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「祭りを楽しむ前に」~2023.8.26 J1 第25節 川崎フロンターレ×北海道コンサドーレ札幌 プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第25節
2023.8.26
川崎フロンターレ(9位/9勝5分10敗/勝ち点32/得点32/失点31)
×
北海道コンサドーレ札幌(13位/7勝7分10敗/勝ち点28/得点42/失点47)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近5年間で川崎の7勝、札幌の2勝、引き分けが1つ。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の8勝、札幌の1勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近3回の対戦はいずれも両軍合わせて7得点が生まれている。
  • また、その3試合はいずれも決勝点が生まれたのは85分以降。
  • 直近27回の対戦で川崎が札幌相手に得点を決められなかったのは1回だけ。2020年の等々力での0-2での敗戦。
    • 等々力における川崎唯一の敗戦。
  • ホームチームが現在3連勝中のカード

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱中。
  • 大島僚太は右下腿三頭筋肉離れにより離脱。
  • 欠場が続いていた車屋紳太郎は完全合流。
  • バフェティンビ・ゴミスはフルメニューを消化。
  • 大南拓磨は出場停止から復帰。
北海道コンサドーレ札幌
  • 菅野孝憲は右ヒラメ筋の肉離れで離脱中。
  • 小柏剛は前節の京都戦を欠場。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 2015年8月以来のリーグ戦3連敗。
  • 負ければホームゲーム3連敗。
  • 直近6試合のリーグ戦の勝利はいずれもクリーンシート。
  • 直近3試合のうち、2試合は後半追加タイムの失点で敗れている。
  • 小林悠は札幌戦15得点。当該カードにおける最多得点者であり、個人の対戦相手別では仙台(16)に次いで多く得点を取っている相手。
  • 脇坂泰斗は直近4試合の出場で5得点に関与(3G,2A)。
    • 3ゴールはいずれも川崎の1得点目。
北海道コンサドーレ札幌
  • 6月3日の柏戦以降、2か月以上リーグ戦で勝利がない(D3,L5)
  • 直近の公式戦12試合において、複数得点を挙げたのは2回だけ。
    • いずれも天皇杯で下位カテゴリー相手。
  • 直近5試合の公式戦で1得点のみ。
  • 47失点は湘南に次いで多く、42得点より多いのは神戸と横浜FMだけ。
  • 浅野雄也はここまでJ1で9得点を挙げておりチームリーダーでありキャリアハイ。
    • 川崎戦で40分以上プレーすれば、プレータイムもキャリアハイに到達する。
  • 直近3回の川崎戦で唯一勝利した昨年のホームゲームはGKが菅野孝憲。
    • 今年のホームゲームはク・ソンユン、昨年の等々力は中野小次郎がGK。
    • 2020年の等々力での勝利時も菅野がGK。

予習

第22節 鹿島戦

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展望

札幌の得点力の低下の要因を探る

 リーグ戦においてはおよそ8年ぶりの3連敗。川崎は鬼木監督就任以降で最も勝ち点が取れないフェーズに突入していることは間違いない。苦しい状況の川崎だが、今節の相手はそんな川崎よりも長いトンネルに入っている札幌である。

 Match factsの項でも触れたがリーグ戦の勝利は6月の柏戦が最後。両軍後半の追加タイムにゴールを決めて、札幌が4-5というワイルドなスコアで競り勝った試合以来、勝利から遠ざかっていることとなる。

 札幌といえばたくさん点を取り、たくさん点を取られるチームというのがパブリックイメージとしてあるだろう。最後の勝利として紹介した柏戦はその典型的な例。川崎とのここ数年の試合を見ても、終盤はふんどし一丁で中盤の存在しない撃ち合いを演じているイメージがある。

 端的に言えば、札幌の不振は失点の多さをそのままに、得点がガクっと減ってしまったことにある。札幌のリーグ戦での勝ちが止まったタイミングで同じくなくなってしまったのが複数得点の試合だ。

柏戦以降の公式戦12試合で複数得点を決めたのは2試合だけ。いずれも天皇杯で相模原とヴェルスパ大分という下部カテゴリーが相手の試合になっている。リーグ戦では複数得点はなく、こと直近5試合の公式戦ではわずかに1得点のみ。4試合が無得点に終わっている。

 自分は直近の3試合しか見ていないため、長いトンネルに至った原因をすべて把握できているとは思わないが、ここからは札幌の直近の試合から考えられる得点力低下の要因を自分なりに考えていきたい。

 いわゆるハコというか布陣の組み方にはこれまでと比べてそこまで大きな変化はない。GK+CB+アンカーのひし形を自陣で形成するのは以前からおなじみの形。このひし形の構成要素にCHがどちらも含まれており、3バックのワイドのCBはビルドアップよりもサイドで高い位置を取る意識なのも同じである。

 構成される人員は少し変化がある。ワイドのCBから保持時にフリーマンとなっていた福森はCHをベースにDFラインに落ちる形が増えることが多く、逆にCBの3枚は中村、岡村、田中というこれまでよりもCB色の濃いメンバーが名を連ねている。

 アタッカーにおいては右のWBである金子がクロアチアに旅立っており、トップの小柏は負傷を繰り返している。リリースはないが、前節の京都戦も欠場しており、おそらく負傷が要因ではないかと考えられる。

