ニューカッスル【12位】×チェルシー【4位】

一方的な前半、不安定な後半
共にCLを戦いながら国内カップでも上位に進出しているニューカッスルとチェルシー。揃って準決勝進出を決めて、無事にカラバオカップの越年に成功することとなった。
序盤から強度の面で差をつけたのはホームのニューカッスル。高い位置からのプレスに加えて、ロングボールの跳ね返しも安定。チェルシーの縦に速い攻撃を食い止めていく。
守備からシームレスに攻撃に移るところでニューカッスルは先制点をゲット。フォファナの持ち運びを咎めたところからのショートカウンターをヴォルテマーデが仕留めてリードを奪う。
この先制点以降もチェルシーは苦戦。ニューカッスルは保持から中央の縦方向に揺さぶりを敢行。パーマーとCHでアンカーのトナーリを受け渡させたり、あるいは中盤が前がかりになったところをヴォルテマーデが使ったりなど。
こういうニューカッスルのポゼッション起点の縦方向の揺さぶりに対して、チェルシーの守備は一歩遅れ。高い位置から捕まえるきっかけをつかむことができない。中央で起点を作ることができたニューカッスルはサイドに展開し、チェルシーのバックラインを背走させられてしまう。
逆にチェルシーは追い詰めて蹴らされてしまうと一気に苦しくなる。3-2-5でショートパスから動かしていきたいが、追い詰められたときに交わす形をなかなか作れなかったし、前線に託したいターゲットがない状態である。
保持からリカバリーが難しいチェルシーは非保持から降りるニューカッスルの選手を捕まえるところから反撃。ただ、捕まえることができても結局ファウルになってしまうことは少なくなく、セットプレーのチャンスは与えてしまっていた。
このセットプレーのチャンスからニューカッスルは追加点。左サイドからのゴードンの突破に対して、再びヴォルテマーデが仕留めてリードをさらに広げる。以降も前に起点を作らせないチェルシーに対して、ニューカッスルは一方的に押し込む形に。左右からのクロスでチャンスをつかむなど3点目が入らない状態でチェルシーが何とか踏ん張る形でハーフタイムを迎える格好となった。
後半、チェルシーはボールハントに対して能動的なスタート。高い位置からのチェイスからリズムを奪いに行く。ニューカッスルはサイドからリカバリーし、縦に速い展開で組み合っていく立ち上がりとなった。
そうした中でチェルシーはセットプレーから追撃。ジェームズの直接FKが決まり、1点差に迫る。
このゴール以降も展開は変わらず。前半のようなニューカッスルの一方的なターンだけではなく、両チームに平等に機会があり、守備側には間延びが認められるような状況だった。
ジョアン・ペドロとティアウのマッチアップからチェルシーがゴール。1つの入れ替わりの対応がゴールまでの電車道に。展開と盤面を考えればニューカッスルにとっては絶対に避けたいミスだった。
ニューカッスルも前線を入れ替えることで奮闘。ウィサとバーンズの流れるようなカウンターから抜け出す場面も作ったニューカッスルだが、ジェームズの危機管理がさえわたり決定機を得点につなげることができない。
選手交代から馬力を注入することはうまくいったニューカッスルだが、最後のところで体を張るチェルシーのゴールを破ることはできず。試合はドロー決着となった。
ひとこと
ニューカッスルとしては前半に得たプラスに比べると、手元に残った勝ち点は少し寂しい感じ。不安定な展開ながらもチェルシーは何とか勝ち点をもぎ取って見せた。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ 第17節
ニューカッスル 2-2 チェルシー
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:4′ 20′ ヴォルテマーデ
CHE:49′ ジェームズ, 66′ ペドロ
主審:アンディ・マドレー
ウォルバーハンプトン【20位】×ブレントフォード【15位】

先に我慢が効かなくなる
前節はエミレーツで奮闘しつつも勝ち点を持ち帰ることができなかったウルブス。これで開幕から積み重ねた未勝利記録は16。この試合で勝てなければ新記録への挑戦権を手にすることとなってしまう。
ウルブスの5-3-2に対して、ブレントフォードは4-3-3の保持で対応。構造的にウルブスがチェックしにくいSBからボールを安定して運んでいく。ある程度、サイドから押し込むことができればカヨーデがロングスローを放つことでボックス内を襲うことができるというチートの設計により、敵陣に入り込んでいく。
