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「Catch up Premier League」~Match week 14~ 2025.12.2-12.4

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フラム【15位】×マンチェスター・シティ【2位】

一点集中による猛追で冷や汗の逃げ切り

 前節はリーズ相手に余裕の前半を過ごしながらも冷や汗をかいてしまったシティ。ハラハラの週末の反省を経て、今週は余裕を持った試合運びが期待されることとなる。

 序盤からボールを持つのは当然シティ。いきなりベルナルドが列落ちをかまし、ドクがインサイドに入っていくなど、今季の彼ららしい動きを見せた。

 押し込むところから決定機の創出までが非常にスムーズだったシティ。ヌネス、ベルナルドの右サイド組で背中を取るとハーランドがいきなり決定機。このシーンではゴールは生まれなかったが、直後に左サイドからの速いクロスでシティは先制。ハーランドがゴールを奪う。

 先行を許したフラムは速攻が基本線。ヒメネスにボールを当てつつ、そこから好調のウィルソンからサイドの裏に走り込む形を作ることで反撃を狙っていく。深さを取るところで余裕ができた時はアンデルセンの対角からサイドの奥をとりにいく。シティはそこまでプレスで深追いをせずに撤退時は大人しく5-4-1に移行し、フラムのポゼションを受け入れていた。

 失点した後のフラムはラインを上げながら守備の位置を上げにいくトライを敢行。バッシーの勇気を持った迎撃でボールの位置を高めにいく。

 フラムの抵抗も悪くはなかったが、追加点を奪ったのはシティ。ハーランドのポストからラインデルスが裏抜けで2点目を奪う。さらにはCKを跳ね返りをフォーデンが押し込んで3点目。リードをさらに広げる。

 フラムは一矢報いる形で前半追加タイムに反撃。この日冴えていたバッシーのボール奪取からウィルソンに繋ぎ、最後はスミス・ロウが押し込んだ。

 フラムが逆転を視野に入れるには次の1点が大事。しかしながら、その望みはシティに早々に砕かれることに。フォーデンが左サイドからのクロスに合わせる形で追加点を奪う。4点目をアシストしたドクは自らの仕掛けて5点目のオウンゴールを誘発。リードはこの試合最大の4点に開く。

 これで試合は実質決まりかと思われたが、ここからフラムは猛反撃。イウォビの右サイドからのミドルでドンナルンマを撃ち抜いたところから反撃のきっかけを掴むと、そこから猛攻をスタート。

 フラムが主に狙い目としたのは右サイド。オライリーの攻めの遅さやドクやラインデルスのカバーの遅さを狙い撃ちし、ひたすらこちらのサイドからクロス。その跳ね返りを繰り返しミドルで狙うことでガンガン決定機を作り出している。

 端的に言えばこれだけ。ただ、これだけを嫌というほど繰り返した結果、チュクウェゼが3点目。さらにはセットプレーからチュクウェゼがもう1点を生み出し、ついに試合は1点差だ。

 交代選手でも歯止めがかからなかったシティは左サイドからの反撃でリズムを取り戻しにいく。ただ、その手当がうまくいったというよりはフラムがトーンダウンしたというテイストが大きいだろう。80分代後半はポゼッションからリズムを作り直す。

 最後はケビンの左サイドから一撃を狙ったフラム。しかし、ギリギリのところでシティはゴールを守り切って逃げ切り勝利。5-4で乱戦を制した。

ひとこと

 一点集中で壊され続けるのはちょっと不安感があるシティ。

試合結果

2025.12.2
プレミアリーグ 第14節
フラム 4-5 マンチェスター・シティ
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:45+2′ スミス・ロウ, 57′ イウォビ, 72′ 78′ チュクウェゼ
Man City:17′ ハーランド, 37′ ラインデルス, 44′ 48’ フォーデン, 54′ ベルゲ(OG)
主審:クレイグ・ポーソン

ボーンマス【11位】×エバートン【14位】

1点勝負の展開を動かしたのは

 非保持側で強気のマンツーで序盤からロングボールの応酬だったこの試合。まずはこの状態にどのような解決策を見せるのか?というのが両チームの戦いだった。

 エバートンはまずはロングキックからのスタート。前線のバリーに当てる形から解決を狙っていく。この日のエバートンの特徴だったのはやたらと中盤が保持においてポジションレスだったこと。WGはここまでは立ち位置を守ることが多かったチームだと思うのだが、この日は左右をかなり入れ替えながらチャンスを作っていく。

