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「Catch up Premier League」~Match week 7~ 2025.10.3-10.5

目次

ボーンマス【6位】×フラム【11位】

努力を無にする逆転劇

 ヒメネスの負傷によりCFが不在。試行錯誤が続く状態のフラム。勢いが売りのボーンマス相手に非常に悩ましい陣容で挑むこととなる。

 マルコ・シウバの選択は5バック。5-3-2と5-4-1のハーフのような形で試合をスタートする。序盤はウィルソンをキングと並べる5-3-2のような形が主流。中盤をケアする形でボーンマスのバックスには自由にボールを持たせる格好だ。

 しかし、ボーンマスはウィルソンとカスターニュの間のスペースが空くところから前進。高い位置を取るトリューフォーが左サイドに起点を作ることで前進する。同サイドにフォーカスするだけでなく、横を揺さぶっていくボーンマス。バックラインからの対角のパスからチャンスを作ったかと思えば、縦に早くエヴァニウソンへのパスをつけるなどあらゆる形でフラムを攻め立てていく。

 フラムは保持にまわればボールを大事にするスタート。3バックが広がりながら幅をとってマンツー気味に入ってくるボーンマスに対抗する。しかしながら、ボーンマスの圧には相当苦戦。単発でキングの反転から加速することはできてはいたが、自陣側でボーンマスのプレスに外されてしまう場面も少なくなかった。

 仮に押し込むことができたとしてもフォーメーションの違いもあってか敵陣でのパスワークはいつも通り行かない感が出てきてしまう。フラムはなかなか難しい舵取りだった。

 それでも徐々にウィルソンのポジションをSH寄りに修正することでフラムはボーンマスの左サイドの進撃を食い止める。前半の中盤はボーンマスのボール奪取能力がいつものように出せない分、徐々にフラットに試合展開がシフトしていく。

 後半も互いにポゼッションからスタート。幅広く使っていくボーンマスに対して、フラムは左に流れるキングによってサイド攻撃を整理。逆サイドに飛び込むように促す形で攻撃を作っていく。

 その左サイドからフラムは先制。ディアキテの足を完全に止めたチュクウェゼとセセニョンのコンビで一気にゴールまでの道を切り開く。

 このゴールで勢いに乗りたいフラムだが、引いて受ける選択をすると、左サイドからセメンヨの突撃を喰らって失点。チュクウェゼがフォローに来ていたことを考えると、カスターニュは意地でも縦を切りたかった。

 同点で流れを一気に引き寄せたボーンマス。途中交代のクライファートが脱力した素晴らしいミドルで試合をひっくり返すと、さらにセメンヨで追加点。ようやく切り拓いたフラムの努力を無に返す逆転劇でボーンマスが勝ち点3を積み上げた。

ひとこと

 セメンヨとクライファートで終盤の空気を支配してしまった感。

試合結果

2025.10.3
プレミアリーグ 第7節
ボーンマス 3-1 フラム
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:78′ 90+6′ セメンヨ, 84′ クライファート
FUL:70′ セセニョン
主審:サイモン・フーパー

リーズ【12位】×トッテナム【4位】

競り勝って3週間ぶりの3ポイント

 徐々にスカッドの序列が固まってきたリーズ。前線に新戦力を加える変化をつけて開幕時からの全線の迫力不足はやや改善しつつある。ボデ/グリムトアウェイで勝ちきれなかったトッテナムとは日程面で差があり、ここは勝ち点は最低でもとりたいところだろう。

 トッテナムはハイプレスに出ていく形からスタート。リーズはサイドに流れるキャルバート=ルーウィンで起点を作ったり、あるいはロングスタッフのサリーからポゼッションをしたりなど強弱をつける形でこのプレスに対抗していく。

