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「見えてくるプレシーズンの期待度」~2025.11.8 J1 第36節 川崎フロンターレ×ファジアーノ岡山 プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第36節
2025.11.8
川崎フロンターレ(7位/15勝11分9敗/勝ち点56/得点65/失点50)
×
ファジアーノ岡山(15位/11勝8分16敗/勝ち点41/得点31/失点40)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

戦績

近年の対戦成績

過去2戦で川崎の1勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 過去2回の対戦はいずれも90分で1-1。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 車屋紳太郎はトレーニングに合流。
  • フィリップ・ウレモヴィッチ、ラザル・ロマニッチは出場停止から復帰。
  • 丸山祐市は長期離脱中。
ファジアーノ岡山
  • スベンド・ブローダーセンは出場停止から復帰。
  • 立田悠悟、鈴木喜丈は出場停止。
  • 藤田息吹は9月以降、公式戦の出場がない。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • C大阪戦の敗戦は6試合ぶりの無得点試合。
  • 直近17試合のリーグ戦でクリーンシートの達成は2回だけ。
    • いずれも横浜を本拠地とするチームとのアウェイゲーム。
  • あと2得点で昨季のリーグの得点数を超える。
  • 現在のテーブルにおいて15位以下の6チームに対しては11戦無敗(W8,D3)
  • 伊藤達哉は直近の公式戦14試合中11試合で得点。この14試合の間で敗れている3試合はいずれも伊藤が得点を決めていない試合。
  • 脇坂泰斗が今季Jリーグで決めた7得点は全て関東開催で決めたゴール。
ファジアーノ岡山
  • 7戦で5勝を挙げた後、直近8試合のリーグ戦で未勝利。
  • 直近8試合で勝ち点を得た2試合はいずれも降格圏のチームが相手だった。
  • 直近5試合で複数得点がなく、9試合まで遡っても1つだけ。
  • 直近3試合のアウェイでの勝利のうち、2勝は関東で挙げたもの。
  • ルカオは直近9試合の出場で得点がない。
  • 立田悠悟は出場した14試合の川崎戦で勝利がない(D3,L11)

予習

第33節 新潟戦

第34節 C大阪戦

第35節 FC東京戦

展望

昇格組としては堂々たる一年間

 国内カップ戦にも敗れ、ACLもないチームにとってはシーズン後半のこの時期は試合ごとの間隔が大胆に空くことになる光景がおなじみになっているJ1。代表ウィークではないのに2週間ぶりの試合となる川崎が今節ホームに迎えるのは岡山だ。

 岡山は現在の順位は15位。数字上は18位と勝ち点差が9なのでまだ降格の可能性がないわけではないが、シーズンを通して残留争いに巻き込まれなかったと評していいだろう。昇格組としては上々な1年間であった。

 スタイルとしては前半戦に対戦した時とは大きく変わっておらず、前線のエネルギッシュな守備から相手のポゼッションを阻害していく。オールコートマンツーを常時発動するほど原理主義的な守備ではないが、前からの守備ではきっちりと対象を決めながらマークを行っていくのが特徴だ。

 直近のリーグ戦は4バックのFC東京が相手だった。トップに入った一美は中盤のケアにフォーカスし、CBにプレスをかけるのはシャドーの江坂と岩渕の役割だった。相手のSBにはWBが出て行くなど重心を前に傾けた守備をすることには躊躇がない。新潟戦ではハイプレスから得点も挙げており、リスクの高い深追いを実践する上での釣果もきっちり手にしている。

 バックラインは降りる前線にも積極的についていくことで前向きのデュエルで潰す意識が強い。工藤、田上などは空中戦でもきっちりJ1の前線と渡り合うことができている印象がある。

 岡山の守備がエネルギッシュだなと感じるのは前線が自らの列を超えられた後でも挟み込むためのプレスバックを敢行していること。マンツーだと割と列を超えられてしまったら終わりという感じの前線も多いのだが、岡山はマイナス方向に対しても躊躇なくプレスに来るのが特徴だ。

 保持の局面は長いボールフォーカス。ただし、岡山アウェイでの川崎戦で猛威を振るっていたルカオは直近ではスターターの機会が減っており、強引に起点を作るという点では少し脅威は減っている。

 その代わり増えているのは降りる江坂を起点とする形。運動量豊かな前線を生かすために、降りるアクションから出し手となる江坂がフリーになることをまずは意識する形だ。特には神谷などCHが大胆に前に進むこともあり、降りる位置でフリーになった時の江坂に対するチームの信頼度がうかがえる。

 セットプレーからの得点の割合は神戸、広島、浦和に次いで4番目に多い数字。ロングスローも含めて、押し込んだところからの得点の可能性が高いチーム。屈強な空中戦を生かすという観点で言えば押し込むこと自体が脅威を生み出しているチームだともいえるだろう。