ブレントフォードの保持局面は基本的には安定。ウルブスは3センターで横幅をスライドする格好だったので、ブレントフォードは最終ラインで左右にボールを揺さぶるだけで前進することができていた。
非保持でも勢いよく入るブレントフォード。高い位置からのチェイシングからウルブスのバックラインを咎める。ウルブスは後ろ重心でこのプレスを回避。インサイドにボールを当てて、相手の視線を内側に集めつつ、WBのウォルフェを解放することで縦への推進力を見せていく。
ただ、長いボールをただ蹴るだけではなかなか起点を作れないウルブス。工夫がなければ跳ね返されてしまう。ヒチャンは左サイドに流れて裏へのパスを挟み込むことでスペースメイクをしていくが、あくまで引き分けに持ち込むような動きという感じであった。
ポゼッションの機会が多いのはブレントフォード。クリティカルではないけどもサイドからボールを運ぶことに対してウルブスが阻害してこないので、ボールを失う位置が高くなりやすかった。
ただ、ウルブスもブレントフォードの守備を撃退すると少しずつギャップにジョアン・ゴメスが入ったり、あるいは背後に抜ける動きが効いたり。ブレントフォードは中盤のスカスカ感と背後に抜けるアクションに対してのヘンリーのバタバタした対応などややほころびも見られた。
後半はウルブスがハイプレスでスタート。前半は見逃していたサイドにつけるフェーズに関してもウルブスは咎めるようになった。
試合の展開が早くなるにつれて徐々に守備側の粗さが見える展開に。ウルブスは追いかける中で中央が空くようになったし、ブレントフォードに関しても前半の終盤から見られた危うい兆候が継続していたように見えた。
そうした流れの中で先制点を得たのはブレントフォード。何の変哲もないふわっとしたロングボールをクレイチーが処理ミスをしてしまい、ルイス-ポッターがしたたかにゴールを決めた。
失点から火力を増すことで保持局面を強化するウルブス。マネ、アロコダレとパワー系の選手たちを段階的に投入し、強引にゴールをこじ開けに行く。ブレントフォードはロングカウンターで反撃。スピード感のある攻撃から追加点を奪いに行く。
次のゴールを手にしたのはブレントフォード。トランジッションからルイス-ポッターのゴールによってリードを広げる。
ウルブスは終盤にPKのチャンスを得るが、ラーセンのキックはケレハーをセーブ。反撃の狼煙すら上げることを許されない。
試合はブレントフォードの勝利。ウルブスは開幕から17試合未勝利というプレミア記録に並んでしまうこととなった。
ひとこと
後半は両チームのクオリティの足りなさが浮き彫りになった感。先にウルブスの我慢が効かなかった。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ 第17節
ウォルバーハンプトン 0-2 ブレントフォード
モリニュー・スタジアム
【得点者】
BRE:63′ 83′ ルイス-ポッター
主審:マシュー・ドノヒュー
マンチェスター・シティ【2位】×ウェストハム【18位】

勝手が違う中央封鎖
連勝しながら調子を取り戻してきたシティ。ここでも連勝を伸ばし、アーセナルにプレッシャーをかけたいところだろう。
対するウェストハムは前節のアストンビラ戦で見せた中央封鎖の4-3-1-2を採用。ライン間に2列目を並べることを強く意識しているシティに対しても同じ策を敷いての勝負となった。
序盤からボールを持つのはシティ。ベルナルドが中央で低い位置を取っていく一方で、SBは幅をとって立つ形。中央封鎖に軸足を置いたウェストハムに対してケアしにくい構造をとっていく。
オライリー、チェルキが大外に幅をとっていくシティ。アストンビラとの違いは大外からのチャンスメイク力。アストンビラであれば大外は1枚で抑えられるかもしれないが、シティだと同じようにはいかない。左の大外からフォーデンのハーフスペースアタックを成功させたシティがハーランドのゴールで先制点。切れ目をあっさりと繋がれてしまい、早速ウェストハムは目論見が崩れた格好だ。
保持に回ってもウェストハムは苦戦。中央にポイント作れず、敵陣側に進むことができない。ハイプレスでリズムを作ろうとしてもシティは後ろ重心で交わして沈静化。ゆったりと敵陣に押し込みながら大外を起点とした攻撃からチャンスを作っていく。