 キャルバート=ルーウィンのポストは安定感があり、トッテナムのCB相手にも通用していたが、課題であるフィニッシュではやはり難が露呈。なかなかゴールを仕留め切ることができず、押し込んだ機会をなかなか活かすことができない。ハイプレスから迎えた大チャンスも仕留めることができない。

 リーズの非保持はメリハリのあるスタート。サイドから高い位置できっちり止めていったかと思えば、ライン間はコンパクトにキープしながら相手の縦パスを制御していく。

 ポゼッションからどのように逃していくかが悩ましいトッテナムだったが、解決策としてはインサイドで強引に受けるクドゥスから。反転しながら粘ることで一気に前進していく。サイドに追い込まれたときは縦に抜ける選手に裏パスをつけることで追い込まれるサイドに奥行きを作っていく。

 先制点はこの日際立っていたクドゥスから。テルへの長いレンジのパスを切りひらき、右サイドを縦にシャープなトランジッションで切り開く。押し込んだ局面でも右サイドからのクドゥスのクロスからチャンスを作る。

 優勢だったトッテナムだが、リーズは前半のうちに同点。CB2人に対して見事に深さを作ったキャルバート=ルーウィンがチャンスを作ると、これをオカフォーが仕留めて追いつく。試合は同点でハーフタイムを迎える。

 後半、ファストブレイクからの応酬でスタート。前半にチャンスがあったキャルバート=ルーウィンは後半にもチャンスを手にするが、またしてもゴールを仕留めることができない。

 試合が落ち着いたところから得点を決めたのはトッテナム。前半も輝いていたクドゥスが強引に道を切り拓き、再びリードを奪う。

 流れを取り戻したいリーズだが、なかなかギアアップをすることができずに苦戦。プレスのスイッチが入らず、ボールを持たされた状態においても相手を崩すきっかけを掴むことができない。苦しみながらも競り勝ったトッテナムが3週間ぶりの3ポイントを手にした。

ひとこと

 クドゥスの個の力が輝いた一方、キャルバート=ルーウィンはなかなか決定機を仕留めきれなかったのが対照的だった。

試合結果

2025.10.4
プレミアリーグ 第7節
リーズ 1-2 トッテナム
エランド・ロード
【得点者】
LEE:34′ オカフォー
TOT:23′ テル, 57′ クドゥス
主審:トーマス・ブラモール

マンチェスター・ユナイテッド【14位】×サンダーランド【5位】

構造で殴り続けてラマースのデビュー戦を飾る

 ヨーロッパがなく、リーグ戦に集中できるシーズンにも関わらずなかなか勢いをつけることができないユナイテッド。近年は苦戦する昇格組ながら着実に勝ち点を積み重ねているサンダーランドをホームに迎えての一戦だ。

 互いにバックラインがプレスにこないスタート。自由にボールがもてる中で攻撃側が何ができるかというところを探る立ち上がりとなる。

 アンカーのジャカから背後を取るアディングラでゴールに向かうサンダーランドが鋭さを先に見せるが、これがオフサイドに終わるとここからはユナイテッドペース。CFのシェシュコへの縦パスからのポストや、ワイドのCBがサンダーランドのSHを引きつけたところから背後のWBを使うことで構造的なギャップを作っていく。

 サンダーランドはなかなかシステムのギャップを埋めることができずに苦戦。アモリムは「システムは関係ない」と言っていたが、この試合ではガッツリとシステムの噛み合わせが効いている格好だ。押し込むユナイテッドはディアロ、ムベウモの右サイドから進撃。ムベウモからのクロスをややオフサイドラインの手前のマウントからのミドルでユナイテッドが先手を奪う。

 このゴール以降もペースを掴んだのはユナイテッド。一方的な押し込むポゼッションから延々とWBとシャドーから殴り続けていくことでチャンスを作っていく。敵陣でのプレータイムを増やすユナイテッドはセットプレーから追加点。ロングスローからシェシュコがリードを広げる。

