボールを当てつつ前進を狙う。
チェルシーも同様にデラップをめがけて前に出ていくスタート。しかし、序盤に優勢だったのはリーズ。サイドからのクロスに対してリーズの2トップはボックス内で主導権を握れる手応えも。単純なハイクロスでも競り勝てるポテンシャルを感じる身体能力の高さで優位に立つ。
するとリーズはセットプレーから先制。圧倒的に先に触ったビヨルがスタメン起用に応える一撃をお見舞いする。以降もセットプレーからストライクが決定機を迎えるなどチャンスは継続。
チェルシーは少しずつ3-1-6のポゼッションからボールを動かしていく展開。リーズは先制したこともあり自重気味なプレスにシフト。失点後はチェルシーの保持主体で試合が進む。しかしながら、自陣での簡単なミスからなかなかリズムを掴むことができず。サンチェス、アダラバイオ、サントスといった守備側の選手たちのクオリティがこの日はなかなか上がってこない。
きっちりと構えてミスを待ち、カウンターとCFを軸とした左右に揺さぶるポゼッションの両方で試合を掴むことができたリーズ。田中の反転シュートでリードをさらに広げる。
後半、チェルシーは前線にネトを投入。左サイドのギッテンスからのファークロスで早速押し込んで1点差まで迫る。だが、リーズは中盤からのポゼッションで主導権を離さず。デュエルと縦パスからボールを動かして敵陣に入り込んでいく。
パーマーの投入で再びリズムを作っていきたいところではあるが、この日のチェルシーはやはり低い位置でのポゼッションの粗さが足枷に。なかなか前にいい形でボールを運ぶことができないまま時間が過ぎていく。
すると、アダラバイオが決定的なミス。リーズに3点目をプレゼントしてしまうことに。最初から最後までパリッとしなかったチェルシーはアーセナル戦のいい流れをキープすることができなかった。
ひとこと
リーズに完全に飲み込まれてしまった。
試合結果
2025.12.3
プレミアリーグ 第14節
リーズ 3-1 チェルシー
エランド・ロード
【得点者】
LEE:6′ ビヨル, 43′ 田中碧, 72′ キャルバート=ルーウィン
CHE:50′ ネト
主審:ダレン・イングランド
第15節 ボーンマス戦(A)

縦に速い展開ながらも貫く一撃を手にできず
エランド・ロードで手痛い敗戦を喫し、勝ち点を積み上げられなかったチェルシー。アーセナル戦で撃ち込まれたカイセド3試合不在という毒針はじわじわと遅れて効いてきている。今節の相手はボーンマス。持ち味である縦へのシャープさにやや翳りが出てきており、悩ましい時期を過ごしているチームだ。
持ち味を取り戻すようにプレスと縦に速い攻撃を繰り返す立ち上がりとなったボーンマス。その甲斐もあり、トランジッションから右サイドのクロスをセメンヨが叩き込んでネットを揺らす。しかし、これは直前に触ったエヴァニウソンがオフサイド。先制の絶好のチャンスを逃してしまう。
立ち上がりはハイテンポを作り出したボーンマスペース。リーズ戦では後方のユニットの不安定さを露呈したチェルシーはその出来を引きずってしまっているかのような序盤戦だった。しかし、そうしたチェルシーを支えたのはジェームズ。アーセナル戦でも獅子奮迅の活躍を見せたジェームズはこの日はビルドアップの調整役として奮闘。細かく立ち位置を変えながらマンツー気味の相手を外していく。
前への推進力を見せていたデラップも気持ちは見えないこともなかったが、アグレッシブな気持ちがやや裏目に出るような形で相手と組み合ったセットプレーで脱臼。離脱を余儀なくされてしまう。それでもパーマーが安定して運ぶためのスペースを作るためには一定の貢献はしていた。
デラップがいなくなったことでボーンマスのプレス強度がジリっとアップ。ボール奪取の位置が高くなり、敵陣の深い位置でのプレータイムが増えていく。チェルシーはなんとかこの時間を踏ん張りつつスコアレスをキープしてハーフタイムに突入した。
後半もアグレッシブな連携でスタートしたこの試合。バタバタとした流れから両チームのサイドアタッカーであるネトとタヴァニアが早速見せ場を作るなど激しい展開が続く。