 ボーンマスもSHの位置を変えながら繋ぎ。逆三角形に中盤を変形させて、枚数を合わせてきたエバートンに対してSHが絞る形でチャンスを作りにいく。

 縦に速いオープンで激しいデュエルはどちらも守備側が優位。体を張って止める展開が続く。少し気がかりなのはこういう展開にめっぽう強いはずのセメンヨのシャープさがイマイチであるということ。ガーナーがぴったりついていたということもあるが、シーズン序盤に見せた凄みのようなものは薄れているように感じる。

 エバートンの中盤のポジションチェンジも効果は限定的。保持でのポジションの動きは互いのマンツー外しというテーマの中で、後ろが重たくなってしまうという現象があまり解決策になっていなかった。グリーリッシュは外に張っていた方がいい気がするし、セメンヨは従来の強引さがない。そういう重たい前半の終盤にクルーピがネットを揺らすが、これはわずかにオフサイド。前半でボーンマスはリードを取ることができなかった。

 後半も流れは大きく変わらず。開始早々に飛び交う警告に象徴されるようにハードなデュエルでの攻防の中でどれだけチャンスが作れるか?という展開に。その中でもマンツーを背後に重たい状況を作ることで解決しようという姿勢は変わらなかった。

 やや光が見えたのはエバートン。細かいパスがスピーディに繋がるケースが出てくるなど、バリーが収めどころとしての機能性を果たしすことで状況は徐々に良化。ボーンマスのバックラインに圧力がかかっていく。

 それでもセメンヨとエヴァニウソンからの陣地回復を狙っていたボーンマスは少しずつ巻き返しを図っていく。エバートンは押し込みきれなくなってきて苦しい展開が待っているかと思われたが、その状況を見事に打開したのはグリーリッシュ。GKが全く反応できないミドルで試合を動かす。

 終盤はボーンマスの攻撃を受けきったエバートン。先制点をきっちり守り、アタッカーが重たい対決を制した。

ひとこと

 間違いなく1点勝負の展開でグリーリッシュが果たした仕事は大きい。

試合結果

2025.12.2
プレミアリーグ 第14節
ボーンマス 0-1 エバートン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
EVE:78′ グリーリッシュ
主審:マイケル・サリスバリー

ニューカッスル【13位】×トッテナム【12位】

ホームチームにとって悔いが残る痛み分け

 序盤から主導権を握ったのはホームのニューカッスル。トッテナムを押し下げつつヴォルテマーデを中心としたパス交換で敵陣に入っていく。ヴォルテマーデが中央に降りていくとトッテナムの中盤に対して数的優位に。中盤中央で形成する数的優位に対して、トッテナムはリアクションが一歩遅れ続けている感じとなった。

 非保持においてもポロを3バックの一角とするトッテナムの変形に対して、4-5-1に構えたところからジリっと前に。ハイプレスに関しても手応えがある立ち上がりとなった。トッテナムはジョンソンの裏へのランなどスピードを活かしていく形に切り替えていく。右サイドでのクドゥスのキャリーも陣地回復の一手になるが、ニューカッスルがタイトなディフェンスで簡単に前を向かせなかった。

 どちらかといえばトッテナムの中央への強引な縦パスの差し込みはむしろニューカッスルの燃料に。中盤につけるパスを延々と回収して進んでいく。トッテナムは少しずつ前線への長いボールでロストした際のリスクが少ないプレーに切り替えるようになった。

 試合はニューカッスル優位に進みながらもスコアレスでハーフタイムに。トッテナムとしてはなんとか逃げ粘った前半となった。

 後半、ニューカッスルはハイプレスの巻き直しを敢行。長いボールを軸に前にボールをつけていくトッテナムに対して、もう一度前からボールを捕まえにいく。トッテナムはサイドにボールをつけてプレスを弱めながらポゼッションから敵陣に入っていくルートを探っていく。

 ニューカッスルは保持においては少しずつ速い攻撃を織り交ぜることでテンポアップ。得点の匂いを引き寄せていく。すると、71分にサイド攻撃から先制点をゲット。WGの入れ替えからゴードン、ヴォルテマーデで作った深さを活用し、ミドルシュートで仕留めたのはギマランイス。重かった試合を先に動かしたのはホームチームだ。

