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「Catch up Premier League」~2023.1.18 プレミアリーグ 第7節 クリスタル・パレス×マンチェスター・ユナイテッド ハイライト

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3回目の祈りの行方

 ひいきチームの利益のために、第三者チームを応援するというのはプレミアリーグに限らず良くある話である。ご存知の方も多いかもしれないが、筆者はアーセナルファン。そのアーセナルファンの目線でいうと、第三者として勝手に期待をかけて、その期待を裏切られ続けているのがクリスタル・パレスである。

 ノースロンドンダービー前にケインの出場停止にリーチがかかっているトッテナムと対戦し、粘れずにあっさり大敗したり、ムドリクの強奪に成功したチェルシーに一泡吹かせてほしい!という願いも叶わなかった。そして、今週の相手はマンチェスター・ユナイテッド。あわよくば優勝争いに絡んできそうな赤い悪魔を直接対決前に止めてほしいというのが、身勝手なアーセナルファンがクリスタル・パレスに今年3回目の祈りをささげる理由である。

 負傷でフィットしなかったマルシャルに代わり、ユナイテッドのスタメンに名を連ねたのはベグホルスト。立ち上がりから彼を意識するロングボールやハイクロスなどタワー型のCFを起用しているっぽい振る舞いをユナイテッドは積極的に行っていた。

 ユナイテッドが意識していたのは手早い攻撃。パレスの陣形が整う前に縦に早く急いで崩し切る形を目指して早い段階で前線まで送っていた。ただ、パレスの守備を踏まえると異なる手段も見えてくる。パレスのこの日の守り方はエドゥアールとマテタでアンカーを受け渡しながら守る形。リーグ戦では久々の先発となったリサンドロ・マルティネスがいるならば、ボールを運びながら中盤を引き出すこともできるだろう。

 ユナイテッドはとても急いでいたが、どちらかといえばこうしたズレを作りながら後方から作った時間を前に送る形の方がこの日のパレスには有効だったように思う。この日の中盤のヒューズとドゥクレは連携が十分ではなく、どこまで出て行くかなどが整理できていない感があった。

 前半終了間際のユナイテッドのゴールもパレスの中盤の連携ミスを突くものだった。サイドに流れたエリクセンをドゥクレが捕まえるか迷い、ヒューズもそちらにフラフラと近づいた結果、届かないところに顔を出したブルーノにゴールを許してしまった。

 こうした理詰めのプランを使えば、割りかしこの日のパレスは簡単に崩れたように思うのだが、ユナイテッドはそれよりもダイレクトでアバウトな形を好み、相手を動かして時間をPA内に送り込むような崩しをしなかった。そういう意味ではパレスは痛いところを突かれずに済んだともいえる。

 一方のパレスのプレーもあまり良くなかった。全体的にとにかく落ち着きがない。中盤はバタバタしてヒューズはパスミスを連発。守備のデュエルでも後手を踏みがちで、押し込まれてはセットプレーで危険な目にも遭う。おまけにグアイタの飛び出しも意味不明でループシュートを決められてもおかしくない状況だった。

40分にようやく枠内シュートを放つまではパレスは攻撃の起点も作れず。トランジッションで前の選手がことごとく潰されてしまい、得意なはずのカウンターも全く機能しなかった。

 後半、ユナイテッドはトーンダウン。中盤をマンマークで捕まえにいった前半のプランを変更し、4-4-2でブロックを組むリトリートにシフトチェンジした。リーグ一の過密日程をこなしているチームなので、正直この試合は省エネで勝ちたいという気持ちがあったはず。これによりパレスはボールを持つことを許される。

 しばらくはボールを放り込まれても落ち着いてさばいていくユナイテッドの姿が見られていた。要所を締めるカゼミーロなど穴の開きそうなエリアに顔を出してはピンチを未然に防いでいく。70分を過ぎるとユナイテッドのサイドでの守備が後追いになり、徐々にパレスに奥に入られることを許すようになる。

 デ・ヘアが冷や汗をかくなど危ないシーンが増えていくユナイテッド。パレスのアタッカーは前を向いて攻める機会を増やしたことで徐々に精度を取り戻し、正確なクロスでユナイテッドの守備陣が届かないところにクロスを打ち込むようになった。

 すると、厳しい状況でザハのドリブルの対応をする羽目になったカゼミーロが警告を受けて通算5枚目のイエローカード。これで週末のアーセナル戦の出場停止が決定した。

 苦しい状況になりながらもフレッジ、マクトミネイなどの中盤を続々投入することで強度を維持するユナイテッド。しかし、パレスの健闘もさるもの。後半追加タイムにオリーズの直接FKで土壇場で追いついて見せた。

 アーセナルファンの三度目の願いを叶えてみせたヴィエラのパレス。勝ち点2とカゼミーロを奪い取ることに成功した。

ひとこと

アーセナルがミッドウィークに試合がないのはユナイテッドにとっては不運だが、試合が矢継ぎ早にやってくることはユナイテッドの抱える大会の多さからすると仕方がない。後半のターンダウンも受け入れつつ省エネで逃げ切りたかった試合だった。

試合結果

2023.1.18
プレミアリーグ 第7節
クリスタル・パレス 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:90+1′ オリーズ
Man Utd:43′ ブルーノ・フェルナンデス
主審:ロベルト・ジョーンズ

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