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「Catch up Premier League」~Match week 11~ 2025.11.8-11.9

目次

トッテナム【6位】×マンチェスター・ユナイテッド【8位】

総取り決戦から装いを変えて

 昨年のこのカードといえばEL決勝だろう。情けないシーズンを全て帳消しにするために喉から手が出るほど欲しいCL出場権をかけての一番となった。今年は6位対8位。まだまだ国内の順位が勝負することができる両軍の一戦となる。

 見た目的には4-2-3-1と3-4-2-1の噛み合わせ。しかしながら、保持時に3-2-5に変形することが定番のトッテナムにとっては非保持のユナイテッドと噛み合うこととなる。

 そのため、工夫をしたのは前線の配置。1トップ+2シャドーが多かったここまでだが、この日は前線のリシャルリソンとトップ下のシモンズという形でトップ下を棲み分けていく。

 確かにこれで前線の配置はズレる。その一方で、バックスは3トップに噛み合わされる形に苦戦。唯一浮くヴィカーリオもフィードの精度で勝負するタイプではないとなれば、ショートパスから前線に届けるケースがなかなか生み出されないという苦しいところがあった。

 配置の面で優位を取れないのはユナイテッドも一緒。しかしながら、ユナイテッドは体を相手にぶつけながらキープをできるCF陣がいる。この日はシェシュコがベンチスタートではあったが、ムベウモとクーニャの2人が上手く時間を作ることができていた。

 前線の個の力を活かすカラーが強かったユナイテッドは前半のうちに先制。左右に揺さぶる中で浮いたムベウモが見事にゴールを叩き込んだ。

 このゴールでユナイテッドはさらに勢いに乗った印象。チェックが遅れるトッテナムに対して、前線はターンから推進力を出していくことでトッテナム陣内に侵攻。優位のままハーフタイムを迎える。

 後半、トッテナムは選手交代を敢行。消えていたコロムアニに代えて、オドベールを投入。前線の構造を元来の形に近いように戻す。

 ユナイテッドはリードをしたこともあり、リトリート成分が強い方向に舵を切る。バックスの噛み合わせに苦戦していたトッテナムとしては相手のラインが下がったことにありがたさを感じつつも、今度は前線が噛み合った状態を解消できないというジレンマに悩まされることとなった。

 なかなかきっかけをつかめなかったトッテナムを救ったのはテル。ボックス内の華麗な身のこなしでシュートの隙間を作ると、豪快な一撃を突き刺す。

 終盤に試合を振り出しに戻したトッテナムはAT突入直後にリシャルリソンのゴールで逆転。一気に試合をひっくり返す。

 熱い逆転勝利を手にしたかに思えたトッテナムだが、ほぼラストプレーでユナイテッドもデ・リフトがゴール。終盤10分で目まぐるしく戦況が入れ替わった一戦はドローで決着することとなった。

ひとこと

 テルの一撃、加入後で一番価値があるものだったように思える。

試合結果

2025.11.8
プレミアリーグ 第11節
トッテナム 2-2 マンチェスター・ユナイテッド
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:84′ テル, 90+1′ リシャルリソン
Man Utd:32′ ムベウモ, 90+6′ デ・リフト
主審:サム・バロット

エバートン【14位】×フラム【15位】

淡白さが際立つ相手を置き去りに

 立ち上がりにボールを持つのはエバートン。バックラインにはプレスにいかないフラムに対して、エバートンは後方からの組み立てを敢行。左右にボールを動かしながらビルドアップをしていく。DFラインはSBが低い位置にポジションを取りつつ、前線と中盤で上下動しながら奥行きを作り出していく。

 エバートンは左右の深いところからチャンスメイク。右サイドからのシンプルなクロスや、左サイドからの横パス→裏パスで抜け出しを作ったりなどバリーに懸命にシュート機会を与えにいく。だが、これをバリーは仕留めることができなかった。

 フラムはエバートンに比べると前進に苦しんでいる感があった。ライン間で前を向くことができれば、スピードアップはできるが、それはエバートン側も同じ条件。保持でボールを持たしてもらった時にプラスアルファを作り出すことができず、なかなかボックスに迫ることができない。