 しかし、トッテナムはすぐにリカバリーに成功。セットプレーからロメロの一撃で素早く同点に追いつく。

 80分台になっても得点の取り合いは変わらず。試合後にフランクが抗議した微妙なPK判定を生かしたゴードンが先にニューカッスルをリードに導く。だが、OFRでかかった分の長い追加タイムでロメロが再びゴール。この日2得点目の活躍でなんとか1ポイントを探り寄せる。

 後半に動いた試合だったが、痛み分けでの決着。ニューカッスルにとっては終盤に勝ち点を落とす展開となった。

ひとこと

 優位に進めていたのはニューカッスルの方。おそらく悔いが残るのはこちら。

試合結果

2025.12.2
プレミアリーグ 第14節
ニューカッスル 2-2 トッテナム
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:71′ ギマランイス, 86′(PK) ゴードン
TOT:78′ 90+5′ ロメロ
主審:トーマス・ブラモール

ブライトン【5位】×アストンビラ【4位】

掴んだ流れを離さない逆転勝利

 立ち上がりからハイプレスに出ていくアストンビラ。しかし、バックラインにタイトにプレスにかけるところまではいかなかったため、ダンクから大きい展開を活かすことができたブライトン。ハイプレスを交わすことに成功すると、セットプレーから先制点。CKからファン・ヘッケが押し込む。

 この場面ではビゾットが痛恨のエラー。この日、マルティネスのアクシデントで緊急スタメンとなったGKにとっては厳しい試合の立ち上がりとなった。

 アストンビラはハイプレスでサイドから追い込むことをより徹底。保持においてもGK込みの3-2型のビルドアップをマルティネスがいなくても実施。右サイドから背後を取るようなアクションで奥行きを作っていく。左サイドでもパウ・トーレスから形を作っていく。

 しかしながら、スコアを動かしたのはまたしてもブライトン。左サイドからのファストブレイクが発動すると、駆け上がったヒンシェルウッドがオウンゴールを誘発。リードをさらに広げる。

 2点差をつけたことで自陣に押し下げられる展開に追い込まれてしまうブライトン。左サイドから押し下げることができたアストンビラはこちらのサイドからのクロスを仕留めたワトキンスによって1点差。ファーに構えていたところにクロスが抜けてきてリードを縮める。

 追い上げられるブライトンはミンテがトーレスをケアする意識を強めるなど、ハイプレスを強化。しかし、ボールを奪う位置が高くはならず。逆にHT前に同点に。CKからのバタバタの流れからロジャーズのタッチダウンパスから抜け出したワトキンスがゴール。振り出しに戻して前半を終える。

 ハーフタイムを挟んでもアストンビラのペースは止まらず。引き続きワトキンスへの裏からのランで陣形を引き延ばす。引き延ばした陣形は中盤が活用。カマラの列上げからセンターラインのスペースに侵入すると、スピードに乗った状態で敵陣に侵入する。

 保持でイニシアチブを取る後半のアストンビラ。勢いそのままにセットプレーで勝ち越し。高さを生かしたオナナによって逆転に成功する。

 ウェルベックを交代で投入することで流れを掴みたいブライトン。だが、それでも流れは変わらず。中央を突破していくロジャーズの脅威は相変わらずであった。

 アストンビラの4点目はマレン。交代からの1stプレーであっさりとリードを広げるゴールを奪う。右サイドからのクロスを仕留めたブライトンは3点目を決めてリードを再び1点差に。最後は5-4-1で受ける形で逃げるアストンビラが再逆転を許さず、連勝を4に伸ばした。

ひとこと

 流れを掴んでからの畳み掛けの強度が調子がいいチームのそれ。

試合結果

2025.12.3
プレミアリーグ 第14節
ブライトン 3-4 アストンビラ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:9′ 83′ ファン・ヘッケ, 29′ トーレス(OG)
AVL:37′ 45+7′ ワトキンス, 60′ オナナ, 78′ マレン
主審:アンディ・マドレー

