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「出力で解決できない状況」~2023.5.20 J1 第14節 横浜FC×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第14節
2023.5.20
横浜FC(17位/2勝3分8敗/勝ち点9/得点10/失点30)
×
川崎フロンターレ(10位/5勝3分5敗/勝ち点18/得点16/失点16)
@ニッパツ三ツ沢球技場

戦績

近年の対戦成績

直近10回の対戦で川崎は全勝。

横浜FCホームでの戦績

直近10戦で川崎の全勝。

Head-to-head

Head-to-head
  • 公式戦過去26回の対戦のうち、川崎が23勝。勝率は88.5%で20試合以上戦っているチームの中では最も高い。
  • 川崎は現在公式戦の横浜FC戦で12連勝中。
  • 横浜FCホームでの公式戦は過去13試合で川崎が全勝。42得点9失点。
  • J1でのリーグ戦は6戦全て川崎が勝利している。

スカッド情報

横浜FC
  • 小川航基、ユーリ・ララは1試合の出場停止。
  • ガブリエウは前十字靭帯損傷により離脱中。
  • 永井堅梧は左膝関節捻挫により離脱中。
川崎フロンターレ
  • ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱。
  • レアンドロ・ダミアンはフルトレーニングに合流。
  • 田邉秀斗は左膝側副靭帯損傷で長期離脱。
  • チャナティップ・ソングラシンは清水戦で負傷交代。
  • 高井幸大、永長鷹虎はU-20W杯招集により欠場。
  • 大南拓磨は脳震盪によりFC東京戦で負傷交代。
  • ジョアン・シミッチ、脇坂泰斗は1試合の出場停止。

予想スタメン

Match facts

横浜FC
  • 勝てばJ1では2021年10月以来の連勝となる。
  • 4/8以来およそ1カ月ぶりの降格圏脱出。
  • 今季勝利している2試合はいずれも1-0での勝利。
    • それぞれの試合のスコアラーは小川航基とユーリ・ララであり、この試合ではどちらも出場できない。
  • ここまで27人を起用しておりこれより多いのは川崎と柏だけ。
  • 公式戦でリードした7試合において4回逆転負けを喫している。
  • 小川航基は今季ここまでリーグ戦6ゴールを決めており、チームの60%の得点を決めている。
    • 60%のゴール占有率はリーグトップ
川崎フロンターレ
  • リーグ戦で連敗すれば今季2回目。
  • アウェイゲームを連敗すれば2022年7月以来10か月ぶり。
  • 今季勝敗のついた10試合のリーグ戦のうち、8試合は1点差で決着している。
  • 同一シーズンで昇格組に2敗すれば2015年(当時は3チーム昇格)以来のこと。
  • 宮代大聖が今季公式戦で決めた5つのゴールのうち、4つはアウェイで決めたもの。
  • 2021年のジョアン・シミッチ加入以降、脇坂泰斗とシミッチがいずれも出場しなかったリーグ戦は1試合もない。

予習

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展望

限られた前進ルートが開通するかどうか

 公式戦ではここまで12連勝中という対戦成績。そして横浜FCのホーム開催の試合は全勝。連覇をした年があった分、近年の川崎にはだいぶお得意様が増えた印象だが、その中でも横浜FCは川崎にとって別格に相性がいい相手といえるだろう。

 個人的な与太話だが、2年前にカズが出ている試合をレビューしたのもいい思い出だ。基本的にはこの記事においては選手の呼称は一律で苗字となっているのだが、「三浦って書いているお前は何様だよ」という気持ちになったのは覚えている。

 さて、前節の柏戦の勝利で横浜FCは最下位を脱出。3戦2勝というここまでの流れはそれ以前の10戦が未勝利に終わったことを踏まえれば、明らかに改善傾向にある。

 とはいえ、どの試合も苦しい展開を僅差でものにしているのは確かである。ここまでの苦戦の一因は10得点にとどまっている得点力。特に6点を稼いでいる小川への依存度の高さである。得点が少ない理由は決定力そのものよりも、決定力を創出できるルートが限定的であるほうが大きい。

 具体的にはチャンスメイクがサイドからの抜け出し→クロスというルートに大きく傾倒していることが問題として挙げられる。ビシバシ抜くことができるサイドアタッカーや空中戦で猛威を振るうストライカーがいればそれでもいいのだけど、横浜FCにはそのどちらもいない。小川は優秀なストライカーだが、マークを集めた中でクロスに対して1枚で何とかできるタイプではない。