 一時期はフラムにボールを持たれることを許していたエバートンだったが、30分前後に再び持ち直しに成功。一方的に押し込みながら左右からクロスを入れていく。度重なるオフサイドに見舞われてなかなかゴールを揺らすことができなかったが、前半の追加タイムにようやく先制点。ターコウスキの高さを生かしたところからの混戦で最後はゲイェが押し込んで仕留める。試合はそのままハーフタイムに。エバートンは1点のリードを手にして前半を終えることとなった。

 後半、逆転を狙うフラムはポゼッションで後方を3枚にすることで少しずつ保持の割合を増やしていく。エバートンはややラインが下がりながらもコンパクトな陣形をキープする。

 エバートンは保持に回ればきっちり押し込むフェーズまでたどり着くと、前半と同じようにセットプレーを駆使してゴールに向かっていく。ネットを揺らすシーンはやたらとあったが、後半もオフサイドで取り消されるなどバタバタしながらなんとか無失点が続くことに。

 チャンスが少ない均衡した展開となったこの試合。なかなかチャンスが巡ってこない中で再び試合を動かしたのはセットプレー。キーンの見事な一撃で試合は事実上決着したと言えるだろう。

 フラムは2点をリカバリーしなければいけない展開にも関わらず、なかなかギアアップできず。エバートンの方がまるで点をとりにいっているのかな?と思うくらい押し込みながら相手のブロック崩しにトライしていた。

 試合はそのまま終了。一度手にしたアドバンテージが揺るぐことがないままエバートンが勝利を収めた。

ひとこと

 先制してからは非常に淡白なフラムだった。

試合結果

2025.11.8
プレミアリーグ 第11節
エバートン 2-0 フラム
ヒル・ディッキンソン・スタジアム
【得点者】
EVE:45+4′ ゲイェ, 80′ キーン
主審:アンディ・マドレー

ウェストハム【18位】×バーンリー【17位】

下位キラーを返り討ちに

 下位相手であればここまでまんべんなく結果を出しているバーンリー。今節の相手は下位に沈むウェストハム。得意のシチュエーションの相手に今節も結果を出すことができるだろうか。

 ボール保持の局面が多かったのはウェストハム。パケタが列落ちをしつつゲームメイクを主導。対角のパスをしながら大きな展開やIHのフェルナンデスやポッツと共に深い位置からのポジション交換で前進していく。

 サイド攻撃はその分シンプル。右はワン=ビサカとポッツのコンビネーション、左はサマーフィルの加速による短期突破からチャンスを作る。中盤さえ浮けばこの両サイドへの展開から敵陣に進むことができたウェストハムだった。

 一方のバーンリーはフレミングをターゲットにするロングボールから。いつもは余裕があればショートパスを使っていくバーンリーだが、この日は長いボールが主体。中盤ではウゴチュクが長いボールのターゲットに。ウェストハムは簡単にスライディングすることでバーンリーにかわされてしまう場面もあった。ここはバーンリーが狙えそうな隙であった。

 とはいえ、ゴールまでのルートは同じ。ハートマンの抜け出しからのクロスがチャンスの構築の大きな働きを果たすこととなった。先制点はバーンリー。右サイドからのクロスからフレミングがゴール。上り調子のストライカーが今節もゴールを決める。

 しかし、ウェストハムも前半の内に同点。左サイドからのクロスにウィルソンが巧みに抜け出してハーフタイム前に追いつく。

 後半、ウェストハムは圧力を高めるスタート。サイドの高い位置で止めるアクションからバーンリーを咎めに行く。バーンリーは左右に動きながらボールを引き出すフレミングからプレスを回避しに行く。

 中盤が浮く形を作れれば左右に振ることができるのはバーンリーも同じ。前半のウェストハムのように少しずつ後半は大きな展開から時間を作ることができるバーンリーだった。

 しかし、ウェストハムも中盤の移動から細かい段差を作り、前進に成功するとセットプレーから勝ち越し。二次攻撃となるシュート性のボールを止めることができなかったドゥブラーフカがこぼしたところをソーチェクが押し込む。

 5バックにシフトして逃げ切りを図るウェストハムは追加点をしたたかに。少人数でのカウンターを見事に呼び込んだのはまたしてもソーチェク。大胆なドリブルからのミドルでまたしてもこぼれ球を生み出して3点目の起点となる。