 サンダーランドはたまらず5バックに移行。システムの噛み合わせを修正することで一方的に殴られていく状況をリカバー。押し込み返すとジャカのミドルなどでやり返していく。しかし、ゴールまでには至らず。試合はユナイテッドのリードでハーフタイムを迎える。

 ユナイテッドは後半も落ち着いたポゼッションからスタート。サンダーランドは相手を捕まえてのカウンターから素早く縦にいくが、トラオレがシミュレーションでの警告を受けるなどイマイチリズムに乗ることができない。

 ユナイテッドは前半ほどゴールに向かうシーンは増えてはいないが、保持でだらっと時間を潰すことはできている。試合のテンポを無駄に刺激しなければ2点リードしているチームとしては特に問題はないだろう。逆にサンダーランドは交代で入った選手からのギアアップは今季の課題。なかなか攻撃のリズムを強めていくことができない。

 それでも終盤にマイェンダ→タルビのラインで決定機を迎える。だが、これはこの日が先発デビューのラマースがシャットアウト。自らのファインセーブでチームの勝利とデビュー戦でのクリーンシートを勝ち取った。

ひとこと

 アモリムのユナイテッドにおいて最も構造で叩き続けた試合かもしれない。

試合結果

2025.10.4
プレミアリーグ 第7節
マンチェスター・ユナイテッド 2-0 サンダーランド
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:8′ マウント, 31′ シェシュコ
主審:スチュアート・アットウェル

アーセナル【2位】×ウェストハム【19位】

負け筋がほぼない完勝

 レビューはこちら。

 粛々と安定感がある試合運びを見せているこの秋のアーセナル。第4節で当たるはずが目の前で消えたヌーノが第7節の相手として目の前に立ちはだかるという展開はどこかゲームっぽさがある。

 立ち上がり、不安定なセットプレー対応を見せて冷や汗をかいたアーセナルだが、すぐにポゼッションからリカバリー。ライス、ウーデゴール、カラフィオーリがインサイドに入ることでビルドアップの安定化を図り、前にボールを進めていく。

 押し込むことに成功したアーセナルはサイドから進撃。主に右サイドでのローテで相手を動かしていく。動く相手に対して、なるべくデフォルトのポジションを崩さずに捕まえたいウェストハムだが、サカを放って置けないディウフがウーデゴールを浮かせてしまうなど、ギャップが多かった。

 マークが乱れがちなアーセナルの右サイドに対して、ウェストハムはパケタがサイドにフォローに入ることで枚数を担保。乱れを整えにいく。しかしながら、ウーデゴールの負傷によって登場したスビメンディにより、パケタが放置していたアンカーからアーセナルは進撃。スビメンディから背後を取るパスを受けたエゼがボックス内に入ると、最後はライスが古巣相手のゴールを決める。

 逆にウェストハムの前進の手段はほぼ完全に封じたアーセナル。前半をリードでハーフタイムを迎える。

 後半は左サイドからもバランスよく攻めていくアーセナル。ボーウェンを押し下げるという副産物も込みで、ウェストハムは左右から押し下げていく。

 順調に試合を進めるアーセナルは前半と同じく右サイドから追加点。前半に与えた先制点と全く同じ形からPKを献上してしまったことはウェストハムにとっては反省材料。またしてもスビメンディから裏へのパスを止めることができないまま失点に繋げてしまった。

 このPKでアーセナルは試合を完全にコントロール。後半ATの直前に押し込んでのセットプレーのチャンスもあったウェストハムだが、逆に言えばこの前もこの後ろもアーセナルのゴールに迫るチャンスを作ることはできず。ほとんとの時間でアーセナルの守備を前にシャットアウトをされることとなった。

 試合はアーセナルの完勝。点差こそ派手に開かなかったものの、確実な力の差を見せたアーセナルが連勝で10月の代表ウィークに向かうこととなった。

ひとこと

 アーセナルからすれば負け筋がほとんどなかった試合のように思う。

試合結果

2025.10.4
プレミアリーグ
第7節
アーセナル 2-0 ウェストハム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:38′ ライス, 67′(PK) サカ
主審:ジョン・ブルックス