バーンリー【19位】×クリスタル・パレス【9位】

6バックでなお生きた攻撃参加

 ミッドウィークはメンバーの入れ替えが目立つ各チーム。そうした中でパレスは固定メンバーを継続。多少の出れない選手はいるものの、ベンチを見渡した時に「レギュラーを休ませたんだな」と思える人は1人もいない状況だ。12月に向けて不安はあるメンバー構成となった。

 低い位置でのポゼッションからスタートするバーンリー。ゆったりとプレスに出て行かずに受けるパレスに対してボールを動かしながら打開策を探っていく。

 一方のパレスも組み立ては短いパスから。ハイプレスに出てくるバーンリーに対して、鎌田が中盤に下がって受けるなど立ち位置を調整しながらのポゼッションを敢行していく。

 両チームとも似た姿勢を見せた展開ではあったが、どちらかといえば有力だったのはクリスタル・パレス。サールがいない分の推進力の少なさは感じなくはなかったが、左サイドのピノやミッチェルのユニットなどサイドからジリっと押し下げるポゼッションで攻撃を完結させることにより、バーンリーの反撃を抑制。前に起点を作らせず、彼らに前進を許さない。

 バーンリーも押し下げる場面自体は作れてはいたものの、パレスはローブロックからきっちりとマイナスのパスに対しての押し上げなおすアクションを実施することで簡単に侵入を許さず。押し込んだとしてもバーンリーにはタイトな展開が待っていた。

 押し込む攻撃の中で先制したのはパレス。対角パスからムニョスがゴールを仕留めて先制。らしい攻撃参加からゴールを奪う。バーンリーとしては6-2-2気味に受けていたにもかかわらず、アンソニーがマークを外してしまったのが痛恨。あそこまで下がっていたならば守ってくれないと、前に残ってくれた方が良かったですとなりかねない。

 後半もパレスは一方的な保持でスタート。左右のサイドから押し下げていくことでバーンリーを自陣に釘付け。即時奪回できっちりと押し込む盤面をキープするのもさすが、バーンリーはプレスに出ていくきっかけを掴めずに苦戦する。

 積極的な交代で事態を動かしにいくバーンリーだが、なかなかゴールを奪うまでは至らず。終盤になり、ようやくボックス内でブロヤがヘンダーソンに競り勝つなどあわやという場面を作っていく。

 最後は引く場面を作って試合をクローズしたパレス。カンヴォを守備のカードとして足すことでバーンリーに失点を許さずに試合を終了。逃げ切りに成功した。

ひとこと

 なかなか渋い試合内容だった。

試合結果

2025.12.3
プレミアリーグ 第14節
バーンリー 0-1 クリスタル・パレス
ターフ・ムーア
【得点者】
CRY:44′ ムニョス
主審:トム・カーク

ウォルバーハンプトン【20位】×ノッティンガム・フォレスト【16位】

うまくいっていない脆さが垣間見える

 シーズン序盤から続く泥沼はここまで脱することができないまま。監督交代の効果もなく、エドワーズ就任以降も結果は内容も大きく変化がないまま残留圏とはみるみるうちに差がつけられてしまっている。少しでも巻き込みたい相手であるフォレストならば、ここで初勝利を挙げたいところだろう。

 序盤はロングボールの応酬となったこの試合。しかしながら、やや時間が経ってくると一方的なフォレストの保持に試合は移行する。ナローに守る3-4-2-1のウルブスの前線の守備に対して、フォレストは外に広げるようなアクションから狭く守ることを許さない。

 バックラインからやり直しつつ、対角パスを駆使してサイドの深い位置まで出ていくフォレスト。ウルブスは前線がきっちりと相手のオーバーラップについていったので、自陣から脱出できない時間が延々と続くことに。押し込まれた状態でロングカウンターを打てる選手もおらず、陣地回復の手段が見つからない。

 保持の機会が回ってきても中盤をマンツー気味にマークされるフォレストに対してなかなかフリーの選手を作ることができず。こうなると前線が背負った状態で受けたところから自ら反転してなんとかするしかないのだが、それも難しい。ここまで勝てていない理由がよくわかる内容になってしまっていた。

 左右から延々とクロスを打つフォレストはセットプレーからネットを揺らす。だが、これは前に残っていたエンドイェがオフサイド。イゴール・ジェズスはまたしてもゴールのお預けを喰らってしまう。それでも押し下げて相手を脱出させない展開を続けたフォレストが優勢だった前半となった。

