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「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 European qualifiers」~2022.3.29 プレーオフ 決勝 ポーランド×スウェーデン ハイライト~

■奥の手は予選に続いて不発

 ロシアが大会から締め出されてしまった影響で決勝の舞台に繰り上がることになったポーランド。彼らの対戦相手はチェコとの一戦を延長で制したスウェーデンである。

 スウェーデン×チェコの試合はそれはもうジリジリした試合だった。互いにチャンスらしいチャンスを作る場面は非常に少なく、撤退が早くてプレスで穴をあけるリスクを最小限に低減。手堅い代表戦の典型だった。

 そして、このポーランド×スウェーデンもそうした準決勝の堅さの名残が残るようなジリジリとした一戦となった。互いにバックラインにプレッシングにはいかずに中盤に網を張って、ボールを奪い次第速い攻撃に転じる。そうした手堅い流れだった。

 違いがあったのは前進のルートだろうか。ポーランドはサイドの縦関係を使った連携が印象的だった。SHで相手のSBをピン止めし、その大外をSBが抜けていく形でスウェーデンのバックラインの高さを揺さぶる。この形でエリア内にマイナス方向のスペースを創出し、スウェーデンを苦しめていた。

チェコとは異なり、ポーランドにはポストができるレヴァンドフスキがいたのもスウェーデンにとっては誤算。彼の存在により、ポーランドはポストからのスムーズなサイドチェンジを行うことができていた。

 一方のスウェーデンは中央でのパスから縦に速い攻撃を仕掛けることが多かった。今予選のスウェーデンはイメージに反して、3-2-5変形を伴うオーソドックスなポゼッションで敵陣に迫ることも多かったのだけど、この日の形は縦にいいパスが2本つながればチャンスになるだろう!という形。どちらかといえば、こちらの方がパブリックイメージのスウェーデンに近いのかもしれない。

 縦パスで素早く!というのはもしかするとポーランドの重たいバックラインにスピード勝負を挑みたかった側面ともとれる。準決勝のチェコ戦で前線への縦パスで決勝点の起点となったカールストロムの先発起用も含めて、縦に速い攻撃壊そうという意識はスウェーデンの中では共通認識としてあった部分かもしれない。ただ、難易度が高い中央を通そうとする分、成功率は下がってしまうけど。

 ざっくりといえば前進の方針はポーランドは外、スウェーデンは縦という感じで戦っていた両チーム。試合が動いたのは後半。この日のポーランドらしいスムーズなサイドチェンジから好機を作ると、クロスの対応に一歩遅れたカールストロムがPKを献上してしまう。これをレヴァンドフスキが決めて、試合はポーランドが前に出る。

 ビハインドになったスウェーデン。後半頭からサイドに流れたイサクでスピードアップを図るやり方は比較的効いていたように思う。サイドに深さを作りつつ、エランガやクルゼフスキなどがエリアに入り込むことでチャンスを作る。

 だが、そんなスウェーデンを尻目にポーランドに追加点。後方のパスの処理ミスを見逃さなかったポーランドはショートカウンターからジエリンスキがゴールを奪い取る。これでスウェーデンの息の根は完全に止まった感じ。

 スウェーデンは最後の切り札として満を持してイブラヒモビッチを投入するが、効いていたサイドの裏のスペースへの抜け出しの頻度が減り、どちらかといえば逆効果といっていいだろう。予選に続いて、奥の手のイブラヒモビッチが不発だったスウェーデン。予選ではスペインを苦しめる健闘を見せたが、前回に続くW杯出場の夢はここで断たれることとなった。

試合結果
2022.3.29
カタールW杯欧州予選 プレーオフ 決勝
ポーランド 2-0 スウェーデン
スタディオン・シロンスク
【得点者】
POL:49′(PK) レヴァンドフスキ, 72′ ジエリンスキ
主審:ダニエレ・オルサト

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