Fixture
プレミアリーグ 第19節
2025.12.30
アーセナル(1位/13勝3分2敗/勝ち点42/得点33 失点11)
×
アストンビラ(3位/12勝3分3敗/勝ち点39/得点29 失点19)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績

過去の対戦でアーセナルの5勝、アストンビラの5勝、引き分けが1つ。
アーセナルホームでの戦績

過去10回の対戦でアーセナルの6勝、アストンビラの3勝、引き分けが1つ。
Match facts from BBC sport
- アーセナルは直近5試合のアストンビラ戦で3敗(W1,D1)。シーズンダブルを喰らえば、20-21,23-24に加えてここ6シーズンで3回となる。それ以前でのシーズンダブルは1992-93の1回だけだった。
- アストンビラは直近2試合のアーセナルでのアウェイで無敗。2024年4月には2-0で勝利し、昨季は2-2でのドロー。3試合無敗のランは2009年が最後となる。
- アーセナルが同月に同じ相手とのリーグ戦を行うのはプレミアでは3回目。2010年1月のボルトンと2022年のウルブスでいずれも全勝している。
- アストンビラが同月に同じ相手とのリーグ戦を行うのはプレミアでは4回目。1996年のシェフィールド・ウェンズデー戦では1勝1敗。2021年5月のエバートン戦では1勝1分。2022年5月のバーンリー戦では1勝1分。
- アーセナルは直近5年の年内最終戦で4勝しており、例外は2-1で大晦日にフラムに敗れた2023年。
- アストンビラは直近13年の年内最終戦で2勝のみ(D6,L5)。勝利は2017年のミドルスブラと2023年のバーンリー。
- ウナイ・エメリにとってアーセナル解任以降、プレミアで3回目のエミレーツ凱旋。過去2回は1勝1分。3試合無敗となればアーセナル解任後の監督としては初めてのこととなる。
- エベレチ・エゼは過去3年の年内最終戦で得点。2022年のボーンマス戦、2023年のブレントフォード戦、2024年のサウサンプトン戦。4年連続になればディミタール・ベルバトフ(5シーズン)とハリー・ケイン(4シーズン)と並び3人目の記録となる。
- エゼはアストンビラ相手のホームゲームで先発すれば4試合で5つの得点(2G,3A)に関与している。
- オリー・ワトキンスは5試合のアーセナルとのアウェイゲームで4得点。アーセナルアウェイにおいてもっとも得点を決めているアストンビラの選手。
スカッド情報
- ユリエン・ティンバー(?)
- リカルド・カラフィオーリ(?)
- ベン・ホワイト(大腿部)
- カイ・ハヴァーツ(膝)
- クリスティアン・モスケラ(足首)
- マックス・ダウマン(足首)
- ロス・バークリー(膝)
- パウ・トーレス(脚)
- タイロン・ミングス(腿)
- マッシー・キャッシュ(出場停止)
- ブバカル・カマラ(出場停止)
- エヴァン・ゲザン(AFCON)
予習
第16節 ウェストハム戦

第17節 マンチェスター・ユナイテッド戦

第18節 チェルシー戦
準備中
今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望
競り勝つ原動力の前線
無傷では潜り切るのが難しい年末年始の過密日程。アーセナルがこの連戦を全て勝利で乗り切ったのは21-22が最後。チェルシー、ブライトン、ウェストブロムに連勝している。しかし、逆に23-24には優勝が難しくなる連敗を喫している。
この連戦をどう乗り切るかはタイトル争いに直接影響するというのは言い過ぎかもしれないが、少なくともCLノックアウトラウンド開始時の立ち位置には影響してくるはず。また、連勝しても何も確約してくれはしないが、連敗すれば間違いなく致命傷を負うという残酷な側面もある。
ちなみに年末年始の連戦(リーグ戦が1週間空かない期間と定義する)が4連なのは2018年以来7年ぶり。ひっそり緩和傾向にあったフェスティバル・フィクスチャーは日程の過密化によって、強制的に逆行させられている感がある。もうカラバオカップは準決勝も1レグ制で良くないでしょうか。