 迎えた後半、攻守のインテンシティをあげて中央に混乱を作り出したウルブスは徐々にインサイドに前を向く選手を作るように。こうなればサイドの選手たちのスピードは生かしやすい展開。大外からのクロスに対してアリアスが開始早々に決定機を迎えるなど、いきなり劣勢の前半をひっくり返すようなチャンスを迎える。右サイドに狙いを定めつつ、外に流れることでチャンスを作るウルブスは後半の頭に押し込む局面を呼び込む。

 だが、押し込まれてしまうと危うい場面があるのは相変わらず。特にセットプレーはこの日は見逃してくれることが多かったが、主審の基準によってはとっととPKを取られてもおかしくないようなホールディングやプッシングが多く見られた。

 そのセットプレー対応をつく形でフォレストは先制。前半はゴールを取り消されたイゴール・ジェズスがリベンジに成功。ようやく待望のゴールを決めてフォレストがリードを奪う。

 この1点を守り切ったフォレスト。ウルブスの今季初勝利はまたしてもお預けとなった。

ひとこと

 うまくいっていないチームっぽい脆さをウルブスに感じる試合だった。

試合結果

2025.12.3
プレミアリーグ 第14節
ウォルバーハンプトン 0-1 ノッティンガム・フォレスト
モリニュー・スタジアム
【得点者】
NFO:72′ ジェズス
主審:ティム・ロビンソン

アーセナル【1位】×ブレントフォード【10位】

ターンオーバー合戦で地力の差が見える

 レビューはこちら。

 ロンドンの炎を3連戦を終えてもまだまだアーセナルはハードモード。右肩上がりのブレントフォードをホームに迎えての一戦に臨む。

 互いにターンオーバーベースとなっている両チームのスタメン。それでも真っ向から組み合う両チーム。ブレントフォードのハイプレスに対して、アーセナルは可変で対応。左サイドで揺さぶりながらポジションを取っていく。手前でカラフィオーリ、背後にはマルティネッリが走る形からギャップを作っていく。

 右サイドではウーデゴールとマドゥエケのコンビネーションから高い。抜け出したホワイトからのクロスをメリーノが仕留めて早々にリードを奪う。

 以降も押し込むアーセナルは好調。止まっている選手を追い越す形からブレントフォードの守備陣の逆をとっていき、ギャップに入っていく。フリーランは面白いように刺さるので、余計に増えるという好循環でターンオーバーながらも上々の支配力を発揮する。

 ブレントフォードはロングボールを中心としての対応。シャーデとワッタラでアーセナルのDFにつっかけていく形で勝負を仕掛けていくが、なかなかギャップは作れず。それでも敵陣に押し込んでいくことができれば、セットプレーでの高いというきっかけを掴むことができる。一度押し込めばその機会をセットプレーで最大化することで対抗するブレントフォードだった。

 後半はさらに縦に速い展開でスタート。そうした中でブレントフォードが左右のSBの攻撃参加をさせる形でポゼッションからの押し返しに成功。ただし、押し込んだ分スペースレスになってしまい、セットプレー以上のチャンスを作ることができない。

 60分からは主力組が投入されたこの試合。アドバンテージを得たのはアーセナル。左右のWGからチャンスを作っていく。サカとエゼによって中盤が歪められてしまったブレントフォードはインサイドが歪んでしまい、中央からもパス交換から進撃していく。

 一方のブレントフォードはハイプレスに出ていくが、これは空転。陣地回復に手応えができない状況が続く。

 サカは決定機をものにできなかったシーンの直後に試合の決め手となる2点目を確保。勝利を確実なものにする。ターンオーバーからの主力組投入という似た流れを踏襲した両チームの一戦はアーセナルに軍配が上がることとなった。

ひとこと

 アーセナルの地力の強さを見た90分だった。

試合結果

2025.12.3
プレミアリーグ 第14節
アーセナル 2-0 ブレントフォード
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:11’ メリーノ, 90+1‘ サカ
主審:トニー・ハリントン

リーズ【18位】×チェルシー【3位】

いい流れを継続することできないチェルシー

 前節は首位のアーセナル相手に10人で奮闘を見せたチェルシー。大善戦の自信を継続させるにはカイセドなしで難所のエランド・ロードを攻略しなければいけない。勢いを持続させるための難しいミッションに取り組む一戦だ。

