Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第15節
2023.5.28
川崎フロンターレ(11位/5勝3分6敗/勝ち点18/得点17/失点18)
×
柏レイソル(15位/2勝6分6敗/勝ち点12/得点9/失点17)
@等々力陸上競技場
戦績
近年の対戦成績
直近10試合で川崎の6勝、柏の1勝、引き分けが3つ。
川崎ホームでの戦績
直近10戦で川崎の6勝、柏の3勝、引き分けが1つ。
Head-to-head
- 直近9試合の柏戦で川崎は無敗(W6,D3)
- 直近4回の川崎戦で柏は3試合で無得点。
- 等々力でのリーグ戦は川崎の5連勝中。
- 共に2桁順位でリーグ戦の対戦を迎えるのは初めてのこと。
スカッド情報
- ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱。
- レアンドロ・ダミアンはフルトレーニングに合流。
- 田邉秀斗は左膝側副靭帯損傷で長期離脱。
- チャナティップ・ソングラシンは清水戦で負傷交代。
- 高井幸大、永長鷹虎はU-20W杯招集により欠場。
- ジョアン・シミッチ、脇坂泰斗は1試合の出場停止から復帰。
- マルシーニョは左太もも裏の肉離れにより3ヶ月の離脱。
- 田中隼人はU-20W杯招集により欠場。
- 仙頭啓矢は京都戦で負傷。
- ジエゴは左大腿直筋肉離れの負傷で欠場。
予想スタメン
Match facts
- 公式戦3連敗中。いずれも2-1での敗戦。
- 4連敗になれば2014年4月以来9年ぶりのこと。
- ホームでの公式戦は直近3試合で無敗。うち2試合はクリーンシート。
- 今季、リーグ戦の対戦で勝利しているのはすべて12位以上のチーム。
- G大阪(16位)、横浜FC(17位)には敗戦。
- 直近5試合のリーグ戦は先制点を取った試合は勝っており、取られた試合は負けている。
- 瀬川祐輔は柏とは通算4試合の対戦で2得点を挙げている。
- 等々力での直近3年間の柏戦で家長昭博は3得点を挙げている。
- 直近4試合の公式戦で1得点。ここまでリーグ9得点は最下位。
- 複数得点を挙げたのはここまで2試合だけ。ホームのG大阪戦とアウェイの湘南戦でどちらも現在は17位以下に沈んでいるチーム。
- 17失点は鳥栖と並び、ボトムハーフの中では最も少ない。
- アウェイでのリーグ戦は直近2試合負けなし。
- 立田悠悟はキャリアにおける11試合の川崎戦でいまだに勝利がない(D2,L9)
- 井原監督は福岡時代に公式戦で川崎と3回対戦。リーグ戦では勝利を挙げられなかった(D1,L1)が、ルヴァンカップのグループステージでは勝利している。
予習
第12節 新潟戦
第13節 横浜FC戦
第14節 神戸戦
展望
過剰な縦ベクトルを抑制しつつある
横浜FCとのホームゲームの結果を受けてネルシーニョ監督は解任。J1での今季の監督解任ダービーは見事柏が1着で制することとなった。
対戦相手の直近3試合のリーグ戦を見るというのがこのプレビューにおけるルーティンである。よって、今回はネルシーニョ監督の試合を2試合、井原監督の試合を1試合観察することとなった。
まず、ネルシーニョ政権時の柏で気になったことは縦に急ぐ意識が過剰だったことだ。バックラインからCHへの縦パスは非常に多いのだが、SBがあまり自陣でのビルドアップに関与しないため、相手の1stプレス隊を横に広げられないこともしばしば。よって、相手チームからはこの縦パスはショートカウンターを発動させるための狙い目になっていた。
前線に裏を取るのがうまい細谷がいることもあり、全体的な攻撃のベクトルも前方への直線型。こうなると、相手からは予測が立てやすい。細谷がいくらスプリント能力に長けているとはいえ、後方からのよーいドンばかりでは対応が楽になってしまう。
さらに直線的なアタッキングサードでの振る舞いは押し込み続ける展開にも悪影響を与えている。横浜FC戦では一方的に攻め立てる機会も多かった柏だったが、クロスを上げるタイミングが単調でことごとく跳ね返されていた。
直近で横浜FCと戦った川崎サポーターならばわかると思うが、あのチームは単調なハイクロスであれば、辛抱強く跳ね返されることが多い。それでも柏は愚直にハイクロスを放り込み続ける。
