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「Catch up Premier League」~2023.1.19 プレミアリーグ 第7節 マンチェスター・シティ×トッテナム ハイライト

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マフレズが着火し、マフレズが完結させる

 週末にアーセナルと戦い、ミッドウィークはシティとの一戦。トッテナムにとっては試練の一週間となる。シティはアーセナル、トッテナムとの前半戦の対戦は全て延期になっており、1月にして今季初めてのノースロンドン勢とのリーグ戦となる。近年は相性が悪いトッテナムとの試合だが、こちらもユナイテッド戦の敗戦を払拭したいところである。

 シティは先発にルイスを使ったこともあり、明確に3-2型のビルドアップに戻してきた感がある。アルバレスとギュンドアンのIHというストライカー色が強い人選もこのスタメンの特徴である。トッテナムは高い位置からのプレスでボール奪取にトライをする。ベンタンクールが復帰した分、ハイプレスの連動は機能していたとは思うが、アカンジとストーンズの2人を同時に見なきゃいけない状況になっていたトッテナムはハメきれず、シティは問題なく前進することができていた。

 アタッキングサードにおいてはサイドを軸に攻撃を構築。マフレズとグリーリッシュという相手と正対した時にできることの多いWGを左右に揃えていたが、ややWGのサポートが少ないのは気がかり。特にマフレズが持った時のペナ角付近のマイナスのスペースはもう少し活用できていいように思う。この辺りはIHにアルバレスというアタッカー仕様の選手を起用した弊害だろう。

 それでも左右からクロスを上げてPA内でハーランドが競り合った後のバイタル付近でのセカンドボールを制圧していたため、シティは厚みのある攻撃を行うことはできていた。あまりスタイリッシュで、シティらしくはないけども圧をかけられていたのは事実だ。

 トッテナムはハイプレスだけでなく、ボール保持においてもアーセナル戦と同じ振る舞いだった。しかし、降りていくソンでプレスを外す形はシティにバレており、ストーンズが早い段階からチェックに行く形で対処される。トッテナムのFPのうち、比較的放置されていたのはエメルソンだったが、彼にボールが渡っても特に前進をすることができなかったので、トッテナムのビルドアップはアーセナル戦以上に苦しい状況だった。

 ビルドアップが苦しい、ハイプレスがはまらないという状況だとトランジッションからのロングカウンターを頑張るしかないトッテナム。しかし、ソンを軸にしたロングカウンターはなかなか決まらず。アタッキングサードに運んでも、トッテナムの攻撃は跳ね返される。クロスの跳ね返しと流れたサイドでの潰しの両面でアケが存在感を発揮していた。

 そうした状況だからこそ、トッテナムの先制ゴールは意外なものだった。得点はハマってなかったハイプレスから。エデルソンが強引にインサイドにつけたボールはトッテナムのハイプレスの餌食に。ここからショートカウンターを始めたトッテナムはクルゼフスキがあっさりとゴールを沈めてみせた。カウンターとなるきっかけのチェックを仕掛けたのはベンタンクール。復帰戦でいきなりの大仕事である。

 勢いに乗るトッテナムはロングカウンターから追加点。粘りながらボールをキープしたケインが放ったシュートの跳ね返りをエメルソンが押し込んで2点目をゲット。こちらはまさに得点を取るならこの形!というイメージ。トッテナムが前半のうちに突き放すことに成功した。

 トッテナムの後半頭のプランはアーセナル戦と同じように高い位置からボールを奪いに行くこと。2点リードでも守りに入ることはなかった。11月のリーズ戦以来の前半でのゴールを決めリードを迎えても、後半頭に仕掛けるという彼らのスタンスは同じだった。

 シティからすると結果的にこのトッテナムのスタンスに救われた形と言ってもいいだろう。シティの追撃弾はプレスの背後で浮いたリコ・ルイスから。サイドの守備が整っていない状況で前進を許した分、トッテナムはマフレズへのケアが遅れてしまった。マフレズが1人でサイドを打開できるならば、ストライカー色の強いIHの構成はメリットに転じる。押し込んだのはアルバレスだった。

 勢いに乗るマフレズはここから怒涛のラッシュ。アルバレスとの入れ替わりで前線に飛び出してハーランドの同点ゴールをアシストすると、右サイドを切り裂いて独力で3点目をゲット。ロリスはいいパフォーマンスを見せていただけにニアを抜かれてしまったのは悔いが残る。

 後半頭にピークを持ってきて逆転まで漕ぎ着けたシティ。勝ちを確実にするためには試合を落ち着かせるかもう1点を奪いたかったところ。ベルナルドを入れて試合を落ち着かせる方向に舵を切った感のあるシティだが、ギアを下げてのゲームコントロールはシティは今季あまり得意としていない。トッテナムは1点差でシティがトーンダウンしたことで同点にするチャンスは残されていた。

 しかし、トッテナムのもう1つの欠点が邪魔をする。それはハイラインにおけるバックラインのミス。ラングレのミスからマフレズに決定機を献上してしまい4失点目を喫してこの試合は勝負あり。トッテナムのハイプレスは前からきっちりハマるか?以外に、後方の選手たちが広い範囲をカバーできないという問題点がある。この試合でもダイアー、デイビス、ペリシッチが長いボールに対して決定的な対応ミスをしており、4点目の場面ではラングレがそれに続いた形。ロメロ以外のハイラインの耐性のなさをきっちり体現している結果だろう。

 マフレズが着火した反撃ムードはマフレズに自身によって完結。苦手としていたトッテナムの粉砕したシティがダービーの敗戦払拭に成功した一戦だった。

ひとこと

 トッテナムがこれまでと違う試合展開でこれまで通りの試合運びを選んだ後半頭のプランがこの試合の潮目。ロングカウンター気味に決めた2点目が撤退守備+ロングカウンターというプランの後押しになればと思ったが、そうはならず。結果的に選んだプランはシティを助けることになった感がある。

試合結果

2023.1.19
プレミアリーグ 第7節
マンチェスター・シティ 4-2 トッテナム
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:51′ アルバレス, 53′ ハーランド, 63′ 90′ マフレズ
TOT:44′ クルゼフスキ, 45+2′ エメルソン
主審:シモン・フーパー

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