さて、この試合についての話をしよう。アストンビラとの試合は24日ぶり。前回の対戦時には勢いに乗っているアストンビラをビラ・パークで首位のアーセナルが止められるか?という構図だった。だが、今回の対戦では両チームの勝ち点差は3。前回対戦から互いに全ての試合を勝利で進んできた両チームはシティを巻き込んだ三つ巴での首位攻防を繰り広げている。今回はそうした中でのシックスポインターだ。
アストンビラは現在リーグでは8連勝中。当然調子がいいのだけども、その中で特筆すべきは勝負強さ。特に終盤における強さは折り紙付きであり、この8連勝のうち4つの勝利は逆転勝ち。残す4つのうち2つは先制点を取りながら追いつかれるという状況を経験したにも関わらず、再度勝ち越しで押し切るという内容。無風で勝利した2つの試合はどちらも11月のもので、12月になってからはアーセナル、チェルシー、ユナイテッド、ブライトンなどトップハーフのチームを僅差で蹴落とすというしぶとさで連勝を重ねている。
前回対戦と何かが変わったか?といえば大きな本筋は変わっていない。優れたビルドアップの能力、前線のシャープさを生かしたカウンターをベースに得点を重ねていきつつ、高いラインをキープしながら敵陣でのプレータイムを増やしていく。ブロックを組んだ時には相手をきっちりと跳ね返すしなやかさを持ち合わせている。
常に素晴らしい時間を過ごしているわけではなく、劣勢の試合においても打開点を見出しながら、流れを持ってくる。そして、その掴んだ流れを話さないということにとても長けているチームだと言えるだろう。
前回対戦からの24日で大きな変化となっているのはワトキンスの復調だろう。チェルシー戦では途中交代からの2得点という大暴れ。前線に残った攻撃の起点としてゴールだけでなく、攻撃を組み立てるプロセスとして大いに機能した。プレータイムを抑えながら、結果を残すというアーセナル戦に向けては最高の状態で臨むことができていると言えるだろう。
ただし、前回の対戦においてはアーセナルはワトキンスを抑えることができている。速攻でのボールキャリーは許したとしてもサイドに流れがちなワトキンスに対して内外を入れ替えさせずに状況をキープし、コースを限定しないシュートを許していない。ガブリエウとサリバの先発が濃厚な今節において、ここのマッチアップは再び見ものとなるだろう。
加えて、ロジャースも好調をキープ。ユナイテッド戦ではマークの甘いユナイテッドのDF陣に対して思う存分右足からの長いレンジのシュートをのびのびと放つことができていた。
ティーレマンスはライン間の住人でもあるが、サイドに流れることでゴールに直結するプレーを演出するという点でもここ数試合では存在感を発揮。直近のチェルシー戦ではワトキンスがエメリの采配を絶賛する過程で彼の名前を挙げており、プランを変える役割を担っていることも示唆されている。
そうした前線の選手たちがいるからこそ、苦しい試合を競り勝つことができる。自信を持って首位攻防戦に臨むことができる原動力と言える存在だ。
前回の対戦でレビューしたことがそのままこの試合での論点になる。いつもとは違う形式だが、いくつか箇条書きでテーマを示していきたい。
アストンビラに対するアーセナルのハイプレス
まずはアーセナルのハイプレスが通用しなかったこと。左サイドからティーレマンスとロジャーズが縦パスのレシーバーとなり、スビメンディの周辺をうろうろできたおかげでハイプレスがかかりきらなかったというのが前回対戦の結果だ。
アーセナルはここ数試合ではなかなかハイプレスでリズムを掴むということができていない。ウーデゴールはミドルブロックからコース限定から中央にカットさせるという守備の作り方はできてはいるのだが、エネルギッシュな守備のチェイシングという観点では物足りなさがある。
ここでアーセナルがハイプレスからのゲームの作り方を復活させることができるかは重要なポイントとなる。ウーデゴールには前から追うところでも守備で持ち味を見せて欲しい。
パウ・トーレスの不在はアーセナルがハイプレスを敢行する上で大きな後押しとなるだろう。代役のリンデロフも個人的にはとても素晴らしい内容で穴を埋めていると思うが、特にビルドアップでの制圧力では世界有数のCBであるパウ・トーレスと同じ働きを望むのはあまりに過酷すぎる。
前回対戦ではサカが外切りでのプレスに出ていったが、抜けられた時のリスクヘッジを考えるとマートセンを捕まえることを優先した方がいい可能性がある。ウーデゴールが右足側から追い込みながらコースを制限する形がいいように思う。