川崎のよくない時と同じだが、サイドで相手のラインを上下動させるためのアクションが少なく、「せーの!」という感じでクロスを上げてしまっている。これであれば受ける方の横浜FCも楽である。
こうした保持における緩急の要素はまだ1試合ではあるが、井原監督の下で少しずつ改善を見せている。まずビルドアップにおいてはSBが低い位置でボールに関与する頻度が増えた。よって、自陣でのビルドアップに幅ができるように。強引なインサイドの縦パスが減った分、ビルドアップの安定感は増しているといえるだろう。
個人的にはネルシーニョ政権ではサイド起用が多かった戸嶋を中央に戻したのにも好印象。ビルドアップの安定に一役買っているように思われる。去年の柏のいい時期は中盤から出てくる戸嶋を捕まえにくかった印象がある。
アタッキングサードにおいては1トップの細谷の下にマテウス・サヴィオを配置。これはネルシーニョ政権とは似た起用法である。
細谷の出力を最大化するのならばフロートと2トップを組ませて、サヴィオを右にスライドさせるやり方がベターか。基準点型のCFのフロートは細谷との相性だけでなく、手前を使う意識が少しずつできていた井原監督のプランとも相性はよさそうだ。
ただし、非保持において2トップは縦関係を形成しながらアンカーを監視する役割もある。特に川崎のような保持を重要視する相手であれば、きっちりと縦関係からアンカーを管理できるサヴィオと細谷の組み合わせの方がベターと考えてもいいくらいだ。この辺りは井原監督がどのようなバランスをとるか次第だろう。
いずれにしてもサヴィオの先発は堅い。トップ下からサイドで崩しの3人目として登場ができるし、タメを作ることができるので、SBのオーバーラップも促しやすい。こちらも直線的なネルシーニョのスタイルよりは今の方がベターだろう。
下手な失い方が減ったおかげでバックラインも安定感を増している。神戸戦では後半は大迫と渡り合うことができた立田は新生柏のバックラインには不可欠な存在になっている。
家長の扱いは難しいところだが・・・
ここまで9得点と柏は明らかに攻撃に問題を抱えているチーム。しかしながら、小川航基不在の横浜FC戦で2失点を喫してしまうなど、今の川崎は得点力が物足りないチームでも簡単に失点してしまうため、安心は全くできない。
大きな課題になるのは相手に自在に許している横断である。中盤の横のスライドの動きと逆の手薄な方向にボールを回されてしまい、望んでいないサイドから攻撃を受けた結果、失点するという形が非常に多い。
瀬古、橘田といったボールハントに自信がある選手は2人目としてボールホルダーに挟みに行くものの、すれ違ってしまう常習犯。むしろ、出足がいい分、自分がいたスペースに穴をあけてしまい、傷口を広げてしまうという難しいジレンマに陥っている。
今のバックラインには中盤のゆがみを支え切るのは難しいので、こうした状況はなるべく避けていく方向にしたい。よって、ハイプレスでオープンな展開を作り出すよりは、WGが下がるポジションを取りながら相手にある程度ボールを持たせることを許容するプランの方がいいだろう。
そうなると、起用法が難しくなるのは家長。きちんと戻ることを優先するのであれば山田や瀬川の方がベターである。ただ、自陣低い位置まで下がって受けることを前提とするならば、陣地回復の手段は必要。マルシーニョの不在の中で家長まで外すと、そもそもボールを前に運べない状況も予想される。
さらには、押し込んだ後のサイドでのトランアングルの崩しにも不安が出てくる。浦和戦の後半は右サイドのケミストリーが皆無だったし、柏はこうしたDFラインの横のスライドがあると、ズレが発生しやすい相手。シミッチを軸に薄いサイドに展開しつつ押し込んでの勝負の手立てが欲しい。トータルで見れば家長を起用すると予想する。
基本的にはハイプレスと下手なロストを控えながら、どちらも保持から攻略法を求める土俵がベターだろう。保持のカラーは強くなったとはいえ、今の柏で最も怖いのはスピードあるアタッカーの直線的な攻め手である。
まずは相手の最も怖いところから攻められる機会を減らすことに注力。守備での自信をつけながら、我慢の展開に持ち込みながらしぶとく1点差勝負を制していきたい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)