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「広島のサイド攻撃封じのプラン」~2023.6.11 J1 第17節 川崎フロンターレ×サンフレッチェ広島 プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第17節
2023.6.11
川崎フロンターレ(10位/6勝3分6敗/勝ち点21/得点19/失点18)
×
サンフレッチェ広島(4位/9勝2分5敗/勝ち点12/得点22/失点15)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近10試合で川崎の6勝、広島の2勝、引き分けが2つ。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の6勝、広島の2勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近7試合のリーグ戦での対戦で川崎は無敗(W5,D2)
  • 昨季は川崎が広島にシーズンダブルを達成。
    • 広島がリーグ戦で唯一得点をとれなかった相手。
  • 等々力での試合は直近4戦で川崎が無敗。勝利した3試合は複数得点を挙げている。
  • 等々力で広島が勝利した過去4回のうち、3試合の勝利は0-1のもの。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱中。試合形式のトレーニングには復帰。
  • 田邉秀斗は左膝側副靭帯損傷で長期離脱。
  • マルシーニョは左太もも裏の肉離れにより3ヶ月の離脱。
サンフレッチェ広島
  • 中島洋太朗はU-17日本代表招集のため不在。
  • ピエロス・ソティリウは左大腿部の負傷により一時帰国。
  • 満田誠は右膝前十字靭帯部分損傷による長期離脱。
  • 塩谷司も右肩の負傷で離脱中。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 勝てば今季2回目のリーグ戦連勝。
  • 現在の順位表で6位以上のチームに勝てていない(D2,L2)。
    • 4試合はいずれもホームゲーム
  • ホームの公式戦は直近5戦無敗(W4,D1)
  • 直近の公式戦8試合はいずれも引き分けがない。
  • 遠野大弥はルヴァンカップ清水戦につづき、天皇杯栃木シティ戦で川崎加入後2回目の公式戦2得点を記録。
    • リーグ戦のゴールは22年10月の清水戦が最後。以降出場した15試合のリーグ戦で無得点。
  • 宮代大聖はリーグ戦ここまで5得点だが、ホームでの得点は1つだけ。
    • →敗れた名古屋戦。ホームで勝ち試合の得点を挙げた経験はまだない。
サンフレッチェ広島
  • 開幕3戦目の横浜FM戦以降、公式戦19試合で引き分けがない。
  • 直近9試合の公式戦は常にホーム開催のチームが勝利している。
    • アウェイゲームは公式戦4連敗中。
  • 無得点の試合は2つのみ。それ以外の20試合はすべて得点を決めている。
  • 公式戦の得点のうち、76分以降のものが15得点で全体の59%。
  • 枠内シュート99本はリーグ最多。2位の横浜FMは80本。
    • 得点数は7位まで落ちる。ゴール/枠内シュートの割合が低く(0.17)、これより少ないのは横浜FCだけ。
  • 川村拓夢はここ6試合のリーグ戦で3得点。
    • 昨季のゴール数に並ぶ。

予習

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展望

 セオリーと利き足のミスマッチ

  神戸戦の中止により、リーグ戦としては2週間の中断が挟まることとなった川崎。天皇杯でのメンバー構成は注目が集まるものではあったが、基本的にはそれぞれの理由で出番を作れなかった選手たちがプレータイムを得た。

いわゆる超主力として出番を得たのは脇坂くらいであり、どちらかといえば予定通り神戸戦が行われた際とあまり変わらないメンバーを集めた印象だ。つまり、がっつりと2週間のインターバルを開けたメンバーで広島を迎え撃つこととなる。

 今季の広島がやっているサッカーは一言で言えば得意なことと不得意なことがはっきりしているという感じ。フォーメーションとしては3-4-2-1という見慣れた形ではあるが、選手の個性からか少しテイストが異なっている印象だ。

 ボール保持においては3人のCBとGKが軸となる。つなぎへのこだわりは試合ごとにバラバラという感じ。リスクを冒してまでつなぐことはしないが、ボール保持を捨てているわけでもない。かといって浦和戦みたいにCBがボールを持てる試合でもとりあえず蹴っ飛ばしたりはする。この辺りのさじ加減は蓋を開けてみないとわからない。

 CHがビルドアップのサポートに来るのは自然だが、右のWBの茶島は低い位置まで降りてくることも多い。茶島は従来の大外香車型の広島の右WBとは少し異なる系譜にいる選手なのだろう。

アタッキングサードでもミキッチや藤井のように1on1を繰り返すよりも逆サイドのボールに合わせていく形を好む。左の大外→茶島というのは広島の得点パターンの1つだ。

 ボール保持のルートは外循環orCFのポストが基本。ただし、CFは中央でボールを待っていても落としを拾うフォローがおらずに孤立する場合がある。よって、「その先」が用意されているサイドに流れるケースが多い。

 どっしりとしたベン・カリファよりも左右に動きつつポストプレーを行うことができるヴィエイラの方が攻撃がスムーズに回るのは個人のスタイルとチームの相性の差だろう。

 サイドにボールがある状態からはハーフスペースの抜け出しが中心。このハーフスペースの抜け出しは大外にボールがあるときに限らず、前線の選手がロングボールを引き出すときにも行う。

 大外にボールがあるときにはあらゆるポジションの選手がハーフスペースに抜け出しているので、おそらく誰かは抜けましょうという決まりなのだろう。特に左サイドにおいては非常に徹底されているメカニズムという印象だ。