 リーズは前節のハーフタイムに採用した3-5-2を継続採用。前からのプレスで積極的に出ていくことでチェルシーのバックスに圧力をかける。奪ったら素早く前線にロングボール。キャルバート=ルーウィンにボールを当てつつ前進を狙う。

 チェルシーも同様にデラップをめがけて前に出ていくスタート。しかし、序盤に優勢だったのはリーズ。サイドからのクロスに対してリーズの2トップはボックス内で主導権を握れる手応えも。単純なハイクロスでも競り勝てるポテンシャルを感じる身体能力の高さで優位に立つ。

 するとリーズはセットプレーから先制。圧倒的に先に触ったビヨルがスタメン起用に応える一撃をお見舞いする。以降もセットプレーからストライクが決定機を迎えるなどチャンスは継続。

 チェルシーは少しずつ3-1-6のポゼッションからボールを動かしていく展開。リーズは先制したこともあり自重気味なプレスにシフト。失点後はチェルシーの保持主体で試合が進む。しかしながら、自陣での簡単なミスからなかなかリズムを掴むことができず。サンチェス、アダラバイオ、サントスといった守備側の選手たちのクオリティがこの日はなかなか上がってこない。

 きっちりと構えてミスを待ち、カウンターとCFを軸とした左右に揺さぶるポゼッションの両方で試合を掴むことができたリーズ。田中の反転シュートでリードをさらに広げる。

 後半、チェルシーは前線にネトを投入。左サイドのギッテンスからのファークロスで早速押し込んで1点差まで迫る。だが、リーズは中盤からのポゼッションで主導権を離さず。デュエルと縦パスからボールを動かして敵陣に入り込んでいく。

 パーマーの投入で再びリズムを作っていきたいところではあるが、この日のチェルシーはやはり低い位置でのポゼッションの粗さが足枷に。なかなか前にいい形でボールを運ぶことができないまま時間が過ぎていく。

 すると、アダラバイオが決定的なミス。リーズに3点目をプレゼントしてしまうことに。最初から最後までパリッとしなかったチェルシーはアーセナル戦のいい流れをキープすることができなかった。

ひとこと

 リーズに完全に飲み込まれてしまった。

試合結果

2025.12.3
プレミアリーグ 第14節
リーズ 3-1 チェルシー
エランド・ロード
【得点者】
LEE:6′ ビヨル, 43′ 田中碧, 72′ キャルバート=ルーウィン
CHE:50′ ネト
主審:ダレン・イングランド

リバプール【8位】×サンダーランド【6位】

締まらないカウンター対応で連勝を逃す

 前節はウェストハムに勝利し、一時的には雑音を鎮静化することができたリバプール。休む間もなくやってくる次のリーグ戦はサンダーランド。アンフィールドとはいえ楽には勝たせてくれないチームとの一戦だ。

 強豪相手にはお馴染みの5-4-1を組んできたサンダーランド。それでもベタ引きではなく、ジリっと前から追っていくスタンスを見せるサンダーランド。リバプールは中盤の配置交換から打開策を探っていく。

 試合はリバプールの一極保持というよりはサンダーランドと組み合うような展開。リバプールのプレスラインは低く、ミドルブロックに構えたところに、サンダーランドがいつも通りの左右に揺さぶるポゼッションからボールを動かしていくスタートとなった。サンダーランドはサイドにボールをつけつつ、枚数をかけたアタックから壊しにいく。

 どちらも前半は保持側が苦しむ形だった。サンダーランドは前線に残したブロビーがなかなかポイントになりきれず、シャープな攻撃を挟めないのが誤算。多少時間がかかったとしても前線にバラードを置くなど身長のあるバックラインの選手を押し上げる形の方が有望だった。

 リバプールも中盤のパスミスから奥に入っていけない時間が続く。一時的にはカットからリズムを生み出すことができる時間もあったが、前半の終盤には再び萎んでしまった印象。サイドからサンダーランドに押し下げる時間をまたも作られてしまい、ジリジリとラインを押し下げられる形で前半の幕を引く。