 最後はアレオラもボールをこぼしてしまい1点差まで迫られたバーンリーだったが、反撃もそこまで。ウェストハムは何とか逃げ切りに成功し、下位キラーを返り討ちにした。

ひとこと

 GKが変な弾き方をするシーンがやたら多い試合だった。

試合結果

2025.11.8
プレミアリーグ 第11節
ウェストハム 3-2 バーンリー
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:44’ ウィルソン,77‘ ソーチェク, 87’ ウォーカー=ピータース
BUR:35‘ フレミング, 90+7’ カレン
主審:マイケル・サリスベリー

サンダーランド【4位】×アーセナル【1位】

意地がぶつかり合う90分

 レビューはこちら。

 無失点と連勝を積み重ねるアーセナル。迎えるのは今季ここまでリーグ戦で無敗を誇るサンダーランドのホームスタジアム。好調の彼らを乗り越えなければこの1ヵ月を連勝で締めくくることができない。

 5-4-1でブロックを組むことを優先するサンダーランド。まずはアーセナルがボールを持つスタート。メリーノ、エゼが低い位置まで降りるアクションを見せることで安定して右サイドにボールを付けることはできていたが、サカとティンバーの2人では戻りの速いサンダーランドの守備網をこじ開けることができず。サカに対してのダブルチーム、そしてフォローに回るサディクの3枚によって、アーセナルの右サイドの突破の効果は限定的に抑えられる。

 一方のサンダーランドはイシドールへのロングボールから反撃。ガブリエウ、サリバ相手でも1枚であればキープできるイシドールによって、トラオレが抜け出すシーンが出てくるように。

 長いボールはこれだけでなくアーセナルをこじ開ける形にも活用。ムキエレへのロングボールからの落としを見事に押し込んだバラードが1ヵ月以上ぶりにアーセナルに失点を味わわせることとなった。

 このゴールによってアーセナルはバタバタ。やたらとファウルを犯すことでリズムをつかめなくなってしまう。試合はサンダーランドのリードでハーフタイムを迎える。

 後半、アーセナルはポゼッションからのチャンスメイクに再びトライ。サイド攻撃の自由度を上げることで敵陣に迫っていく。特に左のハーフスペースは集中的に。サカ、ティンバー、スビメンディなど多様なメンバーがこのサイドに突撃していく。

 さらにはサンダーランドが前半から自信を持っていた保持でもアーセナルはプレスでひっかける場面が出てくるように。メリーノがひっかけたシーンでは事なきを得たサンダーランドだが、その後のライスのボールハントはゴールにつながることに。冷静なメリーノとニアにぶち込むしかないサカがそれぞれ見事な精度でゴールまでの道筋を完成させる。

 さらには押しこむ局面においてトロサールが追加点。カラフィオーリの走り込みを利用して相手の逆を取り、コースを作り出すと見事な弾丸シュートでアーセナルを逆転に導く。

 このまま逃げ切るかと思われたサンダーランドだったが、終盤に同点に。アクロバティックなシュートをゴールに押し込んだのはブロビー。前線を増やしたパワープレーが奏功し、追加タイムに振り出しに戻す。

 激闘の90分はドロー決着。両チームの意地が垣間見えた見ごたえのある一戦だった。

ひとこと

 またしてもアーセナルの失点はタインウェア地方でのものだった。

試合結果

2025.11.8
プレミアリーグ 第11節
サンダーランド 2-2 アーセナル
スタジアム・オブ・ライト
【得点者】
SUN:36‘ バラード, 90+4’ ブロビー
ARS:54‘ サカ, 74’ トロサール
主審:クレイグ・ポーソン

チェルシー【7位】×ウォルバーハンプトン【20位】

好調のWGが攻撃を牽引

 契約更新を発表していたヴィトール・ペレイラを我慢できず、未勝利のまま解任を言い渡したウルブス。この試合は暫定監督が指揮を執ることとなる。

 しかし、序盤からチェルシーにペースを握られる苦しい展開に。5-4-1のような5-3-2のような形の守備はサイドか簡単に進まれてしまう。チェルシーはククレジャが最終ラインに入って3バック化、対する右サイドはグストが高い位置を取りながら進んでいく。