 広島の攻撃で少し異なる点があるのは、この大外+ハーフスペースの抜け出しというテンプレート攻撃のところ。通常、この攻撃は抜け出す選手が順足で折り返すことが最もオーソドックスな攻略法になっている。

 だが、広島のハーフスペースの抜け出しは利き足の関係からか順足で折り返さずに切り返してからプレーすることが多い。左サイドであれば、右足に持ち替えてからクロスということである。

 こうなると、抜け出した分のアドバンテージは消えやすい。裏抜けで出し抜いた対面の選手には追い付かれるし、その選手を1on1で改めて抜こうにも、インサイドの陣形は整う。何より、エンドラインを片側に背負った状態で1on1を制するのはそこまで簡単ではない。

 よって、このセオリーとなっているランはあまりチャンスの構築に結びついていない印象だ。唯一、利き足で鋭いボールを送ることができるのは野津田である。彼であれば無理なく抜け出しを活用ができる。

だが、CHの彼がサイドで抜け出すということは中央のフィルターがスカスカになるということでもある。現状でサイドアタックを最適化するには自らのカウンター耐性を弱めることと引き換えになっているのが広島の現状だろう。

方向の優先度を明確にする

 とはいえ、広島の枠内シュートはリーグトップ。得点も上から数えた方が早いのだから、彼らには得点パターンとして確立されている形がいくつもある。1つはCFのボックス内の強さ、もう1つは先に挙げたWB→WBの形である。

 さらにここにもう1つ加えるのであれば、シャドーがカットインする形である。広島のシャドーは先に挙げたようなハーフスペースの抜け出し的な縦のベクトルが強いアクションは得意ではない(抜け出した後にプレー選択に迷う)が、横のベクトルが強いアクションは得意である。例えば、カットインしてのシュートとか。エゼキエルはその代表的な選手といえるだろう。

 ただし、普通に考えれば中央は相手に固められていることが多い。カットインからのシュートは相手のブロックにはじかれることも多いだろう。そのためにはほかの強みと組み合わせる必要がある。

 例えば、CFのポストプレー。左右に流れながらポストプレーができるヴィエイラの特性と内側に切り込むランが得意な広島の選手の特徴を掛け合わせることができれば、この強みを生かすことができるだろう。

湘南戦で杉岡のハンドが宣告されたシーンでは判定のきわどさに目が活きがちだが、サイドに流れるヴィエイラがインサイドに入り込む松本をうまく活用できていたことに着目すべきだろう。

 左右に流れてのCFのポストプレー以外で掛け合わせることができる強みはやはりトランジッション。満田がいればいうことないのだが、川村も相手に走り勝つことができる持久力を持っている。相手がバテている終盤には凄まじい破壊力を発揮する。前を向かせる手段としてポスト等の手助けは必要だが、完全に抜き出し切ってしまえば、カットインからのシュートを邪魔するものは何もない。

 よって、川崎が広島の攻撃に向き合う際に大事なことは「シャドーの選手に横ベクトルの移動をさせない」こと。カットインからシュートを打たれる形を作られないことである。先に挙げたような川村の独走はそもそもその形を許さないくらいしか方法はないが、ハーフスペースの抜け出しには切り返しを前提で対応することなど手の打ちようがある。

横にいかせるくらいなら縦にいかせること。もしあえて横にいかせるのだとしたら、2人目がボールを補足すること。野津田の裏抜けしているシーンにおいて発動できれば、カウンターのチャンスも見えてくるはずだ。

 川崎は守備対応でどこにボールを追い込むかを迷ってしまう節がある。この試合ではその優先順位ははっきりしている。カットインが要警戒。プレーエリアは外に追いやるように。この点をベースに広島のサイド攻撃に対応していきたい。

 川崎の保持の局面においてはまずは広島のプレス隊を引っ張り出すことが大事。どこまでプレスに来るかは日によって違う。これまでの広島のように常にハイプレスで来ないのは、CHが従来ほど守備のカバー範囲が広くないことと、シャドーの川村が試合途中からCHにスライドするケースが多いため、むやみに体力を使えないことなどが理由としてあげられるだろう。

 だが、ここは広島のプレス隊に対しておびき寄せる動きが欲しい。特にWBをSBで引き寄せることができれば大きい。広島のハイプレスはCFがニアのCBをふさぎつつ、シャドーがSBの横、WBがSBの縦を切るようにプレスを仕掛けてくる。

 よって狙いは逆サイド。上福元を活用してボールを逆側まで逃がすことができれば、かなり無理なく前進は可能である。

 前進が可能になれば広島の陣形はCHが裸になりやすく、中盤でフリーの選手を作ることはそこまで難しくはない。CFが前線でピン止めできれば、降りる選手がフリーでターンすることもできるだろう。

 広島のCBは相変わらず前には強さを見せている。よって前と後ろの両方の選択肢を作ることが大事だ。浦和の酒井のゴールは理想形。前に強い佐々木を手前に引き出して、その背後を取る形を作るスタイルで一気にゴールまでの扉を開いた。

 このようにCBに負荷をかけるには中盤でフリーを作ることは大事。そして、そのためにはバックラインがプレスを引き寄せる必要がある。

 相手は上位ではあるが、できることをきちんとやれるかどうかが問われることになる一戦。強度では負けず、弱みは保持でつくことを意識しながらホーム連勝を狙いたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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