 試合はスコアレスのままハーフタイムに。なかなかチャンスの少ない展開だった。

 後半、リバプールはサラーが登場。右サイドから軸にポゼッションを強めながら押し込む形を作っていく。サンダーランドは左サイドからのシャープなカウンターにシフト。リバプールはややバックラインからのフィードが不安定なこともあり、カウンターの攻撃をカットされたところにも即時奪回に深追いすることでチャンスを作っていく。

 長いボールへの雑な対応はリバプールにとってはついに致命傷に。ファン・ダイクの意図の見えない縦パスから波状攻撃を仕掛けたサンダーランドはこのボールをタルビの素晴らしいゴールに繋げる。

 失点以降はゆったりとポゼッションをしていく流れに。右サイドからは途中交代で入ったカーティスが活性化する材料となり、細かいスペースの攻略に挑んでいく。

 するとその右サイドから状況を切り拓いたのはヴィルツ。リプレイを見ると跳ね返りに大いに助けられたことは否めないが、試合を動かす一振りを見せたのは事実。大きな仕事で試合をフラットに戻す。

 以降も押し込むリバプールだが、勝ち切るまではいかず。試合はドロー決着となり、リバプールの連勝はならなかった。

ひとこと

 後ろの締まらなさがもったいなかったリバプール。自分たち次第で無失点で進められる内容だったように思える。

試合結果

2025.12.3
プレミアリーグ 第14節
リバプール 1-1 サンダーランド
アンフィールド
【得点者】
LIV:81′ ムキエレ(OG)
SUN:67′ タルビ
主審:スチュアート・アットウェル

マンチェスター・ユナイテッド【7位】×ウェストハム【17位】

得点後に失った主導権

 序盤からボールを持って進んでいくスタート。ウェストハムは4-2-3-1から自陣にきっちりと網を張ることで相手にボールを持たせつつ、インサイドに刺してくるパスを引っ掛けていく狙いとなる。

 わずかな隙間ではあるがマンチェスター・ユナイテッドはインサイドにザークツィーが縦パスを差し込みながらボールをキープしていく。やや後手ではあるがウェストハムはここを対症療法的に塞ぐことでボールを先には進ませない。

 ウェストハムはロングカウンターベースでの戦い。奪ったら素早くカウンターでウィルソンにボールを当てるところからチャンスを作っていく。マンチェスター・ユナイテッドのプレスが15分で鎮静化したこともあり、サイドから揺さぶる時間を作ることができたウェストハムはミドルからゴールを強襲する部分も作れていた。

 それでも保持でリカバリーを果たしたマンチェスター・ユナイテッド。主役となったのは右サイドのディアロ。高い位置での仕掛けはもちろんのこと、低い位置でレーンチェンジを行うことで縦パスを引き出していく。開幕時においては課題だったムベウモとの連携も今では難なくこなし、右サイドのユニットは今のマンチェスター・ユナイテッドの武器と言えるだろう。

 だが、それでもゴールをこじ開けるところまでは至らず。試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。

 マンチェスター・ユナイテッドは後半、ゆったりとしたビルドアップから幅を使って押し込んでいく。ウェストハムは前半よりもプレスの重心を上げて敵陣側でのボールハントを狙っていく。明確にひっくり返される場面が少ないことを踏まえれば、そこまでは悪くはないけども、ファウルでクリーンにボールを奪えない点は少し残念ではあった。

 押し込むマンチェスター・ユナイテッドはサイドからのクロスがボックス内で構えていたダロトにスポッと入る形に。そのまま足を振って先制ゴールを決める。

 失点以降はのらりくらりとマンチェスター・ユナイテッドに時間を握られていた感があったが、徐々にウェストハムはポゼッションからリカバリー。ライン間への侵入や中盤でのデュエルから少しずつ主導権を握っていく。ボーウェンを軸とした右サイドからのアタックに手応えを感じた矢先にセットプレーから同点。マガッサがゴールを叩き込んで追いつく。

 終盤は再び攻撃に転じたマンチェスター・ユナイテッドだが、ネットを揺らすことができず。ホームで勿体無い勝ち点の落とし方をしてしまった。

ひとこと

 突如として主導権を失ってしまった感がもったいなかったマンチェスター・ユナイテッドだった。

試合結果

2025.12.4
プレミアリーグ 第14節
マンチェスター・ユナイテッド 1-1 ウェストハム
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:58′ ダロト
WHU:83′ マガッサ
主審:アンドリュー・キッチン

今節のベストイレブン

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