 時折、ライン間のエンソが加速するとペースがかなり変わる。そうさせないようにウルブスはヒチャンが下がりながらカバーする形で対応していた。ボールを奪うと、ウルブスはすぐ右サイドのチョチュアにあずける。ウルブスはこのパスさえ通ればカウンターで前に進むことができる状態だった。

 ただ、その手前で中盤がドリブルのし過ぎでロストする場面もしばしば自陣での簡易なロストからピンチに陥ってしまう場面も少なくなかった。ジョアン・ゴメスやアンドレのようなテクニカルなMFを使うことは功罪が両方あったように見えた。

 主導権を握ったのはやはりチェルシー。3-2-5気味の布陣は後方の陣形を変えながら相手にプレスの基準点を与えることはなかったし、大外からの突破も有効。幅を使いながら高い支配力で前半の多くの時間を自分たちのペースで過ごす。

 後半も大きく流れは変わらず。立ち上がりにネトのゴリ押しからチャンスメイクに成功すると、得点につながったのは逆サイドのガルナチョ。チャチュアを簡単に手玉に取りクロスを上げる間合いを作ると、グストに見事なラストパスを送った。

 ウルブスはラーセン、ヒチャンの2トップが生み出す縦関係からチャンスメイク。彼らにサイドや中盤の選手が絡んでいく形でボールを動かし、チェルシーの4-2-3-1のプレスの間を取っていく。だが、チェルシーも高い位置からのビルドアップの阻害でウルブスを制圧。ミドルゾーンからのカウンターでスピードアップした形を作り、さらなるゴールを狙っていく。

 チェルシーに追加点をもたらしたのは交代選手。右に入ったエステヴァンは早々に活躍。右サイドから鋭く1枚剥がすことに成功すると、ラストパスをペドロが仕留めてゴール。さらにリードを広げる。

 さらにはカウンターからチェルシーは追加点。左サイドのガルナチョの一撃からダメ押しの3点目を決める。

 チェルシーがトーンダウンした直後はボールを持つことができたウルブスだが、最後まで攻撃の形を明確に作ることはできず。試合はチェルシーの完勝で幕を閉じることとなった。

ひとこと

 WGの好調さが際立つチェルシーだった。

試合結果

2025.11.8
プレミアリーグ 第11節
チェルシー 3-0 ウォルバーハンプトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:51‘ ガルナチョ, 65’ ペドロ, 73‘ ネト
主審:アンドリュー・キッチン

クリスタル・パレス【9位】×ブライトン【10位】

ダービーらしいスコアレス

 ともに長い期間プレミアに定着し、当事者だけでなく他チームのファンにとってもお馴染みになってきたM23ダービー。こういう呼称はない説もあるが、個人的には楽しみにしているマッチアップの一つである。

 観る側がどう捉えるかは別として立ち上がりから繰り広げられた光景はダービーらしい激しさそのもの。立ち上がりだろうと構えて受けることが多いパレスが右サイドを軸に片上げの形から前プレスに出て行ったことがこの試合を特別なものとして捉えている何よりの証拠だろう。

 ただ、積極的な守備を攻撃は上回った感がある立ち上がり。ブライトンは好調のラターとウェルベックがライン間に陣取って起点となり、一気に畳み掛け。前進に成功したところからゴメスが決定機を作り出す。

 一方のパレスの保持でも攻撃優位の構図は同じ。表に裏にボールを引き出すサールを起点に縦に速い攻撃に右の大外のムニスが絡むいつもの形からゴールを捉えるシュートを打つ。

 だが、両軍のGKはともに枠内シュートをシャットアウト。チャンスが多く縦に速い展開をGKが堰き止めるという見応え十分な立ち上がりとなった。

 時間経過とともに優位に立ったのはどちらかといえばパレス。高い位置で止めることに成功しつつ、敵陣でのプレータイムを増やしていく。

 押し下げる局面が安定しなかったブライトンはゴメスが奮闘。相手に体を当てながらライン間でボールをキープしつつ、展開を前に押し進めていく。

 後半の頭はややオープン。右サイドからのクロスにゴメスが合わせる形を狙っていたブライトンが先にチャンスを迎える。

 対するパレスはゴリゴリと前進。前半同様に前線のキープ力を活かす形で時間を作っていく。ブライトンもゴリゴリしていたが、パレスの左サイドはミンテとラターのコンボによく我慢していた感がある。カンヴォはプレミア初先発の重圧を見事に跳ね返すプレーだったと言えるだろう。