チェルシー【8位】×リバプール【1位】

CB負傷でも勇敢だったチェルシーが首位狩り

 連戦連勝からここに来て連敗。トルコとロンドンという異なる2つのアウェイゲームで勝ち点を落としたリバプールの中断期間直前の一戦はチェルシーとの対戦となる。

 チェルシーはかなりメリハリのあるプレスを敢行。ガルナチョがバックラインに入り、ククレジャも縦にスライド。サラーはバディアシルが監視する形でマンツー色の強い陣形で守っていく。

 デビュー戦とママルタシュヴィリにとってはなかなか出す場所がない状況。こうなった場合は前線に起点を作りたいところだが、サラーやガクポと言った両翼は対面に苦戦する。ハイプレスを解除した際のチェルシーはオーソドックスな4-2-3-1にSHが下がって守備をしていたが、ガルナチョの助けを得たククレジャは難なくサラーを抑えていた。サラーが時間を作ればブラットリーが攻め上がれそうな感じはあったが、なかなかそうした場面は作れなかった。

 チェルシーの保持に対して、リバプールは外切りでハイプレスにいこうとするが、逆にサラーの背後のククレジャからのキャリーで問題なく前進。カバーに来るグラフェンベルフやコナテもフィルターになりきれなかった感があった。

 ショボスライは前、そしてグラフェンベルフがサイドのフォローとなると、中盤はやや人手不足。チェルシーはカイセド、エンソ、グストの3人で数的優位を使いながら中央で浮くと、最後はカイセドが思い切り振ったミドルでスーパーゴールをゲット。ホームチームが先制点を手にする。

 先制点は流れを特に変えず。リバプールはトランジッションでの鋭さを出すことができず、前がかりの際は人を捕まえて、自陣に運ばれた時はきっちりスペースを埋めるというギアチェンジの間をつくことができず。43分のサラー→イサクの攻撃は受け渡しのギャップをついた攻撃ではあったが、イサクはワンチャンスを仕留められなかった。

 一方のチェルシーはサイド攻撃に活路。相変わらず浮いているククレジャに加えて、ロングカウンターではネトとガルナチョが躍動。ショボスライがガルナチョを潰したシーンはファウルの有無は別としてリバプールにとって危険な侵入のされ方であったことは確かだろう。

 後半、チェルシーはバックパスミスからリバプールにシュートチャンスを許す。アチェンボン、ジェームズの雑なパスワークは前節チャロバーが退場したシーンを彷彿をさせるものだった。

 後半も互いにプレスをどう掻い潜ろうかを保持から解決していくスタート。リバプールはケルケスをインサイドに置くなどチェルシーのハイプレスの基準点に迷いを与えにいく。

 チェルシーにとってはバディアシルの負傷が分水嶺。緊急事態への対応もそろそろ慣れてきたマレスカは本日はラヴィアをCHに入れて、ジェームズとアチェンボンをCBで組ませる形を作る。非保持においてはカイセドが最終ラインに吸収される形でフォローをしていたが、保持面でも時間を作りつつチェルシーらしいWG→WGの攻撃を見せることができていた。

 しかし、リバプールはボックス内からミクロなスペースを作って同点。イサクの柔らかいエスコートにより、ガクポが同点ゴールを決める。このゴールで勢いに乗ったリバプールはトランジッションから縦に鋭い攻撃もようやく出てくるように。ただし、フィニッシャーのサラーが湿っていたのは相変わらずである。

 チェルシーはさらにアチェンポンも負傷で失い、緊急事態感はさらに増していく。それでもギッテンス、エステバンなどサイドにアタッカーを投入することで勢いをさらに活性化していく。