サイドアタッカーのシャープさはややチェルシーの方が上。しかしながら、ボーンマスも中央からスコットがキャリーを行うことでチャンスメイク。フォファナの防波堤としての役割が際立つシーンも目についた。
終盤はボーンマスを少しずつ押し込んでいくが決め手がなかなか刺さらないチェルシー。切り札として投入した感のあるエステヴァンも精彩を欠き、ボーンマスのゴールマウスを強襲するところまでは至らない。
結局試合はそのまま終了。縦に速い展開ながらも最後まで相手ゴールをこじ開ける一撃は決まらず。スコアレスドローで勝ち点1を分け合う結果となった。
ひとこと
チェルシー、何よりも欲しかった勝ち点3が手に入らなかった。
試合結果
2025.12.6
プレミアリーグ 第15節
ボーンマス 0-0 チェルシー
ヴァイタリティ・スタジアム
主審:マイケル・オリバー
第16節 エバートン戦(H)

3連戦最後は勝利で
カイセドの不在期間でここまで2つ勝てていないチェルシー。ホームに戻っての一戦でなんとか最後は勝ち点3で締めくくりたいところではあるだろう。
チェルシーの保持は3-2-5。中盤が3枚以上に変形する形でエバートンの中盤3枚のマンツーを外していく。特に右のネトに預ける形は有望で彼に時間を与えることでパーマー、グストとのトライアングルでの攻撃にシフトできる。内にも入っていくグストに対して、グリーリッシュがどこまでついていくか?という点は曖昧だったため、サイドのトライアングルでの攻撃はチェルシーに手応えがあった形ではあった。
エバートンはセットプレーからチャンスを作るなど悪い立ち上がりではなかったが、デューズバリー=ホールの負傷などこの先を見据えたところも含めた不安要素が出てくる。さらにはチェルシーに定点攻撃から先制ゴールをあっさりと。グストからパーマーに繋いだ先制点は3-2-5で4-4-2を攻略するときのお手本のような形であった。
このゴールでチェルシーはプレスにもいい流れが。ワンサイドに追い込むような形から高い位置でエバートンのビルドアップを阻害する。エバートンもワンサイドカットからのハイプレスは狙っていたが、大きな展開でネトにボールを預けられると一気に押し下げられるという状況に持ち込まれていた。
展開を変えたのは右サイドのオブライエンのオーバーラップだろう。グリーリッシュと同じく上がっていくSBにベタつきしなかったガルナチョがオブライエンを開けてしまうことで、エバートンは右サイドからのクロスを乱発。決定機を迎えたシーンも。逆サイドのグリーリッシュの仕掛けを含めてエバートンが優位に立った時間帯だった。
だが、サイド攻撃で優位を取られたとしてもネトを軸とした攻撃の機能性は維持されている。前半の終了間際もこの右サイドの関係性をファストブレイク気味に生かしてグストが追加点。チェルシーが効率よくリードを広げてハーフタイムを迎える。
後半もペースはチェルシー。サイドにボールを当てつつ、マイナスのパスで中盤をフリーにする形で盤面を握る。エバートンは前線からの守備が制限をかけられず、プレスバックが甘い状況で中盤にスペースができてしまった。
フリーになった中盤から右サイドで手数をかける形と裏に狙う形からチャンスメイク。しかし、ガルナチョが度重なる決定機を決められず、リードは2点のままだ。
エバートンはマイコレイコのオーバーラップの形を作れればチャンスになりそうだが、そうした形は限定的。チャロバーとフォファナのCBの跳ね返しも非常に安定。サンチェスの間合いを外したエンジアイの決定機などチャンスは少ないわけではなかったが、そこは前線のアタッカー陣の失い方も関与してくるところ。エステヴァンは少しお疲れのタームに入ってしまったかもしれない。
終盤は増えてきたマイコレンコのオーバーラップからのチャンスを防ぎ切ったチェルシー。カイセド不在の3連戦の最後を勝利で飾った。
ひとこと
今のチェルシーは後ろの出来が天井を決めている感があるなと思った試合だった。
試合結果
2025.12.13
プレミアリーグ 第16節
