Fixture
明治安田 J1リーグ 第32節
2025.9.28
川崎フロンターレ(7位/14勝9分8敗/勝ち点51/得点55/失点40)
×
柏レイソル(4位/15勝11分5敗/勝ち点56/得点43/失点29)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
戦績
近年の対戦成績

直近5年間の対戦で川崎は5勝、引き分けが6つ。
川崎ホームでの戦績

過去10戦で川崎の6勝、柏の3勝、引き分けが1つ。
Head-to-head
- 川崎は直近15試合の柏との公式戦で無敗(W8,D7)
- 柏のリーグでの川崎戦最後の勝利は2016年8月。等々力での2-5での勝利。
- 柏の直近2試合の等々力でのリーグ戦勝利はいずれも4得点以上を記録している。
- 2022年以降のリーグ戦において1-1が4回あるカード。
スカッド情報
- エリソンは累積警告による出場停止。
- 大関友翔、神田奏真は代表活動により不在。
- 欠場が続いていた大島僚太はフルトレーニングに復帰。
- 丸山祐市、車屋紳太郎は長期離脱中。
- ジェジエウもベンチ外が続く。
- 渡井理己、熊坂光希、手塚康平はACLによって長期離脱。
- 瀬川祐輔、久保藤次郎、犬飼智也、小西雄大、熊澤和希もベンチ外が続く。
予想スタメン

Match facts
- 公式戦直近8試合で負けは1つだけ(W5,D2)
- 勝てば昨季の勝ち点(52)を超える。
- 55得点はリーグ最多だが、40失点は上位8チームの中でワースト。少なくともほかのチームに対して7以上多く失点している。
- 長谷部監督就任以降、ホームでのリーグ戦連敗はここまでない。
- 伊藤達哉は得点を決めればリーグ戦2桁ゴール。達成すれば川崎の日本人選手としては2021年の小林悠(10)、2022年の家長昭博(12)、2024年の山田新(19)に続いて直近5年で4人目。
- 脇坂泰斗が今季リーグで決めた5つの得点はすべて先制点。
- 直近3試合の柏戦ですべて得点を決めている。
- 公式戦4連勝の後、直近の3試合ではすべてドロー。
- 直近3試合で得点は1。それ以前の4試合では11得点を決めていた。
- 今季ここまで今のテーブルの7位以上のチームには勝てていない(D6,L4)
- 今季敗れたリーグ戦5試合はすべて複数失点でうち4試合は3失点を喫している。
- 瀬川祐輔は柏加入以降のリーグ戦で3得点。108分に1得点を決めており、キャリアハイの9得点を記録した2018年(158分)よりもハイペースで得点を決めている。
- リカルド・ロドリゲスは8試合中2試合で川崎に勝利しているが、等々力ではいまだに勝利がない。
予習
第29節 神戸戦

