支配した故のジレンマ
CLではナポリとの同国対決に臨むミラン。リーグ戦では思いっきりのターンオーバーでCLでの躍進に賭ける。
ボールを持ったのは控え中心のミラン。2CBが大きく開き、2人のCHが自由に動きながらボールを引き出していく。ボール運びはサイドから。中央に人を集める4バックを採用したエンポリに対して、フリーになるSBからボールを前に進めていく。エンポリはミランからボールを奪い返すことができず、保持からリズムを作り出すことができない。
エンポリは前回見た時はボールを持ちたがっていたチーム。機会こそ少ないものの、ボールを持つことができた場合はCBが開きながら組み立てに行く。だが、ミランはこれに対しても積極的なアプローチで保持の機会を潰しに行く。
ミランはショートパスからの組み立てとプレッシングからの圧力でエンポリを圧倒。保持に回れば強い彼らにそのターンを与えずにワンサイドで試合を進めることに成功する。
後半の両チームのアクションは前半の流れをさらに強めるものだった。ミランは前半よりも一歩踏み込むフェーズで高い位置から追いかけつつ、さらに敵陣深い位置でのプレータイムを増やしていく。
ゴールには相当近づくが、ネットを揺らすことができないミラン。しかしながら、プレスの方で体力がもたなくなってきたか、高い圧力はある時間を過ぎてしまうと持続できなくなってしまう。
エンポリは後半に5バックに変更。前半から効いていたミランのハーフスペースへの抜け出しを塞ぐように立つ。非保持の手当てを優先することでまずはミランに得点を許さないことを優先する方向性を選択する。
ミランは先に挙げたようにある時間を境に支配力が落ちたため、エンポリは80分ほどから4-5-1にシフト。最後ボールを持つ形でリズムを掴みにいく。
それでもミランは最後の力を振り絞って敵陣まで攻め込む。すると90分。ネットを揺らしたのはジルー。ミラニスタにとっては歓喜の瞬間かと思われたが、これはハンドでゴールは取り消されてしまう。
最後のホイッスルまで攻め倒していたミランだが、取り消されたゴールを上書きする先制点を得ることはできず。試合はスコアレスで幕を閉じることとなった。
ひとこと
前半のミランの制御は見事だった一方で、その展開に沿った持ち味のアタッカーがいないのは気になった。
試合結果
2023.4.7
セリエA 第29節
ミラン 0-0 エンポリ
サン・シーロ
主審:マテオ・マルセラーノ