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「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 European qualifiers」~2022.3.24 プレーオフ 準決勝 ウェールズ×オーストリア ハイライト~

■柔軟性×千両役者で王手

 自分自身がスウェーデンとチェコという、バリカタの試合を見た後に見たからかもしれないが、この両チームの対戦は互いの攻撃における持ち味を全面に押し出しているスタンスを見ることができたように思う。

 先手を打ったのはオーストリア。ウェールズの5バックはミドルゾーンに構えながら、隙あらばラインを上げてのプレッシングを狙っていた。そのため、オーストリアとしてはバックラインの裏側を突くようなフリーランが有効。トップのアルナウトビッチの左に流れる動きと、トップに入り込む左サイドのバウムガルトナーの動きを組み合わせることでチャンスを生み出せるように。

 斜め方向の動きの多さがこの日のオーストリアの攻撃の特徴。ロングボールでの展開は多いが、前線が動きながら受けることでウェールズの対応を困難なものにしていた。

 一方のウェールズはバックラインからの繋ぎでオーストリアのSHを吊り出すところからスタートする。オーストリアはSH、SB共にプレッシングの前向きの矢印は強かったので、その動きを利用して最終ラインの裏をサイドから狙う形でハマった。

 とりわけ、ジェームズのフリーランはオーストリアにとっては厄介。リーズに移籍したことで、今年のジェームズはよりプレーに責任感が出てきた感じだ。彼に加えてIHのウィルソン、ラムジー等が前に出ていき、サイドの裏をつく形でラインを押し下げる。

 ウェールズのボール保持はオーストリアに比べると柔軟だった。オーストリアのバックラインが同サイドにスライドすると見るや、逆サイドに素早く展開。奥がダメなら幅という形でサイドを入れ替えながら、オーストリアの薄いサイドを作りながら壊すという形で試合を優位に進めるように。薄いサイドを作った後、単騎で突破できるネコ・ウィリアムズの存在も大きかった。

 縦ではなく、横の変化をつけられるウェールズの対応にオーストリアは苦慮。たまらず犯したファウルを生かし、ベイルが超絶FKを叩き込む。さすがの大舞台の強さである。

 オーストリアは時間が経つとともにロングボールに対して前線の足が止まるようになる。これにより、ピッチを広く攻めるウェールズとの対比が鮮明に。オーストリアの保持に迷いが出て、甘いマイナスのボールをつけると、ウェールズはそれを見逃さずに深追いし、カウンターに打って出る。オーストリアの保持でも徐々にウェールズは存在感を見せていた。

 後半、そうしたバックラインへの強いプレッシングを起点とした形で得たCKでウェールズが追加点。決めたのはまたしてもベイルだった。

 オーストリアはミドルゾーンからのスピードアップに苦しみ、なかなか攻勢に出ることができない。それでも、右サイドのコンビネーションを起点に押し込む隙をザビッツァーのミドルをなんとかねじ込み1点差まで詰め寄る。2点目をとってもプレスの手を緩めなかったウェールズに苦慮しつつ、終盤は敵陣のゴールに迫る機会を得たオーストリア。

 だが、オーストリアが喉から手が出るほど欲しかった同点弾は手にすることができず。後半追加タイムのウェールズのピンチはデイビスがシュートブロック。追撃弾における失点時にコースを変えてしまった無念を晴らす格好になった。なんとか凌いだウェールズはワールドカップ出場に王手をかけた。

試合結果
2022.3.24
カタールW杯欧州予選 プレーオフ 準決勝
ウェールズ 2-1 オーストリア
カーディフ・シティ・スタジアム
【得点者】
WAL:25′ 51′ ベイル
AUS:64′ ザビッツァー
主審:シモン・マルチニャク

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