チェルシー 2-0 エバートン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
EVE:21′ パーマー, 45′ グスト
主審:トーマス・ブラモール
第17節 ニューカッスル戦(A)

一方的な前半、不安定な後半
共にCLを戦いながら国内カップでも上位に進出しているニューカッスルとチェルシー。揃って準決勝進出を決めて、無事にカラバオカップの越年に成功することとなった。
序盤から強度の面で差をつけたのはホームのニューカッスル。高い位置からのプレスに加えて、ロングボールの跳ね返しも安定。チェルシーの縦に速い攻撃を食い止めていく。
守備からシームレスに攻撃に移るところでニューカッスルは先制点をゲット。フォファナの持ち運びを咎めたところからのショートカウンターをヴォルテマーデが仕留めてリードを奪う。
この先制点以降もチェルシーは苦戦。ニューカッスルは保持から中央の縦方向に揺さぶりを敢行。パーマーとCHでアンカーのトナーリを受け渡させたり、あるいは中盤が前がかりになったところをヴォルテマーデが使ったりなど。
こういうニューカッスルのポゼッション起点の縦方向の揺さぶりに対して、チェルシーの守備は一歩遅れ。高い位置から捕まえるきっかけをつかむことができない。中央で起点を作ることができたニューカッスルはサイドに展開し、チェルシーのバックラインを背走させられてしまう。
逆にチェルシーは追い詰めて蹴らされてしまうと一気に苦しくなる。3-2-5でショートパスから動かしていきたいが、追い詰められたときに交わす形をなかなか作れなかったし、前線に託したいターゲットがない状態である。
保持からリカバリーが難しいチェルシーは非保持から降りるニューカッスルの選手を捕まえるところから反撃。ただ、捕まえることができても結局ファウルになってしまうことは少なくなく、セットプレーのチャンスは与えてしまっていた。
このセットプレーのチャンスからニューカッスルは追加点。左サイドからのゴードンの突破に対して、再びヴォルテマーデが仕留めてリードをさらに広げる。以降も前に起点を作らせないチェルシーに対して、ニューカッスルは一方的に押し込む形に。左右からのクロスでチャンスをつかむなど3点目が入らない状態でチェルシーが何とか踏ん張る形でハーフタイムを迎える格好となった。
後半、チェルシーはボールハントに対して能動的なスタート。高い位置からのチェイスからリズムを奪いに行く。ニューカッスルはサイドからリカバリーし、縦に速い展開で組み合っていく立ち上がりとなった。
そうした中でチェルシーはセットプレーから追撃。ジェームズの直接FKが決まり、1点差に迫る。
このゴール以降も展開は変わらず。前半のようなニューカッスルの一方的なターンだけではなく、両チームに平等に機会があり、守備側には間延びが認められるような状況だった。
ジョアン・ペドロとティアウのマッチアップからチェルシーがゴール。1つの入れ替わりの対応がゴールまでの電車道に。展開と盤面を考えればニューカッスルにとっては絶対に避けたいミスだった。
ニューカッスルも前線を入れ替えることで奮闘。ウィサとバーンズの流れるようなカウンターから抜け出す場面も作ったニューカッスルだが、ジェームズの危機管理がさえわたり決定機を得点につなげることができない。
選手交代から馬力を注入することはうまくいったニューカッスルだが、最後のところで体を張るチェルシーのゴールを破ることはできず。試合はドロー決着となった。
ひとこと
ニューカッスルとしては前半に得たプラスに比べると、手元に残った勝ち点は少し寂しい感じ。不安定な展開ながらもチェルシーは何とか勝ち点をもぎ取って見せた。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ 第17節
ニューカッスル 2-2 チェルシー
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:4′ 20′ ヴォルテマーデ
CHE:49′ ジェームズ, 66′ ペドロ
主審:アンディ・マドレー
