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「再編される前線に求める要素は?」~2023.8.19 J1 第24節 サンフレッチェ広島×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第24節
2023.8.19
サンフレッチェ広島(8位/10勝4分9敗/勝ち点34/得点26/失点23)
×
川崎フロンターレ(9位/9勝5分9敗/勝ち点32/得点30/失点28)
@エディオンスタジアム広島

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で広島は2勝、川崎は7勝、引き分けが2つ。

広島ホームでの戦績

直近10戦で広島の4勝、川崎の5勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近8試合のリーグ戦では川崎は広島に負けなし(W5,D3)
  • 広島は2021年の柏のゴール以来、川崎相手に約330分ノーゴール。
  • 直近7試合のホームでの川崎戦において広島は1勝のみ(D1,L5)
  • ここ5試合の川崎の広島ホームでの勝利のうち、4試合はクリーンシート。

スカッド情報

サンフレッチェ広島
  • エゼキエルは湘南戦で負傷交代以降は起用されていない。
  • 住吉ジェラニレショーンも欠場が続く。
川崎フロンターレ
  • ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱中。試合形式のトレーニングには復帰。
  • 大島僚太は右下腿三頭筋肉離れにより離脱。
  • 車屋紳太郎はベンチ外が続く。練習は部分合流。
  • バフェティンビ・ゴミスは来日し練習合流。
  • 大関友翔はU-18日本代表招集中。
  • 大南拓磨は出場停止。

予想スタメン

Match facts

サンフレッチェ広島
  • 前節の勝利を除くと、それ以前の公式戦8戦未勝利(D2,L6)
  • 敗れた直近6試合のうち、5試合がスコアレス。
  • 直近の公式戦9試合すべてで先制点を献上している。
  • ホームでのリーグ戦は直近7試合いずれも1失点以下。
  • 直近4試合のリーグ戦の勝利はいずれもホームゲーム。
  • 加藤陸次樹は2022年の川崎戦(カップ戦含む)で2得点を決めている。
川崎フロンターレ
  • 負ければ2015年8月以来、8年ぶりのリーグ戦3連敗。
  • 勝てば今季初めてのシーズンダブルを達成。
  • 直近のリーグ戦で勝った6勝はすべてクリーンシート。
  • 今年退場者を出した次の試合は5戦のうち1勝しかしておらず、現在は3連敗中。
  • ジョアン・シミッチが出場していないリーグ戦はここまで2つだがどちらも敗れている。
  • 山村和也と高井幸大が先発でスタメンを組むことになれば天皇杯3回戦の栃木シティ以来。

予習

第21節 横浜FC戦

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展望

ライン間プレイヤーの融合が伸びしろ

 チームを象徴するエースである小林が8月にゴールを量産するということもあり、例年の川崎で言えば夏は巻き返しの季節。しかしながら、何もかもが例年と違うのは今年の川崎の常でもある。8月に入っても上位勢相手に思ったように勝ち点を稼げずに苦戦が続く状態。肝心の小林もベンチに座ったままである。優勝という目標をチームは捨ててはいないだろうが、10試合以上を残す時点で「あきらめない」というワードが出てくるあたり、相当厳しいのは火を見るよりも明らかだ。

 同じく、今季を理想的じゃない!と思いながら過ごしていそうなのが今節の対戦相手である広島だ。ピッチ上の成績もさることながら、ピッチ外でも満田の大怪我や森島の移籍など予想外のことが数多く起きている。

 上に挙げた2人はもちろん超主力ではあるが、そもそも広島は特にシャドーは層が厚いポジションではない。よって、こうしたことが起きるともろにダメージを受けてしまう。今はエゼキエルも離脱しており、前線は再編を迫られている状態だ。前回対戦においては大外からのハーフスペースアタックという攻撃のシステマティックな部分に触れたが、メンバーが変わったことでこのオートマチズムはかなり薄れたように感じる。

 その分、崩しは個人の能力に依存する部分が増えた。テンプレートといえる攻撃が組み込まれていることはいい部分も悪い部分もあるとは思うが、現状における広島はそこをまだプラスの収支に持ってこられていないのかなという印象もある。

 プレーの種類としては森島やエゼキエルというシャドーのカラーが強い選手がいなくなったため、単純にライン間に立ってのプレーが減少した。その分、加藤の新加入や3人の外国籍選手のうち2人を併用する形でストライカーの出番が増えている。

 これによって増えたのはポスト+裏抜けの要素。縦パスを引き出して相手を背負ってのプレーや背後を狙うDFラインとの駆け引きが増えた。後ろの選手たちもビルドアップにおいてサイドで迂回するよりも、FWにボールを刺すことを意識するシーンは増えている。この辺りは変化がみられている部分だ。よって、得点の形は浦和戦のように抜け出し切ったFWがフィニッシュまでもっていくスタイルや、あるいはカウンターなどで全体的にスペースが多くあるシーンになっている。

 もちろん、それで攻撃を完結できるのであればそれでもいいのだけど、基本的にはFWが相手を外すところからフィニッシュまですべてをこなすのは難しい。加藤がホイブロテンを出し抜いてシュートまで毎回持っていくのは大変である。

 相手を外してフィニッシュまでもっていくまでが独力になっており、崩しのプロセスになかなか他者が入ってこないのが最近の広島である。この辺りが不振や得点力不足の側面につながっている部分もあるだろう。

