■課題はありつつリベンジを達成
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今年も多くの移籍金を費やして大規模なスカッド増強を行ったアーセナル。CL出場権奪還はもはや現実的なノルマといってもいいシーズンである。そんな彼らの開幕戦の相手はクリスタル・パレス。くしくも昨季のターニングポイントの1つである4月の3連敗の1敗目となった相手である。
立ち上がりから主導権を握ったのはアーセナル。特に興味深かったのが左サイドにおける旋回である。ジンチェンコがSBに入った分、彼が内側に絞る動きが入ることはある程度想定できたが、WGのマルティネッリまで低い位置までボールを受けに来るのは少々意外だった。
アーセナルの左サイドはこうした1人の大きい動きに対して周りが内外のバランスを調整するようにポジショニングする。パレスはアーセナルのこの左サイド側の移動に対して、ついていききれずマーカーを離してしまうことが多かった。
これにより左サイドに起点を作ることに成功したアーセナル。対角パスを駆使し、逆サイドの幅も使いながら敵陣深くまで攻め込んでいく。
勢いをにぎったアーセナルはそのまま先制。セットプレーからジンチェンコの折り返しをマルティネッリが押し込み、今季のプレミアリーグのオープニングゴールを飾る。
しかし、この先制点以降はペースを握ったのはパレスの方。パレスはアイェウを筆頭にアーセナルの左サイドの旋回をある程度見切った様子。新加入のドゥクレと連携しながら徐々に同サイドのアーセナルの選手を捕まえることに成功する。
これによりプレーエリアが徐々に下がるアーセナル。ポゼッションで押し込むパレスはザハという決め手がいる左サイドからクロスで勝負に行く。しかしながら、この日のアーセナルのバックラインは強固。これがプレミアデビュー戦となったサリバとGKのラムズデールが彼らの前に立ちはだかるようになった。
後半も押し込む機会を得たのはクリスタル・パレス。こうなってしまうと、保持ではアドバンテージになっていたアーセナルの左サイドのユニットは守備面での弱みが目立つようになる。立ち上がりは存在感を発揮していたジェズスも徐々にボールが収まらないように。パスワークもズレが目立つようになり、後半もアーセナルは苦しい展開を強いられる。
ボールの失い方が悪くなればペースはパレスに移行。即時奪回が効かない状態でのロストが続くアーセナルを尻目にポゼッションを安定させる。
パレスの攻撃を牽引していたのはアンデルセン。左右自在に飛ばせるフィードで、勝負できる場所を好きに定めることができる。だが、そのサイドのマッチアップで優位を取り切れないパレス。アタッキングサードまではいくものの、仕上げで攻めあぐねる。
そうこうしているうちにアーセナルが反撃に。左サイドの手当てとして入ったティアニーがロングボールに競り勝つと、このボールをつないでアーセナルは右サイドに展開。サイドの深い位置に入り込んだサカがオウンゴールを誘発し、勝負を決める。
試合を支配しきれなかったアーセナルと、試合を仕上げられなかったパレス。どちらのチームも課題は感じられたが、勝利したのは昨年のリベンジを果たしたアーセナルの方だった。
試合結果
2022.8.5
プレミアリーグ 第1節
クリスタル・パレス 0-2 アーセナル
セルハースト・パーク
【得点者】
ARS:20 マルティネッリ, 85′ グエーイ(OG)
主審:アンソニー・テイラー