第30節 C大阪戦

第31節 広島戦

展望
不定形で狙いを絞らせない
端的に言えば今季川崎に残されている目標は2つだろう。1つは「リーグ戦残り全勝し、優勝ないしはACL出場権確保への道筋を残すこと」、もう1つは「ルヴァンカップの制覇」である。
この2つのどちらの道の上にも立っているのが今節の対戦相手である柏。リカルド・ロドリゲス就任初年度の彼らはカップ戦ファイナルに向けたライバル。リーグ戦では川崎よりも色濃い優勝の可能性を残している充実のシーズンとなっている。
基本的なフォーメーションは3-4-2-1ではあるが、保持時には大きく変形するケースが多い。後方は小島+古賀は固定でもう1人はどちらかのワイドのCB。3枚がベースでもう片方のCBが前線に上がるケースが多い。
柏の保持における面倒くささは不定形であることだ。「左のCBが必ず上がる」とかであれば対策も打ちやすいのだが、柏の場合は左右のCBの誰かが上がるかは試合の中で変わる。ワイドのCBにいながら前線に当たっていく役割(火曜の湘南戦の三浦っぽい役割である)ができるのは原田、ジエゴ、杉岡など左右を問わずに数枚がいる。そのため、都度守備側は対応に追われることになる。プレースピードも非常に速いので一度遅れてしまうとリカバリーが難しい。
動く選手に迷いなくついていくという形ももちろん悪くはないのだろうが、GKの小島を使っての方向転換ができるとなると、咎めるのは簡単ではない。イメージと異なるのはここ3試合では相手がプレスに来た際には過度に粘らずに前線へのロングボールを選択していたこと。細谷、垣田に躊躇なくボールを当てての陣地回復を行う。ハイプレスを誘引することでCFが挟まれることなくボールを収めることが出来るということだろう。
もちろん、細谷も優秀なCFであるのだが、今の柏には意外と一枚剥がせる選手が少ない(小屋松とか久保が該当する?)。なので、垣田のようなポストプレーで相手の矢印を折ることが出来る選手の方が一番前に適しているかもしれない。
中盤の変形もバリエーションがある。CHが縦方向に並んだり、先に挙げたワイドのCBがローテーションに絡んだりなどプランは豊富。直近の広島戦ではミラー気味にマンツーでくることが想定できる相手に対して、小泉と垣田という異なるカラーのシャドーを組み合わせて小泉を中盤に下ろすことで、5-3-2気味に下げて相手の守備の基準を乱しに行く形を作っていく。
ズレを使う選手として個人的に注目しているのはCHの中川。スキがあれば縦にパスを差し込むこともできるし、動き直しやドリブルで動的な成分ももたらすことが出来る。熊坂の負傷は痛いだろうが、新しい楽しみなタレントが躍動してくれているのは救いだろう。
後方からのプレス回避でスペースがある状態で繋ぎ、相手の守備が整う前に仕留めきるのが柏の理想。そのためにあらゆる手段を持っているというのが柏の強みだ。
非保持においては前線が深追いできる走力と中盤にプレスバック出来るバイタリティを有している。誘導をきっちり行うので、2列目が狙いを定めてのハイプレスも行いやすい。
バックラインではやはり古賀の奮闘が光る。左右のCBに積極的な攻め上がりを許容している分、トランジッション時はかなり負荷がかかっているだろうが、左右に流れてカウンターの起点を作る相手を見事に潰している。その後方を守る小島の活躍を含めて、チームのピンチを救い続けている。
休息確保か?整理か?
予習のために柏×広島の試合を見ていたところ、放送席から川辺が次のようなニュアンスのことを言っていると紹介されていた。
「柏相手にずっと追い続けると80分でバテてしまい、残りの10分で走れなくなる。柏が終盤での得点が多いのはそれが理由。」
ニュアンスなので、細かい言葉の違いがあっても許していただきたい。個人的には非常に納得感がある言葉だなと思った。柏はパスのテンポもリリースも速いので、持たれて追い回すフェーズが続いてしまうと難しい。
もちろん、あえてオープンな戦い方をして走力勝負に挑むという策もあるだろう。C大阪戦を見ると、機動力のある前線がスペースのある状況さえ作れれば、柏の守備陣に対して確かにアドバンテージを作ることはできそうではある。しかしながら、エリソンの出場停止+大関不在で脇坂の控えがいない状況で走り合いに挑むのはやや不利な感じがする。
速い展開であればおそらく守備に粗が出るのは相対的に川崎の方。分が悪い賭けになる可能性はある。広島の選手が「分が悪い」と考えるくらいなのだから、川崎はなおさらのように思う。
柏の保持の機能性を決める要素としてはCFのポストが収まるかどうか?というところがある。ここを封殺できるのであれば、前プレの機能性は変わってくる。C大阪の守備陣であれば収まっていた垣田だが、広島の佐々木翔はほぼ完封。長友といい、すさまじいベテランがJ1にはいる。
ウレモヴィッチ、佐々木のロングボールへの対応は試合を追うごとによくなっている。この点で優位を取れれば試合の運び方としてはだいぶ楽になるだろう。
ハイプレスに関しては目の前に現れる選手が代わるのでとにかく人基準を根性でついていくのか、ローテーションで受け渡すのかの整理が必要。前者寄りの場合は保持で自分たちが休む時間を作らないといけないので、ロングボール偏重の近頃の戦い方を工夫しなくてはいけないし、後者寄りの場合は入れ替わりの多さで言えばJリーグでは最多の部類であるため、整理の難しさは最上級であることは間違いない。
どちらにしてもこの一戦で勝利をつかむにはギアアップが必要。今までの出来であれば個人的は足りない相手を迎えてしまったなと思っている。それでも今のバックラインが固定できてからは少しずつ攻守の機能性は上がってきているように思う。論点はこの相手でこのタイミングでぶち当たることに関して間に合う仕上がりになったのか?に絞られるだろう。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)