 オープンになった終盤戦を制したのはチェルシー。左サイドから抜け出したククレジャがファーのエステバンのゴールをアシスト。最終ラインに残ったグラフェンベルフとロバートソンはそれぞれ出し手と受け手にアプローチをすることができなかった。

 前節に続き、劇的な決着での敗北となったリバプール。アウェイでの公式戦3連敗で中断期間を迎えることとなった。

ひとこと

 そもそも人がいないCBに負傷者が出ても普通にリバプールと組み合った勇気に最後はご褒美が来たかなという感じ。

試合結果

2025.10.4
プレミアリーグ 第7節
チェルシー – リバプール
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:14′ カイセド, 90+5′ エステバン
LIV:63′ ガクポ
主審:アンソニー・テイラー

エバートン【9位】×クリスタル・パレス【3位】

マージーサイドで無敗チームが消滅

 自らの手でリバプールに土をつけ、ついにリーグ唯一の無敗となったクリスタル・パレス。今節の相手はこちらも例年よりも状態がいいエバートン。マージーサイド勢との連戦となる。

 序盤の空中戦デュエルが落ち着くと、高い位置からジリっとハイプレスに出ていくエバートン。パレスはビルドアップからこのプレスを回避。フォーメーションの噛み合わせの悪さを活用し、鎌田やマテタなど中央の面々が降りて受けることでセンターラインに起点を作っていく。

 ややプレスは空転気味だったエバートンだが、ボールを奪った後のシャープなカウンターは好調を感じさせる。特に左サイドはグリーリッシュが牽引するカウンターがチャンスを作っていく。

 高い位置でボールを止めて、ポゼッションの時間を増やしてサイドからのクロスでゴールに迫っていくエバートン。左サイドからのクロスにバリーが決定機を迎えるシーンもあった。

 やや押し込まれている時間が多くなったパレスだが、カウンターから一撃必殺。サールのキャリーからオーバーラップしたムニョスが見事なフィニッシュで先制ゴールを決めた。悪くない時間を過ごしていたエバートンだが、瞬間的に空いた守備の穴を突かれる形での失点。エバートンは優勢を活かせないままハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、エバートンは2枚の交代を実施。存在感を出せていなかったディブリングと前線で決定機を活かせなかったバリーを同じポジションの選手と入れ替えていく。

 後半のエバートンもきっちりと幅を使っての攻撃を敢行。WGの突破力を活かしてのクロスからチャンスを作っていく。

 しかしながら、パレスはカウンターから反撃。得点シーンのようなクリティカルなチャンスに拍車をかけていたのはピックフォードの不安定な飛び出し。後方をぽっかりと開けてしまうことで、大きなピンチを迎えていたが、オブライエンのライン上でのクリアなどなんとか追加点を許さない。マテタ、サールといった面々は決定機を仕留めきれなかった。

 エバートンは交代選手で流れを変える。ベトの背後を取るように入っていったイロエブナムにラクロワが対応を誤ってPKを献上。非常に見事なオフザボールからエバートンはタイスコアに戻す。

 さらには後半追加タイムに勝ち越しゴールを決めたエバートン。ベトが仕留めきれなかったボールを押し込んだのはグリーリッシュ。好調のWGの決勝点により、パレスの開幕からの無敗記録は6で止まることとなった。

ひとこと

 ソリッドでシャープな見応えのある試合だった。

試合結果

2025.10.5
プレミアリーグ 第7節
エバートン 2-1 クリスタル・パレス
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:76′(PK) エンジアイ, 90+3′ グリーリッシュ
CRY:37′ ムニョス
主審:マイケル・サリスベリー

