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「大量点が示す崩しの方向性」~2023.4.23 J1 第9節 川崎フロンターレ×浦和レッズ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第9節
2023.4.23
川崎フロンターレ(13位/2勝2分4敗/勝ち点8/得点9/失点12)
×
浦和レッズ(4位/5勝1分2敗/勝ち点16/得点12/失点7)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近5年間で川崎の6勝、浦和の4勝、引き分けが5つ。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の4勝、浦和の2勝、引き分けが4つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近7回の公式戦の対戦で川崎は浦和に1勝のみ(D4,L2)
  • しかし、リーグ戦に限れば直近8回の対戦で川崎は浦和に1敗のみ(W5,D2)。唯一の敗戦は昨季の埼スタ。
    • 川崎のベンチメンバーが5人でうち3人がGKだった試合。
  • 浦和が川崎よりも上の順位で迎えた対戦は2017年の等々力以来のこと。川崎が下の順位で迎えた等々力での浦和戦は直近4戦で川崎は無敗。勝利した3試合ではいずれも4得点を挙げている。
  • 等々力での試合においては公式戦直近6試合で川崎は浦和に無敗(W2,D4)

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱。
  • 離脱中の山村和也は合流済み。
  • マルシーニョは左ハムストリングの肉離れで8週間の離脱。
  • 田邉秀斗は左膝側副靭帯損傷で長期離脱。
  • 車屋紳太郎はG大阪戦の退場による1試合の出場停止から復帰。
  • チャナティップ・ソングラシンは清水戦で負傷交代。
浦和レッズ
  • ホセ・カンテは札幌戦の退場により出場停止。
  • 肉離れで離脱中の酒井宏樹は練習に復帰。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 今季のリーグ戦においていまだに先制ゴールがない。
  • リーグ戦は連敗中。
    • 3連敗になれば2015年8月以来8年ぶりのこと。
  • 鹿島に並び3人の退場者はリーグ最多タイ。
  • ホームでのリーグ戦では今季ここまで勝ちなし(D2,L2)
  • ホームでのリーグ戦はここまで3得点。1得点無失点の名古屋を除けば最下位タイ。
  • 75分以降に限ればここまで8得点無失点。
浦和レッズ
  • 開幕2試合以降、公式戦10試合負けなし。
  • 負けた2試合はいずれも無得点
  • 直近のルヴァンカップのスコアレスドローを除き、川崎相手に負けなかったその前の4試合はいずれも80分以降に得点を決めている。
  • リードされた4試合のうち、逆転勝利は2つ。
    • 川崎に次いでビハインドからの勝ち点が多い。
  • ここまで8人の選手が得点を挙げており、札幌に次いで最も多い。
  • 浦和×川崎の最多スコアラーは興梠慎三。
    • 小林悠もトップタイ。10得点。

予習

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展望

老獪なベテランFWが攻守のキーマン

 すでに浦和とは今季のルヴァンカップで対戦済み。しかしながら、基本的にはそのカードとは異なる試合になるだろう。もっとも変化が想定されるのは強度面。ルヴァンカップはそういう意味では参考外、リーグとは別物といえる。

 しかしながら、メンバーが変わっても構造そのものはそこまで大きな変化はないように思う。浦和のベースは4-4-2だし、ビルドアップの型の部分も大きな変化がもたらされることはない。違いがあるのは質の部分である。

 トップに入るのは興梠と小泉。いずれも強度的には不安がある相手ではある。しかしながら、ボールを誘導してプレスの方向性を規定するのはとてもうまい。よって、狩りどころとして浦和が設定しているのは当然中盤である。伊藤をハンターとして前線の誘導を元に、下りていく選手を一気に仕留めてカウンターに移行する。

 前線で守備の部分を誘導し、中盤でボールを取るのが浦和の理想。強引に枚数を合わせるのではなく、タイミングを見て1枚の絵を描くような作業である。

 枚数を合わせることはないものの、基本的には浦和のプレスのスタンスは前に向いている。そのため、SBがあっさりと背後を取られたり、そのカバーに入るべきCHのプレスバックが間に合わない場合もある。そうした時にも致命傷となるダメージを負うことが少ないのはやはりCBの守備範囲の広さ。時にはサイドに流れることで裏へのケアを万全なものにしていた。

 よって、浦和を攻撃する側のチームはサイドで相手を出し抜いた形の段階で全力を使ってしまうと厳しい。サイドから抜け出したところで次のプランを用意しておきたいところである。

 浦和のバックラインからのビルドアップは2CBが距離を取りながら、2CHが自由に動くのが基本線。CHの動きは基本的には1人が中央にたち、もう1人はポジションにこだわらずに動くことが多い。自由に動く中で規則性を見出すとしたら、バックラインから直接ボールをいれることができず、角度が変わった時にフリーになるような動かし方の際に生きる立ち位置を取ることが多かった。