 終盤は体力面でややパレスが優位。ピノが入った左サイドが活性化すると、大外のミッチェルを活用したクロスからボックス内に迫っていく。

 しかし、どちらもゴールをこじ開けることはできず。試合はスコアレスのまま幕を閉じることとなった。

ひとこと

 スコアレスだけども見応えのあるいいダービーだった。

試合結果

2025.11.9
プレミアリーグ 第11節
クリスタル・パレス 0-0 ブライトン
セルハースト・パーク
主審:ティム・ロビンソン

アストンビラ【11位】×ボーンマス【5位】

完勝の道筋を引き直した守護神

 快進撃が続いていた連勝劇はアンフィールドで一度ストップ。それでも序盤戦の遅れを取り戻すには十分な巻き返しを見せたアストンビラ。3季ぶりのCL復帰に向けて重要なジャンプアップであることは間違いない。

 まずは序盤に目立ったのはロングスロー。奥に奥に進んでいく形でボールを動かしていく。前向きなプレスの姿勢を見せていた両チーム。ボーンマスは高い位置からのプレスに出ていくが、アストンビラはプレスをいなしつつ前線はフリーランで裏抜けで対抗する。

 ライン間でもロジャースのポストなどアストンビラの収まりどころは十分。押し込んでいくと積極的なミドルからボーンマスのゴールを脅かしていく。

 一方のボーンマスは前線のエヴァニウソンを生かした形でロングボールを引き出していく。ショートパスのつなぎに関してはアストンビラの勢いに飲まれてしまった感も。強度優先のキャラでボーンマスを飲み込んで試合を進めていく。

 優勢となったアストンビラはセットプレーから先制。直接FKを滑らかに仕留めたブエンディアにとって試合が動くこととなる。

 以降もペースはアストンビラ。即時奪回から延々と敵陣で回収。セットプレーからはさらに追加点が見える状況までこぎつけていた。

 試合を楽に進めるために欲しかった2点目は左サイドのロジャースの突破から。深さを作ったところからのオナナのミドルでさらにリードを広げる。

 後半、ボーンマスはやられ気味だった右サイドバックのヒメネスのところを交代してクックを投入。ハーフタイムのテコ入れでリカバリーを図る。

 やや力任せではあるがカウンターからはセメンヨがシュートまで。強引な形でのこじ開けを行おうとしたが、跳ね返ったボールはマルティネスのファインセーブによってゴールには阻まれてしまった。

 マルティネスの活躍はこれにとどまらず。ハンドからPKを獲得したボーンマスはセメンヨをキッカーに任命。コースはそんなに悪くはなかったが、マルティネスは素晴らしいショットストップで得点を阻止。流れをボーンマスに渡さない。

 これで勢いを取り戻したアストンビラ。セットプレーからバークリーのバックヘッドでさらにリードを広げると、その上でティーレマンスが押し込んでトドメ。一気に試合を決める。

 拮抗する一番かと思われた試合は思わぬワンサイド。守護神の活躍もあったビラがボーンマスを一方的に下した。

ひとこと

 アストンビラ、見事なバウンスバック。

試合結果

2025.11.9
プレミアリーグ 第11節
アストンビラ 4-0 ボーンマス
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:28′ ブエンディア, 40′ オナナ, 77′ バークリー, 82′ マレン
主審:ジョン・ブルックス

ブレントフォード【12位】×ニューカッスル【13位】

ダブルパンチが試合の流れを決める

 CLでは勝利を積み重ねているものの、なかなか国内では波に乗ることができないニューカッスル。2シーズン連続のCL出場権確保を目指すためにはここからの立て直しは急務。CL明けでのブレントフォードのホームゲームはかなりタイトではあるが、早急に状況を上向かせる勝ち点3が欲しいところだ。

 ニューカッスルのプレスは部分的に前がかり。中盤へのタイトな寄せは非常に積極的でトナーリが前方にスライドする形で前に出てくる。ただ、CBにはそこまでプレスは来なかったため、ブレントフォードは左右にボールを動かしながら時間を作っていく。

