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「脚本家の出る幕はない」~2025.12.13 プレミアリーグ 第16節 アーセナル×ウォルバーハンプトン プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第16節
2025.12.13
アーセナル(1位/10勝3分2敗/勝ち点33/得点28 失点9)
×
ウォルバーハンプトン(20位/0勝2分12敗/勝ち点2/得点7 失点29)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去の対戦でアーセナルの8勝、ウォルバーハンプトンの2勝。

アーセナルホームでの戦績

 直近10試合の対戦でアーセナルの6勝、ウォルバーハンプトンの1勝、引き分けが3つ。

Match facts from BBC sport

Match facts
  • アーセナルは直近8試合のプレミアでのウルブス戦で勝利。特定の相手に対しての連勝としては2010年から2019年まで10連勝を記録したバーンリー戦以来最長。
  • ウルブスは直近14試合のリーグでのアウェイのアーセナル戦で1勝だけ(D4,L9)。2020年11月の勝利以降、4連敗中。
  • アーセナルは1979年2月以降、公式戦における直近35回のウルブスとの対戦で無得点に終わったことがない。イングランドフットボールにおいてこれより長い連続得点の記録は1929年から1961年までレクサムがダーリントンに記録した49試合ただ1つだけ。
  • プレミアにおいて42回目の首位と最下位の対戦。過去41回では首位が30勝(D7,L4)している。ウルブスは最下位側が勝利した4勝のうち、2つを請け負っており、2004年1月と2011年2月にマンチェスター・ユナイテッドを倒している。
  • アーセナルは2024年4月以降初めてのプレミアでのホーム5連勝を狙う。ボトム3とのホーム戦は2023年4月のサウサンプトン戦のドロー以降、7連勝中。
  • アーセナルはプレミアでここまで最小の9失点を記録しているにもかかわらず、直近5試合で6失点。それ以前の10試合より倍多く失点している。
  • ウルブスは今季のプレミアでまだ15試合未勝利。2012-13のQPR(16)と2020-21のシェフィールド・ユナイテッド(17)に次いで多い開幕からの未勝利記録。15試合時点の勝ち点としては20-21のシェフィールド・ユナイテッド戦の2に並んで最小。
  • ウルブスは直近19試合のプレミアで未勝利で現在8連敗中。どちらの記録もこのリーグにおける彼らのクラブ記録に並んでいる。
  • アーセナルの今季はじめの17のゴールのうち、12はセットプレーから来たものであったが、バーンリーでヴィクトール・ギョケレシュが決めて以降の11ゴールは全てオープンプレーで決めたもの。
  • ノニ・マドゥエケは先発した過去2回のウルブス戦で4得点を決めており、昨季はモリニューでハットトリックを記録している。

スカッド情報

Arsenal
  • ウィリアム・サリバ(打撲)
  • レアンドロ・トロサール(脚)
  • デクラン・ライス(疫病)
  • ユリエン・ティンバー(打撲)
  • クリスティアン・モスケラ(足首)
  • カイ・ハヴァーツ(膝)
  • ガブリエウ・マガリャンイス(鼠蹊部)
  • リカルド・カラフィオーリ(出場停止)
  • マックス・ダウマン(足首)
Wolverhampton
  • ロドリゴ・ゴメス(鼠蹊部)
  • マーシャル・ムネツィ(脚)
  • ダニエル・ベントリー(足首)
  • レオン・チウォメ(膝)

予習

第13節 アストンビラ戦

第14節 ノッティンガム・フォレスト戦

第15節 マンチェスター・ユナイテッド戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

得意な形に持っていくまでの苦労

 ついにノアゴールがCBという非常ボタンを押した感があるアーセナル。マルチを含めてシニアプレイヤーが7人いるはずのCBのポジションで水曜日にスタメンでプレーしたのは7人のうちインカピエただ一人。後半から出場したカラフィオーリはこの試合では出場停止でサリバとティンバーの復帰次第では引き続き「非常ボタン」が押される可能性も否定できない。アーセナルとしてはここを凌げば1週間の休みが手に入るだけに、なんとかこの週末を凌ぎたいところだ。

 ただ、そんなアーセナル以上に遥かに非常事態感があるのが今週末の相手のウルブス。第12節を前にヴィトール・ペレイラ解任という「非常ボタン」を押して、ミドルスブラからロブ・エドワーズを招聘。しかし、そこから4試合たっても勝利はおろか勝ち点を積み上げることすらできず。

 月曜日のユナイテッド戦で挙げたベルガルドのゴールは10月のバーンリー戦以来の得点。つまり、11月には1ゴールも入らなかったということである。

 このようなスタッツを見てもわかるようにロブ・エドワーズへの監督交代はここまで効果を全くあげていないと言えるだろう。基本的なフォーメーションやそこから組み上げるプランも大きな変化はなく、監督交代をしたと言われなければわからないレベル。

