■バックラインの不安定さを利用する
ある程度戦前の予想通り、アストンビラの保持で始まった一戦。5-3-2で受けるウルブスに対して、ビラはゆったりとボールを持つことができていた。
しかしながら、ボールを持てるのと攻略できるのは別の話。中央を固めるウルブスに対して、ボールを引っ掛ける場面が続く。ウルブスはその機会を生かしてのカウンターで反撃。そしてこの反撃が先制点に繋がるまでにはわずか7分だった。
ビラにとっては不運が連鎖した失点シーンだった。ロストしたマッギン、そしてカウンター対応に入ったコンサがいずれも足を滑らせてしまうことでウルブスのカウンターを成立させてしまっていた。監督がジェラードということを踏まえると対戦相手がエバートンやチェルシーだったら、思いっきり煽られていそうな失点の仕方だった。
先制点を得たこともあり、ワイドのCBから落ち着いてボールを持ってポゼッションを進めるウルブス。対照的にアストンビラは負の連鎖が止まらない。失点シーンで見せた不安定さに引きずられるように、ミングスが怪しい裏への対応を見せると、2節前のウェストハム戦と同様にディーニュが負傷交代と悪い流れが続いてしまう。
すると、ディーニュに代わって最終ラインに入ったヤングのクロスへの対応が甘くなってしまいオウンゴール。ウルブスに追加点を許す。すると、この追加点が引き金になったようにビラはさらに不安定に。攻撃時にボールを引っ掛けては緩いカウンター対応でピンチを招くなどいつ3点目が入ってもおかしくはなかった。
なんとか2点差を維持してハーフタイムを迎えたビラ。後半はウルブスが前半よりもさらに引いて受けたこともあり、ビラが押し込む機会が続いてくる。まったりとした時間が続くことでリードしているウルブスペースと言える展開のように思えた。
だが、この日はウルブスのバックラインにも違和感が。それはGKのジョゼ・サの飛び出し。いつも見ている方がヒヤヒヤするくらいのギリギリの飛び出してチームを幾度となく救ってきたが、この試合ではそのタイミングが合わせられていない感じ。出ていくのを躊躇って遅れてしまう場面が目立ち、裏への対応の危うさを見せてしまう。
それが決定的なエラーに繋がってしまったのがPK献上シーン。飛び出しが遅れたジョゼ・サに倒されたワトキンスがこれを決めて86分に1点差に詰め寄る。
そして後半追加タイム、またしても飛び出しのタイミングを見誤ったジョゼ・サがゴールマウスを空けてしまい、決定的なチャンスがビラに。しかし、これをキャッシュが仕留められずそのまま試合が終了。相手のバックラインの不安定さをよりうまく活用したウルブスが3ポイントを手にすることに成功した。
試合結果
2022.4.2
プレミアリーグ 第31節
ウォルバーハンプトン 2-1 アストンビラ
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:7′ ジョニー, 36′ ヤング(OG)
AVL:86′(PK) ワトキンス
主審:ダレン・イングランド