 一方のブレントフォードの保持の局面も中盤のタイトさは同じ。バックスにはボールを持たせるが、中盤や前線にはタイトに寄せる形を守備側が崩さず。総じて、ボールを持つ側が前線に起点を作るのがなかなかハードな展開となった。

 そうした中で何とか中央に起点を作り切ったのがニューカッスル。ポストでサイドの深い位置に進むことができるシーンが出てくる。するとサイドから突破に成功してニューカッスルは先制点をゲット。バーンズの駆け引きに対してカヨーデが大胆に滑ってしまい、左足でのシュートコースが完全にがら空きになってしまった。

 この場面以外の攻撃側の苦しさを見る限りはこの先制点は非常に貴重なように思えた。どちらのチームもなかなか守備の状況がタイトである中でワンチャンスを生かしたニューカッスルのリードでハーフタイムを迎える。

 後半も前半のように高い位置から捕まえつつコンパクトな陣形を維持する両チーム。より積極的にプレスに出てくるブレントフォードに対して、ニューカッスルはU字のポゼッションからプレスを回避。大きな展開を生かしながらなんとか対応をしていく流れに。

 そんな堅い展開を切り拓いたのはロングスロー。カヨーデからの長いスローがボックス内を強襲すると、このボールを押し込んで同点とする。

 勢いに乗るブレントフォードは徐々にハイプレスからリズムをつかんでいく。前線はニューカッスルのCBにつっかけるような長いボールから怪しいところを探っていく。この相手に対応を強いる形が最終的に奏功。バーンは雑な対応で2枚目の警告とPKをセットで呼び込んでしまい、失点と数的不利の両方を食らうこととなる。

 10人でも根性を見せていたニューカッスルだが、左サイドから絞り出したようなクロスはゴールに向かっていくもヘンリーに防がれてしまう。試合は数的優位を手にしたブレントフォードの逆転勝ち。ホームでニューカッスルを返り討ちにした。

ひとこと

ニューカッスルはなかなかリズムに乗れなかった。

試合結果

2025.11.9
プレミアリーグ 第11節
ブレントフォード 3-1 ニューカッスル
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:58′ シャーデ, 78′(PK) 90+5′ チアゴ
NEW:27′ バーンズ
主審:スチュアート・アットウェル

ノッティンガム・フォレスト【19位】×リーズ【16位】

交代が就任後初勝利を生み出す

 3回目の監督交代もここまでは即効性がある形にはなっていないフォレスト。ホームで迎える残留のライバルとの一戦は必ず仕留めたいところだろう。

 ともにバックラインからボールを動かす形でのスタートだった両チーム。まず、フォレストはサヴォーナがCBに加わる3バックでのスタート。前線はジェズスをトップとして、シャドーにギブス=ホワイトとエンドイェが入るかのような形に変化。トップのポストプレーにシャドーが呼応するような形で試合を組み立てていく。

 一方のリーズの保持は全体的に後ろに重ため。相手のブロック守備の手前にIHがおろして保持を安定化させる。後ろ重心である分、ビルドアップに安定感はあったが、その分ライン間のスペースはない状態。サイドに迂回しながら奥行きを出すことでなんとかその形を補っていた感がある。

 先にチャンスを迎えたのはフォレスト。セットプレーからチャンスを迎えるが、この決定機はGKのペリによって防がれる格好に。このピンチを凌いだリーズはヌメチャが先制ゴール。起点としては悪くないが、仕上げ役としては物足りないキャルバート=ルーウィンに代わって先発に入ったCFが早速結果を出す。

 しかし、フォレストはすぐに反撃。右サイドに流れながらのジェズスの起点作りにエンドイェとサヴォーナが答えてゴール。最後は中盤から攻め上がったサンガレが結果を出す。

 以降は交互にポゼッションを行いながらターン制の攻撃を繰り広げていく。ジェズスが深く裏に走ってボールにキープをするフォレストに対して、リーズは外循環から奥をとる形で警告を受けているムリージョに厳しい対応を強いる。それぞれの攻撃の方法からチャンスを探っていく前半だった。

 後半も流れは同じ。左右に流れるジェズスとギブス=ホワイトにWGが絡むことで攻撃を活性化するフォレストに対して、相手のブロックの手前で枚数をかけてビルドアップの安定化→外循環からのチャンスを作っていくリーズという構図だった。