 ハコは同じでも人が異なることによる影響はあるだろう。福森が後方にいるので、ロングキックからの大きな展開は見込める。だが、ミドルゾーンからドリブルで敵陣まで運び、クロスからチャンスを演出できる金子と爆発的な加速により独力で攻撃を完結できる小柏の2人がいないことで後方から一気に攻撃を届けるための手段がなくなっている。

 金子の代役はルーカス・フェルナンデスになるが、より深い位置に入り込めるように時間を与えてあげたいタイプ。正対してからのプレーの引き出しとクロス精度においては金子と比べるとどうかな?というところがある。

 前線では小林を相手のDFを背負ってのゲームメーカー的に使うことで小柏不在を補う解決策を探っている。トップのポストを生かすという点ではすでに興梠という成功例があるし、よりゲームメーカー寄りではシャビエルも降りる自由を与えられていた。実際、高い位置で関係を築けたときは青木、浅野といったアタッカーが小林の降りるアクションによって作り出したスペースに飛び込むなど、連携を生かした崩しの気配もある。

 しかしながら、札幌の課題は低い位置からボールを運ぶメカニズムが作れていないこと。その結果、小林が低い位置まで降りてきてしまい、最終ラインに影響を与えられず、青木や浅野が動き出すきっかけを作ることができていない。

 ここはMFの1枠をロングキック志向の福森で占めていることも影響があるかもしれない。やや中盤が空洞化気味な嫌いはある。小林は興梠と異なり、ストライカー気質の選手ではないので、ボールが届かないなと思ったときに降りるアクションをすることに抵抗がない。そうなれば浅野や青木といったアタッカーとのつながりは切れてしまう。

 札幌の直近の唯一の得点である鳥栖戦の浅野のゴールは、相手の逆を取った中村が自陣から長い距離を走ることがきっかけとなった。このように、アタッカーに得点を届けるには自陣から大きくボールを運ぶようなアクションを構築する必要がある。

中村自身がこうした相手の背後を取る動きを見せるようになったこと自体は収穫ではあるが、そもそものポジションや役割を考えるとメインには据えにくい。というわけで札幌の得点力の低下の要因はアタッカーへのボールを供給するための手段不足に起因すると考えられる。

中盤より前で勝負できるポイントはある

 川崎からするとマンツー志向でぶつかってきた前節の広島戦は課題抽出のいいサンプリングになるだろう。札幌の方がより原理主義的なマンツーであり、マーカーがはっきりしている。

川崎の課題になるのは前節の前半で顕著だったバックラインから相手のマークを外せない問題である。ソンリョンがGKになると、バックパスの許容度やバックラインの距離が狭まってしまい、山村と高井のコンビでもなかなかフィールドだけでマンマークを外すことは難しかった。難しいのは広島戦ではソンリョン個人としてはセービングを中心にいいパフォーマンスを披露したこと。試合の終盤までタイスコアで踏ん張れたのは彼のおかげでもある。

 となると、GKにソンリョンが起用される可能性は高く、ショートパスにおけるマンツー外れない問題はおそらく据え置きになるだろう。車屋の完全合流が報道されたのはいい傾向ではあるが、車屋自身のボールキャリーもやや蓋を開けてみないと、どこまでボール運びをトライできるかはムラがある。

 逆にCBから前は相手を外す動きが期待できそう。瀬古、瀬川、山根などは相手の矢印を折るようなフリーランができているし、脇坂はそれに加えてターンで相手を剥がすことも可能。体重移動で周りの選手の矢印の逆を取ることもできる。マンツー外しにはもってこいだろう。

 できればFWにもマッチアップの優位を見せてほしい。札幌は3人のCBを揃えているため、これまでよりは一見強度は高いのだが、ここにきて田中と岡村はややコンディションが落ちているのか、対応の甘さが目立つ部分が多い。前節パスミスから失点を呼び寄せてしまった岡村には特にその傾向がある。

 山田が先発するのであれば反転してゴールまで突き進んでほしいし、家長は2人を引き付けて空く選手を作りたい。札幌相手に電光石火で決めた鹿島の1点目のように鈴木が空けたスペースを2列目に使わせる意識であるならば、宮代のCF起用も面白いだろう。札幌は特に降りる動きに合わせてついてくることに忠実なので、宮代のランはボールに触れなくとも効く可能性がある。瀬川や脇坂などボックス内で好調な2列目を生かすのであれば、彼が先発というのもアリだ。もちろん、小林悠もいる。

 CFのセレクトは読みにくい部分はあるが、基本的には誰が出ても中盤より前で勝負はできるはず。敵陣で勝負できるポイントのメドが立つのであれば、やはり課題は後方から時間を与えるキャリーができるかどうかになる。くしくもこれは札幌と似た課題だ。この部分での現段階での出来はチームカラーを考えても絶対に負けるわけにはいかない。

 まぁ、そんなことを言ったって札幌戦なのだから、終盤はきっといつものように裸一貫ふんどし祭りがおこなわれるのだろう。中盤はなくなり、両軍のゴール前のシーンが続く時間がやがてやってくるはずだ。均衡したスコアでその状況を迎えれば、おそらく祭りの勝者が試合の勝者になる。

 そうなったらそうで祭りを頑張らないといけないのだが、今後を見据えるとやはり祭りの手前の段階できっちり改善点を見せることが重要。そして、できればある程度の点差をつけておくのが理想なのは言うまでもない。敵陣にボールを送るという過程で差をつけることができなければ、祭りを制したとしてもこの先につながるものを手に出来ない。結果は前提だが、今直面している現状においては内容の改善も追い求める必要があるのが今の川崎だと思う。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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