■活性化した左サイドが試合を決める
ラウンド16で因縁の対戦がウェンブリーで実現。ウェンブリーでの対戦権獲得マッチとなった最終節のチェコ戦を制し、グループDの首位通過を決めたイングランドが薄氷を踏みながら死の組を突破したドイツを迎える一戦である。
前の日の試合が非常に盛り上がったこと、ネームバリュー抜群なカードであること、そして両チームのスタメンから塩試合の予感は賢明なサッカーファンの皆様なら予想できていたことかと思うが、その予想に違わない塩試合となった。
どちらのチームも3-4-3でのミラー的な噛み合わせ。保持においては外は使わずに縦に進む。というわけでライン間へのパス通し選手権と化していた。ドイツの狙いはミュラーに当てながらその後方から抜け出す形でイングランドの最終ラインを一気に破る形。もちろんその役割を課されたであろうヴェルナーに加えて、中盤から飛び出せるゴレツカの存在は厄介。仮にゴレツカの抜け出しに対するウォーカーのカバーが遅れていたら、ライスに出たカードの色は異なっていたかもしれない。
対するイングランドはライン間に降りるスターリングが前を向けるかが全て。なぜかわからないけど、代表では味方に前を向かせる事業をケインが放棄してしまっているのでシャドーは自力で前を向くしかないのである。ただ、ドイツはイングランドと比べると前線の守備の姿勢が甘いので、それでもライン間にパスを入れることはできていた。
基本的にはライン間のスターリングか、ミュラーを追い越すラインブレイクが刺さるかという勝負なので見やすいは見やすい。あと、試合内容とは全然関係ないけど、ハーフタイムに内藤さんが『この試合は面白い』って言っているツイートが噛みつかれまくってて笑いました。褒めているのに噛みつかれるという構図が面白い。
後半も同じ展開が続く中で違いを作ったのはイングランド。グリーリッシュの登場で左サイドにタメができるようになったイングランド。75分にようやくこの試合初めてきれいに横断を成功し、これを得点に結びつける。左サイドから上げたクロスを決めたのはスペースに走りこんだスターリングだった。
この失点を境にドイツはテンションがガタ落ち。特にネガトラは緩いとかじゃなくてもうやめてしまったといってしまっていいレベルだろう。それだけにスターリングのバックパスでのミュラーの独走アシストはドイツを蘇生しかねなかった余計なプレーである。
保持の局面の3-2をずっと嵌められている問題を最後まで解決できず、ロストも目立つようになったドイツ。点を取る気になったイングランドに追加点が生まれるのは言うまでもない。2点ともにアシストしたのは左サイドからグリーリッシュとショウの左サイドは攻撃面での好連携が目立ち、これから先のラウンドでの再結成はあるかもしれない。
最後まで策がちぐはぐで自らのスタイルと共に沈んでいったドイツを尻目に、実にドイツ戦41年ぶりの勝利を決めたイングランドがベスト8に進出を果たした。
試合結果
イングランド 2-0 ドイツ
ウェンブリー・スタジアム
【得点者】
ENG:75′ スターリング, 83′ ケイン
主審:ダニー・マッケリー