ニューカッスル【15位】×ノッティンガム・フォレスト【17位】

まだまだ遠い初勝利

 早くも雲行きがかなり怪しくなっているフォレスト。一刻も早くポステコグルーの指揮下での初勝利が欲しいところだろう。

 序盤からボールを持つのはニューカッスル。フォレストの後ろ向きなプレスに対して、バックラインからボールを動かしていく。フォレストの受けるクオリティは怪しさ満点。ハーフスペースに突撃する選手に対して誰が止めに行くのか?とか、逆に最終ラインのスペースを埋めるところに走ったCHのスペースにジョエリントンが侵入したりなど順調にゴールの可能性を高めていく。

 それであればと徐々にハイプレスに出ていくフォレスト。正直、少し間延びする形のフォレストであったため、少しずつチャンスを広げていきたいニューカッスル。

 しかしながら、相手の攻撃を止めてカウンターに移行するフェーズがいまいち。思ったよりもオープンな状況を味方につけることができない。

 さらに、フォレストは右サイドのワンツーで抜け出したギブス=ホワイトなど陣地回復の手段を見つけるように。ワンパターンではあるが、サイドのスピード勝負に賭けるという悪くない。わかっても追いつけないなら意味はないので。

 ニューカッスルのボックス攻略はやや読みやすかった。クロスへの飛び込みがラインを牽引する相手の最終ラインにフォーカスする形に。マイナスで受けるなどの対応の工夫はもう少し多くても良かった。

 思ったより押し込む状況を作れなかったということはファストブレイクを軸にするニューカッスルにとってはありがたいことなはず。しかし、そうした状況を引き寄せ切ることはできず。やりやすそうな状況で思うような成果が得られず、試合はスコアレスのままハーフタイムを迎える。

 仕留め切りたいニューカッスルは後半ハイプレスに出ていくことで試合を仕留めにいく。展開としては前半の頭のようにニューカッスルがきっちりと優位を出していく形に。再び押し込んでいくニューカッスルはトランジッション成分を存分に発揮したところから先制。ギマランイスのボール奪取はフォレストからすれば文句を言いたくなるものではあるかと思うが、シュート自体は見事ではあった。

 追いかけたいフォレストは気合いが入ったのはわかるのだが、流れはなかなか変えることはできず。押し込まれる機会を回避しきれないと、アンダーソンがコントロールミスからガッツリとギマランイスを削ってしまってPKを献上。この2点目で試合は完全に決まってしまう。

 まだまだ沼を出ることができないフォレスト。またしてもポステコグルーの初勝利はお預けとなった。

ひとこと

 この監督とこのスカッド、合わないんじゃないの?というファンが思いつく1つ目の疑問を乗り越えられないのはなかなか難しい。

試合結果

2025.10.5
プレミアリーグ 第7節
ニューカッスル 2-0 ノッティンガム・フォレスト
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:58′ ギマランイス, 84′(PK) ヴォルテマーデ
主審:ピーター・バンクス

ウォルバーハンプトン【20位】×ブライトン【10位】

またしてもお預けを食らう

 全勝だったリバプールのストップと足並みを揃えるように全敗を止めたウルブス。しかしながら、初日はまだ。ホームでなんとかブライトン相手に結果を出したいところだ。

 互いにプレスの意識は高いが、枚数を完全に合わせるほどのハイプレスではない立ち上がり。ブライトンはファン・ヘッケがキャリーから相手にぶつけてカウンターの局面を迎えるなど、相変わらず保持局面のらしくなさが見える形に。

 一方のウルブスは中盤の3枚のポジションチェンジが非常に活発。相手に基準点を定めさせないようにポジションチェンジを繰り返す。ボールを保持し続けるという点であれば文句はなかったこのプラン。だが、ゴールに向かうという観点で言えばやや物足りなさも残る。ボールを前に送った先に何が起きるのかは微妙なところであった。

 環境に変化を引き起こしたのはトランジッション。ジョアン・ゴメスへのファウルが取られなかったところからざわつくモリニュー。一連のプレーはバレバのファウルとペレイラの退場で終幕するが、このセットプレーをウルブスは見事なミドルからオウンゴールに。ウェルベックの軽率なクリアがウルブスにセカンドチャンスを与えてしまった。