 背中で消えている選手が突然現れるというのは守備側にとっては嫌なものである。自由に位置を取るCHはサイドで詰まらないためのサポートと、前を向いての選手を作り自衛することという2つの意味合いがあるように見える。

 アタッキングサードにおいてはSBが高い位置を取ることでSHの手助けをしたいところ。1人でも抜けなくはないが、外を回ってくれるSBがいればより大久保としてはありがたいはずである。

 中央では興梠が厄介。ポジショニングと圧倒的なポストの安定感で浦和の前線に君臨。おそらく1人に体を当てられるくらいだったら背負えてしまうだろうなと思う。札幌戦ではドリブルで相手を退場に追い込むこともできており、駆け引きも十分。非常に老獪なFWだ。

 彼にボールを入れる形からのポストを使った連携から前進をされるのは防ぎたいところ。そして、ボックス内での動きもさすがの巧みさを感じる。興梠周辺の環境をうまく活用できるかどうかは浦和の攻撃の成否を大きく左右するといっていいだろう。

マイナススペース創出の必要性

 ルヴァンカップの浦和戦では川崎は自分たちの時間を作ることができていた。その原動力となっていたのは中央にパスを差すところをカットする動きである。今季の川崎が散々相手にやられているプレーである。

 リーグ戦でも同じプレーが決まればペースは握れるだろう。しかしながら、ルヴァンカップに比べるとこうした機会を積極的に狙っていくのは比較的難しい。ショルツやホイブロセンといったCBコンビはプレス耐性やフリーの状況で自らボールを運ぶというアクションに関しては申し分なし。

 川崎がサイドから押し下げることができれば、浦和のCBの良さもできにくくはなるが、これもルヴァンカップほどうまくいく公算はない。そうした状況はある程度は作れない前提で対処法を考える必要があるだろう。

 先にも述べた通り、浦和のバックラインはCBが距離を取りながら深さを作っていく。そして内と外の両にらみをしながら前進できるルートを探す。川崎のプレス隊はシビアながらもこうした状況に立ち向かう必要がある。

 それでも今の浦和に川崎が勝つならばこうした強度の部分を押し出すのが最善だろう。WGがワイドを切りながらインサイドにパスを誘導し、内に無理にパスを付けたところで中盤がカットする。川崎は伊藤、岩尾のマークだけでなく、下りてボールを受けたがる小泉へのチェックにも要注意である。

 そうした状況で難しいのは興梠の対応だ。彼のところまでボールが入ってしまうと、おそらく挟めない限りは反転やポストを許すことになるだろう。彼を起点に薄いサイドに逃げられるのは厄介だ。ボールが入る前の段階でカットするか、バックラインへのプレスを諦めるのであればDF-MFで挟む形でボールをきっちりと取り切りたいところ。ライン間の距離はコンパクトに保ちたい。

 保持においては口を酸っぱくいっているが、枚数を合わせてこない相手に対してはCBとGKのところで時間を作ることが必要である。上福元の登用は以前から指摘しているようにバックラインの逃げ場を構築するという意味合いでも大きい。車屋は清水戦を見る限りはもう少し運べる部分では運びたいがおおむね問題はないだろう。ここに来てスタメン争いに参入している高井もこの部分は申し分なく勝負できている。

 まずは興梠、小泉の矢印の逆を取ること。相手の誘導を外して、中盤に容易なボールハントを許さないこと。そして、浦和のSHが慌てて前に出てきたらサイドのズレを使いながら前進。こうした地道なボールの動かし方を続けていきたい。

 アタッキングサードにおいてはクロスの活用の仕方が引き続き問題になる。清水戦ではサイドの深い位置から折り返すメリットを脇坂のゴールで体現できている。リーグ戦のように相手のバックラインを上下動させる前にクロスに走ってしまうと、この相手ならばまず間違いなく跳ね返される。

清水ほど簡単に裏を取れる相手とは思えないが、トライしなければ通用しないのは確実。やらなければ始まらない。奥を取り、マイナスを折り返すパターンはルヴァンカップから学ぶべき要素である。

 清水戦では大量ゴールでめでたいホーム初勝利になった川崎だが、はっきり言ってリーグ戦は全く別のものになる。復調の兆しが見えたか?と聞かれれば、個人的にはNo寄りだ。それでも自分たちが目指すべき方向性はゴールを重ねるうえで見えてきたはず。大量得点で勝利した意義を挙げるとすれば、崩しの方向性が見られたか否かだろう。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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