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「開幕までに間に合えば勝ちなんよ」〜川崎フロンターレ 個人レビュー 2025 -MF編

 第一弾はこちら。

目次

MF

6 山本悠樹

一芸勝負にしないのが次のステップ

 2024年シーズンはなかなか定位置争いに苦しみつつも、終盤戦にはプレータイムが増加。その兆しを開花させてチームの柱になることができるか?というのが彼に求められる2025年シーズンの内容だった。

 彼個人にスポットを当てればチームの柱になるというミッションはクリアしたと言えるだろう。プレータイムはキャリアでナンバーワンの2700分。38試合制とはいえ過去のシーズンで2000分を達成していなかったことを考えると、大幅な躍進と捉えていい。

 内容面でも司令塔として中盤の柱として君臨。大島僚太というボールプレイヤーがなかなか出場できる状態にならない中で、中盤からの縦パスを武器に素晴らしい立ち回りを見せた。

 とりわけ味方の背後への動き出しを見逃さない視野の広さはさすが。カウンター局面だけでなく、ブロック守備から一気に流れを変える一本のパスを差し込むことができてきた。

 非保持においても抜群の成長!というのは言い過ぎかもしれないが、相手を挟み込むというところが全然できていなかった昨シーズンに比べれば大きな進歩を遂げた。潰しきれなくとも一番大事な寄せる意識をきっちり持っていることは昨季との大きな違い。中盤の防波堤となる意識は明らかに高まっていた。

 さすがに前に出ていったマルシーニョをカバーするのはしんどく、それ以外にも出ていったところを咎められるシーンもしばしば。保持においても裏パスの一芸で単調になる試合も少なくはなく、そういった部分は課題にはなるだろう。

 ただ、マルシーニョを背後をひたすら埋めるタイプのMFではないし、裏パス連打になる試合には他のところからそもそも局面を動かすパスワークがなく、全てを背負った結果というケースもままある。司令塔の一芸に一極集中させないことは来季の課題になるだろう。

8 橘田健人

右足負傷の影響は?

 リーグ戦では30試合出場と安定した出場機会を得たものの、プレータイムは1290分。これはキャリアにおける最低の数字であり、本人としては満足のいかないシーズンだったことは想像に難くない。

 特にボール保持時における貢献に関してはなかなか物足りないものがあり、この点ではレギュラーを争う山本に対して大きく遅れをとった感がある。後半戦の前後分断的な行ってこいスタイルはどちらかといえば橘田のプレーにあった変化であったが、それでもシーズンの悪い流れを取り戻せなかった。

 ここからは推測になってしまうのだが、シーズン終盤に手術が発表されていた右足の関節内遊離体の影響はどの程度あったのかは気になるところ。明らかに保存療法を選択し、コンペティティブな要素がなくなったところで手術に踏み切ったように思えた。

 この負傷が後塵を拝したレギュラー争いにおいてどのような影響をもたらしたのかはよくわからない。ただ、基本的には上背がない以外の要素は長谷部サッカーには合うタイプの選手のはずであり、こんなものではないはず。どこか硬さがあったタッチも右足周辺の負傷に見舞われた1年間だったという意味ではエクスキューズがある。

 キャンプ明けからは完全合流と想定されていたよりは順調に回復のステップを踏んでいる様子。開幕からはフルスロットルとはいかないかもしれないが、昨年よりも中盤のポジション争いを盛り上げる存在になりたいところだ。

10 大島僚太

ボールタッチの質の維持は光明

 5年連続でリーグ戦でのプレータイムは3桁分数。その中でも今季は4試合出場での208分プレーというどちらもプロ入りから最低のシーズンとなってしまった。

 もっとも、内容自体はそこまで悪いものではないと思う。2~3年前のようならしくないボールタッチは2024年シーズンから解消傾向にあり、復帰明けでもシャープなプレーを見せることができていること自体は悪いことではないように思う。FC東京戦では正確なタッチからマルシーニョとのホットラインで陣地回復への道筋を確立してみせた。

 リーグ戦では得点関与こそなかったが、ルヴァンカップでの準決勝ではボール奪取から間接的にゴールに関与。このゴールを国立に持っていけなかったのは2025年の川崎の大きな後悔の1つでもある。

 しかしながら、守備においては懸念は残る。狭いスペースならば十分に刈り取れる!という話は数年前までなら胸を張ってできていたのだが、その条件付きでの強みも近年は少しなくなってきてしまったかなというのは正直なところ。

 長谷部監督が思ったよりも人選に合ったプランを選択しない傾向なのも少し気がかりなところ。先にあげたFC東京戦は山本と大島を並べた結果、ハイプレスが空転するという結構想定通りの流れにチームとして進んで突っ込んでいた感もあり、そうなってくるとなかなか難しいところはある。マイナスを隠す前提の起用法にならなければ、プレー強度的にもチームの特性的な話としても簡単にはならないだろう。

