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「EURO2020ハイライト」~Group D Match day 2 イングランド×スコットランド~ 2021.6.18

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■達成されたただ一つの目標

 フランス×ドイツとは別視点でのグループステージの目玉カード。英国ダービーがEUROで実現。しかもウェンブリーという舞台装置まで完璧な状況。特にボリスタの名鑑に『イングランドから勝ち点を取ることが唯一の目標』と書いてあったスコットランドにとってはここにすべてを置いていく!という一戦になったはずだ。

 ほぼ全員の期待通り、戦術的な応酬が見られるような試合ではなかった。スコットランドは保持において最終ラインにプレスをかけられるとドギマギ。立ち上がりから前線にプレスをかけられる元気が持ち味であるイングランドにあっさり捕まり冷や汗をかく場面もあった。

 一方のイングランドも保持では苦戦。クロアチアが第1節で見せた『とりあえずライスについていく』というやり方をマッギンとダイクスで挟みながら忠実に実行したスコットランド。特にこれに対してイングランドは対策を講じることはなし。第1節に引き続きシンプルにこれが効いてしまったのが切ない。

 もっとも、共に上積みがあったのは確か。ただしそれは選手変更によってもたらされたものである。スコットランドはティアニーの復帰が朗報。ロバートソンからの左サイドクロスが唯一にして強力なスコットランドのエリアへの攻撃手段。この武器は後方にティアニーが入ることでより強化される。持ち運び、裏へのパスもできるティアニーの登場でロバートソンの威力が増加。自らもクロスを上げることができるティアニーが入ったことで左サイドから入るクロスのバリエーションは増えた。

 イングランドで効いていたのはルーク・ショウ。前節にも攻撃の主体になっていた左サイドのトライアングルに左利きであるショウが入ったことによる上積みはあった。さらに利き足だけでなくオフザボールのポジションに長けているショウの存在で左サイドの崩しには磨きがかかった。

 スコットランドは左サイドのクロスのパターンが増えた。イングランドは左サイドの崩しに磨きがかかった。だが、目を閉じてよく考えてみてほしい。両チームはそこさえクリアできればいい攻撃ができるチームだったでしょうか。はい。いいでしょう。目を開けてください。

 1つしかない武器に+αが増えたスコットランドと結局左で崩すよりもスターリングとフォーデンにガンガン走らせた方が早いイングランド。共に構造的に第1節より大きな進歩があったかというと難しいところ。

 それでもワーワー感を楽しむことはできた。後半は右に移されたスターリングがずーっと1人でなんとかしようとしているところとか、あるいは試合終了間際のイングランドのゴール前でのスクラムの組み合いとか、全体的にラグビー要素が強いのは面白かった。

 結局スコアレスで終わった英国ダービー。試合終了後の表情は対照的。選手の多くがクラブから3割引程度の出来になってしまうイングランドに対して、ゴール前でDF陣で体を張ることで魂を示したスコットランドが充実感を示すのは当然だろう。

開幕前に掲げた『イングランドから勝ち点を取る』という目標を達成したスコットランド。攻守のダイナモとして中盤を支えたギルモアがMOMを獲得したことも相まって、選手もファンたちもさぞ意気揚々とウェンブリーを後にしたことだろう。

試合結果
イングランド 0-0 スコットランド
ウェンブリー・スタジアム
主審:アントニオ・マテウ・ラオス

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