■ペルーに苦しみ、ペルーに助けられる
ペルーに追いつかれたことで一転窮地に陥ったエクアドル。最終節でブラジル相手に勝ち点を奪わなければ、敗退の可能性もある緊張感のある試合となった。
エクアドルは立ち上がりはブラジルをきっちりリスペクト。SHが自陣深くまで下がる6バック的な振る舞いも見られる。トップのラインも低い状態で自陣で構えるスタンスだ。
それに対してブラジルはエリアの外からのアプローチが多め。CHのファビーニョとドウグラス・ルイスはブロックの中で受けるよりも、外からポンポン放り込むことで組み立てに挑む。CBに運べるマルキーニョスがいることもこのやり方の後押しになる。エクアドルが自陣寄りにシフトする分、ブラジルは後方の選手に前後に移動の自由を許していた。
左右の深い位置まで運べる状態は作れるので、押し込んでカウンターの危険性は少ない。しかしながら、なかなかブロックを崩すのも難しいブラジルであった。
時間が経つと戦況に徐々に変化が出てくるようになった。エクアドルのプレスの位置が高くなるようになってきたのである。理由として考えられるのはブラジルの長いボールの攻撃の精度がイマイチだからだろう。ネイマールと同じようにガブリエル・バルボサにも縦横無尽に移動する自由は与えられていた。しかしながらネイマールがいない分、長いボールでのカウンターでの威力は割引だった。
長いボールでの脅威が薄いということで、エクアドルは躊躇なく前からプレスにいくことができたということだろう。ということで、押し込むという優位も失ってしまったブラジル。試合は互角な展開に徐々に流れていく。
困ったときに頼りになるものはセットプレー、そしてレアル・マドリー。というわけでブラジルの先制点をCKからこじ開けたのはミリトンである。今夏も各所の国際大会で猛威を振るっているレアル・マドリーのDNAだが、コパアメリカでも相変わらず脅威である。
勝ち点は必須なエクアドルは後半の立ち上がりから一気に攻めに出る。立ち上がりの押し込む時間帯においてどうしても点が欲しかったはず。特に体を張るのが目立っていたのがエネル・バレンシア。寄せにも屈さないフィジカルで狭い位置を打開するためのキープを見せる。同点ゴールも彼のアシストから。交代出場のメナがポストプレーからの裏抜けを叩きこんだ。
その後は互角の戦いが続いた両チーム。勝たなければ自力突破はないエクアドルだが、どうしてもその1点を手に入れることができなかった。しかし、他会場でペルーがベネズエラを下したおかげでエクアドルは無事にノックアウトラウンド進出。ペルーに苦しめられて、ペルーに救われたグループステージとなったエクアドルだった。
試合結果
ブラジル 1-1 エクアドル
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
BRA:37′ ミリトン
ECU:52′ メナ
主審:ロベルト・トバル