 稼働が厳しくなってきた30代には徐々に風当たりが厳しくなってきた感がある昨今の川崎の契約事情。大島は別枠という可能性はあるが、本人もきっちりと稼働してこそという意識は絶対にあるはず。もう一度、ピッチでレギュラーとして輝く姿を待っているファンの声に応えられる日は来るだろうか。

14 脇坂泰斗

水準の高さを示したミスター継続性

 ミスター継続性は今年も健在。全大会を通したプレータイムは3988分であり、おそらくAT分を加算すれば実働出場時間は4000分越え。スポットで不在のタイミングはあっても、リーグ戦で2試合連続の欠場はなし。チームの柱として十分な稼働ができたシーズンだと言えるだろう。

 内容面でも波がありながらも基本的な水準は2024年シーズンよりは底上げされた印象。特にシーズン後半においてはスコアリングも増えていき、課題だったフィニッシュ局面での関与もリカバリー。平年並みに1年間のスタッツをまとめた。

 ただ、むしろいないとまずい!となったのは非保持面であり、彼がいないと(いてもハードだったが)4-4-2での前からのプレッシングは目も当てられない状況に。特にプレスバックや味方の穴を開けたカバーに関しては最もシャープな対応を見せる。そのため、いない時の存在感の大きなは一番だったかもしれない。

 スコアリングと並ぶ課題として挙げられるのはプレースキックの精度だろう。直接FKが決まらないのは仕方ないところもあるが、CKがニアを超えることができないシーンが多いのは気になるところ。ピンチにも直結しうる部分なのでここは早急に改善をしたい。

 国際大会への復帰意欲は人一倍あるはず。黄金期を知っている背中でプレーの基準を示し、2026年もチームの柱としての君臨が期待される。

16 大関友翔

来季のポジション争いの展望は?

 福島からの復帰の1年目。レンタル延長の選手もいる中でひと足先に川崎に戻ってきた意味を十分に示したシーズンだったと言えるだろう。

 1年目にして準レギュラーとしては完全に定着。ACLの準決勝では神田とともにスターターを務めるなど長谷部監督の信頼を得ているなと感じさせるシーンも見られた。代表活動においてもアンダー世代の代表として完全に定着。ACLとともに国際舞台でも成績を残し続けたシーズンだと言えるだろう。

 特にアタッキングサードでの攻撃の引き出しの多さに関しては大きな武器となっている。スペースに入ってくる感覚も悪くないので、スコアリングのところで凄みが出てくればこの点では完全に脇坂とは差別化を図ることはできるだろう。

 ポジション争いにおける大きな壁になりそうなのは代表カレンダーかなと個人的には思っている。本人の資質とは別のところでの話なのだが、アンダー世代の代表はどうしてもリーグ戦と代表活動が重なってしまい、その度にチームを離脱してしまう分、チームの軸として据えにくい。

 これを回避するには佐藤龍之介のようにA代表までジャンプアップをするか、そもそも呼ばれなくなるかの2択。だが、A代表までこの年齢でジャンプアップした選手は今の時代にJであれば1年間キープするのは難しいだろうし、アンダー世代に呼ばれなくなれば川崎でパフォーマンスを落としているということになる。単純に大関を見ていると今の時代にこの年代の有力株を抱えているからこその難しさを感じる。

18 瀬川祐輔

得意分野でリズムを掴めず

 川崎在籍のハーフシーズンは8試合出場にとどまった。前線のマルチロールとして期待が高いシーズン、かつ長谷部監督に合いそうなプレースタイルだったが、結果的にはその期待は川崎では花開かなかった。

 大きかったのはやはり守備だろう。非保持のところでクローザーとして確固たる地位を築き、そこからプレータイムを増やしていくというのが青写真だったと思うが、実際のところ守備でのインパクトを残すことができず。非保持におけるプレスはやや孤立気味であり、交わされることもしばしば。低い位置まで下がった時に埋める献身性はあるが、前に出ていった時の判断が甘く、試合終盤の役割に思ったほどフィットしなかった。

 浦和戦でのゴールは大きなターニングポイントになりそうだったが、その試合で勝ちきれなかったことも含めてなかなか綺麗なきっかけにはならなかった感がある。それでも柏ではレギュラーとして存在感を発揮。このまま川崎ではなかなか難しそうな予感があっただけに環境を変えたことは本人にとっては良かったのではないか。来季も新天地での活躍を期待したい。

