■交代選手の質の差が最後の結果を分ける
立ち上がりから落ち着かない状況が続いた中で早々に先制したのはどちらかと言えば押し込まれていたデンマーク。セットプレーから1つ目の好機を制し、やや前に出る。
基本的に攻守の切り替えが少ない展開。共に時間をかけて前進していくというスタイルのように見えた。時計が進むにつれてようやく徐々に両チームの前進の仕方にカラーが出るように。
先制されたチェコはショートパスをつなぎながら前進。方針の問題なのだけど、縦に刺せるタイミングが合っても、無理に入れることをせずにマイナスのパスを使いながら少しずつ前進していく。終着点としてはとりあえずエリア内に選手を多く送り込みたいのだろう。だからこそ、ゆっくり進む。ただし、決まったメソッドはない。スマートさはないものの、焦れずにつなぎながらPAに人が入り込むのを待つ印象である。だが最後のクロスが決まらない。クロスを跳ね返すことに長けているデンマーク守備陣に阻まれ続ける前半だった。
一方のデンマークは先制点を取ったこともあり、じっくりとしたビルドアップ。相手が出てくるところを待ち、縦に進む隙を見せた瞬間高い位置まで出ていく。相手を引き寄せながら、一気に縦に行く瞬間を狙っていく形である。
デンマークの2点目はこの形が活きた形。クーファルとの駆け引きをメーレが制せるとヴェスターゴーアが判断し、加速の号令となるスルーパスが出る。そこからのアウトに欠けたクロスで追加点。前半終了間際にデンマークがさらに突き放す。
後半の頭はチェコの猛攻。4-1-3-2に変更し、高い位置からのプレスをさらにかけていく。前線にもデフォルトで人数を多く配置。畳みかけるようなプレスで早々に1点を返したのは計算通り、高い位置での圧力を増して一気に追いつく算段だったはずだ。
その後はデンマークが5-3-2にシフトチェンジし、重心を下げる。その分、チェコが保持、デンマークがカウンターという構図が後半はよりはっきりした形である。そういう構図の中で効いたのはポウルセン。ロングカウンターの担い手とプレスバックの1人2役をこなしながらチェコを攻守に苦しめる。
一方のチェコは終盤にシックが腿を抑えながら退くとどうしても最後のゴールの預けどころが定まらなかった印象。最後の最後はシックという意識はアタッキングサードにおけるチェコの面々のプレー選択にも如実に表れていただけに、彼の不在は重くのしかかった。
終盤は競り合う形になったが、紙一重の差になったのは交代FWの質か。ポウルセンが見事なリリーフを見せた一方で、シックの不在が効いたチェコは最後の一押しが効かなかった。
試合結果
チェコ 1-2 デンマーク
バクー・オリンピック・スタジアム
【得点者】
CZE:49′ シック
DEN:5′ デラニー, 42′ ドルベリ
主審:ビョルン・カイペルス