■苦戦の中で報いた一矢
長かった欧州予選もついに最終節。世界で一番早く本大会の出場を決めたドイツは最終節はアルメニアに乗り込んでの試合となる。
ドイツでの対戦と比べるとアルメニアは非常に慎重な立ち上がりになったと言えるだろう。勇猛果敢にカウンターに打って出た前回の対戦と比較すると、今節はかなり重心を下げてドイツの攻撃を受け止めることを意識しての入り方となった。
ドイツは3バックでスタート。CHのノイハウスとギュンドアンが縦関係になり、6人が5レーンを使いながら前線に顔を出すやり方でアルメニアに攻撃に打って出る。
この日のドイツで珍しかったのは右サイド。普段であれば右の大外はホフマンが入り込むことが多く、右のSHがミュラーという人選を見ても自然なバランスなように思える。だが、この日のミュラーは右の大外に入ることが多く、レーンを縛らない形で右サイドから攻勢に出ることが多かった。
そんな右サイドの連携からドイツは先制点をゲット。インサイドレーンのミュラーと大外のホフマンのワンツーで抜け出す形を作ると、最後はハフェルツが押し込んで先制点を奪う。
長らくボールを持つ展開を続けたドイツが先制点をゲット。アルメニアは先制点以降もボールを持たれる展開が続く。GKのブーチネフは依然として大忙しという感じである。
むしろ、変化があったのはドイツの方と言えるだろう。強引に中央に突っ込むように仕掛けるシーンが増え、よりクリティカルなポイントを狙った突破が増えるように。
これにより逆にアルメニアはドイツの攻撃をカットしてカウンターに移行する機会が増えるようになった。撃ち合いの様相が出てきた中で次の得点を奪ったのはドイツ。ノイハウスの強引な突破がPKを呼び、これが追加点につながった形だ。
後半、アルメニアは保持から逆襲に打って出るが、これを鎮圧されるとギュンドアンに再び追加点を許してしまう。意気消沈するアルメニアだったが、ポゼッションから敵陣でのプレー機会を増やすと、先ほどPKを奪取したノイハウスに逆にPKを献上させることに成功。これをムヒタリアンが決めてドイツに一矢報いた。
最後は前線を入れ替えたドイツのハイプレスから4点目が入り、試合の結果は動くことはなかったが、ドイツに一泡吹かせることができたアルメニアにとっては非常に大きな1点になったことだろう。
試合結果
2021.11.14
カタールW杯欧州予選 第10節
アルメニア 1-4 ドイツ
ヴァズゲン・サルキシャン・アンヴァン・ハンラペタカン・マルザダシ
【得点者】
ARM:59′(PK) ムヒタリアン
GER:15′ ハフェルツ, 45+4′(PK) 50′ ギュンドアン, 64′ ホフマン
主審:フランシス・リティシエラ