 均衡している流れを変えたのは大胆な3枚の選手交代だろう。サイドアタックに新しい風を吹かせたハッチンソンがギブス=ホワイトのゴールを演出。選手交代が奏功し、この試合で初めてフォレストがリードを奪う。

 アタッカーを投入することでこの状況を打開したいリーズ。だが、受けに回ったところで逆にパワープレーに出た弊害が。アシストで勢いに乗るハッチンソンとのマッチアップは本職がSHのハリソンにはやや厳しかったように思う。ここのマッチアップから得たPKでフォレストは試合を決める3点目を仕留める。

 ダイチはこれで就任後初めてのリーグ戦勝利。先制されながらもなんとか逆転で勝ち点3を引き寄せて、本拠地のファンに久しぶりの歓喜を届けた。

ひとこと

 交代が流れを引き寄せた。

試合結果

2025.11.9
プレミアリーグ 第11節
ノッティンガム・フォレスト 3-1 リーズ
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:15′ サンガレ, 68′ ギブス=ホワイト, 90+1′(PK) アンダーソン
LEE:13′ ヌメチャ
主審:ジャレット・ジレット

マンチェスター・シティ【2位】×リバプール【3位】

ライバルを蹴落として首位追走

 アーセナルを追う格好となっている優勝候補の両チーム。首位が躓いた今節は絶対3ポイントを積み上げたいところ。代表ウィーク前の最後の試合としてふさわしい大一番だ。

 序盤から保持でペースを握ったのはシティ。際立ったのは2列目がかなり自由を与えられたレーン移動。ドクを始めとして多くの2列目の選手がインサイドに絞る自由を与えられながら縦パスを受ける。

 ただ、時間の経過とともにドクは左サイドに固定する割合を増やす方が手ごたえがあると思ったのだろう。対面のブラッドリー相手に優位を取れるドクは10分にPKを獲得。カバーに入ったコナテの処理が跳ね返り、再びドクに収まってしまい、ママルダシュヴィリがPKを献上する。

 しかし、このPKをママルダシュヴィリは見事にストップ。ハーランドに先制点を許さない。

 ここまではシャープさのないカウンターからの簡単なボールロストを繰り返してきたリバプール。ママルダシュヴィリのPKストップで流れを引き戻したいところだが、どうもギアが上がらず。プランがどうこう、布陣がどうこう以前にフィフティーの体の入れあいでほぼ完ぺきにシティに軍配が上がるというフィジカルコンディションではなかなか反撃もままならなかった。

 唯一といえる通用する武器のセットプレーではファン・ダイクがネットを揺らすが、これはロバートソンがオフサイド。きわどい判定ではあるが、ゴールは認められなかった。

 デュエルに敗れてズルズルと下がるが、最後のところでも踏ん張り切れないのがこの日のリバプール。ドクはどうやっても止められないし、リリースした際のインサイドのパスコースもとがめられず。ラインを上げ損ねた緩さを見逃さなかったニコ・ゴンサレスによって、シティは追加点を奪う。

 後がなくなったリバプールは後半にプレスから猛チャージ。ボールを奪い取ったとっころから一気に裏抜けを進めて敵陣に入り込んでいく。サラーは裏抜けから決定機を迎えたが、ドンナルンマは落ち着いて対応するなど反撃のきっかけを与えない。

 そして、何よりリバプールがペースを握り切れなかったのはシティの攻撃を止められなかったから。今日はこの人!という感じの一撃をドクが披露し、試合を完全に決める。

 試合はこの3点目で完全にトーンダウン。終盤には押し込んだリバプールが左右のサイドからのクロスで惜しい場面を作り出すが、完全に焼け石に水という状態だった。

 タレントが躍動して暴れまわったシティ。アーセナルの追って対決を制して2位浮上に成功した。

ひとこと

 ちょっとリバプールには勝ち筋が見えなかった。

試合結果

2025.11.9
プレミアリーグ 第11節
マンチェスター・シティ 3-0 リバプール
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:29‘ ハーランド, 45+3‘ ゴンサレス, 63’ ドク
主審:クリス・カヴァナー

今節のベストイレブン

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