 よって、攻撃には工夫が必要になる。例えば、サイドからの抜け出しでクロスを上げる前にインサイドにスペースを作ることや、エリア内に中盤が侵入することでクロスを受ける枚数を増やすことである。

 新潟戦のゴールはまさしくこの2つを両立するものだった。大外で余った選手(新潟側のチェックが甘かった)がクロスを十分に入れられる状況を作り、エリア内にはララが侵入する。外側の余裕とインサイドのずれの両方を作ることができた理想的なシーンだったといえるだろう。

 非保持に回った時はバックラインのプレッシャーが限定的。試合の立ち上がりはアップテンポで相手にプレスをかけに行き、ボールが行ったり来たりする展開を招くこともあるが、手ごたえがないと感じた場合は即座に撤退する。

 後ろに重心を高めている際はバックラインにプレスをかけずに中盤をケアするのが1トップの小川の仕事。バックラインはコンパクトにライン間を維持するように圧縮していく。

 ベタ引きというよりはミドルゾーンに構えながらある程度バックラインの高さを維持するケースが多い。自陣までボールを運ばれた場合は5-4-1のローラインをキープ。ミドルゾーンとローブロックの使い分けで相手の攻撃を耐え忍んでいく。

切り札がないことを逆手に取る

    この試合では横浜FCの小川航基とユーリ・ララが出場停止となる。どちらも開幕から不動のレギュラーとして君臨してきた存在だ。

 小川の不在を埋めることになるのはおそらくサウロ・ミネイロだろう。決定力ではおそらく小川の方が上だろうが、攻撃の基準点をこなすことができるフィジカルは十分に有しているといえるだろう。

 CHのララはエリア内に入り込んでいくなど、守備でも攻撃でもアクセントになる不可欠な存在。こちらは少し違うキャラクターの選手で埋めることを余儀なくされる可能性がある。代役のパフォーマンスは非常に重要だ。

 川崎としてはこの不在選手のギャップをついていきたいところ。特に活用したいのはトップのサウロ・ミネイロのところである。

 横浜FCの3トップの守備は無理に出ていくことはないが、基準がふわふわしていることが多く、相手のバックラインのフリーの選手を逃がしてしまうことがある。特にシャドーがCBとSBのどちらを見るかがあいまいになりやすく、後方のWBもしくは横のトップとの連携が取れていない印象だ。

 この部分は小川→ミネイロのスイッチで悪くなることはあれど、よくなることはないだろう。よって、理想的な形はSBとCBのところで横浜FCの守備にギャップを作るところである。

 できれば、シャドーとトップの受け渡しがうまくいかないCBから、車屋のドリブルもしくは山村の対角パスを狙いたいところ。ターゲットとなるのはマルシーニョ。高めに設定してある横浜FCの最終ラインの背後を取りたい。

 攻めきれれば完璧だが、押し下げる展開でもそれはそれで悪くはない。押し下げる展開で何よりも気を付けたいのは失い方。サイドの深い位置を取りながらインサイドにスペースを作っていくアクションを繰り返していきたい。

 失い方が悪いと今度は出場停止選手のしわ寄せが来るのは川崎の方である。中盤にシミッチと脇坂がおらず、バックラインには大南の出場が危ぶまれている。トランジッションの機会自体を減らすことに注力はすべきだろう。

 非保持においては大外への対応が重要。横浜FCのサイド攻撃は直線的に裏を取る動きや、FWがサイドに流れてのアクションは見せてくる一方で、サイドチェンジやマイナスパスを織り交ぜたやり直しの頻度は低い。

 よって、川崎は同サイドへのスライドをきっちり行いたい。クロスの出し手と受け手の両選手をケアしたいところ。大外のチェックをできればファウルなし(セットプレーはシミッチなしでは怖い)で食い止めたい。新潟が犯した失点は川崎も十分あり得そうだなという感じがした。

 今季、川崎が勝ってきた試合は中盤の強度をベースとすることが多かった。しかし、脇坂とシミッチがともにいないこの試合ではその部分を切り札にするのは難しい。

    であれば、じれずに攻撃の時間を増やしつつ、相手の攻撃機会を削り取っていきたい。出力でごまかせないことを逆手に取り、大島や橘田で相手の守備に穴をあける作業が実を結べば、2023年の異なる軸を作ることができるかもしれない。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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