前進に苦戦するウェストハムを尻目にシティはあっさりと追加点。チェルキのプレスからのショートカウンターで追加点を奪ってリードを広げる。ハーフタイム前にシティは安全圏と言える点差をつけることとなった。
後半頭はオープンな展開。高い位置でのカットやボーウェンのロングカウンターなどウェストハムにもチャンスもあったが、立ちはだかったのはドンナルンマ。セーブでウェストハムの反撃ムードを許さない。特にボーウェンからのロングカウンターはウェストハムにとっては大きなチャンスになっていたが、流れを切る仕事はまさに守護神だ。
撃ち合いとなった後半にシティはハーランドのゴールで涼しい顔で追加点。3点目を決める。シティがポゼッションでゲームをクローズというよりはチャンスをお互い作りながらの終盤戦となったが、結局どちらも試合を動かすことができず。試合はシティの完勝で幕を閉じることとなった。
ひとこと
アストンビラには一定の効果があったウェストハムの中央封鎖だが、シティだと完全に勝手が違った。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ 第17節
マンチェスター・シティ 3-0 ウェストハム
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:5′ 69′ ハーランド, 38′ ラインデルス
主審:ポール・ティアニー
ブライトン【10位】×サンダーランド【8位】

死の連戦はドロースタート
AFCONでは大量7人が離脱。プレミアで最も大きな影響を受けることとなっているサンダーランド。ここからの1ヶ月弱は文字通りの踏ん張りどころ。ブライトンのホームから死の日程が開幕することとなる。
一方のブライトンにもこの試合では懸念が。ファン・ヘッケが負傷、ダンクが出場停止ということでこの試合ではボスカリとコッポラという新CBコンビを組むこととなった。
CBコンビのうち、先に存在感を出したのはボスカリ。後方からの長く正確なフィードから攻撃の起点としての才能をアピールする。ただ、この日のブライトンの陣容だと浮き玉の長いボールを活かせるタイプの選手がいなかったのが痛恨。序盤はセットプレーから決定機を迎えたブライトンだったが、サンダーランドの強靭なバックラインに跳ね返されるケースが少しずつ出てくる。
だんだんとボールを持つようになったのはサンダーランド。右サイドは枚数をかけた崩し、左サイドではアディングラのアイソレーションからチャンスを作りにいく。序盤に限ってはブロビーへのゴリゴリのパワープレーも効いていたが総じてブライトンのCBは落ち着いて対応。徐々に潰せるようになっていた。
それでもサイドからきっちりと押し込むことができたサンダーランド。ヒンシェルウッドのハンドやコッポラの強引なタックルなど不用意にセットプレーのチャンスを与えてしまったこともあり、ここからサンダーランドはバラードのようなパワーヘッダーからチャンスを作っていく。
ブライトンは前半の終盤は自陣から脱出することができずに苦戦。押し込まれる状況を跳ね返せるチャンスがない状況。苦しいながらもスコアレスをキープした状態でハーフタイムを迎える。
後半早々にセットプレーからチャンスを迎えたサンダーランド。しかし、これをフェルブルッヘンのファインセーブで凌いだブライトン。少しずつポゼッションからリズムを取り戻していく。
ブライトンはサイドから斜めに中央に差し込むことでアヤリのミドルシュートを放つなどインサイドをこじ開けられるように。サンダーランドの命綱になったのはミンテを対面のヒュームが抑えていたこと。サイド攻撃に関してはむしろ左側のデ・クーパーとカディオグルのシンプルな縦への進撃からのチャンスが多かった。
サイドハーフを入れ替えることでリカバリーを図るサンダーランドだが、効果は瞬間的。三笘を使ってサイドの攻撃の形を変えたブライトンの方が終盤は敵陣でのプレータイムを増やしていく。一方的に押し込むもサンダーランドをこじ開けることはできず。試合はスコアレスで幕を閉じることとなった。
ひとこと
前後半で完全に主導権が入れ替わった試合だった。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ 第17節
ブライトン 0-0 サンダーランド
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
