無風の9位争いを制したビラがポッター解任の決め手に
優勝争い、欧州カップ戦争い、残留争いのどれかに大体のチームが巻き込まれている熾烈な終盤戦を迎えているプレミアリーグ。そんな中でこのカードはどの争いにも属さない片手で足りるほどのチーム同士の対戦である。勝てばフラムを抜いて9位になるという順位変動は伴っているけども。
立ち上がり、3バックから積極的にボールをキャリーしていくチェルシー。3バックでは不動の存在になっているフォファナがいないワイドのCBはSB色の強いジェームズが務めることになる。ビラの守備は4-4-2ベースであり、かつ特に相手に合わせたポジションの取り方もしないため、チェルシーが特に前進で苦労をするところはなかったといえるだろう。
ただし、中央はコンパクトなので強引に縦パスを付けようとするとカウンターの網に引っかかる。外を循環すれば問題なく押し下げることができるので、チェルシーは左サイドに人を下ろしながら丁寧に前進の起点を作っていくことに。ここから同サイドの裏かもしくは対角のパスで右のWBにボールを届けることでビラのブロックを横に広げるアクションを続けていく。
エメリのアストンビラのスタンスは引き込んでの擬似ロングカウンターがいつでも理想である。だが、深い位置からのロングカウンターはこの試合ではそこまで有効ではなく、どちらかといえばチャンスはチェルシーが時折中盤で引き起こす横パスのミス由来からのミドルカウンターになることが多かった。
先制点となるシーンもチェルシーのミス由来だった。ククレジャのクリアが不十分なことで抜け出したワトキンスがループでケパとの1on1を制して先制ゴールをゲット。少ないチャンスを生かしたビラが前に出る。
先制したとは言え低い位置でのブロック形成もそこまで得意ではないアストンビラ。外循環のチェルシーによって押し下げられると、PA内でかなり危険なシーンに直面することに。特にムドリクには試合を決めるチャンスが十分にあったといえるだろう。前半終了間際にはエンソのフライングスルーというお決まりのパターンからチルウェルがネットを揺らすが、これはファウルの判定でゴールは認められる。
ビラはミス待ちの様相でOKというスタンスを終始貫く。チェルシーはそうしたビラの受け身なスタンスをゴールで崩すことが出来ず、試合はハーフタイムを迎える。
ハーフタイムを迎えたビラは警告を受けていたカマラに代えてチェンバースを投入。5バックにシフトすることで、後方の受けを強化する選択をする。当然後ろが重たくなるリスクを背負うが、ビラは長いパスからカウンターで完結させる能力は高いし、そもそも人数をかけて前に出て行ける場面は4バックでも少なかったので、特に問題はなさそうであった。
そして、その前に出て行ける少ない機会を生かしてビラはリードを広げることに成功する。プレミアファンにはおなじみのマッギンのミドルシュートがネットに突き刺さりリードは2点差に。スタンフォードブリッジの観衆を黙らせる追加点がビラに入る。
後半も当然攻勢に出る機会が多かったチェルシーだが、数多く迎えたチャンスを誰一人決めることが出来ず。幅を取ったWBからはビラが5バックに移行してなおチャンス構築が出来ていたが、この日のチェルシーにはそれを沈める選手がいなかった。
9位の座をかけた一戦はビラに軍配。チェルシーはこれがポッターのラストゲームになってしまった。
ひとこと
チェルシーにワトキンスみたいな選手居たらいいのにねと思った。
試合結果
2023.4.1
プレミアリーグ 第29節
チェルシー 0-2 アストンビラ
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
AVL:18‘ ワトキンス, 56’ マッギン
主審:アンディ・マドレー