 だが、見通しが暗いわけではない。スカッドには復帰した満田と新加入のマルコス・ジュニオールがいる。彼らはれっきとしたライン間で勝負ができるプレイヤーである。システマティックな部分が薄まり、個性の掛け合わせ感が強いこの広島において、加藤の裏抜けやヴィエイラのポストといった前線の特徴をライン間プレイヤーと融合することができるか。これが後半戦の広島の伸びしろといえるだろう。

 満田はコンディション、マルコスは連携面での不安があるが両者とも能力に疑いの余地はない。時間を作る前線と享受するライン間プレイヤーの関係性を再構築できるかどうかが、残り10試合ほどの広島の成績を左右するポイントになるのではないだろうか。

FW増員に対するプランは持っておきたい

 川崎からするとまずはきっちり押し込んでの攻撃ができるかどうか。結果に覆い隠されているが、サイドの密集攻撃の精度自体は悪くはないので、押し込む時間が長ければそれなりにチャンスの頻度を見込むことはできるだろう。

 広島の守備のベースはマンツー。おそらくシミッチにCFがつき、両シャドーが川崎のCBを監視するという形で広島は対抗してくるだろう。

 川崎はスカッド事情的に山村と高井というCBのコンビが濃厚。マンツー気味にハメてくる相手にこのCBコンビということは自陣からのビルドアップでマンツーを外すトライは欠かせないだろう。GKをソンリョンではなく上福元で予想したのは、このCBコンビの狙いにマッチしやすそうだから。GKを組み込むことで広島のマンツーの狙いを外していきたい。

 誰か一人がフリーになれば、この後方のメンバーは全員大きなキックを正確に蹴ることができる。大きな展開を駆使しながらマンツー主体の広島に狭く守ることを許したくはない。

 後ろが組み立てて広げることができる効果はいろんな部分に波及する。例えば、荒木をはじめ屈強なCBが揃っているバックラインに対峙するには、広島のCHに挟まれたくはない。広島のCHはなるべく手前に引き出しつつ、CFは手前がフリーになっている状態で戦いたい。大きな展開はその手助けになるだろう。

 CFが挟まれないことを利用したプレーは以前広島相手に知念がとてもうまくやっていたのが印象的。手前に大きくトラップしながらターンし、前を向いてそこから攻撃を加速させていく。CFがボールの収めどころになるかどうかはポイントだ。これができなければ、広島のハイラインでのプレスの圧をもろに受けることになるだろう。

 中盤が相手を剥がすためにもバックラインの引きつけは重要だ。マンツー気味にくる相手に対してターンが絶好調の脇坂や、はがした後の展開力に定評のある瀬古につなげることができれば、アタッキングサードへ一気に加速することができるだろう。前線の特性を生かすだけでなく、中盤から時間を前に送ることができれば、ストライカーはフィニッシュに集中することができる。

 仕上げの部分に関しては好調の左サイドに集約するスタンスを続けるかはポイントになるだろう。個人的には広島には広く使うことで対抗する形の方がベターに思えるが。

 プレッシングに関しては前節の神戸戦の手綱の握り方は悪くはなかった。SHは無理に追い掛け回すことはせず、スイッチが入ったときは一気に追い込んでいく。瀬川の対応は基本の姿勢として手本になるだろう。

 この試合で言えば相手は3バック。川崎のWGはCBにプレスに行くか、WBを抑えるかの判断を問われることになる。こうした判断を伴うのは瀬川の得意分野だろう。彼の先発を継続するのか、あるいはマルシーニョを戻すのかは注目したいところ。

 WBへの対応に関してはそもそも広島がここのポジションの突破力に頼る毛色が薄くはなっているので、以前よりはぶち抜かれる危険性は下がっている。川崎はSBとWGで受け渡しにギャップができないようにしたい。受け渡しにギャップという部分で言うと中央のパスワークのキーマンである野津田にも時間は与えたくはない。

 終盤、広島はFWを2トップにすることでCBをピン止めする形を使うことが多い。この時にSBがWGを止めに外に出ていくと、川崎はCBとSBの間が空くことになる。広島の右のWBは越道にしても中野にしても高さがあるのでハイボールから起点を作られてハーフスペースに折り返されたりしたら厄介である。

 広島の傾向からしておそらく外国籍ストライカーを併用するのは途中からだろう。それでも浦和戦ではこのシフトが逆転につながっているので、採用の可能性自体はそれなりにあると思う。特に彼らが追いかける展開であるならば。

 なので、川崎は試合の中でこの変化に対応する必要がある。WBにWGが対応する形にするのか、あるいはMFがそのスペースを埋めるのか。あらかじめ決めておいてほしい部分である。

 川崎の前線にとっては負荷が大きくはなるが、ある程度の守備のタスクはしてほしいところ。広島の終盤戦の見どころがライン間プレイヤーの融合であるならば、川崎はやはり前線の競争だろう。ゴミスの加入と怪我人の復帰で競争は一気に激化する。

 特にダミアン、小林にとっては正念場。点を取ることが一番早く存在を証明できるだろうが、今の川崎にはそれ以外にもFWの助けが欲しい部分がある。組み立てか、オフザボールの動きなのか、あるいは守備の貢献も欠かさないのか。生き残りのためにはいろんな方向性が存在する。

 前線は熾烈なサバイバルがスタート。チームの顔となるストライカー争いで互いを高めあいながらACLと天皇杯での過密日程を迎え撃ちたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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