主審:ダレン・イングランド
ボーンマス【13位】×バーンリー【19位】

機会の差を活かせない引き分け
長くなっている未勝利沼からなんとか抜け出したいボーンマス。エースの1月流出も日を追うごとに現実味が増しており、一刻も早くチームの流れをよくする必要がある状況だ。
序盤からボールを持つのはボーンマス。バーンリーは5-4-1と4-4-2のハーフくらいの形で右サイドを軸に最終ラインの枚数を調整しながら対応していく。プレッシャーのかからないバックラインからボールを動かしていくボーンマス。サイドから枚数をかけたローテーションで壊しにいくパターンもあれば、セメンヨへのロングボールのようなパワーを使った形での攻撃も視野に。大外だけでなくライン間にもパスを差し込みながらバリエーション豊かな攻撃を繰り広げていく。
バーンリーはサイドからのトランジッションから反撃に出ていこうとするが、ボーンマスは余裕を持ってこれを食い止める展開。逆にボーンマスはバーンリーが攻めてくれればそこから縦に速い攻撃で加速をすることもできるという状況だった。
終盤にはバーンリーは左サイドからようやくひっくり返しリズムを掴むと、そこから決定機を創出。押し込まれるような一方的な展開ではったが、一発で盤面をひっくり返せるチャンスだったが、これを仕留めることができない。
後半も大きな流れは変わらずペースを握ったのはボーンマス。サイドからのカットインからシュートを積極的に狙っていく。しかし、この日のボーンマスはとにかくシュートが枠に飛ばない。バーンリーが体の寄せが間に合っている場面もなくはないが、そうでなくてもボーンマス側の問題で枠外に飛んでいってしまうことも。
そういう意味ではセメンヨのシュートはボーンマスに訪れた念願の枠内シュートと呼ぶこともできるだろう。殴り続けるスタンスが奏功し、ボーンマスはようやく先制点を決めることができる。
以降もペースは変わらず押し込むペースを作っていくボーンマス。しかし、追加点を奪うことができずにいると、右サイドを中心に少しずつバーンリーのリカバリーを許してしまうように。
勝てていない状況もあり、嫌な雰囲気になってくるヴァイタリティ・スタジアム。その雰囲気は90分に的中。ブロヤの一撃でバーンリーは試合を振り出しに戻してしまう。
ホームの昇格組という流れを変えたい一戦でも勝利を手にできなかったボーンマス。ジリジリと下がる順位が徐々に気になる立ち位置になり始めた。
ひとこと
攻撃機会の差を考えればボーンマスは引き分けすら許容が難しい試合だった。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ 第17節
ボーンマス 1-1 バーンリー
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:67′ セメンヨ
BUR:90′ ブロヤ
主審:クリス・カヴァナー
トッテナム【11位】×リバプール【7位】

嵐を凌いでの3ポイント
前節は勝利したリバプールだが、上位3チームが順調に勝ち点を積み重ねている状況はやや向かい風。トッテナムを下し、ひとまずはCL出場権を争えるところまでは戻っていきたいところだろう。
序盤から互いにバタバタした立ち上がり。非保持側が高い位置からのプレスを敢行し、特に中盤には人基準で強気に出ていく。
保持側はズレを作るべく、中盤の枚数を増やすことで対抗。トッテナム、リバプールともにLSHのベリヴァルとヴィルツが互いに4枚目になることで中盤の守備の基準を乱しにいく。
バックラインにまでプレスをかけるとなると、高い位置からのチェイスが機能していたのはトッテナムの方。ワンサイドカットでの圧縮で相手にプレスをかけていく。リバプールにとっては前線にエキティケというボールの逃しどころがあったのは幸運。体を当てながらボールを収めていく。
こうした前線への体を当てるボールや中盤でのデュエルはファウルとなるケースが多く、肉弾戦がどちらに有利に転がるかは流動的。トッテナムの保持はリバプールが徐々にリトリートを挟みながらスペースを消しにいくが、ボールを持たされるトッテナムはタッチが増えることで追い込まれていき、徐々に中盤のごちゃごちゃとした肉弾戦に巻き込まれていった感があった。
