■先制点で覆い隠さなかった課題
メンバー表を見渡すとようやくフルスカッドが揃いつつあると言う感想だろう。2トップにはトニーとムベウモ、中盤にはエリクセンというピースが加わり、最後尾からはラヤがセービングとフィードでチームを攻守に支える。ここ数ヶ月苦しんできたブレントフォードはようやく反撃の準備が整いつつある。
自信を持って送り出したスターターがチェルシーの4-3-3に対して仕掛けたのはマンマークによる前線からの強気なプレッシングである。チェルシーのバックラインには2トップがプレスをかけに行き、中盤ではアンカーのノアゴールがアンカーのロフタス=チークを捕まえにいく。サイドではWBがSBを捕まえにいくなど、とにかくプレッシャーをかけることを優先した戦い方だった。
チェルシーはこれに対して苦しんだ。前線のハフェルツは動きながらボールを受けて持ち味が出るタイプ。相手を背負いながらパワーで勝負するのは得意分野ではない。メンディのパスミスからの決定的なピンチも含めて、この日のチェルシーのバックラインはブレントフォードのプレッシングを安定して回避する術を持ち合わせていなかった。
ブレントフォードはハイラインにおける背後のケアは得意ではないが、この試合ではとてもよくやっていた。特にヴェルナーと対峙するアイエルは機動力で劣る部分をうまくカバーしながら背後をプロテクトしていた。
高い位置から相手を捕まえるブレントフォードはカウンターからチャンスを作る。サイドを活用したカウンターは非常に鋭く、チェルシーを苦しめる。特に中盤におけるエリクセンの存在は抜群。プレスに出てくるチェルシーの背中を取るようなパスでカウンターを加速させる。マルコス・アロンソの裏をカバーするリュディガーの奮闘がなければ、もっと早い時間に失点していてもおかしくはなかった。
前半の終盤はチェルシーが押し込む場面が出てきてはいたが、押し込んだ後の一手を見つけられずに苦しむ。ロフタス=チークのところに一差しで試合を決められるジョルジーニョがいれば少しは違っただろうか。だが、チェルシーは後半早々に押し込んだ相手への回答を示す。リュディガーのミドルでラヤの守るゴールマウスを打ち破って見せた。
このゴールにより、流れはチェルシーに転がるかと思ったファンは多いだろう。しかし、前半からの課題はチェルシーを苦しめ続ける。高い位置からのプレッシング、そしてカウンターへの対応。この試合におけるブレントフォードの攻撃を食い止めるのに、先制点は十分なものではなかった。
プレスから早々に同点弾を奪ったブレントフォード。チェルシーはノアゴールのところで食い止めたかったところだが、シュートまで行かれてしまった。
さらにはカウンターからブレントフォードは勝ち越し。ツィエクが防ぎきれなかった速攻から、アロンソとカンテの連携が破られて得点を許してしまう。
ブレントフォードの勢いは止まらない。サイドに流れたトニーによってチアゴ・シウバが釣り出されると、空いているスペースに走り込んだジャネルトがこの日2点目をゲット。そして、仕上げはセットプレーから。大活躍だったムベウモに代わって入ったウィサが4点目を決める。
先制点で課題を覆い隠せなかったチェルシー。フルスカッドで開幕直後の旋風を取り戻したかのようなブレントフォードに屈してしまい、スタンフォードブリッジで手痛い黒星を喫した。
試合結果
2022.4.2
プレミアリーグ 第31節
チェルシー 1-4 ブレントフォード
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:48′ リュディガー
BRE:50′ 60′ ジャネルト, 54′ エリクセン, 87′ ウィサ
主審:アンディ・マドレー