 押し下げられてしまい、苦しい状況となったブライトン。ミンテは根性のロングカウンターに2人に囲まれての抵抗、そしてゴール前の飛び込みなど奮闘をしていたが、なかなか攻撃を形にするのに一苦労である。

 ウルブスは左サイドのヒチャンからのクロスに飛び込む形が徐々にボックス内での約束事として定着するように。オープンな展開を防ごうとブライトンは前半だけで4回警告を受けてしまう。スピーディな展開でアドバンテージを取れず、ブライトンはビハインドのままハーフタイムを迎える。

 後半も積極的に相手を前から捕まえにいく両チーム。だが、ホルダーがフリーになることが多く、守備側にとっては不利な状況も多々。ファン・ヘッケのカウンター、ルターの中央のターンなどカラーが違う攻撃ながら確実に両チームとも敵陣に迫る武器があることを示している。

 アンカー脇が空いてしまっているウルブスは5バックにシフト。ボールをブライトンに渡して試合をクローズしにかかる。流れの中からブライトンのチャンスは抑制できたが、ショートコーナーからファン・ヘッケのヘディングで同点に。この試合はあまりパフォーマンスは良くなかったが、味方ごと吹き飛ばすこのゴールには彼の気迫を感じた。

 またしてもギリギリで勝利を逃したウルブス。今季初めての3ポイントはまたしてもお預けを食らうこととなった。

ひとこと

 ジョンストンの絶叫がこの日のウルブスファンの気持ちを代弁しているかのようだった。

試合結果

2025.10.5
プレミアリーグ 第7節
ウォルバーハンプトン 1-1 ブライトン
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:21′ フェルブルッヘン(OG)
BHA:86′ ファン・ヘッケ
主審:ジャレット・ジレット

アストンビラ【16位】×バーンリー【18位】

ハイプレス破壊に復調の兆し

 ようやく初勝利を手にしてここから上昇気流に乗っていきたいアストンビラ。ホームで昇格組のバーンリーを叩いてまずは順位的に一息つきたいところだろう。

 序盤からポゼッションを行うアストンビラ。ボハルデの右サリーから3バックに変形しながらのポゼッションを敢行。バーンリーは持たせるところと前に出ていくところをかなりメリハリつけながら行っていた。アストンビラは自陣にバーンリーのプレスを惹きつけることでロングボール。やや左に流れるワトキンスを起点として、サイドからきっちりとボールを進めていく。

 前がかりになれば間延びした中央のスペースからの横断もできるし、押し下げることができればセットプレーからの決定機も。早々にドゥブラーフカに救われるシーンも出てきた。アストンビラの陣内でボールを奪うことができればシャドー3人とWBの速攻でシュートチャンスがあるバーンリーだが、ロングボールでのワトキンスという安全な前進策がある状況ではむしろプレスにきた前がかりな姿勢を利用されている感もあった。

 トランジッション成分のあるところからアストンビラは先制。ロングボールの的として有効だったワトキンスのところを囮に抜け出したマレンがエステーヴに寄せながらゴール。ワトキンスに引っ張られている分、守備側は一歩間に合わなかった感があった。

 以降も保持でアストンビラは落ち着いた振る舞い。左サイドから抜け出したロジャーズはトゥアンゼベに引っ張られてPKを主張していたが、これは主審が却下。それでも落ち着いて主導権を確保することで問題なくアストンビラはリードを守ってハーフタイムを迎えた。

 後半、バーンリーは追いかける展開をリカバーすべくプレスを強化。しかしながら、アストンビラはマルティネスを活用しながらこのプレスを回避していく。

 ホルダーを捕まえられない状況が続くバーンリーは間延びというプレスの副作用だけが目立つように。このライン間に入るアクションから一気に擬似カウンターのような形からスピードアップしていく。この形から2点目を決めたのもマレン。今日は彼の切れ味が刺さっている展開だ。