ともにリトリートの頻度が増えていき、保持側の負荷が高まっていくタイミングでアクシデントが発生。シャビ・シモンズのスタンプによりトッテナムは数的不利に。悪意を感じないプレーではあったが、深追いする必要も道理も全くない状況でのプレーはちょっと理解に苦しむ。これだけ動的成分が少ないシーンであっさりレッドカードを受けてしまうのは少しもったいないかなという感じ。
こうなると相手のポゼッションを阻害できないトッテナムに対してリバプールは自由に配球できるように。ヴィルツの決定機など徐々にリバプールは敵陣に入り込んでいく。コロ・ムアニのロングカウンターやスペンスのオーバーラップなどスピードを活かした形であればトッテナムも可能性がなくはないという状況で試合はハーフタイムを迎える。
後半、リバプールはイサクを投入。2トップにシフトする形で攻勢を強めていく。クロスのターゲットが2枚になったことでカジュアルに敵陣に迫れるリバプールは56分に先制。イサクの左足からゴールを生み出す。だが、このプレーでイサクは負傷。リバプールは再び1トップに戻す形に。
残されたエキティケは右サイドのフリンポンからのクロスを仕留めて追加点。空中戦でロメロを上回り、リードを広げる。
トッテナムは80分に投入されたリシャルリソンが嵐を巻き起こす。早々にセットプレーから仕留めたゴールはもちろんカウンターに小競り合いに大暴れ。だが、なんとか退場しなかったリシャルリソンとは異なり、ロメロがバレたら絶対おしまいな報復で2枚目の警告を受けて9人に。
なんとなく失点してからはトッテナムに押し込まれていたリバプールだが、9人になっても危ういシーンは少々。それでもアリソンのセーブでこれを凌ぎ、なんとか勝ち点3を手にした。
ひとこと
なんで9人のトッテナムに渡りあわれてしまっているのか。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ 第17節
トッテナム 1-2 リバプール
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:83′ リシャルリソン
LIV:56′ イサク, 66′ エキティケ
主審:ジョン・ブルックス
リーズ【17位】×クリスタル・パレス【5位】

中1日はサッカーじゃない
ECLの最終節は木曜開催、カラバオカップの準々決勝は火曜開催。6日で3試合を戦わなければいけない状況が確定しているパレス。土曜の深夜に開催される一戦はよりによって北部のエランド・ロード。負傷者にAFCONと離脱者が続々と出ているパレスにとっては地獄のような日程だ。
互いに3バックとなった立ち上がり。リーズは陣形をわざわざずらしながら前から捕まえる意識をきっちりと持っていくスタートとなった。前からの厳しいプレスにあいながらもパレスはギャップでピノが受けるなど少しずつギャップに入り込んでいく。
パレスも人を噛み合わせて前から追って行きたいという気持ちは見えたのだが、いかんせん足がついてこない。シンプルに機動力が足りておらず、とてもじゃないけども前からチェイスをかけることができる状況には見えなかった。
時折ギャップに入り込むピノが孤軍奮闘するパレスだが、徐々にリーズが一方的に押し込む展開に。マテタを潰しながら徐々に重心を敵陣に傾けていく。右サイドでは自由に動き回るアーロンソンがパレスのDFから自由になり続けていた。
押し込むリーズはセットプレーからあっさりと先制。ボックス内でニアフリックに抜け出したキャルバート=ルーウィンがシュート。一度は弾かれてしまうが、再び押し込んでゴールをもたらす。
1つのゴールではパレスの着火剤にはならないのがこの試合の辛いところ。テンポは上がらず、試合はパレスが延々とボールを持ち続ける時間が続いていく。
延々と自分のターンが続くリーズは1点目と同じ形から追加点。フリックから抜け出したキャルバート=ルーウィンが再びゴールを決めて、リードを広げた状態でハーフタイムを迎える。
後半も展開は同じ。パレスはシャドーの左右を入れ替えるなどマイナーチェンジは図るがエンジンがかからないチームにとっては焼け石に水。リーズがゆったりとしたポゼッションから一方的にパレスを押し込み、陣地回復も許さない。
終始押し込む時間帯を続けたリーズは再びセットプレーから追加点。二次攻撃から押し込んだアンパドゥが試合を完全に決める3点目を仕留めた。
疲労困憊の主力を諦めてフレッシュな前線を入れたグラスナー。痛々しい感じは無くなったが、なかなか流れを取り戻して主導権を握るというところまでは至らなかった印象だ。