 5バックを基調にしつつ、前向きな守備から高い位置でのカットを狙っていくのが基本。ただし、前の5枚(3-2型、もしくは2-3型)での制限がうまくかからず、間を使われてCHに前を向かれることがしばしば。かといってインサイドを閉めれば、ブロックの外から対角のパスを蹴られてしまい、大外から1on1に持ち込まれて結果的に押し込まれる。

 押し込まれたところからのリカバリーができないのも今年の苦しいところ。推進力を持ったキャリー役が存在せず、ロングカウンターでの鋭さを出すことができないのが得点力低下の源泉。ここはクーニャの退団が大きく尾を引いているのは間違いない。引いて受けてもなんとかなるというこれまでの前提は明らかに成り立たなくなっている。

 保持においてもなかなかポイントを作ることができず。CHが前を向いてインサイドでボールを持てば前線の動き出しに合わせるような裏へのパス、もしくは大外のWBの攻め上がりから加速することができるのだが、インサイドでCHがフリーでボールを持つことができるという発動条件を満たすことができない。前線はポストからの落としでフリーを作る連携はできないし、一人で反転することも難しい。ゆったりとした状況でも攻撃に出ることは難しい。

 押し込んだ状態を作れればそこからはひたすらクロスを入れていくウルブス。ここは数勝負。ここまで持ってくることができればそれなりに空中戦で優位を取れる相手には勝負ができるが、そもそもそこに持っていくことが難しいというのがウルブスの現在地だと言えるだろう。

プレーエリアに注目すべき試合

 正直なところ、ここは落とすわけにはいかないというのがウルブスの予習をした感想だ。バックラインは引き続きその日暮らしになるだろうしめちゃめちゃ刺さりそうなカラフィオーリの出場停止も痛いのだけども、それでも勝利は必須である。

 ハイプレスに関してはフォレストのビルドアップスキルでもプレスで取り切るのは無理と判断させて後ろ重心に持っていくことができている。アーセナルがいくら即席感のある後ろの組み合わせになったとしてもスビメンディがいれば保持は整うはず。相手の組み立て役をキーマン設定して抑えるのもウルブスは得意ではなく、フォレスト戦ではサンガレとアンダーソンにブロックの外とはいえ好き放題に組み立てを許している。

 スビメンディがフリーになるのであれば少なくとも外のWGにボールをつけてつっつくことはできるはず。もしくはウルブスがスビメンディを囲うような守り方をするのであれば、アーセナルはバックラインを横に広げることでワイドのDFからWGに安定供給はできる。

 WGへのルートが通れば少なくとも相手のラインは下がる。ロングカウンターの方策に乏しいチームに対しては「まず押し込む」というプランはかなり有効。ウルブスに対してはまず押し込むところを優先し、ハイプレスをポゼッションで鎮静化させた後は外循環からWG勝負まで持ち込んでもいいと思う。

 DFラインが苦手なのはラインに張っている選手の後方からの抜け出すアクション。そういう意味ではギョケレシュやサカの裏抜けよりもライスやカラフィオーリ(この試合はいないけども)などの抜け出しが刺さりやすい相手のように思う。

 押し込むところで狙っていきたいのはセットプレー。ウルブスの守備はホールディングやプッシングが多いので審判との相性次第ではPKを取れる可能性はある。ここは試行回数で勝負したいからこそ押し込む展開はもってこい。GKのジョンストンの飛び出しも不安定であり、GK周辺へのボールは明らかに狙い目になっている。

 ウルブスの目線に立てば勝ちの目があるとすればアーセナルのCBに突っかけることになると思う。なので、予想は2トップ。同数を前線においてひたすら突っかけるように長いボールを入れるという方策を取るのが一番勝ち筋があると思う。個人的には長いボールに関してはCHとCBで挟みつつきっちり抑えることをやってほしい。一時的に陣形を押し下げられたとしてもポゼッションからもう一度押し込み返すことはできるはず。

 速い展開であればもちろんアタッカーの火力で渡り合えると思うが、CBの脆さを隠しながら試合を進めていくというプランであれば、アーセナルはまず押し込むということを意識したい。ウルブスのロングカウンタースキルを考えてもピッチのどのエリアでプレータイムを長くするかが注目点になる試合かなと思う。

 15試合を終えて勝ち点2と苦戦している圧倒的な最下位。彼らの初勝利が悲願の優勝を狙う首位チームのホームでのゲームとなる。いかにもプレミアリーグの脚本家が好みそうな劇的な筋書きである。けども、そうした連ドラ的な結末はこの試合には不要。脚本家をお払い箱にするように優位を着々と組み上げながら、順当な勝利を飾りたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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