 セットプレーから1点を返したバーンリーは終盤がボールを保持しながら押し下げる時間を作る。だが、アストンビラは逃げ切りに成功。最後はブエンディアの容態が心配な後味が悪い結末となったが、きっちりと勝ち点3は積み上げることとなった。

ひとこと

 このクオリティのハイプレスならば壊せることがわかったことはひとまずは収穫と言っていいだろう。

試合結果

2025.10.5
プレミアリーグ 第7節
アストンビラ 2-1 バーンリー
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:25′ 63′ マレン
BUR:78′ ウゴチュク
主審:アンドリュー・キッチン

ブレントフォード【13位】×マンチェスター・シティ【7位】

「責任」とは別の解決策

 前節はマンチェスター・ユナイテッドにダメ押しの一撃をお見舞いする完勝を果たしたブレントフォード。今節も相手はマンチェスター。今季初の連勝を目指すシティをホームに迎えての一戦だ。

 ブレントフォードはきっちりと後ろを固めるスタート。基本的には左右の揺さぶりに対して3CHがスライドし、WBは大外を埋める形に固定。5バックの陣形を維持することでシティのパスワークに対応していく。

 ボールを持つことを許容されたシティはまずはショートパスから前進。3CHの誘導を割けるような動きから少しずつ相手を押し下げていく。

 前節も5バックのバーンリーを押し込んで壊したシティ。しかし、前節のキーマンとなったドクは今節ベンチスタート。そうした中で誰かが責任を取るのか?というのが立ち上がりのシティのテーマであった。

 あらゆる選手がドリブルを敢行することで変化を付けるというシティの回答はそれなりに好感が持てるもの。強いて言えば率先してドリブルを行っていたラインダースが牽引する形になった攻撃だったが、ヌネスなど彼以外にもドライブから斜めに切り込んでいくドリブルで打開をしようという姿勢が見えた。

 しかし、得点は全く別の切り口から。グバルディオルからハーランドのロングボールでファン・デン・ベルフの位置に穴を空けることに成功したシティ。ややラインが高く浮いたブレントフォードを文字通りぶっ壊すことで先制点を手にした。

 先制を許したブレントフォードはロングボールベースにひっくり返す形にトライするも、再びのチアゴは不発。シティのプレスの強度がそうでもないところに乗っかり、ショートパスから左右を揺さぶっていく。

 だが、脱出口がなかなか見つからないと再び30分からはシティがポゼッションを強める。ロドリがいなくなってもニコ・ゴンサレスをアンカーに置いたシティは延々とサイドに配球しながらドライブが仕掛けやすい状況を整えていった。

 後半はハイテンポなスタート。ボブの仕掛けを咎めた直後にチアゴが抜け出しから決定機。だが、これはドンナルンマがストップ。さすがといえばさすがだが、駆け引きに惨敗しすぎな感もあった。

 ゆったりと押し込むシティだが後半は押しこむ割に得点の匂いがせず。ブレントフォードにも同じように保持の機会が与えられていたが、こちらも押し込んだ先にカヨーデのロングスロー以外の活路が見えないまま時間が過ぎていく。

 主力を入れてもなお得点のチャンスが増えなかったり、ドンナルンマが危ういミスキックをしたりなど、咎められそうな雰囲気もなくはなかったシティ。だが、危うい空気をクリーンシートでシャットアウトに成功。今季初の連勝を見事に手にした。

ひとこと

 押し込むところからの打開のされ方がもったいなかった感があるブレントフォード。重く受けるならば徹底的にやった方がよかったかもしれない。

試合結果

2025.10.5
プレミアリーグ 第7節
ブレントフォード 0-1 マンチェスター・シティ
オールド・トラフォード
【得点者】
Man City:9′ ハーランド
主審:ダレン・イングランド

今節のベストイレブン

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