ややアクシデンタルなPKから1点を返すことに成功したパレスだが、終盤にさらに失点を重ねてしまい、終わってみれば4-1。過酷な日程の現実を突きつけられる結果となった。
ひとこと
サッカーは中1日で試合をするものじゃない。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ 第17節
リーズ 4-1 クリスタル・パレス
エランド・ロード
【得点者】
LEE:38′ 45+4′ キャルバート=ルーウィン, 60′ アンパドゥ, 90+11′ シュタハ
CRY:90+2′(PK) デベニー
主審:トーマス・ブラモール
エバートン【9位】×アーセナル【1位】

苦手舞台克服で首位をキープ
レビューはこちら。

アルテタが就任して上向きになったアーセナル。その中で就任以降改悪されたのがアウェイのエバートンでの戦績。得意なはずだったグディソン・パークはなかなか勝てない舞台に変貌してしまった。今年から舞台はヒル・ディッキンソン・スタジアム。アーセナルは首位を守るには苦手な舞台を克服する必要がある。
序盤は縦に速い展開からスタート。ロングボールを軸とした形からガッツリと組み合う。だが、アーセナルは徐々にテンポを落とす形でのポゼッションを敢行。ライスを列落ちさせつつ中盤でのマンツーを回避する形でエバートンの守備の基準をずらしていく。
右サイドは相変わらず強力。サカにダブルチームにくることを利用し、ティンバーかウーデゴールが悪形を作っていくと、ここからの侵入でボックス内に迫っていく。先制点となったPKはハンドから。オブライエンの軽率と言わざるを得ないハンドによって、アーセナルは難しい試合を動かすことに成功する。
前半の終盤はロングボールをセカンドで回収することでエバートンがテンポを握っていく。だが、その狙いを外すようにアーセナルがスビメンディのポゼッションからリズムを捻じ曲げていく形だった。
後半もエバートンは速い展開を仕掛けていくことでアーセナルをカオスに巻き込んでいく。スビメンディのファウルを取られてもおかしくないようなギリギリの対応を誘発した場面あたりはエバートンにも得点が入ってもおかしくない状況だった。
だが、やはり試合のテンポを握ったのはスビメンディを軸としたポゼッション。プレスの意識が強まるエバートンのFW-MFの間に入る形から司令塔が左右に揺さぶってチャンスを作っていく。
サイドに引き寄せて相手中央の穴を使うという流れるようなポゼッションからチャンスメイクを重ねるアーセナル。足りなかったのは試合を決める追加点だけ。ここ数試合課題となっているクローズも問題なし。エバートンにはアーセナルのインサイドに差し込むパスの出し手も受け手もいなかった。
最小失点差ながら逃げ切りに成功したアーセナル。連戦の初戦を勝利で飾った。
ひとこと
エバートンも人がいない苦しさを感じた90分だった。
試合結果
2025.12.20
プレミアリーグ
第17節
エバートン 0-1 アーセナル
ヒル・ディッキンソン・スタジアム
【得点者】
ARS:27‘(PK) ギョケレシュ
主審:サム・バロット
アストンビラ【3位】×マンチェスター・ユナイテッド【6位】

止まらないビラとロジャース
連勝が止まらないアストンビラ。ユナイテッドに勝利を飾れば7連勝。CL出場権争いにおいても大きなアドバンテージを得ることができる。
序盤から試合はスピーディーな展開。ワンサイドカットで追い込んでいくユナイテッドに対して、アストンビラは早めのロングボールでの対抗。左のCBのトーレスが不在だったということと、最近のユナイテッドのバックラインの不安定さを踏まえればとっとと前につけてしまった方がいいという判断だろう。実際にワトキンスはヨロやヘヴンにとってはめんどくさそうな相手になっていた。
一方のユナイテッドも前線にシンプルにつける形から前進。シェシュコがボールを触ってのポストから直線的にゴールに向かっていく形はいかにもレッドブルのリズム。こちらもアンカー役のウガルテが試合開始早々に危ういミスをしたことで中盤を経由するのがリスクと捉えられた可能性がある。
少しずつボールを持つ機会が増えていく両チーム。押し込む状況からチャンスを探る機会が多かったのはユナイテッドの方。左右に揺さぶりつつ、中央でミドルを放つ形を作れればミドルのチャンスが増える格好。
しかし、その形でゴールをこじ開けたのはアストンビラ。ロジャーズが左サイドから右足を一閃。見事なミドルは絶好調の証。だが、こうしたゴールは最近のプレミアではお馴染みの光景。寄せられなかったヨロの対応には疑問が残ると言わざるを得ない。