出て行くなら潰す責任を

 岡山を相手にする際に狙いたいのは中盤でフリーマンを作ること。前節のFC東京戦で完敗したのは前に出て行った際に背後を高に取られてしまい、ここから裏へのパスを自在に通されてしまった影響が大きい。

 中盤はあまり広い範囲を守れるというわけではないので、全体が縦に間延びした状態を作られると、背後を取られる形はそれなりに出てきてしまう印象だ。そのため、前線がむやみに深追いをすればチャンスは増えてくる。

 ただ、それを簡単にしないのが岡山。プレスを追い出すタイミングはサイドに追い込むという手ごたえを得てからというのは心得ている。

 川崎が一番狙いたいのは追い込んだと見せかけて、そこから脱出する形である。狙いたいのは相手のマンツーの移動距離が大きくなりそうな上で対面を剥がせそうなポジション。個人的には右のSBのファン・ウェルメスケルケンが自陣で深い位置を取った状態でドリブルでギャップを作る形が効きそうな感じはする。CBを経由すれば、シャドーは前プレに出て行くので、FW-MF間はコンパクトにキープできず、ファン・ウェルメスケルケンが得意なドライブを行うスペースは出てくるだろう。

 ここからライン間に縦パスを差し込み前を向く隙を作るのが理想。前を向いたら前線の選手は斜めのランからフリーとなり、ゴールを狙っていきたい。

 リスクをかけて得点を獲りたいのであれば上のようなSBが手前に引き付けるスタイルが有効だと思う。逆に陣地回復優先で保持局面を安定させたいのであればロングボールを囮として、前線にボールを当てつつ、リターンを自陣に戻してフリーでCBがボールを持つ状態から組み直せばいい。岡山のMF、FWは献身的なので、きっちり挟み込もうとする分、ロングボールでは陣形が下がりやすい。

 ただし、降りるアクションと組み合わせると今度はボールを奪われた時に前向きのカウンターが発動してしまうリスクが川崎側に生じてしまう。前線の競り合いは裏かもしくは前線にとどまる形を狙い、高さは保つ方がリスクヘッジはできる。無論、ファン・ウェルメスケルケンのドリブルなどで中盤を手前に引き寄せることができており、挟み込まれるリスクが低い時はこの限りではない。

 押し込んだ際に狙いたいのはファーサイドのクロス。WBの空中戦が得意な感じはしないので、本命となりそうなCFをファーサイドにおきつつ、その外側から入り込んでくるSHやSBを狙いとするのは面白いかもしれない。岡山もCB2人が出場停止というスクランブルな状況なので、川崎としては揺さぶっていきたいところだろう。

 非保持においてはまずは降りていく江坂とどこかで出てくるであろうルカオの2人は行動範囲が広いのでどのように捕まえるかを整理したい。気を付けたいのは共にシャドーやCHの前線への飛び出しがセットになっていること。ついていくのであれば、出て行く選手が潰す責任を負うということを意識してほしい。特にDFラインの選手は。

 岡山は柏のようにショートパスにこだわるチームではないが、構造的な観点で言えば3バックに対する守備対応の整理ができていないというルヴァンカップの宿題は克服を狙っていきたいところ。ミドルゾーンで我慢できるバランスを見つけつつ、ハイプレスに出て行く形から成果を得ることができれば理想である。

 守備が定着をしないことについて誰が悪いかの責任の所在探しをしている人も結構TLで見受けられるが、選手も監督を始めとするスタッフも責任を負うべき話だと考える。守備に関する話は試合後コメントで触れる頻度や試合中のプレーを見ていても、意識に少しバラつきがあるのかなとも思うし、意識の中に落とし込めていないのは確かだろう。

 ただ、だからといって監督に責任がないというのは変な話でもあると思う。単純にチームが成果を上げられていない分野に関して、責任がないのであれば、その監督は何を指導しているのか?ということになるだろう。一般論として集団がうまくいっていない時にリーダーに責任がないというのは筋が通らないだろう。

 もちろん、監督交代にまで話を飛躍させるのは別の話ではある。週1のペースになっても、なかなか守備の連動性を上げることができないのは見ている側としてもどかしい部分があるのは確かでもある。

 1週間では仕込みが足りないのであれば、それ以上の期間ならばどうなのだろうか。残りの3試合のうち、この岡山戦と次の広島戦はそれぞれ2週間以上の準備期間がある。すべてをクリーンシートで終えてほしいとはもちろん言わないが、準備期間がある中でこれまで試合後にたびたび口にしている守備局面での改善の跡は見たいところではある。間隔のあいた岡山戦、そしてこの次の広島戦で見せられる準備の成果は来季の開幕前のプレシーズンにおける期待度に関わってくる話だと思っている。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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