19 河原創

逆噴射を減らし、リズムを整えていきたい

 2024年夏の途中加入からレギュラー争いを繰り広げると、今季はレギュラーの座をものにしたシーズンだと言えるだろう。加入当初の大きな長所と考えられていた頑丈さと怪我の少なさはさすが。年間を通してコンスタントに出場を計算できる選手だったことは怪我が多めのスカッドにおいては非常に大きい。

 ただ、出るだけではなくバイタリティも十分。出ていっては潰すという身体能力を目一杯活かしたプレーから相手の起点を潰し、カウンターのきっかけを作る。

 ボールを奪ったところからダイレクトにつけるパスは河原のプレーの特徴の1つ。相手が前がかりになっているところにボールを差し込むので、まさに逆を取られたような形になってしまう。

 一方でこうしたプレーは課題にもなりうる。ダイレクトなプレーを選択することが多い分、失敗して逆噴射をするケースも。そうなると、川崎としては落ち着かせることはできないわ、相手にチャンスを作られてしまうわということでいいことがない。

 河原のダイレクトなプレーは決して成功率が高いというわけではないので、こうした逆噴射を減らしていくことがまずは重要。その上できっちりと止まってテンポを整えるような時間を作れるような選手になれば理想。まさしく長所を伸ばすことと短所を減らすことの両面でのびしろがある選手であると言えるだろう。

26 山内日向汰

プレーの連続性と幅を広げること

 基本的にはセンターライン起用が主戦場。開幕当初はキレキレのドリブルから一気に敵陣を切り裂き、得点に貢献してきたが、スターターとして起用が出てくると徐々に尻すぼみに。

 得意なプレーがはっきりしている分、その形に持っていけない時の苦しみが如実。オフザボールでの動きも芳しくなく、1つボールが引き出せないとそこからプレーにもう一度関与するのに時間がかかってしまうなどプレーの連続性の点でも苦しいところ。この点では鬼である脇坂とはかなり差があった印象だ。

 守備でも突飛なチェイスから穴を開けてしまうこともしばしば、大関の台頭もありシーズンが過ぎていくにつれて存在感は低下。なかなか出番には恵まれなかったが、出番に恵まれないだけの理由はピッチで見えてしまったのかなというのが個人的な印象。柏への移籍は色んな意味でインパクトが強いが、持ち味を発揮できる環境に動いて結果を出すことにこだわって欲しいところだ。

28 パトリッキ・ヴェロン

まずは尖った武器を

 開幕当初は献身的な守備から序列な高い時期もあったが、さすがにJ1の外国籍選手として見た時にはあまりに尖った武器が無さすぎる。若い年齢ということもあり、成長を見守りたいところであったが、チームとしてそういった余裕はないので武者修行行きは仕方のないところだろう。ゼ・ヒカルドと同期入団ということでやや思うところはあるのだけども、なんとか日本で花を開かせてほしい。

29 名願斗哉

歯痒い不遇のレンタルバック

 緊急呼び戻し直後の名古屋戦のベンチメンバーを見れば、なんとなく戻したい気持ちはわかる!けども、それ以降は特に・・・という不遇のレンタルバックを経験することとなった2025年。なんやねん感もありつつも最終節の浦和戦で妙な納得感を残してしまうあたりもなかなか歯痒いところ。そろそろ川崎でのタイムリミットは迫っている感がある。2026年はラストチャンスのつもりでインパクトを残していきたい。

41 家長昭博

戻れない守備よりもむしろ・・・

 長年、少ない負傷と確固たる存在感でレギュラーの座を確保してきたベテランだが、シーズン終盤の伊藤達哉の台頭によりついにレギュラーの座を明け渡してしまったシーズンだった。

 例年に比べると負傷は増えてきているようには見えるが、それはあくまで家長基準。リーグ戦では29試合に出場しており、負傷で出番を整えることができない選手たちとは稼働率は段違いと評することができるだろう。

 プレータイムだけでなく、ややプレーの質の部分も気になるところ。守備に戻れないというところや前に出ていき過ぎて穴を開けてしまうという点は以前が見えていた仕方のない部分ではあるが、保持面での存在感が減っているのは特に懸念。

 強靭なフィジカルで相手を背負う場面、右サイドからのクロスが精度良く刺さる場面が減ってしまっており、陣地回復とアタッキングサードの攻略の両面で破壊力が減っている感があった。フィニッシュでも精度を欠くことは少なくなく、プレーの衰えはさすがに見えてきたかなという感じ。

 それでもACLなど荒れやすい展開においてはボールの収めどころとして信頼できるなど、存在感を出せる状況は十分にあるはず。老け込むにはまだまだ早いだろう。ベテランとして与えられた出番に対してきっちり準備をして、2列目の競争を活性化していきたい。

つづく。

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