アーセナルがサリバとガブリエウが揃っているということで雑な縦パスの収めどころとしてのワトキンスを抑えるところに前回対戦以上に目処が立ちやすい。カマラが出場停止ということもありGKに戻して中央から組み直すという点でもアストンビラは難しい舵取りになる。
つまり、アーセナルがハイプレスでアドを握るということは優位に試合を運ぶためには絶対に譲れないポイントとなる。意識したいのは時間軸。終盤に強い今のビラに対して、主導権を握ったところから素早く先制点を取るのは重要。ハイプレスから先制攻撃までをスピーディーに。これが青写真だ。
キャッシュの不在
もう1つ、意識したいのはアストンビラの右サイドとアーセナルの左サイドの攻防。基本的に攻撃を作るメカニズムはどちらのチームも逆サイドが多い。アーセナルであれば右のサカのユニットがアタッキングサードにおける最も大きな武器となるし、アストンビラはパウ・トーレスとロジャーズがいる左の方からの前進が多い。ワトキンスもどちらかといえば左サイドに流れるイメージだ。
となると、こちらの逆サイドは攻撃をフィニッシュする最終局面での役割が大きくなる。前回の対戦でゴールを決めたキャッシュは機を見たタイミングでの攻め上がりから長いレンジからシュートを決める決定力を持っている選手。アタッキングサードで決定的な仕事を果たせるという意味では個人的には今のプレミアで言えばムニョスと双璧のように思える。
そのキャッシュがこの試合では出場停止となる。攻撃面でも大きな痛手にはなるし、守備面に関しても怪しいところになってくるはず。ウーデゴール、サカなどインスイングからファーを狙うクロスが得意な選手が多いアーセナルに対して、代役として予想されるガルシアがクロス対応を問題なくできるか?がポイントになるだろう。
アーセナルとしてもカラフィオーリが復帰できるか?という側面は非常に重要。ここが機能すれば左サイドからも攻撃の機能性を見出すことができる。フィニッシュ局面でだけでなく、枚数をかけたサイド攻撃からもキャッシュの不在をつくことができれば、さらにチャンスメイクの期待ができるだろう。
ゲームクローズ
ワトキンスが前に起点を作れるか?ということの重要性についてはすでに述べたが、逆にアーセナル側にもこうしたお手軽な陣地回復ができるかは重要なポイント。
ここまでのアストンビラとアーセナルの試合運びを見れば、特にアストンビラがビハインドの局面においては、後半にアストンビラが主導権を握るフェーズがやってくるはず。そうなった時に重要なのはまずはアーセナルがインサイドにポイントを作らせるかどうか?
サイドからシンプルなクロスを上げさせる分には大外に張る選手が少ないアストンビラはそこまで怖くはない。ただし、中央に楔を通されて、最終ラインが十分に迎撃ができない状態でサイドに展開されれば話は別。
アーセナルはこの観点に照らし合わせればエバートン戦もブライトン戦でも十分なクローズができており、そうでなかったウルブス戦でも反省を生かすことができている。ただ、アストンビラのアタッカーは控え選手も含めてとにかくライン間の住人が多い。
ワトキンスやティーレマンス、ロジャースはもちろんのこと、前回のマッチウィナーであるブエンディアなど要注意すべき人物はここ2試合よりも明らかに多い。サイドの攻防に移る前にインサイドでの起点を許すかどうかは重要なポイントだ。
もう1つ、アーセナル目線で気にしたいのはこうした苦しい状況で陣地回復の目処が立つか。序盤であれば、ハイプレスはスビメンディの舵取りで問題なく対応できると思うが、アストンビラの全体の重心が高まっているこの状況では同じような希望を持つことは難しい。
ならば、カジュアルなロングボールから陣地回復ができるか。弾道が高いロングボールを相手に体をつけながら収めるのがやたらとうまいジェズス、カウンターの申し子のようなスキルを見せるマルティネッリ、前回対戦ではコンサに完封されたギョケレシュ、そしてカムバックを遂げれば当然ハヴァーツもここの候補に名前を連ねることとなる。誰でも構わない。終盤で陣地回復役として機能してくれる人が出て来るかどうか?ここもクローズに関しても大きな要素だ。
論点としてはこんなものだろうか。2025年の最終戦はタイトルレースを占う大きな一戦。エミレーツでのリベンジを果たし、ビラ・パークでの対戦前での状態にアーセナルは勝ち点差を元通りにしたいところだ。
