■加速を食い止められず圧巻のゴールショーに
1stラウンドではタイスコアに終わったイタリアとドイツ。リマッチとなったこの試合でより強気な姿勢を見せたのはアウェイのイタリアの方だった。高い位置からのプレッシングでドイツの自由を奪おうとする。
しかしながら、このプレスはドイツにとっては許容範囲。ハイプレスはいなし、ボールを落ち着いて持てる状況を作る。10分もすれば試合は安定してドイツのポゼッションとなる。
イタリアがプレスをかけにくくなった背景にはドイツのLSBに入ったラウムがいる。彼が高い位置を取ることを無視できないので、イタリアは右WGのポリターノが低い位置まで下がる必要が出てくる。これによって、前プレの圧力が下がってしまうのである。
ドイツの左サイドはSBのラウムが大外で高い位置を取ることもあり、SHのサネはいつも通りライン間を狙う動きで、イタリアのMFラインの背後を突くような立ち位置を取る。右サイドは大外はミュラーとホフマンが代わる代わる使う形である。彼らは大外に張ることよりも、神出鬼没に大外とエリア内に入り込んでいく動きをミックスして使うところが強みだ。
プレスがかからないならば、イタリアは保持で巻き返しを図りたいところ。トップのラスパドーリはドイツ戦でパフォーマンスしたスカマッカと同様にポストプレーが強みで、彼のところから左右にボールを付けてのサイド攻略が保持のメインルート。もしかするとイタリアはCFにポストプレーを主軸として前進していく現代では減少傾向にあるチームの1つなのかもしれない。
ラスパドーリのポストは背負ってポジションをとるというよりはフリーになって素早くボールを回すというスカマッカとは少し毛色が違うもの。より、軽くて速いイメージだ。エリア内でもズーレの背後を取ったりなど存在感はあったが、フィジカル的な無理が効かない分、攻撃機会を担保できるわけではなかった。
というわけで試合はドイツの保持一辺倒になっていく。この試合では左サイドの関係性が良好。深さを取るヴェルナーとラウムでラインを下げてのクロスが有効。先制点のキミッヒのゴールも左サイドから。いざとなればギュンドアンは攻め上がりを自重できるのが有能である。イタリアのマンマークのプレス壊しにも彼が降りてくることで解決した部分が大きいので、とても有能である。
ドイツは前半のうちにバストーニが献上したPKを得て2点目。前半のうちにリードを広げる。
後半のイタリアはハイプレスの強度アップと5-3-2の採用で覚悟を決めたマンマークを行う。しかしながら、このマンマークを耐え凌ぐとサイドで深さを作ることからミュラーが追加点をゲット。悪い流れを払拭する。
ドイツはこの3点目と直後にあったノイアーの神セーブで試合を完全に決めたといっていいだろう。ここからさらに2得点を積み上げる。まさしくサンドバック状態のイタリアに次々とゴールをぶちこみ続けた。イタリアはカウンター迎撃の際にはまずボールを止めたいところだったが、ホルダーをなかなか捕まえられなかったのが痛恨。ドイツの加速を食い止めることが出来なかった。
終盤にはイタリアが2点を返すが、焼け石に水だろう。ニョントが前回のドイツ戦に続いて活躍したことだけが救いだろうか。試合はドイツの圧勝。ホームで圧巻の5得点のゴールショーを披露した。
試合結果
2022.6.14
UEFAネーションズリーグ
グループA3 第4節
ドイツ 5-2 イタリア
シュタディオン・イム・ボルシア・パルク
【得点者】
GER:10‘ キミッヒ, 45+4’(PK) ギュンドアン,58’ ミュラー, 68‘ 69’ ヴェルナー
ITA:78‘ ニョント, 90+4’ バストーニ
主審:イストバン・コヴァーチ