だが、ユナイテッドもハイプレスから同点。左サイドでキャッシュを捕まえると、角度のないところからクーニャがゴール。同点でハーフタイムを迎える。
後半、ユナイテッドはブルーノに代えてリサンドロ・マルティネスを投入。中盤のフィルターの機能性は上がった一方で配球では中盤でボールを引っ掛けてしまうなど苦戦が続く。
プレスを鎮静化してボールを握ったアストンビラは再びロジャースから勝ち越し。またしても寄せが甘くなったユナイテッドのDF陣の隙を見逃さずにゴールをゲット。再度一歩前に出る。
追いかける格好となったユナイテッドは左右からのクロスでチャンスを作りにいくが、マルティネスに阻まれたりゴールにシュートが飛ばなかったり。なかなかゴールを掴むことができない。
最後の手段として前線に投入されたレイシーは活きの良さを感じるミドルを放ったが、決め手にはならず。好調のアストンビラを止めることができないユナイテッドはCL出場圏のラインが遠ざかる敗戦を喫してしまった。
ひとこと
ロジャースへの甘い対応は今のプレミアでは簡単に致命傷となる。
試合結果
2025.12.21
プレミアリーグ 第17節
アストンビラ 2-1 マンチェスター・ユナイテッド
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:45′ 57′ ロジャース
Man Utd:45+3′ クーニャ
主審:マイケル・オリバー
フラム【14位】×ノッティンガム・フォレスト【16位】

かかってきたエンジンで残留争いから遠ざかる
徐々にエンジンがかかってきた感じのあるフラム。フォレストを下し、このまま一気に残留争いからは離れていきたいところだろう。
早々にチャンスを作ったのは好調のフラム。左サイドからのケビンの投入からサイドで押し込んでいくスタート。中央ではベルゲのサリーなどからギャップを作っていく入りとなった。
唯一と言っていい想定外はアンデルセンのフィードが決まらなかったこと。ハイプレスに出ていった時のボールの精度はいつもよりも割引。簡単に相手にボールを渡すキックが珍しく多く、ピンチになるシーンもしばしば。フォレストもメリハリをつけながら前にぐいっとプレスに出ていくことができていた。
対するフォレストもサイドアタックで反撃。大外のハドソン=オドイからハーフスペースアタックを積極的に行うことで敵陣に入っていく。ハッチンソンが流れるなど、狙いとしては全体的に左サイドだった感。しかしながら、点をとりにいくという観点ではややCFが心許なかったか。ジェズスはコントロールが乱れてしまうことも少なくなく、クロスをシュートに結びつけることができない。
試合は少しずつハイプレスに対して、保持側がどのようなリアクションを行うかという展開に。中盤が左サイドに流れるなどからチャンスを作っていく。
押し込む機会を作っていくフラムは前半終了間際に勝ち越し。ケビンが粘ったボールの追いかける中でややアプローチが遅れてしまったルイスがPKを献上。前半終了間際にヒメネスが先制点のPKを仕留める。
リードを得ても展開はアグレッシブ。後半も高い位置からのプレスからフォレストを押し込んでいく。しかし、このプレスを跳ね返すことでフォレストは押し返し。サイドの奥を使ってクロスをふわっと上げていく。
速い展開を作っていきたいフラムだが、フォレストは左サイドに落ちるアクションを見せるアンダーソンからテンポを整えてサイドアタックの下地を作っていく。繰り返すこととなった分、再び物足りなさを感じるのはイゴール・ジェズス。サイドからの攻撃を仕留めきれず、なかなかゴールが遠い状況が続く。
フラムは前線をフレッシュにすることで受けながらカウンターを意識。ゴールに迫るところまではいなかったが、時計の針は順調に進めていく。最終盤は5バックにシフトしたフラムは危なげないのない逃げ切り勝利。最少失点差ながら落ち着いた試合運びで勝ち点3を手にした。
ひとこと
フォレスト、ウッドの穴がなかなか埋まらない。
試合結果
2025.12.22
プレミアリーグ 第17節
フラム 1-0 ノッティンガム・フォレスト
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:45+5′(PK) ヒメネス
主審:アンソニー・テイラー
今節のベストイレブン

