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「Catch up Premier League」~2022.8.30 プレミアリーグ 第5節 サウサンプトン×チェルシー ハイライト

■強引さはトランジッション強度の前で屈する

 立ち上がりから優位に試合を運んだのはチェルシー。4バック+2CHという今季ここまでのスタンダードな後方のユニットで前進を行う。

 サウサンプトンはこれに対して4-2-3-1で対抗。ただ、素直にかみ合わせると相手の2CHに対してトップ下が1枚で監視する形になってしまう。よってヘルプに出るのはSH。絞ることで中盤の枚数を噛み合わせようとするのがサウサンプトンのアプローチである。

 だが、この形を採用してしまうとサウサンプトンにはチェルシーのSBを監視する選手がいない。よってチェルシーはボールを簡単にサイドから運べるように。ククレジャから一気に敵陣に侵入し、対面のSBを引き出す。そうなると同サイドのCBであるベラ=コチャプがスライドしてくる。

 確かに今季のサウサンプトンはCBが横にスライドして守ることが多い設計である。そのうえ、ベラ=コチャプとサリスの両CBもかなりこのスライドを高い水準でこなしている。だが、やはりCBが持ち場を離れるというケースはあまり頻発させたくはない。

高い位置から何かのチャレンジをした結果、しわ寄せがバックラインに来るというのならばわかる。だが、この試合のように、割とわかりやすい仕組みでサイドに引っ張り出されるケースがあまりにも多いと、メリットの少なさの割にデメリットが顕在化してしまっているように思う。

 この形を生かしてチェルシーは先制。サイドに引っ張り出されて手薄になったボックス内をスターリングが攻略する。

 これでリードを奪ったチェルシー。ここからペースを握っていきたいところ。だが、チェルシーはこのサウサンプトンのCBのスライドが間に合うか否かのチャレンジを繰り返すだけで、横に揺さぶるとか相手の狙いを外すようなアプローチは少なかった。CBのスライドのスピードという土俵の中で勝負をしてくれたというか、サウサンプトンとしてはリスクはあるものの真っ向から向かってきてくれた感じである。

 そういう意味ではサウサンプトンにも攻撃機会を渡したチェルシー。その機会をいかし、サウサンプトンはCKから同点弾を奪う。バイタルに流れたところをラビアにミドルで打ち抜く。これで落ちつきが完全になくなったチェルシー。強引な縦パスや猪突猛進のドリブルなど強引なプレーをしてはサウサンプトンの中盤の守備に引っかかる。

 サウサンプトンはここからリトリートを早めに組み込み守備の修正をする。中盤の後ろの意識を高めることで、序盤に見せたようなズレは見られないようになる。トランジッションの意識もチェルシーより高く、強度面でチェルシーを上回るように。チェルシーとしてはカウンターの餌食になる強引なプレー選択が元凶なのは間違いないが、そのバックラインの中でもアスピリクエタの対応の遅れは気になるところである。

 勢いに乗るサウサンプトンはHT前に勝ち越し点までゲット。右サイドから左サイドへの展開で見事にピッチを横断、深さを作ってバイタルにスペースを作り、シュートを打つ余裕を作り、アダム・アームストロングが仕留めた。チェルシーの守備側に気になったのはマイナスを切り切れなかったアスピリクエタと横断を許したロフタス=チーク。特に入れ替わられてしまったロフタス=チークは致命的。HTに負傷交代したことを踏まえるとこの時点ですでに負傷を抱えていた可能性もあるが。

 後半も基本的に流れは同じ。ボールを持っているチェルシーがいかにリトリートの意識を高めた上に強度を上げたサウサンプトンを崩すか?が争点である。チェルシーはハフェルツとスターリングがサイドの裏にきっちり流れるところから。CBを引き出すという観点では基本に立ち返った感がある。だが、チェルシーはボールを変なタイミングで失うことが多く失い方が悪く、なかなかいい流れを持ってこれない。

 対するサウサンプトンは60分にラビアに代わって登場したアリボが右サイドに流れながら存在感。強靭なフィジカルでチェルシーのDF陣をてこずらせる。

 チェルシーは終盤にフォーメーション変更し3バックにシフト。トゥヘルお馴染みの攻撃色の強い並びを見せることに。

しかし、最後まで強度が落ちないサウサンプトンのDF陣を前に強引なドリブル頼みのチェルシーのアタッカーは解決策を見出すことができず。リーズ戦に続きチェルシーはアウェイゲームを連続で落とすこととなった。

試合結果
2022.8.30
プレミアリーグ 第5節
サウサンプトン 2-1 チェルシー
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:28′ ラビア, 45+1′ A.アームストロング
CHE:23′ スターリング
主審:マイケル・オリバー

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