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「Catch up Premier League」~2023.4.1 プレミアリーグ 第29節 マンチェスター・シティ×リバプール ハイライト

仕上げが見えた22-23のシティ

 リバプールの選択は普段の4-3-3ではなく4-2-3-1。エリオットをSHに置く形でサラーをゴールに近いポジションで起用した。

 シティのボール保持は3-2型に変形する近頃お馴染みの形。よって、リバプールは4-2-3-1では噛み合わない部分が出てくる。この辺りは中盤が根性でなんとかすることを求める部分。SHは絞りながら中盤2枚をケアするか外をケアするかを選択しなければいけないし、CHの2枚は前に出ていくことも時には求められる。

 ファビーニョとヘンダーソンの2枚は是が非でもシティの攻撃を食い止め、最低限リトリートで前線が戻る時間を稼ぐことが役目である。奪いきれればそこからカウンターを発動する。

 よって、シティの保持は中盤をスムーズに越して押し込むことができるかどうかがポイント。リバプールの4バックでの守備ではシティの5レーン型の攻撃をケアしきれない部分が出てくる。例えば大外のグリーリッシュやマフレズのカットイン、そのマイナス方向で構えるデ・ブライネから飛んでくるクロスなどが代表例。押し込むことができればシティは十分に勝ち筋がある。

 シティはポゼッション、リバプールはカウンター。試合はともに攻撃手段がはっきりしている両チームがどちらが先にゴールに辿り着くかという競争を呈していた。

 しかし、試合を動かしたのはリバプールの自陣のGKからの攻撃。シティがハイプレスに出てきたところをひっくり返すことで、擬似カウンターを成立させる。アリソンからパスを受けた中盤のファビーニョはハイプレスをやるのであれば、絶対に防がなくてはいけないところ。ここをシティが空けてしまったことでカウンター対応が一気に後手に。リバプールはアレクサンダー=アーノルドを経由し、前線のジョッタまでのルートが開通させて、最後はサラーが仕留めて先制点をゲットする。

 リバプールの先制点に比べると、シティの同点ゴールは教科書通りのもの。マフレズのカットインからギュンドアンを経由し、逆サイドのグリーリッシュまで持っていく。4バックではケアしきれない部分である。余裕を持ってボールを受けたグリーリッシュからの折り返しをアルバレスが決めて追いつく。

 シティはゴールを決めてプレスを再開。決められてもやるのが彼らの流儀。なお、今度はファビーニョもきっちり塞ぐ。それならばとアリソンが一発で裏に繋ぐ形で応戦する。リバプールのカウンターの筋は死んでいなかったが、彼らの前線からのプレスは徐々に効き目を失っていたので、シティの方が押し込む機会からの得点の機会は有望という前半だった。

 後半、シティは早々にゴールをゲット。プレッシングに出てきたリバプールをひっくり返す形で勝ち越す。アルバレスは最高のサイドチェンジで中央で独走したデ・ブライネをオンサイドに持っていくことに成功。デ・ブライネからすると、折り返しを押し込むだけの簡単なお仕事であった。

 リバプールはなおも前からプレッシング。高い位置からのプレスを失点しても止めることができないのは、シティだけでなくリバプールも同じである。だが、シティはすでにリバプールのプレッシングを外す術を会得していたし、押し込んでからの崩し方にも前半の段階で手応えがあった。リバプールのプレスを外し、押し込み、そしてギュンドアンのゴールでさらに突き放す。

 2点差というセーフティなリードを得てなおシティはハイプレスからゲームを支配しにかかる。最近のシティであれば、多少受けに回ってもなんとかなる気がするが、そういう感覚ではなかったのか、あるいは彼らのプライドの問題なのかは定かではない。

 4枚替えでプレッシングの再起動を仕掛けるリバプールだったが、すでにプレスを外され続けたチームには再起動のスイッチは存在せず。仕上げはワンツーでアレクサンダー=アーノルドを置き去りにしたグリーリッシュが4点目を決める。

 プレミアとCLの両睨みでのラストスパートを仕掛けるシティがリバプールを一蹴。アーセナルにプレッシャーをかける勝ち点3を手にした。

ひとこと

 2022-23のシティがいよいよ仕上がってきたなという感じの試合だった。プレッシングとボール保持での撤退守備の攻略の両面でリバプールを退けて、先制されても確実に局面の支配からゴールを積み重ねる。ハーランドが入ってカウンターでの得点力が上乗せになった状態にこの試合で見せたポゼッションとプレッシングを掛け合わせることができれば、そこが今季のシティの最高到達点なのだろう。

 リバプールはCLに引き続き、プレスという一の矢が効かない相手への脆さを見せてしまった。ロングカウンターは確かに得点への武器にはなるが、先制点の擬似カウンターでの糸口はシティのマークミスの色が濃かったことは差し引くべきである。ロングカウンターを頼りにするのであれば、撤退守備におけるシティの5レーンを活用するプランへの対案は欲しかったところであった。

試合結果

2023.4.1
プレミアリーグ 第29節
マンチェスター・シティ 4-1 リバプール
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:27′ アルバレス, 46′ デ・ブライネ, 53′ ギュンドアン, 74′ グリーリッシュ
LIV:17′ サラー
主審:サイモン・フーパー

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